ファイナンス理論全史――儲けの法則と相場の本質

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478103753

感想・レビュー・書評

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  • そもそもは仕事の関係でファイナンスの知識が少しでもあったほうが良いと思い、一度体系的に全体像を把握しようと思って読んでみたのがきっかけだった。 
     
    M&Aに関連するファイナンス理論を学ぶための本ではないが、株式投資に関連する金融工学やファイナンス理論のこれまでの発展経緯が語られていたが、個人的にはインデックス投資がランダムウォーク理論や効率的市場仮説をバックボーンに考えられた株式投資アプローチであり、一方でバフェットなどの超優良株投資アプローチとは真逆のスタンスをとっていることが改めて整理できてよかった。 

    また、サブプライムローンがなぜ起きたか、それがどんな意義を持っていたのかについてわかりやすく書かれていたのも参考になった

  • 一定は理解していると思っているファイナンスについてさらに整理学ぶために借りた一冊
    ファイナンス理論のエッセンスから学べることに焦点をあてた本。

    メモ
    ・ランダムウォーク理論
    ・ブラウン運動
    ・ウィーナー過程
    ・モダンポートフォリオ理論
    ・効率的フロンティア
    ・アノマリー 原則から逸脱する例外的事象や説明できない特殊事情
    ・ファーマフレンチの3ファクターモデル
    ・バリューアットリスク VaR
    ・クレジットデフォルトスワップ CDS
    ・モメンタム効果
    ・第一号ヘッジファンドの特徴
     空売りを組み合わせる
     成功報酬型運用手数料
     自分の資金もファンのに導入。セイムボート

  • 確かに、ファイナンス理論の歴史を学べる。

    「市場は非効率であると考える人がいるから、市場は効率的になる。」
    この矛盾が一番面白い。
    割安だからとある株式を購入する人は、将来的にその株式は適正な(効率的な)株価になると考えるのだ。なぜだろう。
    「皆、いずれ自分と同じように割安と見抜くはずだ」という奢りに過ぎない。
    しかし、市場は効率的であると皆が考えた瞬間、市場は死ぬ。売買の意味がないからだ。

    これはアクティブ投資とインデックスも全く同じ構図だろう。アクティブ投資がいるからインデックスが成り立つ。インデックスはアクティブのベンチマークとなる。
    不思議だ。

  • 証券分析版、業界地図ともいえる。株屋なら読んどけってくらい気付きのある贔屓とかなしに良い本。

  • バシュリエのランダムウォーク理論。ブラウン運動からヒントを得た。
    将来の価格は予測できないが、確率なら計算できる。
    効率的市場仮説=サミュエルソン、ファーマなど。

    アノマリーが存在する=小型株効果、割安株効果、モメンタム効果。
    バフェットの超長期投資を貫徹することは難しい。

    水の温度が下がっていく場合のブラウン運動は、正規分布より両端が引き延ばされた確率分布になる。
    株価の分布は、正規分布ではなく安定分布=べき分布になる。=中心部分は正規分布より高く、周辺は低い(中心にいる可能性が高い)。端のほうは正規分布より高い。
    中央付近はリスクリバーサル、両端はトレンドが起きる。

    タレブのブラックスワン。頻繁に起きる。
    JPモルガンは、難局を乗り切った。サブプライムローンの異変に注目した。

    普段は負のフィードバックが優勢、ひとたび大きな価格変動が起きると増幅する。正規分布との違いは、市場の本質的な構造。

    群衆の知恵=大勢の答えの平均を出すと、政界に近くなる。

    市場の本質的な構造は、行動ファイナンスで説明できるか。
    プロスペクト理論=損失回避傾向=下落時には売りが売りを呼びやすい。
    ファスト&スローシステム=スローシステムは、ファストシステムの言い訳を作るために使われる。論理的であるかのようにつじつまを合わせる。

    小型株効果=知っているモノのほうが価値が高く知らないものは価値が低い。大型株より小型株のほうがパフィーマンスが良い理由。
    モメンタム効果=バンドワゴン効果。乗り遅れまいとする心理によって、近視眼的な時間非整合割引率=短期をより重視する、で買われる。

    ケインズ「市場は投資家が持ちこたえられるよりも長く不合理でいられる」=市場が不合理であっても逆らうな。

    短期なら予測できる可能性がある=ルネサンスの例。

  • ファイナンス理論〜と題されると少々躊躇しますが、内容は分かりやすく文系の人も難無く読めます。

  • 現代ファイナンス理論は正しいのか?そして投資家に役立つのか?前者への答えは、「ある程度までは正しい」。後者への答えは、「イエス」。

    紹介されるのは、ランダムウォーク理論、効率的市場仮説、デリバティブ価格理論、モダンポートフォリオ理論、リスクの計量化など、現代ファイナンス理論の骨格。
    理論への批判として、ブラックスワンの存在と、人間の非合理性を明らかにする行動ファイナンス(または行動経済学)のあらまし。
    最後にヘッジファンドの確率論的投資手法、人工知能の活用など。

    研究と実践のせめぎ合いの中で、ファイナンス理論は発展してきた。不確実性の支配する市場で、いかに利益を上げ続けることができるか。人間の知恵が常に試され、磨かれてきたことがよく分かる。理論をよく知れば、完全ではないが、ある程度の確率で利益を上げられる。たまに市場に勝つことができるかも?

    小さな負けがあっても、市場に居続けること。そしてたまの幸運を待つこと。一般投資家にはその辺りが目指すべき態度だと思う。

  • 金融業界で生まれた多くの主要理論のエッセンスを、時系列で理論同士の関係性も含めて解説している。市場で起こったイベントと理論の発展には相関性があるので、時系列で追っていくとすっきり頭に入ってくる。また、多くの名著を紹介していて、次に読みたい本が芋蔓式に見つかる。個別の理論を勉強する前に一度目を通しておくべき良著と思った。

    「理論を絶対視することはナンセンスである。一方で、それを無視することも得策ではない。理論からは多くのことを学ぶことができる。もちろん、理論と現実にはずれがある。しかし、そのずれこそが宝の山なのだ。宝の山がどこにあるかを知るためにも、理論について知る必要があるだろう。」

    ファイナンス理論はまだまだ完成には程遠く、正しいと思われた理論がすぐに課題に直面する。そして多くの有能な人々が新しい理論で挑む。成功が圧倒的な報酬と名声に直結する金融業界の最先端だからこそ起こり得るダイナミズムなのかな。

  • 難しい数式無しでファイナンスの歴史を概観できる良書です。どんなスタイルの投資家も、まずこの内容を知っておいて損は無いと思うくらい。投資の最初の教科書だと思います。決して入門書や初心者向けという意味ではなく、投資家人生にわたって必要な根本的な知識が学べます。

  • Black–Scholes equationの問題点を知りたくて読んだ.ストーリー的なところがしっかりしている.

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著者プロフィール

金融アナリスト、コンサルタント。
株式会社ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役。シグマベイスキャピタル株式会社シニアフェロー、シグマインベストメントスクール学長。
1963年生まれ。1985年一橋大学経済学部卒業。日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。デリバティブの商品開発、ディーリング業務に従事。2000年よりUFJパートナーズ投信(現三菱UFJ投信)にてチーフファンドマネージャーとして債券運用、新商品開発、フロント・リスク管理、ストラクチャード・プロダクツへの投資などを担当。その後不動産ファンド運営会社社長、生命保険会社執行役員を経て2012年より現職。

「2021年 『「不確実性」超入門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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