ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478069653

作品紹介・あらすじ

ニーチェ、サルトル、キルケゴール、ショーペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパース!あの偉大なる哲学者たちが、現代的な姿になって現れ、高校二年生の主人公アリサに、“哲学する“とは、何かを教えていく小説。

感想・レビュー・書評

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  • 哲学者の慧眼に触れる。

    すると、目の前の霧が
    晴れるように感じる。

    それは、
    捉えどころのなかった
    違和感が言語化される
    から?

    客観的真理ではなく
    主体的真理。
    (自分にとっての真実)

    ダスマンではなく
    ダーザイン。
    (いまここにある存在)

    通俗的時間ではなく
    根源的時間。
    (限りある時間)

    「運命がトランプの
     カードをシャッフルし、
     我々が勝負する」

    カードは既に配られた。

    どのように勝負するか?
    それは当人にかかって
    いる。

    勝負に勝つための道は
    数多ある。

  • ツボった。

    哲学的知識もあまり無く、学生生活の半分を登校拒否っ子として過ごした無知な私でも分かりやすく明快に‘哲学’の事を教えてくれる入門書的な本。
    難しい専門用語の一見理解しにくい概念も童話『すっぱいぶどう』やTMrevolutionの歌詞、MOCO’Sキッチンなど身近な例えを交えつつ説明してくれる。
    あまりに分かりやすく、腑に落ちるような気がするので「もしかしたら私、騙されてんじゃないか」と疑うほど(笑)

    17歳の女子高生・児島アリサはアルバイトの帰り道、『哲学の道』で哲学者ニーチェと出会う。ニーチェと名乗るが姿は冴えない日本人男子大学生ぽい見た目、どうもつかの間現世に‘この体を借りて’やってきているらしい。...このちょっと強引な設定に「はああ?」と思った人も少しスルーして読み進んでいってほしい。彼はアリサを‘超人’にするためにやってきたのだそう。このニーチェ、可愛い。ココアを飲んでココアの髭を作る。川で水切りに夢中になる。早朝にピンポンして「来ちゃった」とのたまう。誰の妄想か。
    他にも、雑誌のカリスマ読者モデル・キルケゴール。
    クラシック喫茶のマスター・ショーペンハウアー。
    女好きのガールズバーオーナー・サルトル。
    京大教授・ハイデカー。
    浴衣姿の心優しき医師・ヤスパース。
    あとニーチェと一時期仲が良かったワーグナーも出てくる。
    皆個性的な男性で、身長、体重も明記されている(笑)
    彼らが一生を掛けて考え抜いた‘哲学’を惜しげもなく与えられるアリサと読んでいる私たち。「なんて贅沢な時間なんだ!」とフルフルしながら読んだ。中には「そう、そうなのよ!」と思わず握手を求めたくなるものも。哲学は‘覚醒’の学問だというヤスパース。「人はすでにいろんなことを知っている。そして、その知っていることを理解しなおすのが哲学だから」

    哲学に詳しい方には周知の事実で、目新しいこともないかもしれない。
    でも‘哲学’にほんの少しでもひっかかりを感じている方にはおすすめです。

    京都が舞台でニーチェとアリサが通った道や行った食べ物やさんも実際にあるらしいく、巻末に地図付き。
    私は京大のカレーが食べたい(笑)

    色気(イケメン)と食い気(おいしそうな食べ物)に誘われたフリして(!)今までより開けた世界に飛び出してみませんか?

  • 京都・哲学の道で、高校生のアリサの前に表れたのは哲学者のニーチェだった!?(そうは見えないイマドキの人だけど)さらに、キルケゴールヤ、ショーペンハウアー、サルトル、ハイデガー、ヤスパースまでも登場して人生と哲学について語り合うことに…

    哲学者って色々いるけど、人の数だけその人の持つ哲学的な考えは違う。

    一番最初のニーチェが語る「自己中的な自分を”奴隷道徳”で否定するよりも認めよ」的な話とか、なんか捉え方によっては誤解を与えそうな表現で疲れちゃったけど…とりあえず最後まで読んでみた。

    最後まで読んでよかった…
    正解は一つじゃない

    ハイデガーの「死」についての話がよかった
    「あ~そうだ、人は死に向かって行くものだった…」
    とあらためて思った。

    さてさて、私は「死にゆく」時に何を思うのか…

  • ニーチェが女子高生の前に突如現代人の姿で現れて哲学とは何かを教えてくれるというお話。
    小説になっているので哲学は堅苦しい、難しいというイメージを取っ払っえる本であると思う。
    ニーチェ以外にも哲学者が登場し色々な考えがあるということを教えてくれる。

    この本を読んで哲学のことをもっと知りたくなった。

  • 哲学ってもっと難しくて、
    綺麗事ばかりの理想論だと思っていました。
    でも、この本を読んでその考えが180°変わりました。
    哲学って難しくも、ましてや薄っぺらな理想論でもなく
    実は身近で色々な事へのヒントとなるものなのかもしれないと思いました。
    私は、この本を読み終えた時にはある種の自信と勇気をもらいました。
    たった1冊の本でこんなにも気持ちが楽になったり、大きな発見が出来ることはなかなかないと思います。
    この本と巡り会えて本当に良かったです。

  • 『感想』
    〇哲学は難しいもの、意味のないものと勘違いしている人に、その先入観を変えることができる入門書。

    〇私はそれなりに哲学の本や考えを学んできたつもりだが、曖昧なところはたくさんある。この本を読んで理解が進むところも多かった。

    〇ある事柄に関して不安を抱くのは、手に入れることができる可能性があるということをわかっていることなのだから、実はとても大切な過程の感情なのだ。

    〇自分の知っていることって、人に自慢したくなる。でもそれって自分の価値を上げるものではない。自慢しなきゃ自分自身にすごいんだと納得させられない未熟なレベルなのだ。

    〇自慢することと人に伝達したいと思うことは同じことなのだろうか。それは結局相手がどちらと思うか。伝えたいと思う人が伝えてほしいと思ってくれているならば、そんなうれしいことはない。

    〇本から得る知識はそのまま使うのではなく、自分の頭でそれは100%本当なのか考える。それがもう哲学。ということは本を読むだけで哲学の世界に足を踏み入れているんだ。

    『フレーズ』
    ・世の中は公平ではない。不公平だ。スタートラインも能力も人によって違う。これは当たり前のことだ。しかし、その中で、”ゴール地点”にだけ固執してしまう人間はニヒルに陥る。(p.70)

    ・私たちは、感動的な意見や、自分の心に響いた意見など、感動の先にあるものが、真実で正しいものだと断定しがちだが、そうだとは限らない。それは自分にとって都合の良い意見を選んでいるだけにすぎない場合もあるのだから。(p.100)

    ・いつも自分自身をいたわることの多いものは、その多いいたわりによって病弱になる。我々を過酷ならしめるものを讃えよう。(p.105)

    ・大衆からすると、個性を持って、主体的に生きている人は、”妬み”の対象になるのです。(略)バカにする人は、自分の人生ではなく、他人の人生を妬むことに時間を費やしてしまっているのです。(p.128)

    ・可能性という言葉だけを聞くと、ポジティブなイメージを抱きますが、可能性とは、まだ訪れていない未来。つまりまだ何もない”無”なんです。(略)人は、明らかに無理だとわかっている、手の届かないことに対してではなく、自分に手が届きそうなことに対して、不安を抱くのです。(p.146)

    ・虚栄はおしゃべりを、自負は口数の少ないものを生む。(p.181)

    ・人の話を聞いたり、本を読むことは、他人の頭をつかって何かを知る行為です。そこから持ち帰って、自分の頭で考えてみることで、自分の考えが生まれるものです。考えることは、楽なことではありませんが、自分なりの答えを模索しつづけてください。(p.300)

    ・哲学には”三つの根源”があります。(略)一つは”驚き”、二つ目は”疑い”、そして三つ目は”喪失”。(p.315)

    ・挫折は結果ではない。挫折をどのような体験だと自分がとらえ、行動したかが肝心なんだ。(略)挫折は、結果ではなく、ある意味スタート地点。(p.323)

    ・哲学は伝達への衝動を持つ。哲学は自己を語り、傾聴されることを欲するという特性もあります。(p.328)

  • 哲学者の話が聞けて面白かった。ニーチェの永劫回帰と、ハイデガーの先駆性決意の話が好き。内容的に一度読んだだけでは理解できないところもたくさんあったけど、時間をおいて、再読したらさらにわかるようになっているかもしれない。
    起きる問題は、結局また起こる。永劫回帰をパチンコのスロットに例えて説明しているのは分かりやすかった。人間は、生活しているうちに誰でもいづれは死ぬことを忘れてしまう。ハイデガーが言うように、死ぬことを直視して、「本来性の生き方(自分の代わりはいないんだという自負を持って)」ができるようになりたい。

  • ネットで紹介されていた本なので試しに購入。

    哲学本は読んだことがないが、現代の女子高生という目線に合わせて、噛み砕いて説明してくれるので理解しやすい。入門者としては良さそうだ。
    「〇〇安定」と思考を止めて動くところがあるので、この本を読んでからは、一度立ち止まり考えてみる癖を身につけようと思いました。

  • ニーチェやサルトル、キルケゴールなど、哲学者の考え方を易しく、分かりやすく伝えてくれる本。

    人の数だけ哲学がある、ということを再認識。

  • 京都が舞台という事で場所が想像しやすい。

    ストーリーはファンタジーに近く、ラノベタッチのイラストをたまに挟むけど、
    哲学としての基礎が会話と共に上手く説明されている。

    にしても、キルケゴール病みすぎ笑
    気持ちは分からんでもないなあと感じます。

    私もニーチェに会ってみたい。哲学の道行こう。

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著者プロフィール

原田まりる1985年京都府京都市出身。哲学の道のそばで育ち、高校生時哲学書に出会い感銘をうける。京都女子大学在学時よりおこなってきた芸能活動を経て、現在は作家・哲学ナビゲーターとして活動。オンラインサロン「この哲学がスゴい!?ケンカしない哲学交流ラウンジ?」(DMMLounge)主宰。2017年4月にゲーム・漫画原作制作会社「noexit(ノイグジット)」を設立。著書に哲学者の教えと経験談を交え綴った『私の体を鞭打つ言葉』(サンマーク出版)、京都を舞台にした哲学のエンタメ小説『ニーチェが京都にやってきて、17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』(ダイヤモンド社)、10月よりコミック化が決定。11月に新著『まいにち哲学』(ポプラ社)をリリース予定。●公式サイト https://haradamariru.amebaownd.com●twitter @HaraDA_MariRU

「2017年 『日々の悩みが消える哲学手帳』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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