パーソナルデータの衝撃――一生を丸裸にされる「情報経済」が始まった
- ダイヤモンド社 (2015年2月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478064832
作品紹介・あらすじ
個人情報が未来の通貨になる!「ニーズ・ウォンツ」を獲得するビジネスから、「消費者の意思」を中心にした経済へ。企業と消費者の関係を根底から覆す、新たなパラダイムシフトの幕開け。
感想・レビュー・書評
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個人情報の取り扱い
情報の入手・流用の方法
再利用・構成の方法
データリサーチ企業=一度登録した情報は消せない
隠すこと公開すること
どちらに利点があるのか詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「はぁ?」と思う人が多いことだろう。石油は古来「燃える水」として知られていた。精製することで灯油やガソリンとなり、ガスを生み、更にはプラスチック、ビニール、ナイロンなどの石油化学製品を誕生させた。一人のパーソナルデータは一滴の石油みたいなものだ。それが大量に集まると消費動向や社会現象が解析できるようになるのだ。
https://sessendo.blogspot.com/2021/10/blog-post_11.html -
情報の価値を再認識
・情報がお金になる
・よりよい情報との付き合い方を提案
・ユーザ還元を主とした社会の実現 -
データビジネス(IoT/FinTech/クラウド)の最先端の動向に詳しいNRI城田さんの著作。毎度面白く読ませてもらっている。
アメリカではデータビジネス、特にパーソナルデータの取引が進行している。グーグルやフェイスブックが広告で莫大な利益を生み出している一方で、その利益の源泉とも言えるユーザーは一銭も得ることができない(もちろん、サービスを受けている)。そうした背景からパーソナルデータの価値に着目する動きがある。フェイスブックやツイッターの売上/ユーザー数で試算すると年間1-7ドル程度の価値にしかならないようだ。
近年の方向性として、IT企業が一方的にパーソナルデータを取得し利益を得るという一方通行なビジネスではなく、ユーザーにコントロール権を持たせる流れがある。アマゾンやフェイスブックではそのような動きが見られる。知らないところでデータが売り買いされるのではなく、パーソナルデータの保有状況を可視化し、使用方法をユーザーがコントロールできることが重要になっている。
ー以下、メモー
NRI城田真琴さんと経営コンサルタントの小林啓倫さんの書籍はいつも新しい情報を与えてくれる(どこからこんな情報を仕入れているのだろう)。データの売買やコントロール権の話は間違いなくこれから日本にやってくる。CCCや楽天などがすでに取り組んでいるかもしれない。
パーソナルデータはプライバシーに関わることなので、どうしても日本は腰が重たい。欧米が100歩先を行っている。
データを公開するということ。国が公開してくれると民間は非常に助かる。一方で、民間がもつデータを公開することの意味とはなんだろうか。APIエコノミーのごとく、他社がサービス協力者となり、経済圏を築くことになる?
アップルの考え方が面白い。「素晴らしい顧客体験が顧客のプライバシーを犠牲にして得られるようなことがあってはならない。」 -
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サービスの対価としてパーソナルデータが集められている今、その何が問題で何がメリットでどういう展望があるのかが、わかりやすくまとめられている。
各章ごとに最後は教科書の様にまとめが箇条書きに記述されていて、理解を助けてくれるし、文章は読みやすく、コラムなどもあり、さくさく読むことができた。 -
従来の個人情報という枠を超えスマートフォンやウェアラブルデバイスにより知らず知らずのうちに収集されるパーソナルデータ。「新しい石油」として、様々な関連ビジネスが生まれつつある中、主にアメリカ・イギリスの事例を中心に、最新のパーソナルデータビジネスの概況をまとめた一冊。
これを読むと自分が思っていた以上に、パーソナルデータに関するビジネスがアメリカでは活性化しつつあることに驚かされる。日本の闇中小企業的な名簿屋と異なり、圧倒的な量とオプトアウトの仕組みも兼ね揃えたアメリカのデータブローカーの存在や、EUにおけるパーソナルデータの管理の主導権を消費者側に取り戻させるための様々な法整備など、日本がだいぶ遅れている面は否めない。
是非はともかく、現状は日本でも自動車保険等の分野で活用されつつあるパーソナルデータの可能性を知るのに最適な印象。あっという間に読んでしまった。