- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478029749
作品紹介・あらすじ
「中国人はなぜひとを信用しないのか?」「なぜヤクザ組織がないのか?」「なぜ反日なのか?」「なぜ鬼城-ゴーストタウン-だらけなのか?」作家・橘玲が新視点から切り込む中国社会評論!
感想・レビュー・書評
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中国の不動産バブルのすごさをテレビで見たことがあるが、そのスケールは日本のその比ではない。
なぜ、そのようなことを現代中国がやってしまうのか、歴史を遡り、中国社会が歴史的に積み上げてきたものを私論として書き著してくれている。
圧倒的な人口の多さ、他民族、そんなものを完璧に統治できるわけがない。
自分自身、家族、同胞の安全をどう構築していくのか、日本人には到底理解できない手法だ。
フットルースな「金」を扱う人ならではの分析だ。
日頃、バイアスのかかった、そして、ステレオタイプの中国情報に接しているものにとって、中国に対する新たな視点が示されて、とっても興味深く読めました(笑)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中韓関連の報道、情報に接すると、常にいわれなき誹謗中傷を受け、ゆすりたかりにあっている感覚があり、神経が苛立たせられることが多い。
まぁしかし、なぜそのように振る舞うのか、振る舞わざるを得ないのか、ということを理解できれば、そして、それに対して、どう対応すればよいか、ということを整理できれば、そう苛々せずにすむ。
そういった意味で、理解と整理を促進してくれる、良著。
「ネイション・ステイトは民族(国民)と国家を一体化するから、個人と国家の同一視はどこでも起こる。だが日本では両者の区別があまりにも曖昧で、中国や韓国から歴史問題で批判されると、まるで自分個人が批判されたかのように感情的に反応する人が多すぎる。
個人主義が徹底されている欧米社会では、過去の歴史について個人的な批判に晒されるのではないか、などという不安は考えられない。もしそんなことが起きたら彼らはすごくびっくりするし、そのあと、相手を「話をする価値もないバカ者」と見なして黙ってその場から立ち去るだろう。」
日本は日本。自分は自分。ということだろうか。 -
日本人の中に感情的な理由で、またほとんど過去の歴史(近代史ではなく)を知らず、何となくメディアに踊らされて「中国嫌い」と自負している人は絶対に読んだ方が良い1冊。
「ひとは誰も、自分の見たいものしか見ないし、自分の理解したいものしか理解しない」
その通り、実に良書。さすが橘玲さん。明快な切り口で「中国」について書いてくれている。この本のおかげで「日本」についての理解が深まった。同時に中国に対して興味が湧いた。
グワンシ
人口の多さ
国土の広さ
実に興味深い国、中国。 -
中国は隣国なのに捉えどころのない国という印象でしたが、橘さんの切り口でその存在が明快になりました。
とにかく人が多すぎる、全てはここなんですね。
一枚岩に見えて、上の意向も下に都合が悪ければ黙殺される、など、共産党支配もバランスとるのに苦労しているのが窺えます。
開発だけしてゴーストタウンになってる街をメンツの為に維持するとか、いつまでもこんなことが続かないでしょうから、崩壊した時にどうなるか、日本としても備えが必要でしょうね。 -
全ての物事と同じ。デジタルなものではない限り、はっきり白黒をつけられる事は、あまりない。それにも拘わらず、国と国とのことは白黒をつけたがる人達がいる。
テレビで叫んだり、暴れたりしている人ほどでなくても、一般の人達の中でも、中国や韓国に対して相手のことを良く知らずに、マスコミなどの影響で悪い感情を持っている人はいるのではないだろうか。
あくまでも橘氏の私論だが、この本は現代中国を知ることができる。そして、いつものように読みやすい。鬼城の錬金術、実は中央集権が機能していない、近代世界の中の近世を引きずっている中国。日本を含めた、周辺諸国のためにも軟着陸してほしい。
また、謝罪は国としてしっかり行い、個人同士は大人の関係でわだかまりなく、仲良くしていきたいものだ。 -
お隣中国がよくわかる一冊。
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2015/07/30
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「グアンジ」の視点から中国社会や人間の考え方と、それを見る日本人のまなざしについて考える一冊。情報量も多く、広い視点から中国を一歩深く見る機会を与えてくれる。
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中国についての各種雑多な考察
非常に面白い。
いくつか上げると、
1.中国のように社会の利害集団が分裂している巨大な国では民主主義は良い結果を生まない。
2.中国の急激な成長は、人口ボーナスの終焉とともに終わりつつある。
3.中国は、制度としては腐敗に厳しいが、社会構造が腐敗を防げないという歴史。
4.中国共産党は、自国の巨大な人口を持て余している。
5.中国の歴史上の国家が日本を作り、近代日本の侵略が清朝崩壊以降の中国を作った。 -
もっと早く読んでおくべきだと感じた一冊。ニュースや報道だけを見ていると、
いつもハテナ?がつきまくる中国について、筆者が独自の調査、取材によって解説してくれる。
筆者によると、
日本と中国人はよく似ているからこそ、
お互いに違う部分が際立って、
違和感を感じるとのことだ。
アラブ人が我々に理解できない行動をしても、日本人が感じるのは違和感ではなく、ただ単に違うということを認めるだけだ。
しかし、日本人が中国人を見てそれが出来ない。それはもともと両者が同じ祖先、圧倒的に似ているからだ。
しかし、中国は日本に比べて人間が圧倒的に多いことや、地理的要因から長らく続いた戦国の時代の行動様式のフォーマット、また近代になって世界の列強に侵略された負の歴史などが、折り重なって中国人と日本人は、いまでは別々の行動文法を持つ国になってしまっている。
こうした両国の違いを生み出した背景を解きほぐし、最後には両国に横たわる歴史認識の問題や、今後の経済、政治のつきあい方まで、独自の視点で書ききっている。
ちなみに歴史認識について、
筆者の考えを纏めると、
結局は個人と国家を切り離して考える事が両国ともに必要で、特に日本人は、日本という国を中国、韓国に責められると、あたかも自分個人を責められたような気持ちになる人が多すぎる。
むしろ個人である自らは過去の日本国の戦争の責任を取ることも出来ないし、謝罪することも出来ない。できるのは国を代表することの出来る一部の政治家のみ。中国人との付き合いを考える上では、国家を先に持ち出さず、個人と個人との付き合いをきちんと持つことで、未来形の隣人関係を作っていくべきだ。
といったもの。
中国との関係の難しいところまでは踏み込んで無いんだとは思うが、
いつも我々を悩ませるこの難しい問題を、
ここまで冷静に処理した話を読んだことはなく、思わず読みながら拍手をしてしまった。
歴史問題に限らず、
こうした中国との間で、
我々日本人が感じるモヤモヤを、
幾分とスッキリさせてくれる特効薬になる一冊だと思う。
ぜひ御一読を。