真相---マイク・タイソン自伝

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478029022

感想・レビュー・書評

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  • 貧乏黒人による裏街道経由のサクセスストーリーとしてはマイルス自叙伝を越えて金字塔扱い。ボクシング一筋なのは前半3分の1くらいで、あとの3分の1はボクシングと裁判の両立、あとの3分の1は裁判に集中している。意外なほど読書家で博識、本人がどこまで直接書いているのかは分からないけど、気の利いた詩的な言い回しが随所に登場して格好いい。

  • ボクシングを制し、ボクシングを愛し、ボクシングに悩み、ボクシングに苦しめられた一人の男の物語。キャリアで最初の敗北を喫してからは、酒とコカインとセックスに溺れるも、なぜ社会はそれを放置し、矯正させなかったのか、等々。これを読んだだけで、我々一般人が常日頃抱えている悩みなんて本当にちっぽけなものだと思いました。

  • ギャングスタのブリンブリンの先駆けがタイソンとはビックリ。

    カスダマトが亡くなった時点で目標を見失った様で、まぁ凄い生活。。ボクシングに対する取り組みに関してはとても尊敬は出来ませんね(笑)歴史に残るボクサーなのは間違いないですけどね。

  • 元ボクシングヘビー級絶対王者マイク・タイソンの自伝。結構なページ数がある大著であるが、彼の人生には、それだけいろいろなことがあったということだ。『真相』というタイトルの通り、タイソン自身がかなり赤裸々に自身の人生で起こったことについて語っている。衝撃的である意味では喜劇的でもあったレイプ事件などについて、彼から見た「真相」が書かれている。もちろん、「真相」のいくつかについては割り引いて読む必要はありそうではあるが。

    無敗のタイソンが、東京ドームでジェームス・ダグラスに敗れた大番狂わせの試合のことは覚えている。この本を読むと、その裏で、傲慢さと心の弱さによって、それまでに蓄積した自らの貯金をタイソンが食いつぶしてきた様子がわかる。「地上最強」「モンスター」と呼ばれていた無類の強さを、酒と女と薬で食いつぶしてしまったかと思うと、どうにももったいない。本人の意志の面もあるが、マネジメントチームがうまく機能していなかったことも大きな問題だった。本書はすべてタイソンの視点で書かれているため、その主張すべてが正しいかどうかはわからないが、ドン・キングと組んだことは大きな失敗のひとつだったように思われる。もちろん、最初の妻のロビンとの結婚もよくなかった。Heavy DやAl. B. Sureだとか2PACとかBobby Brown、Whitney Hustonなど懐かしい有名人の名前も出てくる。典型的な金と名誉に溺れて、それに群がる人にだまされたというストーリー。出てくる人やお金の単位にびっくりするのも本書の楽しみのひとつだ。

    ボクシングとは別のもうひとつの軸が女性関係だが、これもまた激しい。タイガー・ウッズはセックス依存症と診断されたが、タイソンも当時同じような基準を当てはめれば、そう診断されたのではないか。それともウッズのイメージでは女性問題はダメで、タイソンならやりそうなので咎めなしなのかもしれないが。しかし、そういう機会が向こうから転がり込んでくるなら、そうなる素養は誰でも持っているんじゃないのかなと思ったりする。

    タイソンは、ダグラスに敗れて王座から陥落した後、レイプ事件で三年間も収監されたあげく、ホリフィールド戦での耳噛み事件で一年間ライセンス剥奪されるなど、数年間の単位でボクシングをする時間を失っている。事件自体は、よく知られた話ではあるが、具体的にその後に失われた時間の長さについては初めて知った。レイプ事件はタイソンによるとはめられた、耳噛みの件はホリフィールド寄りのレフェリーがバッティング狙いの反則を止めなかったからだというが、さすがに自業自得であるところも否めない。史上最年少王者となったことから明らかであるし、三年間のブランク後に王座復帰を果たしたことからも、その才能は疑いようもない。やはりもったいない。ただ、その収監時の描写やその後のカウンセリングや薬物依存との闘いもひとつの読みどころである。それは、なぜか悲惨ではなく、どこかコミカルでさえある。


    最後に添えられた監訳者のジョー小泉さんの文章が本書に厚みを加えている。おそらくは日本語版のみの補遺だと思われるが、ダマトとキングを単純な善悪に二分するべきではないと指摘するなど、単なる解説を超えた内容で素敵だ。カス・ダマトがタイソンを見出して引き上げたのは見事な手腕であり誇られるべき功績だが、一方でカスの指導の結果としてその後のタイソンの行動につながったと指摘する。歴史に、もしはないが、その後も引き続きカスがいて、ヘビー級タイトルのベルトを巻いても生き続ければどうなっていたのだろうか。

    ボクシング自体のエンタテーメントとしての価値を引き上げた不世出のボクサー。そうであるがゆえの波乱の人生。意外に面白く読めた。果たして、タイソンを引き継ぐようなヘビー級ボクサーは再び登場するのだろうか。

  • カス・ダマトがあと5年生きていたら、どんなボクサーになっていたんだろうと思うと残念。
    環境と教育は重要。

  • コカインとマリファナとアルコールとセックスの依存者としてのメチャクチャな半生が語られる。
    タイソンが超新星として現れてチャンピオンになった頃を見ていただけに、その時期の話があっさり終わるのは拍子抜けだった。
    そこが簡単に済まされると、あとは破天荒な服役生活や、痛々しい依存者の人生や、ドン・キングをはじめとする取り巻きたち(ドナルド・トランプの名前も出てくる)の話が延々と続く600ページ超の本である。ビルディングスロマンの爽快感はない(最終段では再生に向かっているので本人的には爽快みたいだけど)。

    それはある意味では当然のことだ。ボクシングからの引退を決めてヨーロッパでセレブとして遇されていたことについて
    「ひとつわかったことがある。どれも俺の心に開いたでっかい穴を埋めてくれなかったことだ。俺はチャンピオンの座にちゃんと敬意を払ったことがなかったからな。簡単に手に入ったからだ。成し遂げるためにいっぱい猛練習をしたのは確かだが、王座は自分のものになって当然だと思っていた。」
    と述べているが、そのスタンスで書かれた自伝なので。

    師であるカス・ダマトについてタイソンが述べている部分はかなり興味深い。
    「ボクシングマシン」としてタイソンを育て上げながら、王座に就くまでは寿命がもたなかったカス。それを予想していたからから、勝つための方法を伝授することを急いだ。チャンピオンとしての振る舞いとか、器とか、そういうのは未着手だった。
    タイソンはそれについて師を責めることはしない。むしろ自身の生まれ育ちや母親の影響が大きかったと語る。
    更生の意思を持った時点での自伝だからなのだろうけど、アメリカ社会の志向を反映しているようにみえる。

    ヘビー級チャンピオンの華麗な人生(少なくともチャンピオンになるまで)について書かれたものではなく、依存症患者がろくでもない人生からの再起を志す物語というべきだろう。
    この本に期待されるのがそういうものかどうかは微妙であるが。

  • 史上最強のボクサー、マイクタイソン初めての自伝。20歳で最年少ヘビー級チャンピオンになり、栄光を掴むが、廻りの大人達に取りつかれたように集られ、アルコール、コカインで転落していく様を赤裸々に語られている。
    イベンターホリフィールドへの耳噛みつき事件の真相など読みごたえありの作品。この逆境から立ち直り復活をとげた彼に勇気を貰える一冊。

  • 2016/7/7

  • 木村政彦と同じ、チャンピオンになるまでが全身全霊をかけた全て。
    それ以降は、特に労せず勝ててしまえた。堕落の一途。後半は、ヤクとリハビリの繰り返し。

  • 29.12.30. タイソンはベストに強いボクサーだったと思ってる。タマフルオススメで購入。厚さの割には早く読めたと思う。
    タイソンという人物が内面ではとても弱く、それを自覚していることがとても強い事と思った。後記にはカスもまた搾取する面があったことを指摘されてて感心しました。

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