経済は「競争」では繁栄しない――信頼ホルモン「オキシトシン」が解き明かす愛と共感の神経経済学
- ダイヤモンド社 (2013年6月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478021620
作品紹介・あらすじ
経済を繁栄へと導くものは「天然資源」でも「勤労意欲」でもなく「信頼」だった!神経経済学を世界で初めて提唱した俊英が、信頼で経済が回るメカニズムを解き明かす!
感想・レビュー・書評
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サブタイトルにある「愛と共感の神経経済学」に惹かれ購入。社会や個人が幸福で繁栄の道をたどるのか、広い意味で貧しいままなのかを決めるのは、資源の有無や技術力、軍事力ではなく、互恵関係や信頼性だという。個人的経験に照らして考えても、不幸や出来事に見舞われている状況を見ると、それが映画であっても涙するし、一緒に成功を祝える仲間たちとは一生付き合いたいと思える。昨今求められるリーダー像もこう言った考え方に立脚しているものが多いのは、みな、薄々感じていたり求めていたりするからなのだろう。信頼性を構築するのに手っ取り早く実践できるのは、嬉しい時も悲しい時もハグ。フリーハグってなんじゃと思っていたけど、こういうことか。
ところで表紙はクリムトの「接吻」。本書のエッセンスを象徴しているんだろうけど、この男女は実は崖っぷちに立っている。これも象徴なのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
利己的な行動を取る人間が多くいる市場は、いずれ廃れてしまう。
一方、お互いを信頼し、向社会的行動を多く取る市場は繁栄する。なぜか?
ここで筆者は「善循環」という概念を提示して、この繁栄のメカニズムを説明している。
善循環とは、共感→道徳的行動→信頼→オキシトシンの分泌→共感とサイクルしていくメカニズムである。
人は他人に信頼されてると感じると、オキシトシンの分泌量が増える。
オキシトシンの分泌量が多いほど、より他人に共感するようになる。
より他人に共感するようになると、道徳的行動をとるようになる
道徳的行動をとることで、相手は自分を信頼する。
また、オキシトシンが分泌されることで、ストレス軽減の作用のあるセロトニン、行動を強化するドーパミンが分泌され、より道徳的行動を気持ちの良く感じることとなる。
この善循環が起きてる市場や社会では、人々は向社会的行動をとるので繁栄する。 -
素晴らしい
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資料ID:21802994
請求記号:331||Z
オキシトシンとテストステロン、それぞれ協力と競争を促進するホルモン。経済の発展と人々の幸せはホルモンが決める! -
信頼を示せば自分も信頼して貰える
共感 寛大さ 向社会 善循環
ソーシャルメディアで善循環
科学的に古代の社会の正しさが証明された
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机上だけでなく、体を張った実験がいい。
人文科学もオキシトシンに効果あるのね。
文学、芸術が好きでよかった。 -
思い立ったが吉日、大切な人にハグをしよう。夫婦であっても、なにを今更と思うだろうけど、こんなに良いこと尽くめなら、しない手はない。さぁ、今日愛しいあの人が帰ってきたら恥ずかしがらずに、おかえりとぎゅっと抱きしめてみよう。
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タイトルのうまさで技ありの本書、実証実験をとおして経済的繁栄のための異なるアプローチを模索する。「振り込め詐欺」が横行する現実社会に鑑みると理想主義的な視点だが、それは魅力的な理想像でもある。ところで「競争」がなければ我々が享受している革新的な技術はどれだけ具現化されていただろうか。
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オキシトシンって出産のときからお目にかかり過ぎて身近な名前だったから読んでみたら思い当たるところが多くて。産後、前とくらべて考え方や感じ方が大きく変わってるなと思うことが増えたのでいろいろと腑に落ち。経済のお話は3割くらいで、人(と動物)の行動とホルモンの関係についてが殆ど。