C. クリステンセン 経営論――ハーバード・ビジネス・レビュー・アンソロジー

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478021347

作品紹介・あらすじ

この二〇年間、破壊的イノベーションは次から次へと現れては狙い通りに標的を破壊していった。どうすれば健全に生き残ることができるのか。ハーバード・ビジネス・スクールの人気ナンバーワン教授クレイトン・M.クリステンセン教授、渾身のメッセージ。

感想・レビュー・書評

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  • イノベーションのジレンマを先に読んでいたので、その先の対策を一考していると期待して読みはじめる。結論は1つの確実といった解決策はなし。
    ただ、解決するための考え方がよくまとめられていた。
    読む順番やタイミングによってはあまり響かなかったと思うが、経営、事業開発のことを考えている時に読めば腑に落ちる内容がたくさんある。
    ---
    1章、イノベーションのジレンマ
    このタイトルの本を読んだ方が深く理解は出来る。
    ただ、要旨はしっかりとこれで振り返れた。

    2章、戦略再構築へのドライビング・フォース・マッピング
    p33.
    企業がせんら約の変更に苦しむ大きな理由は、「たいていの企業では、戦略的思考が経営上のコア・コンピタンス(中核能力)になていない」
    →経営幹部は繰り返し問題に取り組む中でみずからの経営能力を磨いていくが、戦略変更という任務はそうたびたび現れるものではない。戦略が動き始めれば、それを変更することなく使い続けたいと考える。結果として、経営陣は戦略的思考という能力を開発できない。
    優秀な経営陣は、年間の営業計画の作成、数値の算出は高い能力を持っている。それは毎年繰り返し行っている業務だからである。

    経営陣で検証していく方法
    第一段階
    会社の競争環境を左右する「推進力」を確認する
    1、推進力を洗い出すブレスト
    2、推進力のマッピング
    第二段階
    推進色に対処する戦略を策定する
    1、戦略に関するブレスト
    2、せんら約マトリックスを作成
    3、部門別の戦略をマッピング
    第三段階
    戦略実施プロジェクトのプランを策定する

    3章、イノベーションのジレンマへの挑戦
    p69
    組織能力を決める3つの要因
    1、経営資源
    2、プロセス
    3、価値基準
    上記3つの能力の重心はシフトする
    初期は要となる人材の影響力が大きい。
    その後、組織の能力が恒常的な業務のプロセスにシフトする。
    そしてビジネスモデルがはっきりした形を取り始め、最優先すべき業務が明確になると、価値基準が形成される

    p81
    変化への適応能力を創造する
    ・企業の内部に新たな組織構造をつくり、そこで新しいプロセスを開発する
    ・既存組織からスピンアウトし、独立組織をつくる
    ・直面する課題にふさわしいプロセスと価値基準とをあわせ持つ別の組織を買収する

    第4章 医療ビジネスのジレンマ
    既存勢力、法規制が破壊的イノベーションを阻む
    解決策
    1、治療者のスキルと疾患の難度を合致させるシステムをつくり、それを受け入れる
    2、ハイエンド市場の複雑な技術への投資を減らし、複雑な問題を単純化する技術への投資を増やす
    3、現状を破壊する新組織を創造する
    4、規制の保守性を克服する

    第5章 シフトする収益源を先読みする

    第6章 よい経営理論、悪い経営理論

    第7章 セグメンテーションという悪弊
    顧客自身ではなく、ジョブを理解せよ

    p212
    ブランドを破壊しないブランド展開
    ・強力なブランドの出発点
     1つのジョブのために、1つの商品を開発する

    方向性1 目的ブランドを作る
    →1つのジョブのために、様々な商品を開発する
    ソニー ウォークマン
    (カセット、CDプレーヤー、デジタル配信、、、)

    方向性2 複数のジョブのために、1つのブランドを開発する
    →目的ブランドをエンドーサー・ブランドへ進化させる
     新たな目的ブランドを開発する
    マリオット・インターナショナル
    ミルウォーキー・エレクトリック・ツール

    p213
    自動車業界に目的ブランドが少ない理由
    レンジローバー
    →どのような場所でも大丈夫
    ボルボ
    →安全性
    ポルシェ、BMW、メルセデス、ベントレー、ロールスロイス
    →願望的なジョブ
    トヨタ(エンドーサーブランド)
    →信頼性

    商品がどのようばジョブを遂行できるのかを消費者に伝える場合、その商品を選ぶべきではないはどのようなジョブであるのかも同時に伝える必要性がある

    p216
    コダック:目的ブランドによる破壊的戦略

    第8章 アグリーメント・マトリックス
    p226
    図表18コンセンサスを形成する4つの手法がわかりやすい
    1、権力的手法(第3象限)
    強権発動
    2、マネジメント的手法(第4象限)
    調整やプロセスに重点を置いた手法
    3、リーダーシップ的手法(第2象限)
    カリスマリーダー
    4、企業文化的手法(第1象限)
    一枚岩のコンセンサス
    現状を維持するためなら喜んで協力する

    p236
    環境に応じて、事業部を分割する

    第9章
    破壊的イノベーションで社会改革を実現する
    ・ヘルスケア分野
    1、最先端医療
    2、ウォークイン・クリニック
    3、低コストの医療保険
    ・教育分野
    1、eラーニング
    2、コミュニティ・カレッジ
    ・貧困層向け
    1、マイクロ・レンディング
    2、農村地区のクリニック
    3、設備投資

    10章
    財務分析がイノベーションを殺す

    11章
    ビジネスモデル・イノベーションの原則
    p308
    新しいブジネスモデルが必要とされる時
    既存企業は、軽はずみにビジネスモデル・イノベーションに取り組んではならない。たいていの場合、ビジネスモデルを抜本的に変えなくとも、新製品を開発し、競合他社を出し抜けるからである。
    P&G
    掃除用モップ(スィッツァー)、ファブリーズなど
    「破壊的な市場イノベーション」を展開しているが、既存のビジネスモデルと家庭用品市場における支配的な旅田の上に築かれたものである。
    以下の時にビジネスモデルの改革が必要
    1、既存ソリューションが高すぎる、複雑すぎる
    2、ipodなどのように、目新し技術を新しいビジネスモデルによって提供するチャンス既存技術を活用して、新しい市場に参入するチャンス
    3、解決すべきジョブという視点が存在しない分野にこの視点を持ち込むチャンス
    4、価格は会社に対抗する必要性
    5、競争基盤の展開に対応する必要性

    第12章 イノベーターのDNA
    p326
    もっとも創造性あふれるビジネスリーダーの特徴として、5つの発見力が明らかになった
    1、関連づける力
    2、質問力
    3、観察力
    4、実験力
    5、人脈力

    第13章 プロフェッショナル人生論
    p352
    ・自分の人生の戦略を生み出す
    ・自分の資源を正しく配分する
    ・文化を生み出す
    ・限界費用の罠にはまらない
    ・謙虚であることの大切さを忘れない
     トップレベルの大学院に入学するまでに得た学びはほぼすべて、自分より賢く、経験豊富な人々からのものである。卒業後に日々付き合う人たちの大部分は、自分たちより賢くないかもしれない。
    もしあなたが自分より賢い人からしか学ぶものがないという態度なら、学習の機会はひどく限られる。
    一般に、自分自身に本当に満足している場合のみ、人は謙虚になれる。そして、周囲の人たちも自分自身に満足できるよう、これを助けたいと思う。
    ・正しい物差しを選ぶ

    第14章 真実のM&A戦略
    第15章 破壊的イノベーションの時代を生き抜く

  • イノベーションのジレンマを読んで、理解したもしくは理解したつもりになっていたことが、不足もしくは誤解していたのがはっきりした。
    いわゆる、目から鱗という感じ・・・
    これでようやく出発点に立てたのかも知れない。
    今まさに破壊的イノベーションが必要とされているのだと思う。

  • イノベーションのジレンマの著者。イノベーションといえばクリステンセン。一気に論文を読み通せるので、理解しやすい本。

    ただ、第一章がイノベーションのジレンマでインパクトあるので、なかなか先が読み進めず、何度か借り直してようやく完読。

    論文で取り上げられている企業の事例その後衰退など状況の変化があるのは、仕方ないが、、、
    読み進んで行って、イノベーションといった考え方大事だが、こうすれば成功するという方程式ではなく、こうなるかもしれないのでこういう視点もいるぞ!といった感じで捉えるべきか。

    気づきとなった点。
    ・妥協の産物の意思決定、特に何をやってやらないかを明示できないケースは変化を生み出せない。
    ・マップ化し俯瞰する。細かな数字にしばられ正確を期すのに時間と労力がかかることや、仮説の説明に深刻な誤解が含まれるのを防げる。
    ・上にも書いたが、イノベーションでの成功方程式はない。でも、やらないと飲み込まれてしまう方程式がある。

  • すべて論文なので、一つのトピックで長い本を読むのに比べて、非常に濃密かつ頭に入りやすい良編集本。
    ライフ イノベーションが最も心に刺さる。

  • HBRに寄稿している全論文を収録されてある本
    イノベーションのジレンマは有名な論文ですが、その他の
    論文も読むことで、破壊的イノベーションの考え方と
    その対抗するための方策。または破壊的イノベーションと
    持続的イノベーションの双方の両立の仕方等が解説されています。
    若干、フレームワーク等の方法論に重きをおいていると思われる
    部分もありますが、それなりにためになる内容が多いと思います。
    文書としては、なかなか読みづらい部分もあり読了するまでに
    時間がかかります。
    面白かった論文
    第1章 イノベーションのジレンマ
    第3章 イノベーションのジレンマへの挑戦
    第5章 シフトする収益源を先読みする
    第7章 セグメンテーションという悪弊
    第8章 アグリーメントマトリックス
    第13章 プロフェッショナル人生論
    第15章 破壊的イノベーション時代を生き抜く

  • 顧客と技術の2軸に整理すれば、もっと簡潔に説明できるも思われる。

  • 第四章医療ビジネスのジレンマは参考になりました!

  • クリステンセンの論文集。

    目標に向けて調和の取れた戦略作成の三段階の方法論
    第一段階:会社の競争環境を左右する「推進力」を確認する。
    ・課題の根本原因を最も基本的なレベルで突き止めること。=「ドライビング・フォース」=経済、人口動態、テクノロジー、競合他社など
    1)「推進力」を洗い出すブレーンストーミング
    2)「推進力」のマッピング
    第二段階:「推進力」に対処する戦略を策定する。
    第三段階:戦略実施プロジェクトのプランを策定する。


    組織能力を決める三つの要因
    ①経営資源
    ②プロセス
    ③価値基準


    利益を生み出す力が将来どこにシフトしていくかの基本的原則
    「バリューチェーンのなかで各事業領域との相互依存性を高めたところが一番儲かる」

    6章 よい経営理論、悪い経営理論
    【理論構築プロセスの三段階】
    ①結果をもたらす原因を説明することの重要性(結果を導く特性を見つけ、それについて単に経験的に説明するのではない)
    ②理論家が暫定的な理解(仮説)から、信頼のおける予測へと移行するうえで有効な分類プロセス
    ③優れた理論を構築するために失敗から学ぶことの重要性

    7章 セブメンテーションという悪癖

    パーパス(目的)・ブランド=そのジョブにピッタリで、真っ先にりようされるべき商品

    8章 アグリーメント・マトリックス

    目的に関するコンセンサス × 実現手法に関するコンセンサス

    コラム:民主主義の押し付けが失敗する理由

    9章 破壊的イノベーションで社会改革を実現する

    「触媒的イノベーション」:数々の社会問題において、これまでとは異なるアプローチによって既存構造そのものを改革し、しかも波及効果が高く、かつ持続性にも優れているソリューションを生み出す組織への支援を強化すること。


    11章 ビジネスモデル・イノベーションの原則
    ①顧客価値の提供Customer Value Proposition
    ②利益方程式
    ③カギとなる経営資源
    ④カギとなるプロセス

    14章 真実のM&A戦略
    何を買収するつもりなのか

    ①顧客へのバリュー・プロポジション
    ②利益方程式
    ③経営資源
    ④業務プロセス

  • クリステンセン氏のHBR寄稿(1995~)記事のアンソロジー(ってタイトルにそう書いてあるな)
    イノベーションのジレンマ、解、DNAで詳述されている内容をダイジェストで切り出してくれているため手っ取り早く彼の研究を知るにはうってつけの一冊であるし、もっと言えばそれぞれぶつ切りで読むよりも一気読みしたほうがより理解が深まりやすいと本書を読んで思った。
    以下、重要と思われたポイントより内容抜粋

    ■ポイント
    業種を問わず、企業は、寿命のある事業部門が集まってできている。
    事業が技術と市場を前提としている限り、いずれ消えゆく運命にある。
    破壊的技術はこのような循環の一部、このサイクルを理解していれば、
    いずれ終焉を迎える既存事業と交代させることを踏まえた上で新規事業を創造できる。

    競争戦略を策定・実施していく中でマネージャーが直面する課題として面倒なものが2つ
    ・その戦略が経営陣の偏見あるいは無知を反映しないよう気をつけること
    ・有効な戦略の概要が決まったら、その戦略を正確に反映するように経営資源を配分するよう気をつけること

    インターフェースは産業の初期においては企業の垂直統合化を後押しする力となり、最終的には産業をコンポーネント単位に分業化させる力ともなる

    サブシステムをサプライヤーあるいはパートナーから調達することが可能かどうかは次の3つの要件を満たす必要がある
    1何を条件として指定するかを把握していること。つまり、外部調達しようとしているアイテムについて必要不可欠な特徴は何で、そうでないものは何かを知ること
    2条件に合致したサブシステムが納入されたかどうかを検証できるように、その特徴を測定及び評価できること
    3予想外の相互依存性が出てこないようにすること。つまり、サブシステムがシステムの他の部分とどのように作用しあうかを理解している必要がある。

    顧客に注目するのではなく、ジョブ(つまり用事)に注目する。

    イノベーションを促進または妨害するプロセス
    ステージ・ゲート方式…FS、開発、開始のように順を追って見込が高いものをふるいにかけながら進めていく。破壊的イノベーションはその成長特性から適さない
    DDP方式…Discovery driven planning ある程度確からしい数値を置ければ、後は最適なプロセスが何かの仮説を提示し取捨選択しながら進む

    創造性溢れるビジネスリーダーの5つの「発見力」discovery skill
    1関連付ける力associating
    2質問力questioning
    3観察力observing
    4実験力experimening
    5人脈力neworking

    人生で強い動機付けとなるのは、お金ではなく、学習し、責任の中で成長し、他者に貢献し、成果を認められる機会である

  • HBRを定期購読しているので、ほとんどの論文は時々で読んでいた。しかし、こうやって一連の論文を俯瞰すると、一貫して「破壊的イノベーション」の本質と、それに対して経営として取り組むべきこと、取り組んではいけないことが浮かび上がってくる。また、それとは別に13章で、人生論を述べるクリステンセンの人となりも心打たれるものがある。

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