君たちに伝えたい3つのこと―仕事と人生について 科学者からのメッセージ

著者 :
  • ダイヤモンド社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478012628

作品紹介・あらすじ

世界的に活躍する科学者が初めて書いた仕事・生き方論。

感想・レビュー・書評

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  • 何だか身につまされる話だったなぁ。
    ずっと臨床がやりたくて、その時は役に立っている感があって、研究の事は特に考えていなかった。
    読む本も患者さんとのやりとりや大変でもひたむきに頑張る臨床家の話だったり。
    中途半端になるよりは、臨床に全力でそれはそれで良かったと思う。
    本当に研究をやりたかったら何らかの行動を起こすはずだし、それをやった人だけが実績を残すのだと思う。

    全然研究ができない10年目もきついけど(役割的には教えないといけない立場だから)、この後の戦略をどうするかと考えるきっかけになったと思う。

    研究と臨床の両方できる人間を育てる、というのは、やっぱり研究を専門としている人には敵わなくて、ある程度のものになってしまうのかも。もうそうしたら臨床の一部だね。
    他職種とのコラボレーションで良い影響を起こす。
    教育の拠点となる。マネジメントをしっかりやる。

  • 自己啓発
    ビジネス

  • 若いうちにクリエイターをやってみる、という選択。自分にいいわけしないこと。

  • 研究者という目線から書かれてはいるけども、みんなにいえること。
    特に学生には読んでもらいたい1冊。

  • 内容は薄いのでサクッと読めます。内容が過激なので学会誌での連載がボツになったと書かれていますが、つまりは学会誌という学会の顔になる場で、浅慮なことが書かれ過ぎているのでボツになったんだと思います。他の方も指摘されている臨床医Disをはじめ、いろんな職や立場の人をルーチンワーカーだと言ってDisってます。例えば創造性が無いと筆者が指している「似顔絵を描く人」にもデフォルメの仕方において創造性が必要であること、クリエイターの代表として挙げている「研究者」も日常やっていることの大半がルーチンワークに毛の生えたようなものであること、等々考えると筆者の書き方にはもやっとする部分が多い。でも、クリエイターになりたいという著者と同じ思いを持ちつつ、その覚悟がハンパな方には響くと思うので、特に「1年くらい〇〇やってみたい」という思考を良くしてしまう人は薬として読むと良いかもしれません。

    <印象に残った部分にコメント>

    ・アメリカで人の研究手伝おうとしたら"It's not your job."と窘められた話。アメリカで全く同じこと言われたことあって印象に残ってるんだけど、逆に言えば、日本では It's your job なわけです。ラボ内で上級生が下を教育しないといけない場面は多々ある。そういう役割を監督ではなくコーチと呼び、そんな役割になるなと説いていますが、必要だからコーチの役割の人間が発生しているのが日本の研究社会の現状です。自分の仕事をしっかりすること、他人の仕事に手を出しすぎないこと、は非常に大事だと肝に銘じつつ、研究におけるアドバイスは、口頭なりブログなりで適切に後輩に伝えるよう心がけ、場合によってはかなり丁寧に面倒をみることで、ちゃんと人が育つ研究室になると思います。

    研究と社会のかかわり、高等教育環境などが変わりつつある中、既存の評価枠の中で個人的に最適化することだけを説いている筆者の戦略を皆がとると、日本の学術社会の行き詰りを招くのではないかと感じました。つまり、学術コミュニティに貢献する仕事をやる人が居なくなることで、持続可能な学術発展が阻害されるということです。

    ・本人は34歳で九州大学に教授として迎えられた優秀な方ですが、教授になったらそれはそれで雑用がたんまり降ってきて研究実働できないんじゃないか、1年2年を節約してそこまで生き急いで他のことを犠牲にする価値のある研究キャリアかは疑問があります。分野によるのかもしれません。

    ・You can't have everything. 著者はこれが一番言いたかったと書いています。これは大事。自分の仕事を何にするかということについて試行錯誤する限度を著者は25歳くらいだと言っています。ご本人が結婚していらっしゃるのか知りませんが、あなたが結婚など他のことにも価値を置くのならば、より一層研究における軸をしっかり一つに絞ることは重要になると思います。

    <というわけで>

    目標と戦略を持てとか、中途半端な覚悟で無駄な時間を過ごすなという点には同感であり、背筋を正される思いがしました。僕を含め、彼の主張に反感や違和感を覚える方はそれなりに多いと思いますが、それが「デキナイやつの僻み」にならないように彼とは違う目標と戦略をしっかり立てて生きろって話なのかと思います。

  • 臨床医を貶め過ぎな感は、正直尊敬できない。
    ただし、日本発の臨床論文に革新的なものが無いのは、同意できる。
    後半の研究ノートやプレゼンに関する内容は参考になった。

  • 結果=才能×努力
    一日は万人に平等な24時間しかない。

    大きな家を建てるには積み木(知識)と積み方(ロジック)が両方必要

  • この本は、医師が6年間の大学生活を終え、国家試験に合格した後に進路をどう選ぶべきか、という内容が中心になっています。
     
    最もいいたいことは、研究するなら臨床には進まず、直ちに研究生活に入りなさい、ということです。
     
     他の学部に比べてすでに出遅れていることや、臨床と研究の二足のわらじは両立できるものではないこと、やる気に溢れているうちにいくべきであること、などを強調されています。

     読んでみて思ったことは、医学部に入った人は、臨床の医師になりたくて入った人がほとんどでしょう。
     
     その中で、基礎研究に興味を持ち、実際に研究者になることはかなりハードルが高そうです。
     
     その天秤は初めからかなり傾いており、病院実習と平行して、授業としてではなく基礎実験の最前線で本当はどんなことまでやっているのか、自分たちにできる可能性はどういうものか、何が面白いのか、といったところに取り組まないと、初めから研究がしたくて医学部に来たごく一部の人が興味を持ち、さらにそのごく一部が研究に進むと言った現状は変わらないでしょうね。

     ただ、筆者の言っていることは非常に本質をついたことであり、医学部という非常に優秀な頭脳の持ち主の集団のほとんどが、臨床医というルーチンワーカーになるのは、大きな視野から見るとかなりの損失になっていると言えるでしょう。

     筆者の主張している内容が、医学生の自主性にまかすのではなく、制度やシステムとした形になったときに理想へと進み出すのでしょうか。


    先ほどの紹介文は、生意気な書評になってしまっていたのではないでしょうか。

    そこは反省して、実はこの本にはもうひとつの、科学者の仕事術、という側面もあり、とても参考になる文章にあふれていますので、会わせて紹介します。

    筆者も述べていますが、研究者のみならず、ビジネスマン・ウーマンにも共感できると思いますし、自分の身に置き換えてもらえればいいのではないでしょうか。


    「とにかく実験の”美しさ”と科学的センスは大変よく相関すると思っています。サイエンスはアートなんです。」P155


    「手技以前にどのくらいミスやブレを無くすことができるかを徹底的に考えるのが大切で、そこには抜群の想像力が要求されます。(中略)人間には誰でも必ずミスがありますが、100回に1回のミスを1000回に1回に減らす工夫をするのです。」
    P161


    「まず、実験ノートは論文と同じように書きましょう。1:タイトル、2:日付、3:実験目的、4:材料・方法、5:実際に行った手技、6:結果、7:考察。(中略)。大切だけど意外に難しいのは、1:タイトルと、3:実験目的ですね。(中略)。実際に行った手技は、どんな小さなことでも記録します。」P164


    「学会、セミナーでは「良い質問」を投げる。」P170


    「あなたが「やる気のある人である」ということを伝えるための、コミュニケーションをすればいいのです。」P186


    「研究能力や努力を示す、ということがアピールで、それ以外のことでよく思われようとすることが媚びることです。」P188


    「教授になって10年以上経った今でも,昔の上司から「明日までにスライドを準備してほしい」なんて言われることもありますよ。」P192


    上司には礼儀正しくプレッシャーをかける
    「ボスが論文を見てくれないのは、自分の努力が足りないのです。(中略)。同様に大切なのは「どのくらい自分がこの論文に真剣に取り組んでいるか」をボスにアピールすることなのです。」
    「「必ず翌日に」「質の高いものを」持って行くことがボスにとってプレッシャーになるのです。」P196,197

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著者プロフィール

1953年(昭和28年)滋賀県彦根市生まれ。
現在、滋賀県立大津高等学校教諭。

「2012年 『ええほん滋賀の方言手控え帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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