現代語訳 経営論語―渋沢流・仕事と生き方

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478011959

感想・レビュー・書評

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  • 人間は晩年が晴れ晴れ立派でないと、つまらない人生になってしまう

    若い時は活躍しつつ、年老いても落ちぶれちゃダメってことね

  • 論語を実業に生かすことが可能だということを、身をもって証明した渋沢栄一が、自身の価値観を存分に開示しながら論語を解説。実践に基づいた渋沢の解説は非常にわかりやすく、説得力がある。またその解説の中で頻繁に出てくる明治の偉人たちとの交流のエピソードによって、偉人たちが身近に感じられるという付加価値もついており、極めて贅沢な書だとため息が出てくる。

  • 論語講義がベースになっている。
    幕末、明治維新の歴史上の偉人が著者の知り合いとして引用されている。歴史がリアルに感じる。偉業を成就させてきた著者の解釈には、説得力がある。説教くさいところがなく、読みやすい。

  • 渋沢栄一の手記をわかりやすく現代語に訳しており、原本に比べてかなり読みやすかったです。孔子の論語などを基準に実直に生きたその半生や考え方は非常にこころに残るものがあります。そういった生き方・考え方だけでなく、当時の時代背景や大物政治家とのやりとりなど、歴史マニアにはたまらない話も載っていて最後まで楽しく読めました。

  • TOPPOINT 2011年2月号より。


    渋沢栄一氏、「論語」の教えを説く。

  • 幕末から明治維新時代に活躍した日本の実業界の父、渋沢栄一氏による論語解説書。

    渋沢栄一氏が、明治初期の官僚を辞して実業家になるにあたって拠り所としたのが論語であり、彼が、その論語をどのように解釈し、どのように実業に置き換えていたかを知ることができる。

    それまで論語は、知識として、学問として捉えられる側面が強く、あまり実業と結び付いて解釈されることはなかったらしいが、現在では、多くの経営者が論語をバイブルとしている。その魁となったのが、渋沢栄一氏なのだろう。

    渋沢氏といえば、製造、物流、金融、保険などそれまでの日本にはなかった株式会社という概念を取り入れて様々な会社を起こし、産業を活性化していった。明治という激動の時代の中、政治や官僚システムとは違った次元で、日本の礎を作り上げた功績は計り知れない。

    文章全体を通じてにじみ出てくる氏の印象は、極めて温厚で、穏やかな人柄、という点に尽きが、その一方で、残した業績からは、バイタリティの塊のような行動力も伺い知れる。

    また文中、岩倉、大隈、西郷、土方等々の幕末、維新の志士達の性質を切れ味鋭く分析しているくだりでは、氏の眼を通して、歴史の違った側面を垣間見ることが出来る面白さもあった。

    渋沢栄一氏は、孔子を偉大な凡人と評している。非凡人とは、ある一点において優れているが、一方で何か違う点において欠点があるものだか、孔子は、そうした点がなかった。なににつけても、欠点のない人物。ゆえに、偉大な凡人。

    渋沢氏もそれを志し、この時代には偉大な凡人との評価を得たのではないかと思う。

    かくいう私も、かねてより「プロのジェネラリスト」なるものを志し、特筆するものはなくても、全てにおいて本質を理解する力を身につけたいと思ってきた。

    並列で語れるわけもなく、もちろん「偉大」ではないが、すこしでも、彼らに近づけるよう、精進し続けたいものだ。

  •  楽しく読める論語の本。
     明治期の企業家、澁澤榮一が、自身の行動の規範とした「論語」を解説している。
     論語の徳とビジネスの利を合わせた解説も面白いが、明治維新前後から活躍した人物だけあって、伊藤博文、西郷隆盛、井上馨、三条実美をはじめとする維新期に活躍した人物について談話がリアルで興味深い。
     「伊藤(博文)公は、何事においても常に自分が一番偉いと思っていた」「明治維新の英傑の中で、偽り飾ることのなかったのは、やはり西郷隆盛公である」などやはり同じ時代を生きた人のコメントには重みがある。

  • 種々の宗教から論じても、学理から論じても、結局、真理は真理に到達する。「論語」が今日なお尊重されるのは、まったく真理にかなっているのが唯一の原因である。

    長く受け継がれているものは、なんであれモノの本質を突いており、真理であるがゆえ。

    p9
    孔子はすべてがみな円満に発達し、すべてが非凡であるとともに、すべてが平凡である。
    p31
    秀吉の晩年が振るわなかったのにはいろいろな原因があるだろうが、才智のある人物のみを偏重して、部下の人配置の方法などに当を得ず、機略のみ秀でて、経略に乏しかったため。
    p53
    人間というのは不思議なもので、こちらから誠心誠意をもってすれば、不思議に先方もまた誠心誠意を持ってくれるようになるものである。佐藤一斉先生は、人と初めて会ったときに得た印象によってその人を判断すのが、もっとも間違いのない人物観察法であるという。
    p89
    知っていることだけを知るというのが、智者のみならずスbての人のとるべき最善の方法である。このようにして人と接すれば、とても簡単に人との付き合いもできるはずである。
    p108
    不同意であると明言しにくい相手から同意を求められた場合、私は黙して答えずといったような調子で賛否いずれの返答もしないことに決めている。
    p132
    今朝になって機能の出来事を振り返ってみると、不思議と忘れていないものである。記憶法などについて研究するよりも、曽子の三省を実行する方が、よほど記憶力を高めると思うのである。
    p135
    勇気だけでなく、礼にしても過剰になるとかえってへつらうことになる。何事につけ過不足ないようにするためには、修練が必要なのである。
    p160
    芸に遊ぶ余裕
    子曰く、道に志し、徳に拠り、仁に依り、芸に遊ぶ。
    p183
    人の一生にとって晩年ほど大事なものはない。
    p213
    買って利益を受けてものがあれば、売ったものは買い手が儲けた額だけ損をする。つまり、投機は商売ではないのである。
    p228
    中庸の「中」は過不足のないこと。「庸」は平常であること。
    p234
    子が孝行をするのではない、親が孝行をさせるようにしてやるべきだ

  • ■マインド
    1.争いは世のなかに必要である。国家も個人も、的と争って必ず勝つという気概がなけrば進歩しない。
    2.事業に関与する時は、まず道理を考え、利潤は第二に考えるべきである。そうしなければ、利潤は上がらないが社会に必要、という事業は発展しなくなる。

  • 渋沢栄一による事業経営の基本的な思想を述べた書籍。明治時代の資本主義と儒教的思想をマッチさせ、本日の日本繁栄の基礎作りをした偉人の言動が数多くのエピソードを交えながら記述されている。読んでいて多くの示唆と勇気を与えてくれる。渋沢翁の説教を擬似的に受けることができる書籍の一つであり、まだ渋沢の書を読んでいない方にはお薦めの本である。

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著者プロフィール

渋沢栄一:1840(天保11)年2月13日、現在の埼玉県深谷市血洗島の豪農に生まれる。幕末はのちの将軍・徳川慶喜に仕え、家政の改善などに実力を発揮し、次第に認められる。 27歳のとき、慶喜の実弟・昭武に随行し、パリの万国博覧会を見学するほか、欧州諸国の実情を見聞し、先進諸国の社会の内情に広く通ずることとなった。帰国後は「商法会所」を静岡に設立。その後、明治政府に招かれ、のちの大蔵省の一員として国づくりに深くかかわる。1873(明治6)年に大蔵省を辞した後は一民間経済人として活動。第一国立銀行の総監役(後に頭取)として、同行を拠点に、株式会社組織による企業の創設・育成に力を入れた。また、「論語と算盤」として知られる「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業にかかわった。さらに、約600の教育機関・社会公共事業の支援や民間外交に尽力。実業家のなかでは最高位となる子爵を授爵する。1931(昭和6)年11月11日、多くの人々に惜しまれながら、91歳の生涯を閉じた。

「2024年 『渋沢栄一 運命を切り拓く言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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