新日鉄VSミタル

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478002650

感想・レビュー・書評

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  • 日本製鉄はアルセロール・ミタルと米国に電炉を新設する方針を表明。インドでも共同で製鉄所を傘下に。高炉2基を新設。前者は2020年、後者は2022年の話。本著が書かれた2007年、ミタルの鉄鋼業買収劇から15年、役者を少し変え、物語は続いている。

    ミタルはアルセロールを株式交換で買収。株式交換とは、買収先の企業の株を現金で買い取るのではなく、自社の株に交換すると言う手法。この仕組みは時価総額が大きければ大きいほど有利な条件で買収が可能になる。ミタルは先に2005年アメリカの鉄鋼メーカーISGをこの株式交換で買収することに成功している。アルセロールは先に提携関係のあった新日鉄に協力を求めたかった。しかしミタルの動きが早すぎた。また新日鉄にはそこまでの考えはなかった。

    日本でも2007年5月三角合併が解禁。外国企業が日本企業買収する際これまでは現金での買収しか認められなかったが、法律の制定により外国の親会社の株式を使った株式交換でも買収が可能になる。日本への直接投資を増やしたい欧米の強い働きかけがあった。これに対して新日鉄は住友金属や神戸製鋼との株式の持ち合いをさらに拡大。

    買収を防衛する側、拡大する側の攻防。少し古いが、何の気なしに眺めていた当時の記事の真相を知れる事は面白い。

  • 地元の図書館で読む。図書館に行く前に、コメダ喫茶で、コーヒーを飲む。非常に読みやすい文章です。ただし、不満がないわけではありません。NHK発の優れたノンフィクションは、個人によるものです。それに対して、この作品は、数多くの書き手が存在します。そうなると、重複も存在します。やはり、本にするならば、個人の責任で書くべきです。

  • 製鉄業界の様子がかっこよく描かれている。

  • いま、世界のビジネス界で業界再編という名の企業買収が進んでいる。

    世界中の企業を買収を重ねて大きくなっていくインド発祥のミタルスチール。

    次なる買収の標的は、技術力で世界トップといわれており、日本においては業界トップの新日本製鉄㈱。


    鉄鋼業界人でない人も海外企業からの買収の買収劇の概要を知れる書として読めると思います。

  • NHKさん様々です。データが充実していて説得力があって非常に面白いです。
    ミタルの脅威の説明から踏まえて、新日鉄がいかに対抗しているかが書かれている。

    印象に残っている三箇所。
    1、アルセロールを買収したミタルが鉄鋼業界を寡占しようとしている点。鉄鋼生産量(t)の比較だと明確にわかる。1位のアルセロール・ミタルが1億970万に対し、2位の新日鉄が3200万と大きく開いている。ミタルが新日鉄を欲しがるのはわからないでもないが、鉄鋼業界の秩序のため、新日鉄にはミタルの傘下に入って欲しくないと思う。
    2、売上高に占める研究開発費の割合で新日鉄が1.5%と他の会社に対し、2倍、3倍も研究開発費の割合が高い点。研究に携わる人間として、この点が新日鉄が新日鉄たりえた由縁なのだと感じる。
    3、ミタル氏がインドの生家で親族に残した一言。「ビル・ゲイツを超える・・・。」大金持ちを目指すということか、慈善事業に走るということか、その真意はわからないと書かれていたが、この一言は自分にとって衝撃の一言であった。なぜなら、その一言には絶えず上に昇るという意思とビジネスの世界で冷酷に徹する決意を示した一言なのだろうと察するからだ。

  • NHKスペシャルのリライト本。アセロールを買収、世界一の鉄鋼メーカーを作ったミタルと新日鉄の幹部へスポットを当て、アセロール買収の直後あたりの様子を切り取った。テレビ番組の軽やかさを残しつつ、若干踏み込んだ書き込みも。軽く読める。撮影の苦労譚をも期待したが、さほど舞台裏は記述無し。シンプルなドキュメント本。

  • テレビも見たが、書籍ではより一層詳しい背景と緊迫した流れが感じられた。手に汗握る企業本として出色。

  • 2007年に放送されたドキュメンタリー、新日鉄vsミタルスチールの書籍化。ミタルスチールのアルセロール買収の背景には、PR会社、ヘッジファンド、投資銀行(GS)があったという、TV未放映部分も含む非常に興味深い内容。

  • 大買収の時代がやってきた!!
    ミタルは村上さんに顔が似てるよね?

  • [○2008/02/23完読](高炉というものに不思議とロマンを感じる。確かに高炉の佇まいも巨大プラントと同じく文明社会の異様な雰囲気が醸し出されている。もし自分が高炉建設にかかわれるとなったらそれはそれは高揚するでしょう。新日鉄とアルセロール・ミタルの新協定が切れる2011年以降の動きもウォッチしたい。資本主義、企業価値、会社はだれのものか?等を具体的な事例をもって考えさせられるドキュメンタリ本だと思う。エピローグがすばらしい。三角合併解禁。数百年のスパンで考えた時、日本企業が外資に買収されるというのはどうなんでしょうか?結局、国境はあれど(別国家)、資本は外から流入している、そんな状況を想像するとやられてる感がありますが。そして会社がヘッジファンドのために存在しているように感じる社会もナンセンスだと思う。TV版もみましたが、三村社長の姿はかっちょよい。最後に、この本を読んで、鉄"と世界の歴史について思いを馳せるのもよいかもしれません。

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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