イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集 5)

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478000649

作品紹介・あらすじ

本書は、一九八五年、著者七五歳のときの著作である。イノベーションと企業家精神が誰でも学び実行することができるものであることを明らかにした世界最初の方法論である。

感想・レビュー・書評

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  •  ドラッカーのイノベーション論の集大成として知られる本書は1985年に出版されたものだが、30年以上経ってから読んでも学ぶべきところが多い。クレイトン・クリステンセンの「破壊的イノベーション論」、ジェフリー・ムーアの「キャズム理論」もその原型となる考え方は本書で既に述べられている。
     名著と謳われ、既に古典となりつつある本書ではあるが、第1部「イノベーションの方法」に論じられている「イノベーションの7つの機会」については、いまだに重要性を認識していない企業が多いのではないだろうか。7つの機会のうち誰もが注目する「新しい知識の出現」についてはドラッカーは最もリスクが高いと指摘し、誰もが見過ごしがちな「予期せぬこと」を積極的に活用せよと説く。もし、ドラッカーの指摘を忠実に実践していれば、苦境に陥らずに済んだ企業も多かったに違いない。
     第2、3部で論じられている「企業家精神」、「企業家戦略」にも現代の経営理論の原点となった考え方が散りばめられており、経営理論に精通した人にとっても、初学者にとっても有益だろう。
     昨今のイノベーションブーム(?)の影響を受けたせいか、2015年に本書のエッセンシャル版も出版されている。こちらは内容を確認していないが、本書よりもページ数がやや少ない程度のようなので、個人的には本書の方をお勧めしたい。

  • 1985年初版。イノベーションとは何か?というところから始まって、イノベーションを起こしうる7つの機会、「予期せぬ成功と失敗(=すでに起こった未来)」「ギャップ」「ニーズ」「産業構造の変化」「人口構造の変化」「認識の変化」「新しい知識」について、これらの機会をいかにイノベーションに結びつけるかということを解説しています。イノベーションを創造するにはどうしたらよいか?を最初に解説した本と思ってください。歴史的には、この本の後に、クリステンセンの「破壊的イノベーション」やキム&モボルニュの「ブルーオーシャン」が出てくるのです。

  • (K) シュンペーターは創造的破壊と呼び、ドラッカーがイノベーションと呼んでいる新しいことを創造するプロセスについてまとめた本。イノベーションというと、「当たるも八卦当たらぬも八卦」という博打的な要素が濃いと思いがちであるが、ドラッカーはイノベーションはコントロールできると言い切っている。そのために、何に目をつければ良いのか、どこにイノベーションの芽が隠れているのかを洞察した内容。「予期せぬ成功と失敗」にイノベーションの芽が隠れているらしいが、言われてみれば特に予期せぬ成功はほとんど分析されていないということに気が付く。そういう意味では、我々の組織にはイノベーションを創造する文化が埋め込まれていないのではないかと感じる。
     発展途上国が急速に力をつけ、我々をキャッチアップしている現在、我々先進国がやるべきことはイノベーション以外になくなってきている。その危機意識が不足しているというのも恐ろしい事実である。その危機を我々一人ひとりがもっと実感し、何をしなければならないのかを語り合い、そして行動を起こしていくことが重要である。本書はそのディスカッションのきっかけを与えてくれるはずである。
     でも、正直言えばなかなか頭に残りにくい本だった。ドラッカー独特の言い回しが文章の意味を広げすぎていてわかりにくくさせているという部分もあるが、何よりも読み手のレベルが追いついていないというのが大きな問題だと感じた。数年後に改めて読み直してみると、別の発見があるのかもしれない。

  • ドラッカーの比較的新しい著作、といっても1985年刊行。原題は『Innovation and Entrepreneurship』とそのままです。

    有名なイノベーションの7つの機会について具体的なケースを散りばめて説明されています。

    1.予期せぬ成功と失敗
    2.ギャップの存在 (業績、認識、価値観、プロセス)
    3.ニーズの存在 (プロセス、労働力、知識)
    4.産業構造の変化
    5.人口構造の変化
    6.認識の変化
    7.新しい知識の出現

    そしてこれらの機会を捉えて分析し、知覚し、意思決定して、具体的に行動しなくてはならないと説いてます。本書では、そのための体系的な理論がまとめあげられています。読み物としても一級品ですし、各コトバに抜群の説得力があります。

    「イノベーションの機会がすでに存在する分野において、資源の最適化にとどまることほどリスクの大きなことはない」
    イノベーション(=変化)をよしとする企業家精神はベンチャだけでなく、現在では特に既存の企業にこそ必要ということになります。これからも何度か振り返ってみたい本です。

    やっぱり星5つ。

  • ドラッカー名著集〈5〉

  • ドラッカーの著作の中で、経営者の条件の次に好きな本である。
    予期せぬ成功に注目するが好きである。
    リスクを適正に管理することが書いてある。
    この本を読んで、そもそもリスクとは不確実性のことであり、リターンの源泉になることも学んだ。

  • 成熟市場においてイノベーションは易しくない。自前主義から脱却して異分野とのシナジーが必要。しかし、それを自ら知識として獲得し、活用し、実現しようとする企業家マインドをもっている人は少ない。

  • 東2法経図・6F指定:335A/D92d/Takeishi

  • 変化の激しい時代になり、ドラッカーが挙げていたイノベーションの機会には溢れている。今はその一歩先、機会を捉えた上で、実現させる力の方が求められている。

  • 原著は1985年の本なれど、まこと27年前の本とは思えぬ新鮮さがある。最終章の「企業家社会」の章では、福祉国家の終焉を告げている。それから27年、いまだ多くの日本人が福祉国家の幻想に囚われている。

    ドラッカーが述べているとおり、福祉国家、つまり、年金や補助金のような仕組みはもはや持続不可能であり、これらに頼らずとも人々が幸せに生活できる社会の構築が必要である。そのために必要なのが、本著のタイトル『イノベーションと企業家精神』に他ならないのではないだろうか?

    <目次>
    まえがき
    第?部 イノベーションの方法
    第1章 イノベーションと企業家精神
    第2章 イノベーションのための七つの機会
    第3章 第一の機会 予期せぬ成功と失敗を利用する
    第4章 第二の機会 ギャップを探す
    第5章 第三の機会 ニーズを見つける
    第6章 第四の機会 産業構造の変化を知る
    第7章 第五の機会 人口構造の変化に着目する
    第8章 第六の機会 認識の変化をとらえる
    第9章 第七の機会 新しい知識を活用する
    第10章 アイデアによるイノベーション
    第11章 イノベーションの原理
     イノベーションの三つの「べからず」
     イノベーションを成功させる三つの条件

    第?部 企業家精神
    第12章 企業家としてのマネジメント
    第13章 既存企業における企業家精神
    第14章 公的機関における企業家精神
    第15章 ベンチャーのマネジメント

    第?部 企業家戦略
    第16章 総力戦略
    第17章 ゲリラ戦略
    第18章 ニッチ戦略
    第19章 顧客想像戦略
    終章 企業化社会

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