でんでんむしのかなしみ

著者 :
  • 大日本図書
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本棚登録 : 649
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (29ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784477010236

作品紹介・あらすじ

皇后さまの心に「何度となく、思いがけない時に記憶によみがえって」きた『でんでんむしのかなしみ』を初め、心にしみる南吉童話の世界。

感想・レビュー・書評

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  • 同じようなことがありました。
    自分の抱えているもの、心を許す人に一寸話したら、実は彼女もいろいろあって、それを話してくれ、お互いにそれで少しは救われた。よし、がんばろう、と思えたんです。
    誰かに話そうも、結局、選択や立ち上がるのは自分自身ですが。問いかけなければ自分だけだと思い込んでしまう。かなしみは自分だけではない、誰ももっている。
    「わたしは わたしの かなしみを こらえて いかなきゃ ならない」
    五つお話があって、この「でんでんむしのかなしみ」は、ほんの6頁の短いお話。
    美智子さまが愛読されている絵本とのこと。
    まだ小さい孫のクリスマスプレゼントにポチしたのですが、深すぎました(まだうちには早い感じです)。

    メリークリスマス!

  • でんでんむしの背中にはかなしみがいっぱい。友達のでんでんむしに相談するが、みんなかなしみを抱えていて、一人も悩んでいる人はいない。
    子供心に人が背負うもの、考え方の違いなど教えていくのに最適な本。
    大人になってなんとなく理解しているものも、子供に純粋に質問されてしどろもどろになりそう。

    読んであげたい!

  • 新美南吉記念館に訪れて知った一冊。

    「あなたばかりじゃありません。わたしのせなかにも、かなしみはいっぱいです。」

    そして、このでんでんむしはもう、なげくのをやめたのであります。


    私も胸に刻みたい一編でした。

  • 1930年代に書かれた作品が5編おさめられた本です。ドキドキワクワク感のある絵本ではありませんが、心に静かに入ってくるような内容です。上皇后美智子さまが、この絵本の思い出を語られたこともあります。

    (ストーリー)
    ある日、一匹のでんでん虫は、自分の抱えている悲しみについて、思い悩みます。友達のでんでん虫に、「もう生きていられない」と嘆くと、友達は「あなただけではありません。私も悲しみを抱えています」と答えます。何人もの友達をたずねて行くと、先々で、皆が同じように答えます。
    そこで、悩んでいたでんでん虫は気づくのです。

    悲しみは誰でも持っている
    私だけじゃないんだ

    そして、
    「私は私の悲しみを生きていかなくちゃ」と決意するのでした。
    ――――――――――――――――――――――――

    大きな苦しみと向き合う時、「なぜ私だけ・・・」という孤独感は、乗り越えようとする力を奪います。
    でも、実は他の人も、その人なりの悲しみと共に生きていると気づく時、勇気がわいてくる気がします。
    私の、あなたの、その苦しみも、誰かの共感、誰かの力に、つながるかもしれません。
    Cameron

  • いつだったか思い出せないけれど、奥付を見ると1998年とある。
    友人から誕生日のプレゼントのリクエストを聞かれて、美智子皇后の『橋をかける』と答えた。当時、美智子皇后の国際児童評議会の基調講演はたいそう話題になっていた(と思う)。それをまとめた本が『橋をかける』だった。
    その中に『でんでんむしのかなしみ』が出てくる。
    「生きていくということは、楽なことではないのだという、何とはない不安を感じることもありました」と書かれている。
    当時の私は、美智子皇后の言葉に共感できなかった。

    それから20余年経った先日、ある日突然、外出自粛で家にいるときにYOUTUBEで、『でんでんむし~』の朗読が流れてきた。
    でんでんむしの背中の殻いっぱいに詰まった「悲しみ」。
    それに気づいたでんでんむしは友だちに尋ね歩く。
    ところが友だちもみな、
    「自分の殻にも悲しみがいっぱい詰まっている。あなただけではありません」
    と言う。
    悲しいのは自分だけじゃないと気づいたとき、
    「このでんでんむしは もう、なげくのを やめたので あります。」
    このそっけなく思えるほどの言い切りがいい。

    『橋をかける』を読んだとき、幼い頃確かに『でんでんむし~』を読んでいたはずなのに、悲しみは自分だけのものだと感じていた。『でんでんむし~』を読んだときも、『橋をかける』を読んだときも、かたくなに悲しいのは自分だけだと思い詰めていた。

    みんな悲しみを抱えて生きている。
    悲しくない人なんていない。

    このことに気づくには、20余年の歳月が必要だった。

  • 一年詩集の序
    でんでんむしの かなしみ
    里の春、山の春
    木の祭り
    でんでんむし
    作品について

  • 目次
    ・でんでんむしのかなしみ
    ・里の春、山の春
    ・木の祭り
    ・赤いろうそく

    私が借りた本は古くて、ネット上で書影を見つけることができず、出版社も今年3月で事業を終了してしまったので、別の出版社の紹介文を借りています。

    子どもに媚びていない力強い筆遣いは、もしかしたら最近の子どもには受け入れられないのかもしれません。
    しみじみと、ではなく、激しく描かれる悲しみは、でんでんむしの深い絶望を突きつけてきます。

    だからこそ最後にでんでんむしが悟る「かなしみはだれでももっているのだ。わたしばかりではないのだ。わたしはわたしのかなしみをこらえていかなきゃならない」が生きてくるのだと思います。

    ちいさな子どもには難しいかな。
    でも、心で絵本を感じられる小さなころって、意外に難しいこともすっと理解できていたりもするんだよね。
    だから子どもに媚びず、大人の本気の絵本を作ってほしいと思っています。
    そして読み手は、「かなしみだけじゃなくて、うれしいこともたのしいこともからの中に入っているよね、きっと」などと話してみたりして欲しいと思います。

    他の収録作は文章だけですが、目に浮かぶような描写が多くて、実体験数が圧倒的に少ない子どもにこそ、このように視覚に訴えるような文章の絵本をたくさん読んであげてほしいと思いました。

  • そんなにかなしみばかりじゃ悲しいよ。

  • 大人絵本

  • たぶん読書体験の原点にある本。うれしいとき、かなしいとき、一歩を踏み出すとき、立ち止まって考えるとき、きっとこの本に戻ってくる気がする。本当に大切なことなんて、そんなにたくさんはないけれど、この本との出会いはとても幸運だったと思う。

    【いちぶん】
    アナタバカリジャアリマセン。ワタシノセナカニモカナシミガイッパイデス。

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著者プロフィール

1913年、愛知県知多郡半田町(現・半田市)に生まれる。中学時代から童話を書き始め、『赤い鳥』『チチノキ』などに投稿。東京外国語学校在学中に病を得、20代後半の5年間は安城高等女学校(現・県立安城高等学校)で教師をしながら創作活動を続けた。1943年、29歳の生涯を終える。代表作に「ごんぎつね」「おじいさんのランプ」「手袋を買いに」「でんでんむしの悲しみ」を始めとして、多くの童話・小説・詩などの作品を残す。

「2019年 『子どものすきな神さま』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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