あいたくて (小さい詩集)

著者 :
  • 大日本図書
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本棚登録 : 141
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (119ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784477000701

作品紹介・あらすじ

だれかにあいたくて、なにかにあいたくて、今日も手をのばしている—――あなたの心にふれたい「すき」の気持ちでいっぱいの詩集。

感想・レビュー・書評

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  • 工藤直子さんの詩と佐野洋子さんの絵。
    表題の「あいたくて」で、がっちりつかまれた。
    “わたしも、そう思っているよ”と、詩に向かって話しかけそうになった。

    【じぶんにあう】【ひとにあう】【風景にあう】【猫にあう】の四章からなる詩集。

    他に今回気になった詩は『生きちゃったイ』

    『生きちゃったイ』

    地球が ほれぼれと 太陽を めぐって
    月が ほれぼれと 地球を めぐって
    ―――いるように思える ある日あの時は

    太陽を うでに抱いた銀河が
    宇宙の田舎で はなうたうたって散歩して
    ―――いるように思える ある日あの時は

    あなたが一瞬この世にあらわれた その一瞬に
    わたしの ほんのチビっとの一瞬を 重ねちゃったイ!
    ―――って思える ある日あの時なのだ

    それがコタエられなくて
    きょうも生きちゃったイ

    ☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡

    • 5552さん
      猫丸さん

      私みたいな、出来の悪すぎる姉も下のきょうだいに苦労させますが、出来の良すぎるお姉様も大変そうですね。
      長子なので、上にきょ...
      猫丸さん

      私みたいな、出来の悪すぎる姉も下のきょうだいに苦労させますが、出来の良すぎるお姉様も大変そうですね。
      長子なので、上にきょうだいがいる、ということはどういうことなのか、本当には理解できてないと思いますが、小説とかで何となく分かったつもりでいます。
      弟がいるのですが、反面教師にはなれたな、と、自負しております 苦笑。
      2022/05/16
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      5552さん
      姉のコトを思い出して息苦しくなっていました。
      5552さんは弟さんに優しそうな気がします。猫は前世か何所かで怨みを買うような...
      5552さん
      姉のコトを思い出して息苦しくなっていました。
      5552さんは弟さんに優しそうな気がします。猫は前世か何所かで怨みを買うようなコトを、、、

      決してイジメられる子が、そう言うコトがあるとは思っていませんが
      2022/05/19
    • 5552さん
      猫丸さん

      お辛いですね。

      私は完璧とは程遠い人間なので、弟自身も、姉のようになってはダメだ、と奮起して生きているような気がします...
      猫丸さん

      お辛いですね。

      私は完璧とは程遠い人間なので、弟自身も、姉のようになってはダメだ、と奮起して生きているような気がします。
      私も、弟に迷惑かけないように生きなきゃな、と思っています。
      2022/05/19
  • 心を穏やかにしてくれる優しい詩集。

    心地良く沁みてくる。

    あいたくての中には、4つ。
    じぶんにあう
    ひとにあう
    風景にあう
    猫にあう

    「痛い」
    すきになる ということは
    心を ちぎってあげるのか
    だから こんなに痛いのか

    これは、短いのに凄く伝わってくる。

    「こころのなかに見える景色」

    これは、長いけれどわあわあ泣いているこどもは
    私なんじゃないかと…
    何度も何度も読み返して、こころのなかで景色を描いてみた。
    そんな気になる詩。

    「思い出」

    ああ こんな夕日を たしか…

    で始まる詩。
    蘇ってくる遠い日を懐かしむ。

  • 工藤直子さんの詩は初めてで、別に深く考えずに借りたのだが、まさか、こんなに今の自分の心境と合致するとは思わなかった。

    「あいたくて」という言葉、すごくいいですよね。
    ただ、厄介なことに、年齢を重ねれば重ねる程、それを実感しつつも、重苦しく感じるのだから、いい加減、私のこのネガティブな感情をなんとかしたいものだと思っていたら、こんな詩と出会いました。


    『すきなこと』

    ここに こうしてすわって
    こーんな あくびをしたり
    あーんな ためいきをついたり
    泣くかとおもえば 笑ったり

    なにやってんだ ばっかなやつ と
    じぶんのあたまを こづいたり…
    とどのつまりは これも
    すきで やっているのか と

    そのせいでしょうか わたしは
    ふしあわせも 愛します


    不幸せを愛するという、この思いに、私はとても、はっとさせられるものがあり、この人は自分自身にすごく愛情を持っているからこそ、相手に対しても、同様の思いを抱けるのではないかと感じたとき、今の自分の、どうしようもない苦しみと感じるものを、少し冷静に見つめ直すきっかけをくれた気がします。

    それでも、片想いというやつは、こんなに辛いものだったっけと、思わずにはいられないのも確かなのだが。

    しかし、そんな私の気持ちにも寄り添ってくれる詩がありました・・・

    明日からは、もっと自分自身も愛しながら、想い続けよう。


    『痛い』

    すきになる ということは
    心を ちぎってあげるのか

    だから こんなに痛いのか


    『ほんとう』

    愛する という言葉を知ったら
    「ほんとうのことを言おうか」という
    言葉のこわさも知りました


    『こころ』

    「こころが くだける」というのは
    たとえばなしだと思っていた ゆうべまで
    今朝 こころはくだけていた ほんとうに

    ひとつひとつ かけらをひろう
    涙がでるのは
    かけらに日が射して まぶしいから

    くだけても これはわたしの こころ
    ていねいに ひろう

    • 5552さん
      たださん、こんばんは。

      偶然ですね。
      この本、昨日読んで感想を書きましたよ!
      積読本を整理していたとき発掘しました。

      たださ...
      たださん、こんばんは。

      偶然ですね。
      この本、昨日読んで感想を書きましたよ!
      積読本を整理していたとき発掘しました。

      たださんが感想に書かれた詩も、好きな詩として自分の感想にあげようとしていたので驚きました。

      素敵な感想ですね。
      自分自身の今の思いや、生活や人生と、シンクロするような本と出会えると嬉しいですね。
      2022/05/12
    • たださん
      5552さん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。

      私は図書館で借りたのですが、感想を書くときに、5552さんがいらっしゃって、...
      5552さん、こんにちは。

      コメントありがとうございます。

      私は図書館で借りたのですが、感想を書くときに、5552さんがいらっしゃって、こんな偶然がと驚きました(しかもハードカバーの方で)。

      実は私、好きな詩が被るのを気にして、自分の感想を書く前に、5552さんのレビューを拝見したんですよ・・・そしたら、『生きちゃったイ』を選ばれていて、「やっぱりこれを選ぶよなあ」と、とても嬉しい気持ちになりました(^o^)

      なんていうか、言葉では表現しづらいような、感覚的で身体中に湧き立つ貴重な喜びを、「そう、そんな感じ!」と思えるような表現をされる、工藤直子さんって、すごい詩人なのだなと、改めて感動を覚えました。
      2022/05/13
  • 普段は詩集なんて手に取らないのだが、フォローさせて頂いている方の本棚に登録されていた本を図書館で見かけたので。

    いやぁ短歌以上に難しい。
    行間を読むのが苦手な自分としては、解説なき詩集は向いていないかも。
    この詩人さんの「らしさ」がどこなのか掴み切れていない気がするし、いろいろ消化しきれていない気がする。

    それでも「はじめて」の初心を思い起こさせる懐かしい感じとか、「なぜ」の素朴な疑問と対比させる人間の身勝手さとかには意識を改めさせられる。
    また自然を題材にした「風景にあう」の章にはすがすがしさを感じるし、唐突に現れる「猫にあう」の章のこれでもかというぐらいの猫推しの詩たちに圧倒されるおもしろさがある。

    挿絵がなんか独特だなぁと思っていたら、佐野洋子氏は『百万回生きたねこ』の作者だったのね。
    そして夫が谷川俊太郎氏かぁ。
    また、娘の今月の詩の作者が工藤直子氏だった。
    そういった意識し始めたときに訪れる妙な繋がりに「へぇ」を感じるような読後体験でした。

  • まずは自分から。
    それから人に目を向け、さらに周りの風景に目を向ける。

    そして、猫に気付き、出会う。

    じぶんにあう、ひとにあう、風景にあう、猫にあう。
    この順番。

    最後に、猫にあうってところが面白い。
    やはり、人生に猫は欠かせないのでしょうか。

  • 柳田邦男さんの本で、この工藤直子さんの『 あいたくて』が紹介されていた。読みたくて、この本を手に取った。

    愛犬を亡くしたちょうど今、本当に『 あいたくて』が心に染みる。
    他にも「痛い」「夜なか」「思い出」が心に深く深く染み込んでくる。

    悲しみに沈むとき人はきっと無性に詩が読みたくなるんじゃないだろうか。そして、そんな心に寄り添ってくれる詩があることの慰めを感じている。

  • 短い言葉の中にこめられたやさしい言葉たちが、
    あなたにあいたがっています。

  • 5/17は生命・きずなの日
    「だれかにあいたくて なにかにあいたくて 生まれてきた- そんな気がするのだけれど…」。

  • 読むと自然に頬が緩みます。
    まどみちおさんの世界観に近い感じ。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:911.56||K
    資料ID:95120958

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著者プロフィール

台湾生まれ。お茶の水女子大学中国文学科卒業。女性初のコピーライターとして活躍した後、詩人・童話作家に。『てつがくのライオン』(絵・佐野洋子)で日本児童文学者協会新人賞、『ともだちは海のにおい』でサンケイ児童出版文化賞受賞。野原の生き物や自然が躍動する詩集『のはらうた』は、子どもたちに愛され、ロングセラーとなっている。『ねこはしる』『まるごと好きです』など、多くの詩集・絵本・エッセイがある。

「2020年 『女声(同声)合唱とピアノのための いのちへのオマージュ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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