- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434209895
作品紹介・あらすじ
老齢になっても明晰な頭を維持できる魔法の薬などない――脳の健康に関する第一人者である著者は、教育、食生活、運動、人間関係、そして睡眠という基本的な5つの生活習慣を健全なものにさえすれば、加齢とともに失われていく脳の能力は甦ると主張する。本書ではわかりやすい数々の事例に加え、最新研究と豊富な科学的データで、習慣が脳に与える影響を徹底的に分析。上手に、かつ継続的に生活改善に取り組むためのモチベーションとその方法を伝授する。
感想・レビュー・書評
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健康な脳を維持するための教育、食生活、運動、社会、睡眠のそれぞれの要素を整理している。内容は充実しており、タイトルの「バイブル」も大げさに感じない。糖分が健康の害であること、有酸素運動が健康に良いことが、これでもかというほど書かれているのが印象的。
自分が詳しくない分野の学習をする、ノンフィクションの読書クラブに参加する、外国を旅行する、楽器を演奏する、外国語を学ぶ、博物館に行く、幅広い分野の講演会に参加する。
年齢を重ねると、砂糖などの単純炭水化物に対する抵抗力が減ってくる。多くの医者がアルツハイマー病を「3型糖尿病」と呼ぶ。糖尿病患者は、そうでない人に比べて2倍以上の確率でアルツハイマー病を発症する。糖尿病患者はインスリン分解酵素(IDE)を作れなくなっており、βアミロイドを分解することができないため。脳にブドウ糖が欠乏すると、ケトン体や乳酸を栄養源とするが、それらを利用するとフリーラジカルを放出してニューロンを破壊する。不安やうつや倦怠感は、水分をたっぷり摂ると改善する。
加齢に伴って、ビタミンやタンパク質を吸収することが難しくなってくる。ビタミンCは、フリーラジカルを取り除く働きのある抗酸化物質。ビタミンEは、血管などの組織のダメージを防ぐ抗酸化物質で、豆類、クルミ、アーモンド、サツマイモなどに多く含まれる。マグネシウムは、海馬のNMDA受容体の働きを助け、不足すると短気、神経過敏、うつを引き起こす。玄米、ナッツ、緑色野菜に多く含まれる。抗酸化要素の酸素ラジカル吸収能(ORAC)は、ブルーベリー、イチゴなどに多く含まれる。ピーナッツバターに含まれる脂肪は、総コレステロールを上げずに、HDLコレステロール値を上げる。
運動によって、脳由来神経栄養因子(BDNF)が生成され、ニューロンのつながりを強化し、神経細胞の軸索を取り囲むミエリンの成長を促し、ニューロン新生を促して、学習と長期増強を強化する。
骨髄細胞に由来する免疫細胞は、感染によってダメージを受けた組織を炎症によって修復する。一方、ウイルスを撃退するBリンパ球は、社会的なグループの中で生活するようになってから進化した。ひとりで過ごす時間が長い人は、ウイルスと戦う準備はしていない。
島と帯状皮質に紡錘型の大きな細胞が右脳に多く見られ、感情的・社会的情報をすばやく効率的に伝達することで、すばやい決断ができる。周りの状況の変化をすばやく感じ取り、だれを信頼し、だれを信頼してはいけないかを感知する。前帯状回と前島を結ぶネットワークによって、注意力、集中力、感情の抑制をコントロールする。紡錘細胞は、ゾウやザトウクジラ、ゴリラなどの大型哺乳類が持つが、他の霊長類にはあまりなく、霊長類以外には全くない。
睡眠時間が6時間未満や8時間以上の人に脳機能低下がみられる。平均7時間の睡眠が最適。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
健康になろうというモチベーションがわく。
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脳の健康に関する研究の第一人者であり、約40年間メンタルヘルスに関わってきた著者による、脳を健康に保つための本。中高年が老化を防ぎ脳を活性化することを目指して書かれているようだが、本書の指針は年齢を問わず有効だ。
本書では、5つの分野(教育、食生活、運動、社会的要素、睡眠)において、脳に良い習慣をその科学的根拠と共に解説している。分野も広いが、それぞれについて理論も実践方法も詳しく書かれており、これ1冊でひととおり網羅している。
ただ、文中にはニューロンやシナプスといった用語はもちろんのこと、脳の各部位やビタミンや脳内物質など本当にたくさんの専門用語がどんどん出てくる。「理論はいいから方法を知りたい」という人にとっては冗長に思えることだろう。(専門的すぎてよく分からない部分も多いと感じた。)
覚えておきたい点:
・余分な体脂肪は脳に有害。有酸素運動によって多くの健康リスクを下げ、脳を活性化することができる。
・相互関係のない人間関係は有害。たとえば、受動攻撃性の人が相手を気遣うふりをしておきながら、自分の心配事ばかりを語って同情させようとするような場合。
・質の良い睡眠のためには体温を低く保つことが大切。窓を少し開けて、寝室に冷たい外気が入るようにするとよい。 -
自己啓発
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①教養、②運動、③食事、④社会的繋がり、⑤睡眠
上記5点をバランスよく取り入れていかないと
将来的に脳の健康を損ね、大病になる可能性がある。
良く考えてみると自分の周囲で①、②、④ができてない人は
セルフコントロールができず、良い評価を得てない
気がする。
脳に適度なストレスを与える事で、認知症、鬱病などの
予防に繋がる。ストレスは一般的に悪いものと思われがち
だが、細かく分類していけば、筋トレ、自己啓発などは
結果的に健康に良いストレスになる。 -
健康な脳を保つために必要なことや害になることが教育や知的活動、食生活、運動、社会との関わり、睡眠の各要素から説明されている。脳の働きの影響で体や心の問題を引き起こしていることもある。自己の生活を見返してみようと思う。