サヤン、シンガポ-ル: アルフィアン短編集 (アジア文学館)

  • 段々社
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434201103

作品紹介・あらすじ

公営高層アパートで起きた殺人事件から人と人とのつながりに思いを巡らせる老女(「廊下」)、離婚してゲイとしてカミングアウトすることを決心した中年男(「ディスコ」)、将来を約束された中国系の青年家庭教師とは対照的な落ちこぼれのマレー系少年(「傘」)、インド系の女友達のために貯めたへそくりを夫に掠め取られてしまうマレー系の妻(「誕生日」)など、さまざまな周縁的シンガポーリアンの姿を鋭い感性と慈しみの目で描いた短編12編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • サヤン、は訳者のあとがきによると哀愁、刹那、切なさみたいな意味。シンガポールのローカル民、自分の立場(生活、アイデンティティ、性的趣向など)にモヤモヤと納得できていない人々の、短いアンハッピーなストーリーが集められている。
    前半はわざと詩的になっていたり抒情映画的な表現が気に障り内容が入ってこないが、最後の2.3話は良かった。
    しかし、シンガポールのセントラル地区や日本人駐在員が沢山いるような地域にしか住んでいない人、3年以上住んでいたことがない人やホーカーでその場で食べたりしないような人には、今一ピンとこない話ばかりだろう。
     ただ、内容よりも、訳者があとがきに書いているように、これがマレー系イスラムの人が英語で書いた、純粋な(宗教や教訓から切り離すという意味)フィクションへの挑戦であることに意味があると思える。お酒は出てこないが、同性愛者やペドの性行為など、よくあのシンガポールで出版できたな、と思う。

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著者プロフィール

1977年シンガポール生まれ。ラッフルズ・ジュニアカレッジ在籍時から演劇の創作で注目される。1998年に詩人としてデビューを飾り、1999年には短編集『サヤン、シンガポール』を発表。マレー語と英語での創作活動を続け、シンガポールでは多数の受賞歴を誇る。ほかに詩集『記憶喪失の歴史』『透明な原稿』、戯曲『アジアン・ボーイズ』三部作、『ナディラ』(いずれも未訳)。

「2021年 『マレー素描集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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