こころと人生

著者 :
  • 創元社
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本棚登録 : 87
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422112428

感想・レビュー・書評

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  • こころの処方箋の方だったか・・・!

    各地で開催された講演を、創元社の編集部のかたがアレンジして、構成した本、とまえがきに書いてある。

    語り口調で書かれてあるためかとても読みやすい。
    ユーモアもたくさんあって、とっつきやすい。

    むずかしいことがらをわかりやすくできる人は
    ほんとうに貴重だ。

    タイトルに人生とある通り、子ども~青年期~中年~老い・・・と、4章に別れておりちょうど人ひとり、一生分の構成になっている。
    講演だから、同じ意味のことをおっしゃっている箇所も出てくるが、やはり大事なポイントなので、そうなるのだろう。なんども少しずつ違う表現で確認できたほうが血肉になりそうで、忘れっぽい自分にはありがたい。

    読み終わると人生におっきい〇を付けられそうで、河合さんの主張、ものの見方というのは本当に素晴らしい。

  • 1999年出版ですが、『中学生のような顔をした日本の大学生』は、今の時代も続いていることだと思います。
    子ども~青年~中年~老いまでの導きです。
    軽妙な語り口で進んでいくので、気軽に読めますが
    とても深いと思います。特に中年問題である創造の病。
    私もその年代ですし、余計なことばかり毎日考えて過ごしているためです。子ども達は受験戦争に突入していくころで、なるべくゆっくり構えたいとは思っていても、周りがそうはさせてくれないのが辛いところです。
    いろいろ問題が起きる中で、その問題を「せっかくの課題を、意味あることにして生きられないだろうかと、考える」それにより、うまく答えが出てくることがあると。
    そして、名著の紹介をしながら、心理に迫るお話もとても面白かったです。夏目漱石の道草を読んでみようと思いました。
    老いを考える章がとても勉強になりました。
    対話のない夫婦の問題もよく分かり、ためになりました。何か問題が起こった時に対話は生まれるようですが、我が家の場合…もっと大きな問題がないと難しいのかなと思ったら辛いです。
    「一人でも二人」という感じになると「二人で生きていても一人で生きていける」という風になるとおうことは胸に刻みたいと思いました。
    『ひっくり返してものを見る』何もしていないことを良しとする。これも胸に刻みたい!


  • カウンセリングや心理療法という仕事をしていると、多くの人の相談を受ける。すべて何らかの「困ったこと」や「苦しいこと」があるためである。その人たちはそれを何とか早く除去したい、そこから逃れたいと思い、来談される。しかし、むしろそのような苦悩を通じてこそ、自分の新しい生き方を探し出したり、自分の人生の意味について新しい発見をされたりすることになる。悩みが成長へのステップとなる。それが人生の面白いところである。(内容)
    現代には「いかに生きるか」「いかに死ぬか」について考えざるを得ない反面、自分の望むコースを進めるという面白さがある。人生の悩みを成長のステップにし、新しい生き方を模索・発見する喜びについて分かりやすく語る。

  • 講演会の記録を記したもの、語り口調でわかりやすくすぐに読める。やはり臨床経験を数多く積まれたカウンセラーの洞察、発想は凄いなと言う印象。
    アメリカのフォスターケアの存在や、創造の病という概念は私の読んだ河合先生の本ではあまり触れられていない部分だったので新鮮だった。
    また、課題に対して、せっかくの課題を意味あることとして生きられないだろうかという姿勢を持つことは重要だと感じた。
    最後の老年期についての章は歳を取るとなお深く感じられるだろうという印象。この章を読んで、死の直前に洗礼を受ける人への理解が深まった。自分の死を受け入れるために、そうした動きがあることは不思議ではなく、自分の親がそうなっても受け入れようと思った。

  • 人生航路をうまく説明されています。うまいです。心理的な見方はこうなのでしょう。逆転の発想が大事です。

  • 年代別に書かれており(というか、講演内容がそうだったようだ)、児童期、青年期と中年期の内容がなるほどなあと思う内容だった。河合先生の話はわかりやすく腑に落ちる感じ。

  • 子ども、青年、中年、老人、それぞれの時期の特徴、起こりうること、それらについての考え方が書かれてあって、おもしろい。新しい発見があると思う。

  • 中年の危機 苦難は下りていく人生を考える手がかり
    みなさんも、どうも中年になって、「どうしてこんないやなことが起こるんだろう」と思われることがあるでしょう。そういうときは、「どうしてこういうときに限って、俺は転勤させられるんだろう」とか、「どうしてこんなときに、あの変な親類が出てきたんだろう」とか、「なんでこういうときに、こんな事故にあったんだろう」というふうに思うんじゃなくて、それは「中年というものをどう考えるか」、あるいは「上がっていく人生じゃなくて、下りていく人生・死に向かっていく人生というものをどう考えるか」ということのために、その手がかりを与えにきてくれているんだ、というふうに思いますと、これはずいぶん意味をもってくると思います。
    (河合隼雄「こころと人生」)

    要約
    幼年期
    親の心が落ち着いていると、子供は話をしに寄ってくる。せかさないで、ゆっくりと、ただ子どもの側にいるだけでいい。こちらの心が落ち着いていなくて「きょう学校でどんなことがあったの」とか、「早く言いなさい」とか、そういう調子ではなしかけると、「ううん、別に」と子どもは言います。

    大人の常識ではなく子どもの眼でものを見る。そのために、児童書を読む。
    子どもの背後に神さまがいる。

    青年期
    青年期の子どもさんのカウンセリングをするときは、気持ちにをしっかりもつ覚悟がいる。そうまでしなかったら「包まれている」ことがわからないんだというその人の過去をもう一度考えてみること。(裏切られたときは)はじめて一体だと感じられる人に会ったけれど、本当にこの人は自分を捨てないかどうか、今、試そうとしているんだというふうに考える。

    老年期
    社会の評価とは違う自分だけに意味のあることを見つけること。そういう自分の世界をつくれるのは中年から老人にかけて、ということをユングは言っている。

    おじいちゃん、おばあちゃんがボケて困るというが、本当は言いたいことをすごく自分の中に押し込めておられる方が多い。「あれは老人ボケや」と言いたくなるときでも、「本当は何を言いたがっているんだろう」というふうに考える。

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