- Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413043380
作品紹介・あらすじ
政府は「復興のため」「将来世代にツケを回さないため」などと繰り返し主張し、増税を強行しようとしている。だが、現時点の日本が増税すると逆に政府の減収になり、デフレが深刻化し、日本の虎の子である供給能力が失われる。かえって、将来世代にツケを回すことになりかねないのだ。
感想・レビュー・書評
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『財務省が日本を滅ぼす』(2017)・『日本人がだまされ続けている税金のカラクリ』(2012)・『売国奴に告ぐ!』(2012)などの著書で政府と官僚の闇を暴き続ける経済評論家が訴える「増税のウソ」。2011年の東日本大震災の直後に発表された民主党政府の「被災地の復興のため、また子や孫の世代にツケを残さぬためにも消費増税は不可欠だ」という主張を、「大いなる詭弁」と喝破する。消費税を増やせば家計は消費を控えるため企業の売上げは落ち込んで法人税が下がる。増税が政府の減収を招き、デフレがさらに進んで日本経済が没落する事態こそが子孫にツケを回す「世紀の愚策」であると批判する。国の借金が1000兆円を超えると言われる日本だが、それは単に「誰かの借金が誰かの資産」として国内で流通しているというごく正常な状態であり、ギリシャやアイルランドのように他国から借りたユーロを返せないで破綻した国とは全くの別物と論破する。「日本人1人あたりの借金は800万円以上」などと喧伝して増税を煽るマスコミと財務官僚の野望を暴き、日本政府が行うべき正しい政策を提言する一冊。
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財政破綻を喧伝し、増税を推進しているが、日本国債は対内債務であり財政破綻の可能性は限りなく低く、増税は必要ではない、という趣旨の本
ただ、筆者が推す公共工事による財政出動に伴う景気浮揚策については確かに小泉政権のときに若干の効果はあったが、果たして正しいのかどうか。
【なるほどな点】
・「財政破綻」とは政府のデフォルト(債務不履行)のことで、自国通貨建ての対内債務でデフォルトを起こした国などない。つまり日本の国債発行額がいくら多くても財政破綻することはない。(P14-16)
・資本主義においては、経済成長をするためには「誰か」が負債と投資を増やさなければならない。この役目を政府が国債を発行して行っている。(P16-17)
・せめて対内債務と対外債務の区別だけでもつけなければ、日本の財政問題を解決することはできない。(P24)
・政府の負債が減ったということは、政府が国民経済に対する責任を果たさず、インフラのメンテナンスやデフレ脱却のための有効需要創出をおろそかにした証なのだ。(P44)
・よく国債発行残高等を「国の借金」と呼び「国民一人当たり800万円の借金」などと不安をあおっているが、われわれ日本国民は、銀行などの金融機関を通じて政府にお金を貸している立場であって、けっして借りている(国民の借金)ではない。(P49)
・資本主義経済の成長には健全なインフレ率が必要だ。特に起業が投資を決断する際には、適度なインフレにより売上の名目値が上昇し、かつ借入金の実質的な負担が下がっていくという予想が必要である。(P83)
・結局のところ、恐慌あるいはデフレの問題は何かといえば、失業なのだ。(P88)
・(新聞の軽減税率に関する陳情は)日本国家や日本国民のためではなく、言論の自由とやらのためでさえなく、自社の経営のために自分たちは例外にしてくれと頼んだわけだ。(P102)
・(東日本大震災に関する復興税について)増税どころか、震災による経済活動の萎縮を避けるため、普通の国は減税を実施する。(P110)
・数十年に一度というレベルの大規模自然災害の復興負担は、同じく「数十年かけて」担うことが正しいのだ。(P113)
・東日本大震災は、現在の日本国民が選択した結果として発生した自然災害ではない。東北太平洋沖地震に対し、現在の日本国民はなんら責任を負っていないのだ。(P114)
→この理論で行けば東京電力の株主は、自分たちの選んだ経営陣による不手際による原発事故であるから責任を追うべきだと思うが、結局国民全体に負わせている。
・「増税」などという手段は、現在の日本政府が取れる財源調達の方法の中では、最後に考えるべきものである。(P118)
・恐慌とは何か?ずばり「デフレの深刻化」である。(P120)
・グローバリズムは確かに日本のデフレを促進したが、「グローバリズム=デフレ」ではない。なにしろ、グローバリズムの影響で、インフレに苦しむ国においてさえ、耐久消費財の価格は下がっている。(P123)
・(子ども手当てのような所得移転はほとんど貯蓄に流れてしまい無意味である)どうしても所得移転を増やしたいのであれば、エコカー減税のような「必ず有効需要が発生する」支出に絞るべきだ。(P145)
・日本にはやたらと北欧諸国を称える評論家が多いが、彼らは日本に対して(北欧諸国と同じレベルになるように)「公務員数を現在の六倍にせよ」と言いたいのだろうか。(P157)
・公務員給与が民間の水準を上回っているのは、民間の給与水準がデフレの深刻化で下がったためである。デフレである現在においては、「公務員の給与は高すぎる」などと言っているが、バブル期の公務員は、「俺達は国家のために働いているのに、なんで民間の給与水準はあんなに高いんだ」という、今とは真逆の妬みを抱いていたのだ。(P158)
→公務員本位であればデフレのほうがいいわけで、、、だからデフレが終わらないのか。
・(公共事業については単体では赤字であるが)それが国民経済の成長に貢献すると判断されれば、政府は投資して一向に差し支えない。それが公共投資というものだ。(P167) -
巷では「増税止む無し」の論調が主流ですが、筆者はこの考えに真っ向から反対しています。「増税はデフレを更に悪化させるだけであり、最も大切なのは経済成長を促進させるような手を打つべき」というのが筆者の主張です。野田総理や財務省が語りたがらない日本経済のある一面を知るには良い本です。
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成長につながらない支出はやめる。所得移転となる支出はやめる。不必要な天下りをカットしてほしいものだ。増税には限界がある。201404
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マクロ経済は難しいけど、この本はわかりやすい。
増税すると、経済は縮小する。
公共投資は必要。
何より、デフレ対策をしろと。
増税はデフレを促進する。
という感じに読めました。
著者と財務省の討論でもやって、反論を聞いてみたい。
経済素人でもなんとか着いていけます。
増税ってなんかシックリこない。と思っている人にオススメ! -
意見が少し極端。
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述べていることは全体的に正しい。ただ、現状を批判するために書かれているので、少し行きすぎの感がある。批判する必要ない所までGDPを押し上げる効果がないとの理由で批判する。間違ってはいないが、落ち着いては話そうよ、と言われても仕方がないかもしれない。
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「まずはデフレ対策から」と読みとったが、確かに増税は国民生活を守りの体制に仕向けるものであり、前向きに経済の発展を目指すことにはならないと直感的に感じた。
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著者の作品を読むのは初めて。
増税に反対する人は多数いるが、それぞれに反対する理由がちょっと違う。著者の考え方を知るには良い本と思うが、ちと説明を端折っている感がするときもある。しかし、マクロ経済の理論からだけ言われるより、日本および世界の過去の歴史から語ってくれると、増税に反対する一般市民としては、勇気付けられる。
あと、ユーロ圏でのドイツ批判ともとれる分析に結構多くページが割かれている。今まで確かに著者がTVのコメントの端々で出していた気もするが、こうしてきちんと読むとなるほどと思う。ギリシャショックについて、一般的にはギリシャの体たらくを批判されているが、その裏でドイツが甘い汁を吸ってきたと言われると、全面的に協力しなさいよって思ってしまう。 -
日本の「借金」はあくまで対内債務であり、欧州のような債務危機に陥ることはない。実際、国内では財政危機を煽る財務省も、対外的には日本国債の健全性を力強く宣言している。このデフレ下において優先すべきは財政健全化よりも経済成長であり、建設国債を発行してでも効果的な財政出動を行い、同時に個人消費・民間投資を活性化する施策をとるべきだ。それによって名目GDPが成長すれば、自然に税収も増え国債のツケも解消できる。ところが、現時点で増税に走れば個人消費・民間投資に冷水を浴びせ、最終的には税収減による財政悪化を招くことになるだろう。日本経済を負のスパイラルから救い出す方向性を明確に示す好著。