自分の中に毒を持て: あなたは常識人間を捨てられるか (プレイブックス 456)

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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413014564

作品紹介・あらすじ

みんなどうしても、安全な道の方を採りたがるものだけれど、それがだめなんだ。人間、自分を大切にして、安全を望むんだったら、何も出来なくなってしまう。計算づくでない人生を体験することだ。誰もが計算づくで、自分の人生を生きている。たとえば美術家でいえば、美術家というのは、人に好かれる絵を描かなければならない。時代に合わした絵で認められないと、食ってはいけない。生活ができない。だけど、ぼくはまったく逆のことをやって生きてきた。ほんとうに自分を貫くために、人に好かれない絵を描き、発言し続けてきた。1度でいいから思い切って、ぼくと同じにだめになる方、マイナスの方の道を選ぼう、と決意してみるといい。そうすれば、必ず自分自身がワァーッともり上がってくるにちがいない。それが生きるパッションなんだ。

感想・レビュー・書評

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  • 「芸術は爆発だ!」で一世を風靡した芸術家・岡本太郎(1996年没)による人間論。20代を過ごした留学先のパリで、ある美術館でふと目にしたピカソの作品に衝撃を受けて画家を目指したという彼だが、元々はバリバリの哲学者で思想家であり、生涯を通して貫いたのは「人間は自由である」という信念。人生の岐路において安全な道だけを選ぶ「無難な生き方」を良しとせず、あえて困難に立ち向かい、そこで得た「想定外」の体験こそが人生の喜びだと主張する。冒頭の名セリフは、「芸術とは生きる事そのものであり、人間として自由に生命を爆発させる生き方こそが芸術だ」という意味。30年も前に書かれた本だが今の日本社会における矛盾を見事に突いており、この本を読みながら「そんなこと、岡本太郎だから言えるんだ」などとシラケている読者に対しては「自分で自分をごまかすな!」とばかり容赦ない鉄拳をぶちかます。人生の主役は自分であり、自分らしく生きるためには何でもアリという生き方には我々も見習うべき。そう、「グラスの底に顔があっても良いじゃないか」なのだ。

  • 同僚に貸してもらった本。若いときに読んでたら、太郎氏の挑戦的な生き方に触発されたかもしれない。

  • 面白かった。
    凄く励まされ、何だか前向きになれた。

    タイトルに「毒」と書いているが、
    書いている内容はその反対で、
    とても優しく、たまには厳しく、愛情が感じられました。

  • ぼくはいつでも、あれかこれかという場合、これは自分にとってマイナスだな、危険だなと思う方をえらぶことにしている。誰だって人間は弱いし、自分が大事だから逃げたがる。頭で考えていい方を選ぼうとなんておもったら、なんとかかんとか理屈をつけて安全な方にイッテしまうものなのだ。かまわないから、こっちにいったら駄目だ、と思う方に賭ける。
    臨済禅師 道で仏に逢えば、仏をころせ
    道で仏に逢えばというが、会えるはずが内。出会うのは己自身なのです。自分自身に対面する。そうしたら己を殺せ
     いまはだめだけどいずれと絶対に言わないこと。いずれなんていうやつに限って、現在の自分に責任をもっていないからだ。いきるというのは瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充実することだ。過去にこだわったり、未来でごまかすなんて根性では、現在に本当に生きることはできない。
     ところが、とかく「いずれそうします」とか「昔はそうだった」と人は言う。そして、現在の生き方をごまかしている。だからぼくはそういう言葉を聞く度に、どなりつけてやりたくなる。
     「いずれ」なんていうやつに、本当の将来はありっこないし、懐古趣味も無責任だ。つまり、現在の自分に責任をとらないから懐古的になっているわけだ。
     しかし、人間が一番辛い思いをしているのは現在なんだ。やらなければならい、ベストを尽くさなければならいのは、現在この瞬間にある。それを逃れるためにいずれとか懐古趣味になんだ。
     懐古趣味と言うのは現実逃避だ。だから、過去だってそのときな辛くって逃避したんだろうけど、現在が終わって過去になってしまうと安心だから、懐かしくなるんだ。
     だから、そんなものにこだわっていないで、もっと現実を直視し、絶対感をもって、問題にぶつかって、たくましく生きるようにしていかなければならない。
     僕はありのままの自分を貫くしかないと覚悟をきめている。それは己自身をこそ最大の敵として、容赦なく戦い続けることなんだ。
     

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著者プロフィール

岡本太郎 (おかもと・たろう)
芸術家。1911年生まれ。29年に渡仏し、30年代のパリで抽象芸術やシュルレアリスム運動に参加。パリ大学でマルセル・モースに民族学を学び、ジョルジュ・バタイユらと活動をともにした。40年帰国。戦後日本で前衛芸術運動を展開し、問題作を次々と社会に送り出す。51年に縄文土器と遭遇し、翌年「縄文土器論」を発表。70年大阪万博で太陽の塔を制作し、国民的存在になる。96年没。いまも若い世代に大きな影響を与え続けている。『岡本太郎の宇宙(全5巻)』(ちくま学芸文庫)、『美の世界旅行』(新潮文庫)、『日本再発見』(角川ソフィア文庫)、『沖縄文化論』(中公文庫)ほか著書多数。


平野暁臣 (ひらの・あきおみ)
空間メディアプロデューサー。岡本太郎創設の現代芸術研究所を主宰し、空間メディアの領域で多彩なプロデュース活動を行う。2005年岡本太郎記念館館長に就任。『明日の神話』再生プロジェクト、生誕百年事業『TARO100祭』のゼネラルプロデューサーを務める。『岡本藝術』『岡本太郎の沖縄』『大阪万博』(小学館)、『岡本太郎の仕事論』(日経プレミア)ほか著書多数。

「2016年 『孤独がきみを強くする』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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