資本主義の歴史: 起源・拡大・現在

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409510803

作品紹介・あらすじ

通史の決定版

歴史学の大家による、厳密にして明晰、そして驚くほどコンパクトな資本主義通史。その起源から現代の金融資本主義に至る長大な歴史と、アダム・スミス、マルクス、ヴェーバーからシュンペーター、ポメランツに至る広範な分析理論までが一冊に凝縮。世界史的視野と、資本主義の本質に迫る深い考察が絡み合い、未来への展望をも示唆する名著。世界9か国で翻訳されたベストセラー。

第一章 資本主義とは何か
 一 論議のつきまとう概念
 二 三つの古典――マルクス・ヴェーバー・シュンペーター
 三 他の諸見解と作業のための定義

第二章 商人資本主義
 一 端緒
 二 中国とアラビア
 三 ヨーロッパ――ダイナミックな遅参者
 四 一五〇〇年頃の時代についての中間的総括

第三章 拡大
 一 ビジネスと暴力――植民地支配と世界交易
 二 株式会社と金融資本主義
 三 プランテーション経済と奴隷制
 四 農業資本主義・鉱業・プロト工業化
 五 資本主義・文化・啓蒙主義――時代の文脈におけるアダム・スミス

第四章 資本主義の時代
 一 工業化とグローバル化――一八〇〇年以降の時代のアウトライン
 二 オーナー資本主義から経営者資本主義へ
 三 金融化
 四 資本主義における労働
 五 市場と国家

第五章 展望

「数百年におよぶ発展のなかで、資本主義はその姿を大きく変えうることを示してきた。歴史的概観とグローバルな比較が示すのは、それがきわめて多様な社会的・文化的・政治的諸条件のもとで存在しうることである。それは、社会、文化、政治にきわめて深い影響をおよぼす。しかし逆にそれは、政治の介入、社会的諸行為によって影響され、姿を変えうる。資本主義は定められた運命ではない。それは、過去においてきわめてさまざまな目的のために投入され、また現在でも投入されている強力な資源なのである。」(本書より)

感想・レビュー・書評

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  • 資本主義について、あらためてそもそものところから考えてみようと思って、まずはコンパクトにまとまっていそうなこの本からスタートした。

    180ページくらいで資本主義という概念の問題から歴史的な発展過程についてコンパクトにまとめてある。

    が、あまりにも圧縮されているので、具体例は少なめで、なかなかにわかりにくい。ある程度、理解した人が頭の整理に読むような本かな。

    資本主義の発展の段階で、奴隷労働、強制労働などが関わっているというところが、なるほどと思った。そういうことがあったのは知っていても、それは昔の社会のことと思って、資本主義の問題と分けて考える傾向が自分にあったなと思った。

  • 現在の資本主義の諸問題、グローバル化・気候変動・貧困・不平等・進歩などを議論するには、資本主義の本質への洞察が不可欠である。歴史を概観、15世紀頃の商人たちの世界的な交易、植民地時代の株式会社と国家、産業革命と工業化、金融資本主義化。

    資本主義というと、大昔からあって、暴力と抑圧のイメージでしたが、歴史的にはわりと近代のものであり、相互の利益は見知らぬ相手への信用がベース、と解りました。

  • 曖昧に使われがちな「資本主義」の概念を詳しく考察した本であり、
    その歴史的な展開を、話の筋が追いやすい形で書かれている

  • 資本主義的諸傾向が豊かさを増すというだけでなく、国家の恣意的な介入がなく、自由と個人の責任を尊重し、戦争でなく妥協によって紛争を解決することのできる、人間の共同生活のより良い秩序を生み出すとに資すると期待された。

  • 資本主義の歴史を体系的に学ぶことができるのが本書。商人資本主義から近代の工業資本主義、金融資本主義までの変遷と発展が順序立てられて述べられており、非常に勉強になった。

  • 東2法経図・6F開架:332.06A/Ko15s//K

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著者プロフィール

ユルゲン・コッカ Jürgen Kocka/1941年生まれ。ビーレフェルト大学教授、ベルリン自由大学教授を歴任し、現在ベルリン自由大学名誉教授。ドイツ近現代史、ヨーロッパ比較史。訳書に『市民社会と独裁制 ドイツ近現代史の経験』(松葉正文、山井敏章訳、岩波書店、2011年)、『社会史とは何か その方法と軌跡』(仲内英三、土井美徳訳、日本経済評論社、2000年)、『国際比較・近代ドイツの市民 心性・文化・政治』(編著、望田幸男監訳、ミネルヴァ書房、2000年)、『歴史と啓蒙』(肥前栄一、杉原達訳、未來社、1994年)、『ヴェーバー論争』(住谷一彦、小林純訳、未來社、1994年)、『工業化・組織化・官僚制 近代ドイツの企業と社会』(加来祥男編訳、名古屋大学出版会、1992年)、『マックス・ヴェーバー 西ドイツの研究動向』(住谷一彦、小林純訳、未來社、1979年)がある。

「2018年 『資本主義の歴史 起源・拡大・現在』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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