日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか

著者 :
  • 人文書院
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本棚登録 : 319
感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409240922

作品紹介・あらすじ

いつの間にか、とんでもないことになっていた!急速に厳罰化する日本の著作権法、その変容の経緯と関わる人びとの思惑を丁寧に追い、現状に介入する痛快作。

感想・レビュー・書評

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  • 津田大介さんの著作で触れられていたので読んでみました。
    著作権が使いにくい形になっていく点を各委員会でのやりとりを踏まえているものです。あと海外での海賊版の研究も読み応えがありました。この本を読んでいると先進国以外で映画や音楽、ソフトウェアで正規版を購入するのが意外と難しいことがわかりました。
    著作権って何だろう・・・という方にはちょっときついかもしれませんが、なんで無許可でアップされている動画をダウンロードすることが急に刑事罰が付加されることになったの?といった著作権の改正動向に関心を持つ方にはお勧めですね。

  • 研究室にも蔵書有り。

  • 山田の著作権についてもっとも自分の意見を書いてあるものである。審議会についてほとんど他の書籍では書かれていない委員の発言を多く記載してあるところに特長がある。さらに法律についても詳細に記載している。残念なことは2011年と今から10年以上も前の本であるために、その後の変化でもっと厳しくなった著作権についての説明が欲しい。
     情報倫理についての必読書であろう。

  • 福井健策氏曰く「恐るべき本が出た」(Twitterより)。

  • 本当に今さらながら拝読したが、これはやばい、たぎる。特に第4章、ダウンロード違法化にまつわる小委員会のやり取りのドラマチックさ。海堂尊の小説を思い出した。魅き込まれる筆致、しかしフィクションである海堂本のほうが心に迫るのはこれがフィクションでないが故のいわゆる「正常性バイアス」なのだろう(興味を持ってこの分野をウォッチしている私にとってすら、だ)。いや、この文章力の高さであればむしろフィクションとして書かれたほうがより民心を掴めたのではないか?と思えるほどに。専門書と思って積ん読していた自分を責めたい。明らかにこれは「文芸」だ。そして、それは100%褒め言葉としての。

  • 本書で語られる、ダウンロード違法化の制定に至る過程は確かに絶望的だ。違法ダウンロードに断固とした対応をとりたいが、録音補償金の徴収額をどうしても減らしたくない権利者団体。補償金の支払いを肩代わりさせられたくないメーカー。具体的な数字もないのに自説のみに固執する学者。そして何の後ろ盾もない消費者。委員会では各代表が自身の権利と消費者に背負わせる義務を声高に主張するばかりで、どこにも何の科学もなく、最後は期限になって慌てて帳尻だけを合わせるという、合議制の醜悪さが詰まった惨状には目を覆うばかりだ。
    だが、だからといって、こんな怨嗟に満ちた乱暴なタイトルにしていいというわけではない。タイトルのみを見て本書を手に取る人が期待するような海外各国の統計データどころか、条例の比較すら存在せず、ただ日本の現状を憂うばかり。『海賊版は、市場創造力によって長期的には権利者に利益をもたらすことも否定しきれない』という一文に表れている通り、論拠とする科学が失われたまま自身の利となる論を支持するようでは、ダウンロード違法化を後押しした委員会の判断を批判する資格はない。
    社会科学はまだまだ発展途上にあり、政治がこれに追い付くにはしばらく時間がかかりそうなのはしょうがないとしても、せめて反論する側に立つ際は、客観的に判断可能な科学がある論が構築されることを望む。

  • 著者:山田奨治(情報学)
     BLOG http://yamadashoji.blog84.fc2.com/

    ※TPPに関係する続編も。
    『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』(人文書院 2016.04.19)
    https://booklog.jp/item/1/4409241087

    【簡易目次】
    第1章 パクリはミカエルの天秤を傾けるか?
    第2章 それは権利の侵害です!?
    第3章 法律を変えるひとびと
    第4章 ダウンロード違法化はどのようにして決まったのか
    第5章 海外の海賊版ソフトを考える
    第6章 著作権秩序はどう構築されるべきか

  • 他の類書とは異なる裏話的内容に非常に興味が持てる。
    以前から漠然と感じている、現在の著作権法の延長ではなく、何か根本的な解決が必要なのではないかという考えを更に強めた。
    現実には難しいのだろうとは思うが。

  • 021.2||Ya

  • 第四章は圧巻。第五章では海賊版に一つの意義を認める意見。日本では今後再び使用者数が多くなるのではないかという危惧もわいてきたが。

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著者プロフィール

山田 奨治(やまだ・しょうじ)
1963年生。現在、国際日本文化研究センター教授、総合研究大学院大学教授。京都大学博士(工学)。専門は情報学、文化交流史。筑波大学大学院修士課程医科学研究科修了後、(株)日本アイ・ビー・エム、筑波技術短期大学助手などを経て現職。ケンブリッジ大学ウォルフソン・カレッジ、フランス国立社会科学高等研究院、ハーバード大学ライシャワー研究所で客員研究員等を歴任。主な著作に、『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』『日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか』『東京ブギウギと鈴木大拙』(以上、人文書院)、『〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争』( みすず書房)、『禅という名の日本丸』(弘文堂)、『情報のみかた』(弘文堂)、『日本文化の模倣と創造 オリジナリティとは何か』(角川書店)など。『東京ブギウギと鈴木大拙』で第31回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞。

「2021年 『著作権は文化を発展させるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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