絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408558783

感想・レビュー・書評

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  • 今回は夏に凍死した人物が救急搬送されてきたことから物語ははじまります。

    警察は問題はないと司法解剖を認めず、わかった身内はこれ以上は死者に鞭打ちたくないと行政解剖を拒否。荼毘に付されるのですが……。

    ところが二人目の凍死者が出たことから一気に事件へと。

    今回も楽しく読ませていただきました。
    真夏に凍死を事件と思わない警察もいかがなものかと思いつつ読んでました。

    でも、明らかに人手が足りないもんなぁとかとも思ったり、そして相変わらず小鳥先生の哀れなことよ。
    お約束なので仕方ないですけどね(笑)

  • 九月の熱帯夜、小鳥遊優と鴻ノ池舞が当直を務める救急外来へ搬送されてきた身元不明の男性。その死因は「凍死」だった?!警察には事件性なしと言われ、司法解剖はできない。そこで天久鷹央は独力で遺体の真相に迫ろうとするが──。過去最大規模のスケールで贈る人気医療ミステリシリーズ第16弾!

    熱帯夜に凍死した男!こんなの怪しすぎる!だが、やってきた刑事には事故と見なされ、司法解剖は却下!それでも謎を見つけたら食らいついて離さない天久鷹央は、解剖せずにその遺体から手がかりを探る。今できることで死因を探り、身元を捜すという最初の診断がまず見どころ。その結果、なんとか身元を突き止めて、親族へと連絡する。やってきた父親に行政解剖という形で死因を探る提案をするも──だが断る!なんで?!そこはオッケーしてよと(笑) 頑なに拒否する父を説得できず、鷹央たちは別のアプローチで事件を調査していく。

    熱帯夜に公園で凍死した男という謎から、追うほどに規模が増していく事件がスリリングでよかった。これまでのシリーズと同じく、謎のありかを見つけたと思ったら新たな謎が?!という隙を生じぬ二段構えで安定の面白さ。アニメ化決定もめでたい!まさにこの作品こそ映画にしたらインパクトありそうなタイトル。このシリーズは最終的に謎だけではなく、病気を診断するというのが魅せ場なんだけど、さらに命を救う医者としての矜持も感じられて痛快なラストだった。

    ミステリとしてはいつもより軽やか(伏線回収はさすがの一言)。事件的にはかなり大きいものの、スケール感的にどうしても医師として事件に関わる以上、そこまで広がらないのは仕方ないところかなと。序盤にあの事件の被害者が救急外来に運び込まれるシーンがあれば、もっと緊迫感が出たかもしれない。

    次回はなんと10月に10周年記念作刊行ということで、そちらも楽しみにしたい。

  • 熱帯夜に救外に運ばれてきたのは…「凍死」の身元不明の男性。
    そこにどんな事件が潜んでいるのか?

    新たな登場人物も加わり、さらに賑やか。鷹央ちゃんの噂は、どこまで広がっているのやら…
    探偵としての鷹央ちゃんもいいけど、医師としての診断ももっと読みたいなぁ。

  • 熱帯夜に運び込まれてきた患者の死因は凍死。
    熱波の公園に裸に近い状態で倒れていたのに、だ。
    しかし家族の同意が得られず
    解剖して原因を調べることはできなかった。
    ところがその後、新たな被害者が発見され
    鷹央は桜井・成瀬両刑事を巻き込んで
    調査をはじめる。

    この殺され方…怖っ((((;゚Д゚)))))))
    プロローグが被害者の独白なのですが
    死因がわかってから再読すると
    ますますゾッとします。

    それにしても、小鳥先生が感じたように
    鷹央ちゃんの社会性成長ぶりが
    ひしひしと感じられますねぇ。
    いい人間関係が築けていて嬉しいです。

  • やはり『天久鷹央シリーズ』は最高である。とりわけホームズ+ワトソン+アルファの登場人物が良い。本巻では、熱帯夜に凍死という異常な事件からテロルへと結びつくストーリーがミステリ感をアップさせている。

  •  知念実希人さんの天久鷹央シリーズ最新刊は、既刊作品を振り返ってもかなり毛色が異なる作品だろう。鷹央たちが、まさか国の危機を背負うとは。

     九月の熱帯夜、小鳥遊と鴻ノ池が当直中の救急外来に搬送されてきた身元不明の男性。死因は「凍死」だった。司法解剖の必要性を主張するが、刑事は面倒臭そうに必要ないと告げる。当然、鷹央に大目玉を食らう小鳥遊だったが…。

     「謎」という餌をおあずけされて機嫌が悪い鷹央の扱いに、いつも以上に手を焼く小鳥遊と鴻ノ池。あるきっかけから、遺体の身元は判明したのだが…。結局警察が頼ってきて、大手を振って調査に動くところまではお約束。

     熱帯夜での凍死のメカニズムという謎の一つは、比較的早い段階で明らかになるのだが、どうしてそんな手間をかけたのか。今から思えば、この辺りで色々と不自然さに気づかなかったのは迂闊だった。この時点で鷹央には読めていたのか。

     実は、「凍死」の謎を解いた後が本番なのだった。色々と凶悪な人間たちを相手にしてきた3人だが、サブタイトルにある通り、今回の相手はテロリスト。本来、医師が対峙する責任はないのだが、公安部まで鷹央に縋る始末なのだ。

     医学的知見を総動員して謎を解くのがこのシリーズの醍醐味のはず。医学的知見もゼロではないものの、最終決戦は医学に関係ない。警察がすべき駆け引きである。鷹央も無茶をするが、肝が据わっていない(一応)ラスボスにも唖然とした。

     結局、テロリストなんて、自分が死ぬのは嫌という身勝手な連中だ。某人物が発見されて大騒ぎになったが、彼もまた然り。世界には、この手の事件が日常茶飯事な地域もある。現代日本でそう起こらないと思いたいが、それは願望に過ぎない。

     それにしても、作り話とはいえ、「彼」の人生は何だったのか。爽やかにまとめようとしていいるが、苦い思いが残る異色の一作だった。

  •  アニメ化も決まった人気シリーズ最新作。九月の熱帯夜に男が凍死した事件と日本を揺るがす爆破テロがどのように繋がっていくかが楽しみであり、持ち味の鮮やかな伏線回収もさすがだった。また、鷹央先生と小鳥遊のテロリストと対峙した時に見せた医師の矜持がカッコよかった。それにしても、舞は残りの研修も統括診断科ですることにしたんだ。小鳥遊が不憫というかなんと言うか…まぁ、トリオでこれからも難事件を解決して欲しい。

  • 真夏の連続凍死事件。
    何故、どうして、どうやって。
    凍死に至る種明かしもへぇー!と感心。

    テロルとは何か。調べてみた。
    テロルはドイツ語。テロはテロリズムという英語から来た略語。

    連続凍死の謎から爆弾テロリズムへ。
    ジェットコースター的展開であっという間に読破できる。面白かった。

  • 背ラベル:913.6-チ-16

  • 「熱帯夜のアイスマン」
    凍死した理由。
    残暑が残っているというのに低体温になっているだけでなく、下着一枚だった点について全て酒のせいでいいのだろうか。
    あまりにも手際よく存在を消すかのように掃除が行われているが、これは早く終わらせたいだけで特に理由はないのか。

    「氷点下の咆哮」
    新たなるもの。
    遺族の意思を尊重するなら兎も角、明らかに変死体であったというのに解剖をしなかったからこそ起きた殺人だったかもな。
    これだけ完成度の高いものを作り出されたら、解除コードか設置場所を把握出来なければ多大な犠牲が出ていただろう。

    「破滅へのカウントダウン」
    どちらが先か。
    どれだけの覚悟を持って来たのか理解していないからこそ、最終局面でも悠長な考えを捨てきれず賭けに負けたのだろうな。
    瞬間記憶能力があったからこそ解除できたが、あれだけの数字の羅列を目の前で見ていても覚えきれなかっただろうな。

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著者プロフィール

1978年沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。医師。2011年、第4回「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」を受賞し、12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビューする。代表作に、「天久鷹央」シリーズがある。その他著書に、『ブラッドライン』『優しい死神の飼い方』『機械仕掛けの太陽』『祈りのカルテ』「放課後ミステリクラブ」シリーズ等がある。

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