枕元の本棚 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 296
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408555430

作品紹介・あらすじ

人気芥川賞作家が、幼少期以来の愛読書や創作の源となっている本など58冊を精選して紹介。「目からウロコ」の読書エッセイ集!

感想・レビュー・書評

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  • 芥川賞作家の津村記久子さんが、独自の感性でセレクトした58冊の読書案内。

    津村記久子さんの本の紹介本、あるいは読書エッセイ。
    自分の思い出や感じたことに絡めて、この本はこういうところが好き。こういうところが面白い。こういうところが素晴らしいと紹介しているのがとても良いです。
    本当に好きな本なんだなぁと思えて、普段の趣味から外れた本でもぜひ読んでみたくなる。例えば、私はオリンピックやワールドカップ、WBCなどの時期でもほぼ中継やニュースを見ないくらい普段スポーツに関心がないのですが、「スポーツの本」の章を読んでいると何だかとても楽しそうに思えてきます。新しいものに興味が湧くのは、なんだかとっても素敵な感覚。

    「開いたページを読んでみる」の章も楽しいです。
    津村さんは図鑑などをぱらぱら読むのが好きだそうで、どこから読んでも楽しい本が一番ページを割いて何冊も紹介されています。ぱらぱら開いたページを読むのは、もったいない気がしてあまりしたことがないのですが、一冊を通して読むのとはまた別の、大げさに言うと背徳的な楽しさがありそう。

    また、わたしの小さいころの思い出の本も紹介されていたのもうれしかったです。
    五味太郎さんの『ことわざ絵本』。祖父母に買ってもらって、繰り返し眺めていました。一般的なことわざは全てこの本で知った気がします。五味太郎さんの絵本は色々持っていましたけど、この本と『正しい暮し方読本』を繰り返して読んでいました。ちょっと漫画みたいで楽しいんですよね。

  • 津村記久子さんの読書エッセイ。
    やっぱり津村さんの文章が大好き。
    津村さんって、静かに面白い話をしてくれるんです。
    大げさな感じが一切ないし、賑やかでもないのにすごく面白くて、じわじわと癖になる。
    この読書エッセイも津村さんワールド全開ですごく楽しく読めました。

  • とても面白かったー。エッセイというか、自分の体験と絡めて書かれる本の紹介、というジャンルがけっこう好きだな、と最近気づいた。あれもこれも読みたいと自分の心が動くのも楽しいし、もし自分も読んだことのある本なら、こんなことを考えながら読めるんだ!と新鮮に感じたりもする。
    「開いたページを読んでみる」「眺めるための本」のところがとくにおもしろい。図鑑・辞典的なものは私も好きで、その2点から買った本(そして結構な確率で目を通しきれていない本)はいくつもある。でもそういう、いつでも読める本を持っておくことがセーフティネットみたいになっているな~。
    五味太郎「ことわざ絵本」が紹介されていたのが嬉しかった。私も「今自分が知っていることわざを覚えたのはすべて、他でもないこの本と、『PART-2』からだった」から。ひとつのことわざを「五味さん的に解釈したフレーズ」が併せて載っているのがとても面白かった。あー、この本、実家から回収してこようかな。

  • やりなおし世界文学 | 考える人| シンプルな暮らし、自分の頭で考える力。知の楽しみにあふれたWebマガジン。 | 新潮社
    https://kangaeruhito.jp/articlecat/worldliterature

    枕元の本棚|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-55543-0

  • 最近似たようなジャンルの本ばかり読んでいて勝手に「怪奇幻想疲れ」をしてしまったので息抜きに。(しかしこのあと積んでる本も怪奇幻想系ばかり・・・)

    絵本と児童書/ごはんと生活/開いたページを読んでみる/眺めるための本/このぐらい頭がよかったらなあ/スポーツの本、と、いくつかのジャンルごとに章だてしてあるけれど、予想に反して全くと言っていいほど「小説」の書評がなかったのは意外でした。でもそれが逆に良かったというか、自分ではあまり読まないジャンルに、こんな面白い本があるのかとわくわくしながら読みました。

    紹介されている本の大半が、著者の好みである「どこからでも読める本」で、つまり図鑑や事典、博覧誌、レシピ本やマメ知識系、写真、画集やエッセイなどで、何か読みたいけど何を読みたいかわからない、疲れていて長い物語を読む元気はないときなどに、ちょっと手に取って気軽に読めるもの。

    確かに、いくら読もうとしても文字を追うだけで全然頭に入ってこないときや、自分の気分(何を読みたいか)がはっきりしないとき、集中力が続かないときなど、私も読む本に困ることがあるので、なるほどそういうときに読める手軽なお気に入りの本があるのはいいかも。

    現にいま私自身、自分が好きでそのジャンルの本を選んでいるくせに勝手に怪奇幻想疲れをしているので、ひとつのエッセイが4頁程度のこの本こそが、私にとっての「どこからでもどんなテンションのときでも気軽に読める本」として有効でした。さてまた吸血鬼と幽霊とゾンビと精神異常者と不条理不可思議だらけの世界に戻るか・・・。

  • 普通に過ごしていてなかなか手に取らなそうな本の書評。
    作家が取材以外に、情報収集するための本ってこういう本なのかと垣間見えた気がする。

  • 大好きな作家の書評エッセイを読むのはまたとりわけウレシイものだ。6年ぶりくらいの再読だがこんな本も取り上げてたんだという驚きもあり、小説を読むのと同様の津村さんの文章を読む喜びも存分に味わえて、おまけに読みたいと思う本も新たに発見した。

  • 津村さんらしい筆致が好き。どの本も読みたくなる。

  • 書評本、ブックレビュー、ブックガイド。
    いろいろ読んできたけれど、この本ほど、作家のする読書の特異性を感じたものはなかったなあ。

    第一章の「絵本と児童書」ではまだそれほど自分との違いを感じなかった。
    それよりも最初の一冊が「デブの国ノッポの国」で、懐かし~とテンションが上がり、次の一冊に「マガーク少年探偵団」が来た時点で、この著者は私と大変読書の趣味が似通っていると錯覚してしまった。
    その後も「図鑑が好き」の記載に激しく同意(わたしが幼稚園時代に一番好きだった本は動物図鑑)し、妖精事典や歳時記や哲学入門など、私の好きなジャンルの本がこれでもかと出てくる。

    ついうっかり楽しい本だなあとへらへら読んでいたけれど、読み進むにつれ、著者が本から何かを吸収しようという、読書に対する集中力がすごいことに気づく。
    本人は気楽に読んで、すぐ忘れるなんて書いているけれど、いやいや、絶対自分の血肉にして、作品に昇華させてるよ。
    作家って、こんなふうに本を読むのか…と思い知る。

    作家の書いた読書日記やレビューは今までも読んだことあるけれど、皆さんプロとして、本の紹介に徹しているわけですね。
    で、なかでも津村さんは、紹介の仕方がハンパなく真面目で、要点に漏れなし。
    どれだけ丁寧に読み込んでポイントを把握しているのか。
    読者として読み、作家の眼で読む。
    読者としての眼しか持たない私は、きっと少し損をしている。
    そこはかとなく悲しい気持ちに襲われかけたけど、やっぱりこの本は面白い。
    読書は全般に楽しい。
    うん。これでいいではないか。

    ちょうど未読のまま本棚にある本が紹介されていたので、明日からはそれを読もう。書評本、ブックレビュー、ブックガイド。
    いろいろ読んできたけれど、この本ほど、作家のする読書の特異性を感じたものはなかったなあ。

    第一章の「絵本と児童書」ではまだそれほど自分との違いを感じなかった。
    それよりも最初の一冊が「デブの国ノッポの国」で、懐かし~とテンションが上がり、次の一冊に「マガーク少年探偵団」が来た時点で、この著者は私と大変読書の趣味が似通っていると錯覚してしまった。
    その後も「図鑑が好き」の記載に激しく同意(わたしが幼稚園時代に一番好きだった本は動物図鑑)し、妖精事典や歳時記や哲学入門など、私の好きなジャンルの本がこれでもかと出てくる。

    ついうっかり楽しい本だなあとへらへら読んでいたけれど、読み進むにつれ、著者が本から何かを吸収しようという、読書に対する集中力がすごいことに気づく。
    本人は気楽に読んで、すぐ忘れるなんて書いているけれど、いやいや、絶対自分の血肉にして、作品に昇華させてるよ。
    作家って、こんなふうに本を読むのか…と思い知る。

    作家の書いた読書日記やレビューは今までも読んだことあるけれど、皆さんプロとして、本の紹介に徹しているわけですね。
    で、なかでも津村さんは、紹介の仕方がハンパなく真面目で、要点に漏れなし。
    どれだけ丁寧に読み込んでポイントを把握しているのか。
    読者として読み、作家の眼で読む。
    読者としての眼しか持たない私は、きっと少し損をしている。
    そこはかとなく悲しい気持ちに襲われかけたけど、やっぱりこの本は面白い。
    読書は全般に楽しい。
    うん。これでいいではないか。

    ちょうど未読のまま本棚にある本が紹介されていたので、明日からはそれを読もう。

  • 図鑑などが多いのが特徴?

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2019年『ディス・イズ・ザ・デイ』でサッカー本大賞など。他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『水車小屋のネネ』などがある。

「2023年 『うどん陣営の受難』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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