モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)

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  • 実業之日本社
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感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408550602

感想・レビュー・書評

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  • さくさく読める、読みやすい。
    日常の謎系。

    キリコが自然と暴いていく感じが好き。
    文章も読みやすく3時間以内で読み切れる。

    人との関わりも感じられる作品。

  • 「キリコちゃんって、どうしてここで働いているの?」
    という問いに対して、くすりと笑って
    「このビルから見る朝焼けが、すごくきれいなの」
    と答えるキリコちゃん

    いつも明るくてきぱきと作業をし、他人のお悩み相談を引き受けているかのようなキリコちゃんが、初めて人間の弱さを見せる
    悲しい出来事があったのだ
    そして、それを自分のせいだと責め続けていた

    キラキラと輝いて悩みなどないかのように見えていたキリコちゃんの弱さを知り、ますます好きになった

    また、今回取り上げられた話で、犬の繁殖の問題や
    MBP (代理によるミュンヒハウゼン症候群) という病気を知り、考えさせられることが多かった

  • 女清掃員探偵キリコシリーズ。3作目だったけれど1、2作目が図書館になかったので…でも、短編集なので途中から読んでも十分楽しめた。
    キリコは事件を何気なく解決しながらも、そっと寄り添ってくれるような存在。真実を暴くけれど攻撃性がないというか。人に対して心から優しいんだろうな。キリコのような存在が近くにいてくれたらいいのにな~と思った。

  • 清掃作業員、キリコによる、短編ミステリー。
    少々強引な所はあるけど、作者の物語にする題材と、それをもう一捻りする工夫が冴えています。「水の中の悪意」は入浴剤の使い方でやけどの症状となること、「愛しの女王様」では、猫の交配には骨瘤という遺伝病となることから禁止されているかけ合わせがあること、「第二病棟の魔女」では別の人間を病気に仕立てるミュンヒハウゼン症候群という病気のこと。
    個人的にはキリコの関わり方がやや薄くて若干物足りなさを感じる。清掃作業員でなくても深夜勤務の人なら誰でもよさそうな気も。

  • 清掃作業員・キリコシリーズ第3弾。
    近藤さんのライトミステリーはさらさら~っと読めて好きです。

  • 「実業之日本社文庫初登場!」とあったので
    シリーズ第一作だと思い込んで読んでみたら、なんと三作目で
    相変わらずの粗忽さに、「私のおばかー!」と叫んだのはヒミツですが

    ある時はフリフリの黒のドレスに白いエプロンのロリータファッション、
    ある時はビーズのネックレスをじゃらじゃらつけたエスニック風、
    またある時は黒のパフスリーブのトップスと赤地に白い水玉のスカートで
    ミニーマウス風。。。と
    清掃員の仕事の時にもおしゃれを欠かさない
    おだんごヘアのキリコが、とてもキュートです♪

    ペットショップでガラス越しに目が合った仔猫に運命を感じて
    「あの小さな王女様に奉仕したい!」と
    昼も夜も土日も休まずバイトに精を出す女の子のお話に
    うんうん、と頷きながら涙し、

    小児病棟での「代理によるミュンヒハウゼン症候群」の
    痛ましい実態を知って愕然とし、
    そんな悲劇を利用して自分に有利な結果を導こうとする
    卑劣な大人達に怒りを滾らせながら

    キリコと最愛の旦那さまとの馴れ初めを知りたくて
    早くもシリーズの1、2作目を図書館でサーチする私でした。

  • p225
    本や道具を持っているのは大人で、なにも持っていないのは子供。・・・
    「・・・ふだんは大人が大人が子供にいろんなことを教えて、無理なことからは守ってあげる・・・子供のリュックの中にも、いろんな道具や本が少しずつ増えていくの。だけど、ときどき、そんなふうに大人が守ってあげられないことがあるんだよね。たとえば、学校の中のこととか。」
    ・・・
    教師や親などの大人が、善意で介入しても、それは不可解な化学反応を起こす。大人に守られたことで、いじめがよけいにひどくなることだって、少なくないのだ。戦えばなんとかなるというものでもなく、ただ、耐えれば終わるというものではない。

  • キリコちゃんシリーズ?を初めて読んだ!
    めちゃくちゃ面白いではないか!
    近藤史恵さんの文体は、とても読みやすいリブミカルナ文体だし、内容もかわいい。
    事件物を扱っているのに、かわいいというのは、いかがなものかと思うが、とにかくかわいい。

  • 目次
    ・水の中の悪意
    ・愛しの王女様
    ・第二病棟の魔女
    ・コーヒーを一杯

    相変わらずキリコが夜間清掃をする場所での謎解きの話なんだけれど、作品の中で時間が流れているのがわかる。
    シリーズ一巻目の最後に結婚して、二巻目の最後の話でその後の結婚生活がちょっと出たけれども、このまま出先での謎解きがメインなら、結婚した意味があまりないかなあと思ったけれど、今回はよかったな。
    キリコの家庭が見えてくることで、キリコが悩むこともあり、人物が立体的になるので。

    でも、何度も言うけど、日常の謎系に殺人はいらんのじゃ。

    『第二病棟の魔女』は、自分が小学生の頃に入院した時のことを思い出して、複雑な思いに。
    難病に苦しむ娘に「将来結婚できなかったら、お母さんのせいだ」という母親。
    自分を責める気持ちに嘘はないと思うけれど、その言葉が娘を傷つけていることには気づけない。
    私も「将来子どもを産むことはできないかもしれないと覚悟しておきなさい」と言われたな。
    子ども好きだったから後にショックを受けないようにという親心だったのだけれど、根拠のない脅しでしたね。
    幸い私に感受性がなかった(母の言)ため心の傷にはならなかったけれど。

    看護師も人間だからいろいろあるだろうけれど、患者の子どもたちを傷つけるのは許せない。
    体の傷も、心の傷も。

  • キリコというキュートな少女のような女性の清掃作業員が、事件を解決に導く。人間の弱さから、人を傷つけたり、最終話では殺めたりしながらも、謎解きがなされ、解決する時には、そんな人間の弱さまで愛しく感じるような、ほっこりする読後感である。シリーズ物なので、他のも読んでみたいと思います。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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