ラストナイト

著者 :
  • 実業之日本社
3.76
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感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536903

作品紹介・あらすじ

菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。かつてこの店で傷害事件を起こしてから、自身の妻とも離婚し、32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめない-。著者新境地!魂を震わす衝撃のミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • むなしい…。
    なんで?どうして別の生き方ができなかったの?
    そう聞いてみたい。
    だって、あなたにはまだ「ひかり」がいるじゃない。
    そう気づかせてあげたい。

    顔中に入れ墨をした理由は何なのか。
    なぜ何度も何度も、軽い罪を犯しては刑務所に入るのか。
    やはり、一度犯罪に手を染めた者は、変わることはできないのか。
    先が気になって仕方なかった。

    気になったのは、各章ごとに違う人物の視点から、また同じ場面が繰り返される書き方。
    とらえ方の違いがわかって、それはそれでいい半面、
    一気に読み進めたい流れが途切れてしまうことが残念だった。

    はたして、「ひかり」は真実を知ったほうがいいのだろうか…
    最後に父に向けて放った言葉を、後悔して苦しむのではないだろうか…

    狂気ともいえる一途な執念が、あまりに哀しく、やるせなかった。

  • またまたやってしまいました。大好きな作家、薬丸岳さん、今度はなんと5人の視点から見た表現方法で何度も同じ場面が出てきます。これはなんて新鮮な試みなんでしょう。読んでいて興奮冷めやらなかったです。復讐のために32年間、罪を犯してまでも刑務所に出たり入ったり、こんなことがあっていいんでしょうか?くわしくは読んであなたも興奮して下さい。涙して下さい。感動して下さい。

  • 居酒屋「菊屋」を営む菊池のもとに、古くからの友人片桐が突然あらわれた。
    片桐は32年間、妻子と別れ、繰り返し罪を犯し、刑務所を出たり入ったり。
    その風貌は異様。
    顔中に入れ墨、左手は義手。
    片桐が店を訪ねてくるとを常連客は嫌っているが、菊池には拒まない。
    片桐と菊池の関係は…
    片桐はなぜ顔中に入れ墨をいれたのか…
    刑務所を出入りするわけとは…
    切ないラスト。

    薬丸さんのミステリーは面白い。

  • 各章で主役が替わる。
    話の軸は一緒だけど、目線が替わり少しずつ軸が明確になっていく物語。
    なんで?って思いながら、続きが気になって一気読みしちゃいました。
    なんとも切ないお話。
    エピローグで泣けた。
    いつか伝わって欲しいと思って。
    それだけが救い。

  • 顏には豹柄模様の刺青、左手は義手。
    菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、古い友人で刑務所を出所したばかりの片桐達夫が現れた。
    かつてこの店で傷害事件を起こしてから、妻とも離婚し、
    32年もの間に何度も犯罪に手を染めてきた男だ。
    獣のような雰囲気は人を怯えさせ、刺青に隠された表情からは本心が全くつかめないー。
    何故、彼は罪を重ねるのか?

    59歳になるまで、人生の半分以上を刑務所で過ごしてきた片桐達夫。
    始まりは32年前の事件だった。
    27歳の時に友人である菊池の居酒屋「菊屋」で菊池が店を空けてる時に、菊池の妻を
    因縁をつけるチンピラから守るため、相手を刺してしまった。
    それまでの幸せな妻子との生活が一転する。
    その後は、妻子とも離婚し、絵に描いた様な転落人生。
    何度も罪を重ねては刑務所に入り、また罪を繰り返す。
    そんな一人の男・片桐を巡る物語。
    初めて罪を犯してから、その迄の真面目で人柄の良かった彼が
    こんなにも変わってしまったのか?
    どうして顏一面に豹柄模様の刺青を入れるなんて事をしたのか?
    重ねる罪もすぐに捕まる様なもので変だなぁ…。
    極悪人の様でそうとも思えない行動や言動…一体何を考えているんだろう。
    凄く不思議で惹きつけられて頁を捲る手が止まらなかった。

    宮城刑務所を出所後の数日間を、片桐の周囲の5人の立場で、視点で描いていて
    同じ風景も視点が変わると違って見えて来る。
    それも面白かったし、凄い描き方だなぁって思った。
    明らかになった片桐の本当の目的…胸が苦しくなる程の衝撃。
    その為に、顔一面に豹柄模様の刺青を入れるなんて…。
    その為に、自らの左手を切断し全国の刑務所に入っていたなんて…。
    余りにも凄まじい決意と行動。
    切な過ぎます…。悲し過ぎます…。
    子供との幸せに一生を過ごす事も出来たはずなのに…。
    違う生き方を選んで欲しかった。
    でも、きっとひかりちゃんにも周りの人にも誤解は解けるはずですよね。
    やっぱり、薬丸さん素晴らしかったです(*˙︶˙*)☆

    • 杜のうさこさん
      しのさん、こんばんは~♪

      読みましたよ~。
      これでやっと、しのさんのレビューが読めます。
      本当に、切なかったですね…。
      違う生き...
      しのさん、こんばんは~♪

      読みましたよ~。
      これでやっと、しのさんのレビューが読めます。
      本当に、切なかったですね…。
      違う生き方、選んで欲しかったです。

      それと、竜崎さん恋バナのつづき。
      こちらにお返事を。

      第三弾・あの竜崎が恋をした!あのお話は衝撃でしたよね~。
      私も、自分の感情に戸惑っておろおろする竜崎さん、見たくなかったです(>_<)。
      彼も人間だったのね…と広い心で受け止めてあげましたが…(笑)。

      しのさん、ドラマはご覧になりましたか?
      私は視てたんですが…。
      ずっと自分の脳内で勝手に思い描いていた俳優さんがいたためか、
      今一つ盛り上がらなくて…。
      なにかにつけて、映像化の配役にはうるさいです!(笑)
      2016/11/05
    • しのさん
      こんばんは♪
      うんうん、レビュー拝見しました~。
      私と同じように感じてたんだって嬉しかったです♪
      そうだよね~そんな苦しい道を選らばな...
      こんばんは♪
      うんうん、レビュー拝見しました~。
      私と同じように感じてたんだって嬉しかったです♪
      そうだよね~そんな苦しい道を選らばなくってもひかりちゃんと一緒に幸せに暮らす道を選べは良かったのにね…。

      竜崎さんの恋のお話のお返事も早速にありがとうございます。
      そうなんですよ~仕事もいつもの様に冴えず中学生の様におろおろしてる姿は、微笑ましい様で…ちょっと…って思っちゃった。
      でも、最後は元の竜崎さんに戻ったので私も広い心で許してあげました(笑)

      えーーーーーっ、ドラマをやってたの?
      全然知らなかったです~ショック。
      観たかったです…泣
      うんうん、あるある!映像化された時に全く違うイメージの俳優さんが演じてガッカリする事…杜のうさこさんは読んでる時から竜崎さんを脳内変換してたからがっかり度は半端なかったでしょうね。
      おおぉぉー配役にうるさいんだね~でもその気持ち凄く共感出来まくりです(笑)
      2016/11/05
  • 登場人物の視点を章立てにしながら、主人公の行動を追い、そして章立てが進むにつれその行動の詳細が明らかになり、ラストには衝撃のその行動の理由がわかるという凝った構成。

    確かに同じシーンを登場人物の視点を変えながら描くので同じシーンや会話の繰り返しが各章の中に何度か出てきてもどかしいのですが、映像を想像しながら読むと視点が変わることによる状況の感じ方も前章を読んだ時とは若干変わるので、人物をより身近に感じて面白さが深まっていきます。

    ドラマで見てみたいようなストーリーですね。でもこんな主人公、現実感ないでしょうね。それだけに主人公の愛と孤独の深さにラストは涙、涙でした。薬丸さんのミステリーを読んでこれほど泣かされるとは思ってなかったです。
    本当に面白い話を書かれる作家さんですね。
    面白いだけでなくいつも考えさせられるところも好きです。

  • 何度も罪を重ねては、刑務所に入り、出所後、また罪を繰り返す・・・そんな一人の男・片桐を巡る物語。宮城刑務所を出所後の数日間を、周囲の人物の立場で描いていくと言う今までの薬丸岳にはない手法。もっと心理の深い部分を描くこの作家さんとしては、今回はライトな感じで読める。ただ、真実はやはり深い部分にあり、ラストは切ない気分にさせられる。

  • 夢中になって読みました!
    話ごとに出てくる些細な人物が次の話の主となり、どんどんと真実が明らかになっていく過程がおもしろかった!
    すべての真実が明らかになったあとの最後の結末は切なかったけれど、人生をかけた復讐を果たせて良かったとも思いました。

  •  薬丸岳さんの作品の中でもかなり好きなものとなりました。犯罪は絶対的ににいけないことだけど、罪を犯すものの悲しさ、支える人の暖かさが、薬丸岳さんの作品にはいつもありますが、これは特にそう感じます。登場人物全員が辛い事と向き合っていますが、最後は少し安心できる終わり方です。「そうきたか、、」というかんじです。

  • 顔一面に刺青を入れ、犯罪を犯しては刑務所を出たり入ったりしている片桐。
    彼の秘密とは。

    片桐の周囲にいる人達の目線で各章が語られる手法。
    あそこはこうだったんだ、という答え合わせが楽しかった。
    片桐の秘密は、とっても悲しい。
    そこまですることなのか、と思いながらも、片桐の気持ちを考えると、それほどのことなのだと思わされる。

    著者の作品はとても読みやすく、心に響くものが多く大変好みです。
    今回も良い出会いでした。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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