いつか、あなたも

著者 :
  • 実業之日本社
3.72
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本棚登録 : 243
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536507

作品紹介・あらすじ

在宅医療専門クリニック看護師の"わたし"と新米医師、院長らが、患者本人と家族、病とその終焉に向き合う。膵臓がん患者の60代女性が亡くなった。看護師のわたしは新米医師に死後処置-遺体への綿のつめ方を教えることに-(『綿をつめる』)。在宅医療は老人ばかりではない。26歳、統合失調症に見える女性がわたしに投げかけた言葉「いつか、あなたも」の意味は-(『いつか、あなたも』)。終末医療、看取り、安楽死、死後処置…カルテに書かれない六つの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 在宅医療専門の「あすなろクリニック」の看護師や医師が、より良い最期を患者さんが迎えられるように力を尽くす日々を、短編集のような形で描いている。
    綺麗事ではない在宅介護の現実が、ほぼ実話に基づいて書かれており、本当に考えさせられる。
    辛い話でもあるのだが、病と戦う患者さんと家族の姿に、他人事ではない人間の最期に自分自身新たな思いが生まれてくるような気がしました。

  • 人間は不平等なものだが、ひとつだけ平等なものがあるとしたら、誰でも1回は絶対死ぬということだろう。でもその死に方は決して平等ではなく、大往生で安らかにピンピンコロリを上等としたら、親に虐待されて死ぬ子供や強盗に押し込まれて殺される被害者、災害で、戦争で、いじめで自殺…

    この本では、在宅看護で死をみとる訪問医療の現実をリアルに描く。「良かったねぇ」の死にざまなどほとんどない。特に最終話、ハッピーエンドと思いきやの大苦のラスト…、何もこんな終わり方にしなくとも…と思ったが、作者は敢えてこれを伝えたかったのだと思う。

    いつか俺も死ぬんだが、できれば苦しみは少なくしてほしいし、何より誰かがしんどい思いをすることができるだけ少なくあってほしい。娘や妻が俺の介護でしんどい思いをして人生の長い時間を無駄にするくらいなら、安楽死させてほしい、と切実に思えた1冊。

    安易に死を選ぶことは良くないが、命を長らえさせるのだけが正義なのか?常に考えておきたい。

  • 在宅医療に関する短編6編。
    最期を自宅で迎えたいと誰しもが考えるのではないだろうか。
    住み慣れた家で家族が側にいてくれればかなり落ち着けそうだもの。
    自分の最期もそうありたいなぁ。
    それに付き合ってくれる医師、看護師さんの苦労は大変なものだろうな。それでも、在宅医療を望む患者がいるならばぜひにも協力して欲しいわ〜。
    それにしても、最期まで痛みに苦しむのはちょっとキツイ。
    なんとかならないものだろうか。

  • 在宅医療でも様々な患者がいて苦労も多いし、どんなケアするのか知りたくてノンフィクションとあったので手に取る。
    内容は介護をしてる方々そこまで苦労しているようにみられず、お金に余裕がある患者が在宅医療を受けるのだろうか?と無知な自分は最下層で余裕のない人が在宅医療を受けていると思っていたので驚きと、自分の家では当てはめれないけど話は医師や看護師の思いや内容が優しい、温かい雰囲気を醸し出していたので読みやすく、有意義な時間を過ごす。

  • リアルな在宅医療

    私も最期は家がいい。

  •  在宅医療で働く看護師が主人公。6人の患者にまつわる在宅医療の短編集。アンハッピーエンドというよりも、在宅医療のリアルがみられる。奇跡的な治療や、劇的な増悪もなく、淡々と在宅医療や看取りが行われていく。あとがきにほとんどが実話を元にしているとあるように、1編1編が非常に生々。そして、現実というのは無常だなとも感じさせる。

  • 在宅医療の難しさがよく分かる作品だと思います。

  • 配置場所:摂枚普通図書
    請求記号:913.6||K
    資料ID:95140979

  • 913

  • 2016.10.13.「綿をつめる」「罪滅ぼし」「オカリナの夜」「アロエの力」「いつかあなたも」「セカンドベスト」終末医療に携わる医院の新米医師、院長、看護師の奮闘を描いた作品。「いつかあなたも」以外は作家さんの実体験を元に描かれたというだけあり、きれいごとだけではなく説得力があった。

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著者プロフィール

医師・作家・大阪人間科学大学教授

「2016年 『とまどう男たち―死に方編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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