- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408535340
作品紹介・あらすじ
入学、一人暮らし、新しい友人、麻雀、合コン…。学生生活を楽しむ五人の大学生が、社会という"砂漠"に囲まれた"オアシス"で超能力に遭遇し、不穏な犯罪者に翻弄され、まばたきする間に過ぎゆく日々を送っていく-。
感想・レビュー・書評
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ひとりひとりのキャラクターが良かった。
これぞまさしく青春って感じで、こんな大学生活をおくれたら、それは一生の財産だろうと思う。
とは言え、どんな時間も、どんな期間も、それぞれかけがえのない時間の積み重ねなのだと思う。
こうして、ある期間を切り取って、描いてみせるから、かけがえのない時間に見えるけれど、本当は自分が過ごしている一瞬一瞬も、小説のようにかけがえのない時間だということを知っておきたいと、改めて思った。
「砂漠」とは、本当にいい題名をつけたものだと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
伊坂幸太郎を初めて読んでみた。
読み終わったあとの何とも言えない「ふわっ」とした感じが印象的だった。
それが、大学生活への憧れなのか、
今の自分とは対照的なダラっとした生活への憧れなのか、
そのどちらもなのか、
あるいは他の何かなのか。
ただ、そこに一貫してある「青春臭さ」がこの小説の根幹だと思うし、
それがたまらなくよかった。 -
東堂、南、西嶋、北村、鳥井、5人の学生を中心に入学から卒業までを描いた作品。麻雀で集まった5人、何となくノンポリ学生の怠惰な生活なのかと思っていると、そうでもない。犯罪に巻き込まれたり、超能力者までいて、最後はサン・テクジュペリの「人間の土地」に辿り着く。
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今回が2回目だったが、前回よりぐっときた。大学生のとき、または大学生になる前に読みたかった。そうしたらもっと充実した大学生活を送れただろうと思う。でも今からでも遅くない。大学生じゃなくても、いくつになっても、西嶋みたいに生きることができる。
ブレない西嶋、かっこいい。 -
北原に西嶋に南に東堂に鳥居。
サンテグジュペリの「人間の土地」 -
麻雀が分からないのでそこはスルーしても、読む価値有り。
俯瞰型の私は、きっと北村と同じ感じ。
ミステリーじゃないですね。
エンターテイメントですね。
娯楽というには語弊があるかな。
大学生5人の青春小説というと薄っぺらく聞こえるけど、こんな大学生活を送ってみたかったと思う。
なんてことは、まるでない。 -
誰の心境が一番わかったか、といえば、幹事の莞爾くんだった。
もちろん私には、あんな華やかさはないけれど、
大学時代にも、高校時代にも、中学時代にも、小学校時代にも、もしかしたら幼稚園時代にも、
「ああ、あのグループの一員になって、学生生活を送りたかったな」という、憧れのグループがあった。決して現状の友人に不満なわけではなかったはずだけれど、そして、それなりの学生生活を送っていたはずだけれど、憧憬してしまうグループというのが、どの時代にもあった。
伊坂幸太郎にもあったのかな。それが、莞爾くんにあの一言を言わせたのかな。その部分が、すごく、すごーく、人間臭く、この人間臭さがもっともっと出てもいいのに、伊坂小説には、とも思う。
何を読んでもスマートで、スタイリッシュで、つるんとしていて、たとえば「あいつ死ねばいいのに」という感情を描写している最中でさえ爽やかで、一体いつになったらこの人は、人間の業みたいなものを描き出すんだろう、と思っていたので(年齢的にも、そろそろそこに踏み込んでもいいんじゃないかな)、その片鱗というか、兆しというものか、とにかく垣間見えてよかったです。
学生生活は良かったなぁ、とは言わない。意地でも。そんな惨めなセリフ吐くくらいならやせ我慢でもして、今が一番って言いますよ。そのくらいのプライドはまだまだあるよ。 -
大変面白かった。これもまた愛すべきキャラたちと、会話の面白さとセンス。西嶋の強烈なキャラはダントツ。その人の付き合っている友達を見れば、その人なりもよくわかるものだ、と私の父が生前よく言っていたが、友は一生の宝。なかなかそんな友に巡り合う人は数多くないのではないか。特に女は。私は巡り会えましたが。…レビューと反れた…とにかくちょっとホロホロさせられる場面もあり、オススメです。
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西嶋と友達になりたい。