- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408534985
作品紹介・あらすじ
トレーラーの走行中に外れたタイヤは凶器と化し、通りがかりの母子を襲った。タイヤが飛んだ原因は「整備不良」なのか、それとも…。自動車会社、銀行、警察、週刊誌記者、被害者の家族…事故に関わった人それぞれの思惑と苦悩。そして「容疑者」と目された運送会社の社長が、家族・仲間とともにたったひとつの事故の真相に迫る、果てなき試練と格闘の数か月。
感想・レビュー・書評
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ハードカバーで489Pに及ぶ長編。そして、しかも、2段組!!この作品を手にしたとき、あまりのボリュームに「ひいっ!!」って、なったけど、ボリュームの多さなんて関係なし。むしろ、この作品を途中でやめられる御仁がいたら、お目にかかりたいくらい(笑) 読んだ後の達成感とすっきり感は、はんぱないです。
「下町ロケット」と設定同じなのに、なんでこんなに面白いかな。
会社とは、人である。人に誠実に対峙するところから金が生まれる。そして、働く者は、余すところなく皆、戦士である。そう感じた。
私も、戦士であり続けたい。 -
すごいなーこの人は、どんだけ資料を読み込みどんだけ取材しているんだろう、と思わず感服してしまいました。
トラックの脱輪事故で死者を出してしまった赤松運送、件のトラックの製造社で事故後調査で整備不良と結論したホープ自動車、赤松運送の取引銀行で融資を担当する東京ホープ銀行、
それぞれの立場と思惑としがらみが絡み合って、いろんな人が暗躍して、なかなか汚い企業の裏側が透けて見えてきます。
事故原因は整備不良ではなく部品の欠陥であり、本来ならばリコールすべき重大問題を隠蔽し責任逃れをしているホープ自動車の闇を暴く、というのが主な流れです。
が、正義感みなぎるヒーローが巨大企業の悪と戦うってバリバリな感じじゃないところがすごくリアルで面白い。
悩んで、もがいても、どうにもならず万事休す…ってところからの起死回生の挽回ぶりが読んでいて気持ちいい。
結末は予定調和だけど、やっぱり目頭がジーンと熱くなりました。
赤松さん、PTA会長という父親の顔も素敵だったなぁ。
vs女王蜂の戦いも興味深かったです。 -
2段組で500ページ弱
文字のボリューム以上に内容が重厚なものでした
それなのに一日で一気読みできるぐらい続きが気になって仕方がない
好きな作家さんが増えた一冊でした -
遅ればせながら読みました。2006年に出た本だけど大規模車メーカーの欠陥隠しが題材だけに今でも十二分に面白い。いつもの通りテンポ良く小気味良く展開するので上下2段組みで500ページ弱の厚味だけど一気に読了。折しも映画化されて公開中だが観ていないから配役陣のイメージに引き摺られることなくて良かったと思う 笑。やはり企業小説を書かせたらピカ一ですね♪
かつて三菱銀行に勤めていた池井戸さんだから企業イメージしやすいのでしょうか?フィクションの筈なのに実話を連想してしまいそうになりますね。 -
風神 雷神の顔があんなに怖いのは、
<邪気>を払おうと、
<悪>に対して威嚇している為だ。
…と、以前聞いた話をぼんやりと思い出していた。
走行中であった『赤松運送』のトレーラーから外れた車輪が、運悪く母子を直撃。
子は軽症であったものの、母親は死亡。
あまりにも不運すぎる事故に打ちひしがれた家族の怒りは、当然母の命を奪った運送会社の社長『赤松』に向けられる。
(事故の原因)などどうでも良い、起こった事実のみで、評価を下す世間からのバッシングも、
実は<非が無かった>赤松運送を追い込み、
彼の会社は風前の灯となってしまう。
だが、
実はトレーラー自体に問題があり、諸悪の根源は、
誰もが名を知る、大手自動車会社の方にあり、と知ってからの赤松は吠えた。
中小企業のいわば、<弱者>が、
大手企業にいくら噛み付いたところで、痛くもかゆくもないだろう。
それでも、諦めなかった赤松の姿がなんだか、
私には『赤鬼』に見え始め、
最後にはこの会社に巣食う邪気を払ってくれる、
そんな頼もしさを感じ始めていた。
怖い顔した赤鬼も、本当は弱くて涙もろい事は
絵本『泣いた赤鬼』で、よ~く知っている♪ -
今から10年以上前に読了した小説。もちろん映画した前。様々な闘いを描いた点はとても読み甲斐あり。
お勧めの一冊。
みんな何かしらの正義の元で生きてる。 -
池井戸潤の企業小説です。一気読みしました。企業小説の第一人者が、書いた小説にまず外れはありません。涙あり感激ありで読み応え充分です。題名からは、飛行機の話しかと思いきや、予想もされない内容でした。
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三菱自動車の燃費偽装のニュースに、またか三菱自!との思いから、本書を本棚から手に取る。
9年ぶりの再読となるが、何度読み返しても、胸のすく爽快感に満ちる読後感。
池井戸潤の本領発揮ともいうべき、最近では珍しい2段組みの489頁になる重厚な大著は、2000年に続く04年の三菱自のリコール隠しが題材。
死傷事故の原因を運送会社の整備不良に偽装し、自社の欠陥を隠蔽しようとする大手自動車会社。おのれの信じる心に従い、真相究明のため、その大企業に果敢に戦いを挑む中小企業の社長。
『下町ロケット』とも共通するパターンといえるかもしれないが、こちらは実際にあった事件をベースにしているだけ、よりリアルである。
書中、三菱自を想定する会社を断罪する言葉が語られる。
「ホープ重工という、日本を代表する重厚長大企業の自動車部門から独立したのはかれこれ30年も前のことだが、ホープ自動車はいまだ、親方企業の一部門であったプライドと慢心が捨てきれない。」
「”ホープにあらずんば人にあらず”と言い切って憚らなかった親会社の血潮を、分社化され、隔離されたために、ある意味、もっとも濃厚に受け継いでいるこの部門に属する連中のエリート意識と官僚主義。ともすればコストよりプライドを優先させかねない風土は・・・」等々、枚挙にいとまがない。
公私ともに苦境に立つ主人公は、この障壁を突き破るべく、艱難辛苦の努力をするが、反転攻勢の烽火は、事故を捜査する所轄警察のホープ自動車への家宅捜査から始まる。もちろんこれは、主人公の必至の訴えに捜査刑事の眼が覚まされたから。
「この捜査に賭けているのは警察のプライドなんかじゃない、刑事の魂だ。お前らが賭けているのは金と出世だろうが。そんなもんに負けるかよ・・・」何とも気持ちのいい刑事の決意。
そして、終息はトヨタ自動車を思わせるセントレア自動車への吸収合併となる。
この小説通りになっていたら、今回の事件も起こらなかったのでは、と、つい妄想してしまう(笑) -
2008/3/27 読了
489ページ
今年4冊目の5つ☆
上下2段のものすごい字数なのに、家事も何もかも放置して一日で読了。
読み続けるモチベーションをいかに高く保てるかが読む速さに関係するけど、この作品はその点で全く問題なし。
最後まで切れることなく力強い緊張感があった。
誰もが知ってるある会社のある事件をモチーフに描いている。
報道や裁判等で明らかになっている状況に沿った話の展開だが、登場人物の心情や行動はあくまでフィクションとして読んだ。
主人公は事故に巻き込まれた家族らではなく、事故を引き起こしたトラックを所有する小さな運送会社の社長。
整備不良の審査結果により誹謗中傷を受けながらも、仲間や家族に支えられ名門企業の悪を暴いていく。
社長の子どもの問題も巧妙に本筋に絡めてあり、話に深みを持たせている。
名門企業の利益優先隠匿体質、傲慢さ、油断が隙なく描かれ、勧善懲悪的なラストは爽快だった。
だけど、相変わらず多発する企業の不祥事。
企業の誠意なき謝罪と退任劇。
「またか」と自動車メーカーの事件当初の激震を忘れたかのような消費者。
所詮、物語ほど社会は変わらない…と複雑な気持ちが募る。 -
WOWOWドラマ版もとても面白かったが、小説版も最高に面白かった。かなり分厚くて2段組だったので、読むのにかなり時間がかかるかなと思ったが、あっという間に読み終えた。
実話がベースだけに真に迫るものがあり、この事件を風化させないという筆者の強い意志を感じた。仕事は誠実にするべきだと思う。
池井戸潤の作品は、『下町ロケット』も『空飛ぶタイヤ』も『ルーズベルト・ゲーム』も、とても感動的で...
池井戸潤の作品は、『下町ロケット』も『空飛ぶタイヤ』も『ルーズベルト・ゲーム』も、とても感動的ですが、
私の中では『鉄の骨』が最高傑作だと思っています!(私にとって、2012年のベスト1位です)
男性側の視点、女性側の視点のどちら側に立っても、『鉄の骨』には、
私たち20代の世代にとって、とても共感できるストーリー展開がギュッと詰まっています。
『鉄の骨』を読んだら、是非感想を聞かせてくださいね!
nico314さん同様、私もこの作品が池井戸さんの最高峰です!
企業内の品証のあり方とか大変勉強になり...
nico314さん同様、私もこの作品が池井戸さんの最高峰です!
企業内の品証のあり方とか大変勉強になります。メーカー勤務のサラリーマンには是非読んでほしい1冊ですね。