薔薇忌

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408531281

感想・レビュー・書評

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  • 舞台に関する、現実と幻想の境をさまようお話ばかり。
    舞台も現実も、しょせんは夢のようとふと思わされてしまう。
    いつも舞台袖に佇んでいる幽玄のもののような?

    全編に漂う、切なくて残酷なあれこれよ。
    皆川節。

  • こちらも「作品精華 迷宮ミステリー編」と「溶ける薔薇」を手に取っていたので複数既読済みでしたが、初期皆川博子世界観を余すところなく楽しめる、薔薇の名を冠した耽美さと残酷さを舞台にした、幻惑の短編集でした。タイトルからして凄惨な美に酔いしれてしまう…。
    表題作は、皆川先生作品では姉に執着した弟って割と珍しい気が…。しかし、薔薇と死のにおいが付きまとう男を忘れられない女…っていうのは皆川ロマンだな…。
    「禱鬼」あなたは視られ祈られている。異形の鬼が、愛が、その場所からずっと。
    「紅地獄」めttttttttttっちゃ皆川博子だ…好きだ…。やっぱり皆川文学の惹かれ合う男女は常世では結ばれんのよ…。
    「桔梗合戦」この狂いっぷりも皆川文学だな…。レプリカだったのは、果たして…。
    「翡翠忌」このタイトルも良すぎる…。老嬢が年若い男に心奪われ…みたいなの。いくらでも惨めで暗くできそうなのに、どこか恋着の痛ましさの方が強い…。

  • 美しい腐敗を夢見た劇団員の自死。焼け焦げた飾り櫛の桔梗模様に隠された秘密。きらびやかな舞台衣裳に火をつけた老人の幻想…。妖美の世界を鮮やかに表く巧者の傑作短編集。(アマゾン紹介文)

    薔薇忌
    禱鬼
    紅地獄
    桔梗合戦
    化粧坂
    化鳥
    翡翠忌

    舞台に関係する人々が織りなす短編集。場面設定とお話がしっかりつながっているのは、この方の著作では珍しいような。
    また、その分だけ現実よりなお話が多く、幻想みは薄れ、比較的理解しやすいかと思われます(もちろん、幽玄な世界ではあるのですが)。
    薔薇忌、禱鬼、化鳥が特にお気に入り。

  • 舞台に宿る情念が生きる者の現実を侵食していく妖艶な幻想世界。後を引く味わい。

  • 夏にオススメな怖い本3冊
    …とドコモに薦められたので、読んでみた(その3)

    舞台、芝居に関わる人々のお話。
    怖いというよりは、切ない・・・かも。

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著者プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
1930年旧朝鮮京城市生まれ。東京女子大学英文科中退。73年に「アルカディアの夏」で小説現代新人賞を受賞し、その後は、ミステリ、幻想小説、歴史小説、時代小説を主に創作を続ける。『壁 旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会賞を、『恋紅』で第95回直木賞を、『薔薇忌』で第3回柴田錬三郎賞を、『死の泉』で第32回吉川英治文学賞を、『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』で第12回本格ミステリ大賞を受賞。2013年にはその功績を認められ、第16回日本ミステリー文学大賞に輝き、2015年には文化功労者に選出されるなど、第一線で活躍し続けている。

「2023年 『天涯図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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