月はぼくらの宇宙港

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  • 新日本出版社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784406060646

感想・レビュー・書評

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  • 光村教科書6年生紹介本

    月はどうやってできたのかのいくつかの説、月は何でできているのか、国際ステーションはできるのか?理学博士の著者が、月の科学、人類と月の関わりを児童向けに語る。
    アポロ計画で月研究は進んだが、宇宙飛行士たちが降りたのはあくまでも「月の表側の、地球と通信が通じるところ」なので、実は月の裏側は全く環境が違う。アポロにより月研究は発展もしたら、思い込みも作っちゃったのね。

    著者はJAXA月探索「かぐや」の地形地質カメラグループにも属していたので、打ち上げの様子や成果なども。宇宙で使う機械開発は、地上とは条件が違いすぎるために性能試験ができず、似た環境を作るJAXAの試験設備で実験を行うということ。確かに地上でできても宇宙じゃできないって当たり前ですよね。
    その後「かぐや」は無事に月の調査を終え、月面に落下する。地球には戻れない、宇宙を彷徨わせておくのは危険だということで月に激突させて、それによって起きる穴や月の内部調査にもなるそうだ。今でも月にある「かぐや」は、いつか人類が月面生活をするようになったら月探索時代の証人となるかもしれない。

    月に関して初めて知ったのが、「月震」という地震があること。原因は①地球引力により月が歪む、②隕石の衝突の振動、③昼と夜の温度差により岩石が割れる。
    月で地震ってものすごく大きそうだな∑( ̄[] ̄;)

    人類が太陽系へ足を広げるための宇宙港としての月。近年は「月に水がある!?」として、各国での月探査競争も起こっていますね。
    著者は「冷戦時代の宇宙開発は競争により発達した。これからの時代は各国が協力しあい競い合い調査を進めていこう」と今後の希望も語っている。
    ミニ実験コーナーでは「宇宙で起こっていることを身近なものに例えて実験」することができます。科学が好きな子供の自由研究とかに良いかも。

  • アポロ計画で1969年に月に人類がはじめて到達した。
    それから50年ほどたった今、人類が太陽系へフォロンティアを広げるための宇宙港として、月が注目を集めています。
    地球には環境問題やら戦争やらいろんな問題が山積なのに、なぜ大金をかけて月や惑星を探索するのか。そこに意味はあるのか。
    意味はあるのです。
    地球にいろんな問題があるからこそ、宇宙探査が大切なのです。


    青い地球の写真。アポロから撮った写真を見たことのない人はいないでしょう。この写真で、地球はかけがえのない存在であり、宇宙船地球号というような考え方が生まれました。

    長いスパンで見たとき、地球では何度も大規模な、生命体の絶滅の危機に襲われています。そして産業革命から現代に至るまで、人類が自然破壊をすることで、毎年数千から数万種類もの生命を絶滅させているのではないかと言われています。そしてそれはこれまでの大量絶滅のような何百年もかけたゆっくりした絶滅よりも、もっと早いペースではないのかということです。
    人類には自然を壊せるほどの力がある。けれどまだ、それをどうにかする技術はないのです。
    だからこそ、自然の仕組みを知る必要があるし、地球以外の天体に住む場所を広げておく必要があるのです。



    最新の月の科学を紹介し、人類と月との新しい関わり方を示している他、ミニ実験の紹介なども載っていて楽しい。

    宇宙開発未来図を月へ、太陽系へをひろげる・・・そう、
    何より、本の表裏のイラストにある、「未来の月世界」に描かれた月面の酸素工場、金属工場、宇宙農場ドーム、ブロック工場、原子力電池工場そして宇宙望遠鏡や電波望遠鏡、宇宙船造船ステーションなどなど、
    人間が月面に住んで、宇宙船をそこで作って、さらに世界を広げてゆく足がかりとなる夢が描かれています。
    著者の佐伯和人(さいきかずと)さんは、今から早くて20年後、遅くても50年後に実現すると言います。
    世界の国々が競争したり協力したりして磨いた技術で、人類の活動できる世界を遠く宇宙に広げていきましょう、と。

  • 大人が読んでも面白い、というレビューを見て読んだ。中学受験のネタに良いと思う。
    知らないこともたくさんあって、勉強になった。
    ただし、著者は、自分が小学生や中学生の時に読みたかった内容を詰め込んだ、とのことだが、興味がまったくない小学生だと難しいかもしれない。

  • 第63回読書感想文コンクール中学校の部課題図書。人類が月を研究してきた歴史、内容、なぜ月を研究するのかなどが、わかりやすく書かれています。宇宙研究が地球の環境問題を考えるのにこんなに大切だとは知りませんでした。「宇宙」を学ぶ、仕事にするにはどんな進路を考えるといった宇宙好きの子ども達の知りたいこともさりげなく書かれています。小学生高学年くらいから。

  •  読書感想文コンクール中学生の部の課題図書だが、著者は小学生向けに書いている。だから、漢字にはフリガナがあるというレベルではなく、難しい言葉を極力使わず、理論や数式も使わない。
    大変にわかりやすく、小学校高学年で理科に躓いた子供でもわかる。実証実験も、簡単に家庭ででき、準備も道具もいらず、失敗しないもの。ここまで「下りてきて」書いてくれる研究者は本当に珍しい。頭が下がる。学校の先生もここまで丁寧にやってくれたら理科嫌いも減るのに、と思わずにはいられない。
    易しくわかりやすいからと言って、理科が得意な子どもには物足りないかというと、決してそういうことはなく、最新の研究に基づく将来の展望などもきちんと書かれている。

    これを読むと、勉強に自信がなくても将来宇宙で働けるかも、国と国が政治的駆け引きを超えて協力し合い、宇宙開発が地球の素晴らしい未来を創るかも、という明るい気持ちにさせられるのも、子どもにとっては良い。

    国家がお金を出す以上、政治と無縁ではいられず、利害を抜きに国際協力することはありえないとわかってはいるのだが、子どもには夢を持たせてやりたい。特に小学生には。

    中学も3年位になれば、宇宙開発にかかる莫大なお金をどこから調達するのか、少子高齢化や環境などの目の前の問題にかかるお金とどう折り合いをつけるのか、国家間の協力を促すにはどうしたらいいのかということも考えてほしいとは思う。
    読書感想文コンクールの本としては良い。小学校高学年ではなく、敢えて中学生の課題図書としたところは、理科系の本の感想文を書く子どもが少ないことを考慮したのかもしれない。
    大町駿介のイラストは、少年向け雑誌の未来予想図に夢を描いた昭和生まれにはノスタルジックでたまらない魅力があるのだが、これを読む小中学生は「懐かしい」とは思わないだろうから、ちょっと幼く見えるかもと危惧する。

  • 平成29年度中学生読書感想文課題図書。
    とても読みやすい。今まで義務教育で習ったけれど、何だか良く分からなかった事、月の事や、宇宙全体の事、物理などが理解出来た。(様な気がする)具体的な説明が理解を助ける。例えば、「隕石が大気圏で熱くなる理由が分かる実験」ふむふむ。潮の満ち引きの説明にも、ふむふむと、納得。
    政治を絡めての月探索事情や新しい情報や関連の仕事に就くにはどうすれば良いかなど盛り沢山。月の探索に注力する事が善なのかは、私は分からなかったが、著者の熱い思い、誠実さに感動した。

  • 2017課題図書中学校の部。

  • 宇宙開発の歴史と月研究の今と未来。
    分かりやすく、楽しい科学。
    夢が広がる。

  • 437

    2017年では71冊目

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著者プロフィール

1967年、愛媛県生まれ。
大阪大学理学研究科宇宙地球科学専攻准教授。東京大学大学院理学系研究科鉱物学教室で博士(理学)取得。
専門は惑星地質学、鉱物学、火山学。
ブレイズ・パスカル大学(フランス)、秋田大学を経て、現職。
JAXAの複数の月探査プロジェクトに参加。
著書は『世界はなぜ月をめざすのか』(講談社ブルーバックス)、『月はぼくらの宇宙港』(新日本出版社)、『月はすごい-資源・開発・移住』(中公新書)など多数。

「2021年 『月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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