パラスティック・ソウル ~はじまりの章~

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  • 新書館
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403220654

感想・レビュー・書評

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  • 購入してから3ヶ月ほど寝かせてしまったのだが(木原作品は気合入れないと読めないという思い込みがある)、読み始めたらとまらなかった。すべての物語が少しづつリンクしていて、それが一つの線に収束していく様は見事。どの登場人物も様々な顔を持っていて、善の部分もそうじゃない部分も読み終わってみるとすべてがいとおしい。

    もうね、こういう作品がこの世にある限り、私の人生はしあわせなんだと思う。

  • 同じ世界観の短編詰め合わせ。
    そこそこBLっぽい話から始まって、どんどんBLから離れていって、最後にまたBLっぽくなる。この流れが木原さんっぽいなと思う。(読んでる最中BLなのを忘れるけど最後にまた思い出す的な)

  • BLだと思って読んだら何か違う…。でも素晴らしかった。どの話も切なく、救われないような…ハピエン好きとしては好みではないはずなのに読後感は悪くない。舞台は国と国境制度が廃止され、犬の耳としっぽを持つビルア種という人種が全人口の10%を占める近未来。とある科学者の葬儀に参列した4人に形見分けとして配られた”願いの叶う薬”にまつわる物語。それぞれの話がリンクしてて、読ませ方が上手く引きこまれた。

  • ファンタジー色が濃くなっても、木原音瀬の簡素で無駄のない文体が変わらない所がいい。八尋とジョエルの章しか音声化されてないのが非常に残念だ。まだ「おわりの章」を読んでないが、個人的に犬のジョンと発達遅滞の少年ニコラスの話が秀逸過ぎる。ネタばれになるのでぼやかすが、ニコラスの少ない誤謬、舌足らずな喋り方が何故なのかが解った時の衝撃。願いの擦れ違いの悲しさ。イノセンスなニコラスと、ニコラス以外の人間に感情移入しないジョンもまた、ある意味酷く純粋である。祁壜のエピソードを第2話に持ってきている所が憎い。
    ドラマCD聴いたのに声が蘇って来ないと言う事は聴き込みが甘いのか。ケモ耳&尻尾萌えはないんだが、こうして自分の範疇外が木原作品のお陰で破られていくよなぁ、尻尾に触れて安心したいジョエルの気持ちは痛いほど解る。

  • 第三章の犬の話が切なかったです。

  • 絵師さん買い。文章に慣れれば普通に面白いです。薬を使われる方の目線で語られる感じや、4組が意外なところで少しずつ交わっているのが好きです。でも同じ世界観を何度も語られるのは少々面倒でした。
    読み終えて、各話とも展開が衝撃的でラストはいつも感動的で悲しくなってしまいました。下巻も楽しみです。

  • 木原さんの作品は導入部分から引き込まれるものが多い印象を抱いてるのですが、今回はなんだか辛かった…。説明的すぎるのと視点がころころ変わりすぎてるように感じるのと、あとは登場人物+専門用語の多さのせいか、初めてイマイチだなあと思いました。でもそこさえ過ぎればいつも通りの面白さだったので、眠くなっても切り抜けて欲しい。 用語ももう少しなんとかなると思うんだけどなあ、FF13のファルシやルシがどうのっていうあれに近いものを感じました…。
    肝心の内容は見事に三話とも持ち上げてから落とす感じ。安定の鬱! なんて救えないんだとしょんぼりします。特に三話目w 一番露骨にBLしてるのは一話目で、あとはどちらかといえばストーリー重視。後半にいくにつれて用語にも読み辛い名前にも慣れてくるのでディストピア的な世界観や薄暗い要素が好きなら楽しめそうです。下巻これからだけどどう締めるのか予想付きません。冒頭の彼の呟きに全てが繋がってくるのかな。

  • 冬の寒い朝、一人の老人が死んだ。
    葬儀に招かれた4人は『願いが叶う』という薬をもらう

    読み進めていくと繋がる そして明らかになる真実。 そして想い

    オムニバス作品です。

    2話の兄弟の話が何度読んでも胸が締め付けられて何とも言えない気持ちになるのだけど、1番好き。(好きという表現で良いのか…哀しくて、切なくて、愛おしい。と思った。)悪は悪である けれど哀しい2人の間の、
    すれ違いと
    歪ではあるんだろう、けれど確かにあったはずの兄弟愛がただ切なくて哀しい でも好き…

    最後がマジ…

    他の話、3話も読んでるし ジョンのいうように 自分が他人にしたことが回り回って戻ってきただけ そう言われてもしょうがない。
    わかってるけど
    2話の後半読んでると、2人で逃げて幸せに、なってほしかった…
    やり直してほしかった…
    と、思ってしまう。 

    取返しのきかない 後悔が ただ、かなしい

    3話も途方もなく…。。

    ジョンの怒りや悲しみ 
    途方もない真実に 気が遠くなるような
    いきばのない思いが 痛い


    好きな木原さんの中でも(1、箱の中、檻の外)
    2番目のお気に入りになってしまった。


    ※BL作品です。

  • 木原さんはどれも★5レベルなのであえてそのなかでの差の評価です。最後の晩餐に参列した4人。無関係に見えた人たちの人生が交差していく。
    いつもこの少ない量でこれだけの内容が書ききってあることに圧倒されます。
    3話とも終わり方が切ない。始まりの章は重かった。スラム街や研究所の実験やらでたくさん人が死にます。
    木原さんらしい話の展開で途中からくるっとひっくり返して裏を見せられる。すると全く違ったものがそこに見える。
    芭亜斗は嫌な奴でちょっと可哀そうな所で終る。この後まさかあなるとは。

  • 20XX年の近未来、人間とワクチンの副作用による突然変異で
    犬の様な尻尾と耳を持つ人種(ビルア種)が共存する世界

    とあるお屋敷の主人が亡くなり、そこの主人とは面識がなかったが
    屋敷に住むライヴァンから最後の晩餐に招待された4人が帰る時に
    主人の形見分けとして貰ったのが"何でも望みを叶える薬"2粒

    その薬を貰った4人の物語

    第1話《fake lovers》
    大学生の八尋はいつも自分に嫌がらせをしてくる
    金持ちのボンボンで素行の悪いジョエルを相手にしてなかったが恋人を奪われ怒りMAX!!
    ある仕返しを思いつく……。

    第2話《dear brother》
    お金に困ったテロリスト、バートは亡くなった父親の遺産の鍵を
    これまた亡くなった兄のケビンが持っている事を知り
    防腐処理している兄の遺体を掘り出しお金の在りかを聞き出そうとして……。


    第3話《eternal friend》
    ハイビルア研究所に一応雑務員となつてるが
    生まれた時からいるちょっと頭の弱いニコラスと
    同じ頃から研究所にいる老犬のジョン


    今回はホント木原ワールド全開!!
    こんなに苦しい気持ちになるなんてさすが木原さん!!(*0*;)☆

    雑誌で第1話《fake lovers》を読んだ時にいつか幸せになります様に!!って願ったけど
    第2話《dear brother》は何だろうねぇ〜悲しいって言うか… そう来たか!!状態(;´д⊂)
    第3話《eternal friend》は痛い苦しい☆⌒Σ(≧д≦)

    かろうじて《fake lovers》はBLだけど他の話はBLでは括られない違う話
    さすが、さすが、読んだ後こんな気持ちになるのは木原さんだけΣ(o>艸<)

    なんて言うのか苦しい気持ち!
    !読後感と余韻は木原小説ならでは\(◎o◎)/

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著者プロフィール

高知県生まれ。1995年「眠る兎」でデビュー。不器用でもどかしい恋愛感情を生々しくかつ鮮やかに描き、ボーイズラブ小説界で不動の人気を持つ。『箱の中』と続編『檻の外』は刊行時、「ダ・ヴィンチ」誌上にてボーイズラブ界の芥川賞作品と評され、話題となった。ほかの著書に『秘密』『さようなら、と君は手を振った』『月に笑う』『ラブセメタリー』『罪の名前』など多数。

「2022年 『コゴロシムラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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