文身

著者 :
  • 祥伝社
3.91
  • (21)
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  • (1)
本棚登録 : 233
感想 : 43
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  • / ISBN・EAN: 9784396635848

感想・レビュー・書評

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  • またすごい本に出会ってしまった…
    衝撃の一冊でした


    楽園の犬を読み終わって
    みなさんのレビューを元に
    次は文身!!と思って意気込んでいましたが
    やっと借りられました
    近くの図書館にはなくて
    取り寄せちゃいました



    読了後みなさんのレビューを読むと
    熱量がすごい。
    でもそれも納得の一冊です


    これは兄弟の物語…といえばいいのでしょうか

    弟が書く小説の通りに生きていく庸一
    その設定も驚きですが
    だんだんエスカレートしていく内容に
    嫌悪感を感じずにはいられません


    終盤は二転三転と展開していき
    もう読む手が止まりませんでした

    虚構と現実が入り乱れ
    なにがなんだかこちらまで混乱させられ
    そしてラスト

    ぞぞぞぞっ…ときました。


    語彙力がなくて申し訳ないですが
    すごい作品でした
    タイトルの『文身』はピッタリですね
    刺青という意味があることを初めて知りました



    まだ岩井さんの作品は2作目ですが
    どちらも違う魅力のある作品でした
    まだまだ他の作品も読んでみたいです!!

    • かなさん
      こんばんは〜!
      どんぐりさんも、本とコさんも激推しのこの作品
      私も気になっています!!
      なるべく早く読みたい、けど…
      aoi-sor...
      こんばんは〜!
      どんぐりさんも、本とコさんも激推しのこの作品
      私も気になっています!!
      なるべく早く読みたい、けど…
      aoi-soraさんが推す「永遠の証明」も読みたいです…。
      いつか、読んでみますね(*^^*)
      2024/05/06
    • どんぐりさん
      aoi-soraさん

      GWバタバタで遅くなりましたー!
      予約本押し寄せるのわかります笑

      永遠についての証明読んでみます♪
      aoi-soraさん

      GWバタバタで遅くなりましたー!
      予約本押し寄せるのわかります笑

      永遠についての証明読んでみます♪
      2024/05/07
    • どんぐりさん
      かなさん

      気になる本どんどん増えてきますよね笑
      かなさん

      気になる本どんどん増えてきますよね笑
      2024/05/07
  • なんとも表現し難い作品でした。
    あまりの展開に嫌悪感が募り、顔を背けたくなりながらもどうしても先が気になり読んでしまう。

    昔のウッチャンナンチャンのバラエティ番組で『未来日記』というコーナーがあったのですが、それを思い出しました(歳がバレる笑)。司令書に未来の日記が書いてあって、そうなるように自分たちで動いていくのです。
    この物語の主人公は兄弟ふたり。15歳の時に偽装自殺した弟が、その後姿を隠して小説を書き続け、兄の名前で世に出す。その小説は私小説として発表する。
    「私小説は自然主義の文学であり、現実にあったことでなければ書いてはならないという認識すらある。」
    でも普通の私小説と違うのは、弟が書いた小説の内容を後から兄が経験するというところ。
    ここまで読んで、え?ということは、序幕で書かれていたあの場面は弟が書いたシナリオの結果なの?と気付き、なんとも言えない嫌悪感が‥‥。
    どこまでが事実でどこからが虚構なのか?この兄弟を結びつけているものは何なのか?
    何とも言えない薄暗い物語でした。
    でも、先が気になってどうしてもページを捲ってしまいました。



  • これは一体どういう話なのだろうかと思いました。
    今まで、こんな小説は読んだことがなかったです。
    恐い小説でした。
    読み終えたときは凄い小説を読んだと思いました。

    時系列にストーリーをたどると、1963年、高校生の須賀庸一は中学生の弟の堅次に誘われて家出の計画を立てます。二人は両親を快く思っていませんでした。
    計画を立てたのは、天才の頭脳を持つ弟の堅次です。
    堅次は海に飛び降り自殺をしたとみせかけ、先に一人で東京に移り住み、兄の庸一はあとから堅次の家の側の工場に就職して家を出ます。

    そして堅次は「自分は小説を書くけれど、自分は死んでいるから、小説家になるのは庸一だ」と言います。
    そして書くのは私小説で「庸一は演技が上手いから小説をこれから実体験にして演じてくれれば小説は当たる」とも言います。
    庸一はそれを引き受け、見事に堅次の書いた小説は当たります。
    好色で酒好き、暴力癖のある作家が庸一のトレードマークとなり、庸一は作家ー文士という肩書で、好きだった高嶺の花の詠子と結婚し、一人娘に恵まれます。

    しかし、甘くはなかったのです。そこで堅次は「次は妻を殺して自殺に見せかけた作家を演じろ」と言い出します。そして出だしのシーン。妻に自殺された作家の場面に戻ります。
    庸一は本当に愛していた詠子を殺してしまったのか…。

    そこには怒涛のストーリー展開がありました。
    そこからラストまでは息をもつけぬ展開で物語が進みます。
    庸一の人生は何だったのだろう。
    そしてもっと不可解なのは、ずっと独り暮らしで小説を書き続けた堅次の人生です。
    凄い幕引きでした。

    • 奏悟さん
      まことさん、こんばんは。

      レビュー読んで、ぜひ読んでみたい!と思いました。

      この作家さんも、存じ上げずにコメントしてますが、気になる作品...
      まことさん、こんばんは。

      レビュー読んで、ぜひ読んでみたい!と思いました。

      この作家さんも、存じ上げずにコメントしてますが、気になる作品です(*^^*)
      2021/06/11
    • まことさん
      泰悟さん。おはようございます。

      私も初読みの作家さんですが、いままでに読んだことのないタイプの小説でした。
      是非、読まれてみてくださ...
      泰悟さん。おはようございます。

      私も初読みの作家さんですが、いままでに読んだことのないタイプの小説でした。
      是非、読まれてみてください。
      レビューを楽しみにしています。
      2021/06/12
  • 己の分身にして、決して消えることのない刺青ー文身


    ちょっとこれ凄いじゃないのよあーた(いきなりの美川憲一)
    いやもうこれ★3以下の人とは友達になれないわほんと
    そのぐらい凄い!

    特に最後の一行はゾワゾワゾワーっと鳥肌が立ちまくりです
    そして消えない
    まさに鳥肌が文身のよう!

    よっしゃ!うまいこと言うたった

    小説というのはもともと虚構であるわけなんだけど、私小説という作者の実体験を元にした小説が真ん中にいることで、どこまでが虚でどこまでが実かの境界線が曖昧になってるんです
    そしてラストに向けてどんどんぐちゃぐちゃになっていく感じが見事すぎるのよ

    これは虚なの?実なの?虚?実?虚?実?
    虚虚実実虚虚虚実虚虚…うきょーー!!

    • 1Q84O1さん
      いいえ私は ひまわりの女〜♪
      いいえ私は ひまわりの女〜♪
      2023/07/20
    • ひまわりめろんさん
      うまいこと言うたったみたいな顔してるな
      うまいこと言うたったみたいな顔してるな
      2023/07/20
    • 1Q84O1さん
      ( ̄ー ̄)うきょーー!!
      ( ̄ー ̄)うきょーー!!
      2023/07/20
  • うわぁ〜と叫びたい‼︎
    完全に弄ばれた感が。゚(゚´ω`゚)゚。

    高校生の庸一と中学生の堅次
    頭脳明晰な弟と弟に着いていくだけの兄
    「弟を信じていれば間違いはない」
    この二人が弟の擬装自殺という計画を立て故郷を捨て東京に出るまでの第一章。
    昭和30年代頃かな?ノスタルジックな文体に引き込まれていきます。

    そこからの怒涛の展開は兄を意のままに操る堅次がサイコパスか?と思える。怖い!薄気味悪い!
    堅次にとっての庸一は何なのか?愛か執着かただの道具か?

    庸一の発表する私小説で物語は進みます。
    壮絶な人生、その私小説に昭和最後の文士と呼ばれるまでの庸一と庸一の人生を創っている堅次。

    絶筆となる「巡礼」そして死後に登場する「文身」
    ここまでも相当面白いのですが…
    ここからがもう読むのが止まらない!

    いや待て!そうくるのか⁈と驚き
    全てを覆す後半に絶句…
    ラストの一行にトドメの一撃です_| ̄|○

    岩井圭也さん凄いよ!
    地味に面白かったとレビューした「最後の鑑定人」
    からの今作‼︎

    ぜひ読んで頂きたいわ\(//∇//)

    • みんみんさん
      あと翡翠ちゃんみたいなヤツ…
      好きな人ゴメンなさい(*´∇`*)
      あと翡翠ちゃんみたいなヤツ…
      好きな人ゴメンなさい(*´∇`*)
      2023/04/20
    • ひまわりめろんさん
      ちなみにイヤミスね
      そしてイヤミスはわしも嫌いなんで無理っす

      ハッピーエンド絶対主義(16世紀のイギリスで誕生後世界に広まった)の信奉者で...
      ちなみにイヤミスね
      そしてイヤミスはわしも嫌いなんで無理っす

      ハッピーエンド絶対主義(16世紀のイギリスで誕生後世界に広まった)の信奉者です
      2023/04/21
    • みんみんさん
      ニアミスと混ざった?
      いけず〜♪(´ε` )
      ニアミスと混ざった?
      いけず〜♪(´ε` )
      2023/04/21
  • 凄い作品に出会った。
    作品自体がその時代背景があるからなのか、昔好きで読んでいた昭和の文豪の小説を読んでいるような不思議な感覚を感じる。

    まずタイトルが「分身」ではなく「文身」。読後考えてみて「分身」でも違和感なくストーリーと共和する気がするが、さらに彫っての「文身」なのだろうと推測。

    「現実と虚構」というテーマ、読後に考えてみれば作品全体に蔓延り、読者である自分も作品を読みながら「現実と虚構」が整理がつかずグチャグチャに混ざりなんだかわからない状態になる。
    虚構を読んでいるのにその中の虚構に虚構か現実かが分からなくなってくる不思議さ。

    そこを上手くミステリー風に仕立てている感じが凄く関心を引っ張られていく。

    これは凄い作品だと。

    文体や言葉の表情等は違うのだが、太宰治の「人間失格」ような不思議な魅力を感じる、文学史に残るべく作品かとも思う。

  • まことさんのレビューで凄く気になっていた作品。
    久々に、やられた小説に出会った。

    日本海に面した田舎町に生まれた兄、須賀庸一と弟の堅次。大柄な体格とは正反対の気弱な庸一と、神童と呼ばれていた堅次は、廃れた街と両親から逃れる為の計画を立てる。
    それは高校受験に嫌気がさし、庸一の目の前で堅次が自殺したことにして、家出するというものだった。計画は見事に成功し、堅次は街から消えた。それから堅次の指示通り、高校卒業した庸一と再会を果たす。
    二人で生活しながら、堅次は次の計画を持ちかける。それは自分が書いた小説を兄庸一の名前で出版するというものだった。
    小説家になりきる庸一と、ゴーストライターの堅次。作品が売れる度に、堅次の要望は増えていき、いつしか庸一の人生そのものを支配していく。

    詠子を連れて実家へ帰省したくだりで、父親が堅次が来たと話している伏線があったのに気づいたのは全てを読み終えてから。
    堅次と、私小説として登場する主人公の菅洋市の分身として演じきらなければいけなかった、庸一の人生。
    己の分身にして、決して消えることのない刺青。
    まさに、タイトルは「文身」しかないと思った。
    驚愕のラストに思わず「えっ」と声が出た。
    虹の骨を信じていた庸一は、本当はどんな人生だったのだろう....。

    数日引きずりそうな感じです。
    まことさん、ありがとう。

    • まことさん
      泰悟さん。こんにちは。

      レビューありがとうございます!
      >久々に、やられた小説
      なんか私のレビューを認められたみたいで、とても嬉し...
      泰悟さん。こんにちは。

      レビューありがとうございます!
      >久々に、やられた小説
      なんか私のレビューを認められたみたいで、とても嬉しかったです。
      私のレビューではなく、作品が素晴らしかっただけだと思いますが…。
      確かに驚愕のラストだったと私も思います。
      こういう面白い小説に当ると読書はやめられないですね。
      2021/07/07
    • 奏悟さん
      まことさん、こんにちは。

      いえいえ、まことさんのレビューのおかげです!
      レビューを読まないと、知ることのなかった作家さんで、作品だと思うの...
      まことさん、こんにちは。

      いえいえ、まことさんのレビューのおかげです!
      レビューを読まないと、知ることのなかった作家さんで、作品だと思うので、感謝です(*^^*)

      そうですね!積読本が増える
      一方ですが、それも楽しみの一つです。
      また、レビュー楽しみにしています( ´∀` )b


      2021/07/07
  • 凄い小説としかいいようがない。
    今までには無い感情が、未だぐるぐると心の中に残っている。

    好色で、酒好きで、暴力癖のある作家の須賀庸一。
    しかし、彼を操っていたのは自殺したはずの弟。
    並外れて優秀だった弟が、自ら自殺にみせかけて逃亡し、高校を卒業した兄を待つ。
    その後、私小説を執筆する。
    兄は、弟の小説に従って生きる。
    弟は、兄の人生を書き続ける。

    第5章の巡礼では、弟の死という過去を清算しきれずに小説という虚構に逃げたのか…と。

    だが終幕で【分身】の原稿が…
    一体どうなっているのか。
    真実は…。



  • 肌を傷つけることにより種々の文様を残す文身。
    一度彫られたら二度と消すことができない刺青=文身に、身体も心もかき乱される。

    酒乱、女好き、乱暴者とスキャンダルまみれの破天荒な作家。
    家族の人生をも狂わすその男は”最後の文士”と世間からもてはやされた。

    この物語を読み終えてふと脳裏をよぎる。
    この男、結局誰なのか。
    幼い頃から出来の良い弟と比較された存在感の薄い兄なのか。
    そんな兄を自在に操る弟なのか。
    虚構と現実をさ迷う小説の”主人公”なのか。
    それとも…。
    「人間は誰でも虚構のなかに生きてるんや。みんな、誰かの嘘を信じて生きてる」
    嘘に嘘を重ね、作家の創った小説という虚構の呪縛に喘いだ結果、最後に残された文身。
    消したくても消えない文身を負わされた末路に惑い震えた。

  • 最後の文士と呼ばれた大御所私小説作家、須賀庸一。彼の無頼な人生を描いた作品は多くの人の心を掴むが、妻の自殺を自身が毒殺を試みたと思わせる作品を発表した事をきっかけに娘は彼と縁を切る。数十年後、庸一の死後に彼女の元に送られてきた遺稿、それは狂言自殺で世間から身を隠した彼の弟、堅次が書いた小説の通りに行動する事で人気作家となっていった庸一の人生を振り返っていく内容だった。現実が小説に描かれる虚構に侵食されていく狂気にじわじわ慄く。さらに最後の崖の上での堅次が繰りなす「あったかもしれない人生」や最終的な現実の立ち位置の曖昧さが醸し出す不気味さは随一。ラスト、娘への「最後の文士になる準備はできたか」も効いてる。虚構と現実の狭間で溺れさせられた。

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著者プロフィール

いわい・けいや 小説家。1987年生まれ。北海道大学大学院農学院修了。2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞を受賞(KADOKAWAより刊行)。著書に『文身』(祥伝社)、『水よ踊れ』(新潮社)、『この夜が明ければ』(双葉社)などがある。

「2021年 『人と数学のあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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