そのバケツでは水がくめない

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 419
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635381

感想・レビュー・書評

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  • デザイナー
    パリ
    つなぎ止めるための嘘


    冒頭から理世と美名の会話には何か違和感
    読み進めていくと
    苛立ちと嫌悪感に変わり気持ち悪い
    でもページをめくる手が止まらなかった

    幼稚で自分が1番で
    承認欲求のカタマリのような人って
    こちらが消耗する
    図書館本

     

  • アパレルメーカーで働く理世は、夢でもあった新規ブランド〈スウ・サ・フォン〉のプロジェクトに抜擢された…偶然入ったカフェでコトリと運命的な出会いをし、〈スウ・サ・フォン〉のメインデザイナーとしてスカウトする…以降、公私ともに親しくなり親友と呼べるまでになっていたが、理世に対してコトリが不可解な言動を繰り返すようになっていく…。

    じわじわと心を蝕んでいく…文庫の方の帯に惹かれました!読み始め、最初はブランドの立ち上げと新たな出会い、そこには理世の上司のセクハラ・モラハラもあったけれど、比較的明るい雰囲気で読めていました。でも、あまりの怖さに胸がざわめきました…。リアル日常的にもありそうなことでもあったため、輪をかけて怖くなりました…。人って怖い…!ってつい思っちゃったけど、コトリのように怖い人はそうはいないよね(汗)。人間的に歪んでしまっている…そのきっかけが母との確執ってことなのかな…コトリの手掛ける〈スウ・サ・フォン〉が今後どうなっていくのか…気になるとことです。

  • 派手さはないけれど、じわりじわりと怖い話。
    それも犯罪ではないけれど、精神的に迫ってくる話。
    結局、巻き込まれちゃった話。

    前情報を入れずに、どんな話なんだろう〜と読み始めたけど、けっこう一気読み。
    こんな人と出会ったらヤダ。
    面白かったです。

  • アパレルメーカー「ビータイド」に勤める佐和理世は、
    自らが提案した企画が採用され、
    新ブランド「スウ・サ・フォン」の立ち上げメンバーに選ばれた。
    そんなある日、カフェに展示されていたバックのデザインに衝撃を受けた理世は、
    その作者・小鳥遊美名(コトリ)をメインデザイナーにスカウトする。
    色白で華奢、独特の雰囲気を纏う美名の魅力とその才能に激しく惹かれる理世。
    社内でのセクハラ事件をきっかけに二人の距離は一気に縮まるが、
    やがてその親密さは過剰になっていく…。


    待望の飛鳥井さんの最新刊。
    マイミクさんのレビューで知りました。
    女性間のイヤミス物語との知識があったりですが、
    最初は理世のお仕事物語として読みつつも、理世と美名が出会い友情を育んでいく。
    この二人の間に何がどう起こっていくのか、何も起こっていない時から読むのが苦しかった。
    そして、段々不穏な空気が漂い始め、苦しさは増すばかり(笑)
    飛鳥井さんらしい、繊細な女性心理の描写がこれでもかって胸に突き刺さる。
    誰しもが、学生時代・働き始めてからも様々な人と関わって生きている。
    嫌な思いをしないで過ごしてきた人はいないのではないかな。
    そんな思い出や出来事が次々と甦ってくる。

    自分だけが元気で好き勝手やって、親しい人を傷付けながらいきている
    という美名に対する言葉が文中にあるのですが、そういう人いる!いる!
    誰しもが多面性を持ってはいると思いますが、多くの二面性や矛盾を持つ
    美名は酷すぎる。
    嘘をついてでも人を信じさせ仲良くなり、少し気に入らない事があると
    子供の様に言葉で傷付け、無邪気なふりをして素知らぬふりをする。
    人としてどうしてそういう事が出来るのか全く理解が出来ず。
    そういう人が大嫌いです。
    でも今、現在も身近にそんな刃を時々向ける人がいる。
    意識的な悪意の言葉・態度…。
    でも、そんな人でも良い所もあり現実的に周りの環境から離れてしまう事も出来ない…。

    本当に美名の様な女性は沢山います。
    悲しいけれど、多く存在します。
    理世の揺れる気持ちに、とっても感情移入してしまいました。
    美名は心が満たされないまま大人になってしまい、他人とも歪んだ形でしか関係を結べない。
    美名の満たされない心と穴のあいたバケツをうまく結び付けた
    タイトルがとっても効果的でした。
    怖いお話でした。でも、とても共感しました。
    頁を捲る手が止まらなかったです。

    • katatumuruさん
      こんにちは(^^)
      しのさんのコメントを見てこの本を読みたくなりました。
      いつもレビューを読んでくださって、その上イイネ!をくださってあ...
      こんにちは(^^)
      しのさんのコメントを見てこの本を読みたくなりました。
      いつもレビューを読んでくださって、その上イイネ!をくださってありがとう(^^)
      2018/02/20
    • しのさん
      こんにちは(*'▽')

      コメントありがとうございます♪

      私のレビューで読みたいって思って下さって

      とっても嬉しいです( *...
      こんにちは(*'▽')

      コメントありがとうございます♪

      私のレビューで読みたいって思って下さって

      とっても嬉しいです( *´艸`)

      こちらこそ、いつもレビューを読んで下さっ

      てイイネを下さってありがとうございます(*´ω`)
      2018/02/20
  • 自分自身を、毎日日記で振り返って治療していきたい。

  • 久々にこわい女に出会いました。
    なんていうか、世の中にはいろんな人がいて、自分の機嫌を自分でとれない人もいて、よくも悪くも、人の影響を受けやすすぎるタイプなんだろうなぁ…
    なにが、自分というものをしっかりもつこと、だよ。こわいよ。

    なんだろね、根本的に価値観の合わない人っていうのは確かにいて、どんなに頑張っても理解できないことっていうのも確かにあるんだよな、悲しいけど。
    そっとフェードアウトさせてくれたらいいのに。それを許してくれない人はまじでむり。

    『自分のことを客観視できていない人』。ほんとうにそれ。

    自分もそういう人付き合いになってしまっていないか、と思ってしまうね。
    たしかに、自分のすべてを受け入れてほしい、って、思ってしまってる。私の場合は、親にそういうふうに『愛された』からなのかもしれないけど。
    ほんとにむずかしいし、でもだからこそ、閉じこもってちゃなにも始まらないんだよなぁ。

  • 私も主人公と同じような経験をしたことがある。
    本当に苦しくて、友達というつながりに振り回され、当時のほとんどの知り合いと縁を切ることになった。
    今は随分時間が経ったので、冷静に読むことが出来たが、もっと前なら落ち着いて読むことも出来なかっただろう。
    でも、実際にこのような人がいるということを知っていて、振り回されないよう対応することが大変だということを知っていることって大切だと思う。

  • 怖かったけど、「ザ・女子」みたいなお話に笑っちゃう。コトリさんほど極端ではないけど、限りなく近い性質の女子っているなぁと思いながら読みました。こういう人って、どういう思考回路でそういう行動するんだろうって不思議に思ってたけど、本人に深い考えなどなく、自分の込み入ったこんがらがった気持ちに素直なだけなのねと余計に怖くなった。女って複雑で怖い生き物です。もし、自分がコトリさんに振り回された泉くんたちのような男子だったら絶対に女恐怖症になって、二度と女子とは付き合わないな。でも、みんなコトリさんから離れて平穏な幸せを掴めて良かった。
    初めて読んだ作家さんだけど、すごく読みやすかった。別の作品も読んでみたい。

  • ざわざわと、常に嫌な気持ちがつきまとう話でした。
    理世が受けたセクハラ、美名からのパワハラとも言える悪意のある嫌がらせ、仕事での付き合いで、逃れられない環境の中ですり減る感じが読んでいてきつくて仕方がなかったです。

    美名があの様な行動をとる人になってしまった原因を思うと気の毒にも感じますが、やっぱりダメ。
    「自分だけ元気で、親しい人を傷つけながら生きていく」と言われてしまっても仕方の無い事なのだと思います。
    その後もまた新たな出会いで、元気にやってる様子ですし。

    自分では太刀打ちできない怖いものに出会ったら…
    それはきっと逃げるが勝ちなのでしょう。
    理世には、最適な逃げ場が出来て良かった。
    新しい出会いがあり、ファッションの本場でまた違った形に触れ合っていけるような終わり方で安心しました。

    母の責任は重大、を実感しました。

  • 主人公は中堅アパレルメーカーのMDの女性。
    彼女は急に辞めたデザイナーの穴を埋めるため、新しいデザイナーを探していた。
    そんな折、偶然に入ったカフェの雑貨コーナーで素敵なバッグと出会い、そのデザイナーであるコトリという女性と縁をもつ。
    彼女はやがて、主人公のメーカーの新しいブランドのデザイナーとなり、公私共に二人の女性は仲を深めていくが、あるささいな事をきっかけに二人の仲はギクシャク、やがて亀裂が入る事になる。

    読んでいて、途中から退屈で単調だな・・・と感じた。
    登場人物たちの言葉のやりとりがまるで機械のようで個性が感じられない。
    言葉や行動からこの人ってこうなんだな・・・というのでなく、「しっとりした」という形容詞などから登場人物がかたどられている。
    なので、登場人物の心情ー特に主人公の気持ちにこちらは入りこめないのに、どんどん主人公たちが感情をあらわにするので冷めてしまった。

    だけど、作者の言いたいことがこの本には散りばめられていて、それには共感できた。
    例えば、自分や世間一般でこれが普通であるけど、それが通じない相手に対しては・・・という一文。
    確かに、誰でも「これが常識」「普通」というのはあるけど、それが通じない人はいる。
    それが一般的に「変わり者」という事になるけど、それだけなら個性と言える。
    それに「悪意」がプラスされるとたちが悪い。
    結局そういう人にどう接するか・・・というと、私ならただ関わらない、避ける事しかできない。

    また、親との確執によって人格が歪められた。
    そして、自分を丸ごと受け入れて欲しいと思うようになった。
    だけど、大人は他人を丸ごと受け入れることはできない。
    ・・・という内容。
    確かにそうだと思う。

    一見、たおやかで素敵な女性に見えるコトリだけど、その心の中は満たされない思いから生まれた邪悪な思いが渦巻いている。
    無邪気なふりして人を陥れる。
    こんな女性はいるな・・・と思う。

    だけど、第三者で客観的な目から見ると、この主人公には全く好感がもてなかった。
    もちろん、コトリという癖のある女性は悪い。
    それを前提としても、この人は自分の仕事をどう思っているんだろう。
    仕事そのものよりもいつもコトリの心情ばかりおもんばかっている。
    自分の好きな仕事をして、恋人もいる。
    同僚もいい人たちで働きやすい職場。
    それなのに、何故こんなに一人の女性に振り回されてるんだろう。
    ・・・と、辛辣な目線で見ていたために、後半感情をあふれさせて泣く場面では主人公の心に共感できず冷めてしまった。

    タイトルにこだわりがあるせいか、やたらバケツが・・・雨が・・・というキーワードが出てくるのもうっとうしかった。
    主人公の女性が好きになれたらもっと違う感想になっていたかもしれない。

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著者プロフィール

1979年生まれ、愛知県出身。2005年 『はるがいったら』 で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した 『タイニー・タイニー・ハッピー』 がベストセラーとなり注目を集めた。他の著書に 『君は素知らぬ顔で』(祥伝社文庫) 『女の子は、明日も。』 『砂に泳ぐ彼女』 など多数。

「2021年 『そのバケツでは水がくめない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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