21世紀の「男の子」の親たちへ 男子校の先生たちからのアドバイス (単行本)

  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396617004

作品紹介・あらすじ

「男らしさ」が邪魔になる!?
ジェンダー、AI時代、グローバル社会、民主主義……
先行き不透明な時代に、いい意味で「出たとこ勝負」ができるひとに育てるには?
男子校(麻布、栄光、海城、開成、芝、修道、巣鴨、東大寺、桐朋、灘、武蔵)のベテラン先生たちが「これだけは間違いない」ということを根拠に、<21世紀のど真ん中を生きる「男の子」の親として心得ておくべきポイントをまとめました。

・男性一人の稼ぎで一家を養えるような社会ではない
・「いっしょに働きたい」と思われればAIに負けない
・「困ったちゃん」こそグローバル社会で活躍できる
・正解のない社会に、自ら正解をつくる力を鍛えよう
不祥事を起こす「エリート」に足りなかった経験……etc.
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感想・レビュー・書評

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  • とにかく示唆に富んでいて夢中で読み進めることが出来ました。

    印象に残った考えは下記の通りです。

    幼児期にすべきことは身体を作ること。そして感性を磨くこと。
    感性を磨くことはAI時代には必須。機械が自動で判断してくれる社会には、それを補正して人間関係を円滑にする感性が重要。

    では、そのためには親が何をさせればいいか?
    ①自然に親しむこと
    ②遊ぶこと
    ③人と関わること

    ①の例としては、山に行ったり、川に行ったり、とにかく自然に溶け込み、植物や動物、水や火、空気など皮膚感覚を養う経験をいっぱいさせること、いわば映像や文章では味わえない実体験を数多く体験させ、想像力を養う上でも重要。
    ②身体を動かしてとにかくガムシャラに遊ぶこと。危ないからしてはいけないはご法度。親が自由に遊ばせる環境を提供し、制約しないこと。身の危険がなく、人に迷惑を掛けなければある程度暴れてもいいのではないか。
    ③積極的に多くの人に触れ合う経験、例えば食事会やキャンプ、パーティ、イベントなど人の集まりに関わるのが大事。

    幼児期から英語を学ばせてネイティブの感覚を得ようとさせたり、音楽に触れて絶対音感を習得させるとか、お金の勘定をさせて経済感覚を得るなど、そんなのはいらない。親が何を学ばさせるかは親によって異なるが、親のエゴで学ばさせることほど子供にとって迷惑なことはない。好きでしたがるのであれば問題はないと思うが。

    幼児期にしか出来ないこと、社会に出てから出来ることは大人になってからさせればいい。
    私が大人になって、社会に出てから気付いたことは想像力がない大人が多過ぎるということ。
    ネットが発達するにつれて、対面のコミュニケーションがさらに減る中で、幼児期にすべき上記の3つは非常に重要だと思いました。

  • 読みたくて読んだのに
    読んだ後に腑に落ちたような、落ちなかったような微妙な気持ちになるのはなぜだろう、、

    スマホやゲームなど
    自分が子供の頃になかった遊び道具。
    都会のひとりっ子。私が育った環境とは全く違う。

    子どもを自分のものと思うと、他人にどう見えるのか気になってしまうのかもしれない。
    でも、私は保護者だから。
    成人するまでのフォローをする役割だから…。一緒にいれるのは旅の途中までだから、と思うと切なくもあり、良い時間にしたいと思う気持ちもあり。

    昭和の時代につくられた「親」の虚像は塗り替えていくしかない。亭主関白などファンタジーの極み。
    夫はまだ少しファンタジーを求めているような感じはあるが、私はずっと前に覚めている。親になったって、不器用なままで、間違うし、ジタバタしているけど、楽しいこともある。根っこのところは子どもの頃と変わらない。だから子供にもあまり偉そうなことは言えないのが正直なところ。

    文中に「反抗期がないというのは壁にぶつかったことがないのと一緒」とあったが、それは違うと思う。私は反抗期はなかったが、いつも自問自答する、葛藤していた(今も)。だけど毎日遅くまで働いている親に向かって反抗するほど、能天気ではなかったというだけ。親の立場になっても、反抗されたいとは思わない。もっと平和なやり方で自立の準備を手伝いたいと思う。

    葛藤の深度は、中学生や高校生の頃の自分に比べたら、大人になったいまの方が浅いかもしれない(仕事やお金がある。何かしたいければすぐ動くことができるから)。何が言いたいかというと、ヘタな大人より子供の方が悩んでいたり深く考えている可能性があるってこと。

    だから子供が悩んでいるようにみえるときは軽んじてはいけないよ、一般論にせずに向き合って、と小さい頃の私が、今の私に向かって叫んでる気がする。私の場合は、そちらを信じて進むべきだなと思った。外野にとやかく批判されても気にしてはいけないやつだな、コレは。ベテラン先生は参考までにしよう、と反面教師的に本を閉じた。(読んで良かったとは思ってます^^)

  • 面白かった。

    ■手を離して抱きしめる 親の不安に耐える力が子供の自由に耐える力につながる
    ■そこそこの知力と体力、やり抜く力、自分にはない能力を持つ人とチームになる能力 今と昔で変わらない。ただ、求められる比重が違う。
    ■ともすると、できない子と同じくらいできる子はないがしろにされている。あの人はちゃんと見てくれてる、分かってくれてると思えれば、子供は消してねじ曲がりません

  • 21世紀におけるいい男の条件とは?
    から始まる。

    これからの男性像など
    有名男子校先生の言葉やエピソード沢山で面白い本。

    第一章はジェンダー、
    AI時代、
    グローバル、
    自由とは?
    女の子の母なのに、男の子のほうから読んでしまいました。
    子供の親だけでなく、
    これから社会で働く大人にも刺さる本。
    面白かったです!

    ネタバレ、
    結婚相手に求める条件は、
    一位、人柄(男女共に1位)
    二位、家事育児の能力
    三位、経済力と仕事への理解が同率

    共働きが当たり前の時代となったいま、
    男性への経済力だけでなく、
    妻のキャリアへの理解力が大切


  • 「男の子」に特化しているのは第1章のみで、それ以降は男女どちらにも通じる内容。「男の子」特有の考え方を期待すると肩透かしをくらう。■内容としては、基本的にどれも納得できるけど、ちょっと理想に走りすぎている気がする。著者は「愛されているという安心感、自然に対する畏怖の念、友達と楽しい時間を過ごし、失敗を経験し、反抗期もあり、素敵な恋愛ができれば、その子は大丈夫」って言ってるけど、うん、そこまでできてれば大丈夫だよね、って言いたくなる。それよりは麻生中・高校の平先生の「男の子なんて、元気で楽しく生きていればそれでいいじゃないか」の方がよっぽどしっくりくる。

  • 改めて子どももひとりの人間として、個の尊重、人として無条件の尊敬をベースに、好奇心ややり切る力、実感を育む環境を作ることが大事。世のため人のために、自分で考える。

  • ( オンラインコミュニティ「Book Bar for Leaders」内で紹介 https://www.bizmentor.jp/bookbar )

    どんな感じの会なのか未知で不安もあり、2時間長いかも…なんて思っていましたが、楽しく充実感のある、あっという間の2時間でした。ありがとうございました。

  • 過干渉とあるべき論理を子供に押し付ける危険性を警笛している。
    子供にしかできない時代の大切さ、そうした時に愛情をもって見守ってあがられる親の姿勢を強調する。
    特にVUCAな時代は自分で考え判断できるように子供達を育てようととく。

  • 「あの人はちゃんと見てくれてる。わかってくれてる。」そう思える大人が周りにいれば決してネジ曲がらない。
    ↑本文の引用だが、共感できると感じた。自分自身の高校時代を振り返っても周りの干渉が一番嫌であった。過度に干渉せず、見守ることが思春期の年頃の男の子には一番重要なのだ。思春期の男の子への接し方はわかったが、女の子にたいしての接し方はどの程度違うのかが気になった。女の子版も出版期待したい。

  • 行動指針
    ①子供にスマホを渡すときは、ナイフを渡すのと同じくらいの気持ちで渡す。
    ②幼児期は、自然に親しむ、ひとと関わる、身体を動かして遊ぶ
    ③結局のところ、親は実は無力である。これを理解した上で、「だからあなたは自分で生きていくしかない。でもあなたにはそれが必ずできるはず」というメッセージを送る

    以下、印象に残ったこと。

    これからの男性は仕事ができるのは当たり前で、そのうえにパートナーの仕事への理解があって、育児や家事もそつなくこなせなければいけない

    ネットの事件に対して、あんた、こんなことしてないでしょうね』という話題の振り方がいちばんまずい。信用していないというメッセージ。『あなたはどう思う?』とかいう形で話題を振ってほしい。

    スマホはナイフと同じ。鉛筆削ったり、皮をむいたり便利だが、使い方を誤れば人を殺すこともできる。スマホも同じ。スマホを渡すときは、ナイフを渡すのと同じくらいの気持ちで渡そう。

    感性が大事。人間は、自分のまわりに無限の宇宙が広がっていることを直感的に知っている。自分には計り知れないことがあることを大前提に、畏怖の念を抱きながら生きている。

    字を覚える、計算ができるではなくて、実体験が大事。

    「幼児期に大切なのは身体をつくること、そして知識よりも感性を磨くこと。そのために必要なことが3つあります。自然に親しむこと、ひとと関わること、遊ぶことです」

    自然に親しむのは、たとえば生き物と触れ合うとか、海や山に行ったり、星や月や太陽を見たりとか、そういうこと。生き物は犬や猫でもいいし、昆虫でもいいし、花でもいい。そういう具体物にたくさん触れることが大切です。

    それから、遊ぶ。ビデオとかを観るんじゃなくて、体を動かして遊ぶということ

    子供は、授業を聞いているときではなくて、自分の頭で考え没頭しているときにいちばん伸びます。子供が没頭するには二つの条件が必要です。一つは自分のやり方で自由にできること。もう一つはモヤモヤが置かれるってことです。自分のなかにモヤモヤしたものがあると解決してスッキリしたいと思うでしょ。だから答えを言わないでしばらく放っておいたほうがよい。

    もしいい年齢になっても「困った行動」がやまないとしたら、原因はしつけではありません。なんらかの不満があり、無意識的に成長することを 拒んでいる状況と考えられます。ありのままの自分の姿を認めようとしてくれない親に対して、 無意識的にわざと 親の望むのとは逆方向へ進もうとするのはよくある

    一度死のうと思った子供の親は、「ただ、生きていてくれればいい」と、それだけを願うようになるのだそうです。「いい成績なんてとらなくていい。学校なんて行かなくてもいい。わが子が生きていてくれるだけでありがたい」とようやく思えるようになる。逆にいえば、その気持ちを忘れていたからこそ、子供はわが身を犠牲にしてまで、それを伝えなければならなかったということです。
    心をボロボロにされてしまった子供に接する大人に必要なのは、心理学の知識でも、法律の知識でもないと、その運営者は言いました。「私たちにできることは、結局子供といっしょにオロオロしあげることだけなんです。でもそれがいちばん大切」

    「あなたのために」とあれこれ考えるのは親の 性 です。しかしだからといって自分の期待通りの人生を子供に望むことは、親のエゴにほかなりません。

    子供が育つうえで、もちろん親の影響は絶大です。しかし、あえて言います。「結局のところ、親は実は無力である」 そう思って、「だからあなたは自分で生きていくしかない。でもあなたにはそれが必ずできるはず」と無言のメッセージを伝える

    大学時代のアメリカンフットボール部の創立 50 周年記念パーティに参加したときのことです。そこで 僭越 ながら、壇上からひと言申し上げる機会をもらいました。私は現役選手に向けてこう言いました。 「僕は教育に関わる仕事をしています。その経験から言わせてもらえば、学ぶべきことの優先順位は常に『いましかできないことをしろ』です。社会で活躍している大人たちが、君たちのことを思って、いろいろなアドバイスをしてくれるでしょう。でも、こんなスキルを身につけておいたほうが将来仕事で有利だとか、スタートアップをするつもりならいまのうちから人脈をつくっておいたほうがいいとか、そんなこざかしいことは考えるな。いましかできないことをしてください。君たちにとってそれは何か? 練習と恋愛です。

    心底誰かを愛する経験をすれば、世界を見る目が変わります。宇宙に対して無責任ではいられなくなります。そうすれば、自分がこれまで得てきた力をどういう方向性に使っていけばいいのかが、自然にわかるようになります。それでこそ精神的に自立した一人前の大人ではないでしょうか

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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