ヒポクラテスの試練(祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396347802

作品紹介・あらすじ

伝染る謎の〝肝臓がん〟が日本を襲う?
法医学の権威・光崎教授をうろたえさせた未知なる感染症とは?
法医学ミステリー第3弾

死因はMRIにも映らない、急激に悪化した肝臓がん?――浦和医大法医学教室の光崎藤次郎教授のもとに、急死した前都議会議員の司法解剖の依頼がきた。埼玉県警の古手川が捜査すると、毒殺の疑いが浮上。だが光崎は、別の死因をつきとめる。法医学の権威の動揺ぶりに、得体の知れない恐怖を感じた助教の栂野真琴たち。さらに、都議会関係者から第二の犠牲者が!

感想・レビュー・書評

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  • 「ヒポクラテス」シリーズ第三弾。
    今までとはちょっと違って、短編連作というわけではありませんでした。
    しかし、今までの中で一番面白かった!

    ストーリとしては、
    司法解剖によって明らかになった肝臓がんの本当の死因。
    その正体は、寄生虫!

    パンデミックを阻止すべく、古手川、真琴、キャシーが動きます。そして、今回は、光崎自身も動くことに。
    そして、感染経路を探し、場所はニューヨークまで。

    ニューヨークでの人種差別の実態。
    ニューヨークに視察にいっていた議員たちが隠したかったもの。
    それらをスパイスにしながら、事件の全体像が明らかになっていきますが、その真の真相が苦いですね。

    そんな中、キャシーの想いが光りました。

  • シリーズ第3弾!
    また、一気読みしてしまった…(^^;;

    何人もが、急な?肝臓がん?で亡くなった!
    調べていくと、亡くなった人らに繋がりが…
    しかも、日米で…
    アメリカまで、調査行って真実は分かるけど、何かなぁ〜
    何か、作為があったとはいえ、肝臓がんか何か知らんけど、因果応報というか…亡くなった方々は、そんな事するからとしか言えん…
    都議会議員さんだけやないんかもしれんけど、アメリカまで何しに行ってんの?
    自腹で行くんやったら、まだしも、税金でやで!
    行くなら、ちゃんと何したかもキチッと、報告して、その後の政策とかに生かせな!あちこちに、意味ないとの意見が氾濫してるのに…ほんまに!

    怒りに震えるほど、のめり込みました〜!

  • 交渉の仕方について

  • 「ヒポクラテスの…」の3冊目。短期入院中の読書、その5。で、退院できた。

    光崎のもとに、都内の病院に肝臓がんで亡くなったにしては自覚症状などから疑念を抱かせる患者があったことが知らされるところから始まる物語。
    ここから、遺族が解剖を拒む中、遺族を説得したり遺体を強奪したりいつも通りの経過を辿って、真の死因を明らかにしていくという話になるのだが、今回は少し筋立てに変化あり、そこからパンデミックを防ぐために焦燥に駆られながらもなりふり構わず足掻く光崎や手足となって駆けずり回る真琴や古手川の姿が描かれていく。
    この話、2020年6月に出された本で、思えば新型コロナウイルスに対する最初の緊急事態宣言が発令され解除された直後に当たる。
    たまたま時期が重なったのか、作者がそのことをどの程度意識して書かれたかは分からないが、そこから終息しないまま第8波の今となっては、感染源や感染経路を特定しようと奮闘するこのお話はなかなか意味深。
    舞台はニューヨークにまで飛び、人種差別や分断された社会への憤り、議員の不埒な行動への指弾まで主題以外にも良い加減に盛り込まれて、まずまず面白く読めた。
    が、ここにどんなどんでん返しがあるのかと思っていたところ、ちゃんと入れ込んできたが、ここまで辿ってきたことの源がこれかと思うと、なんか話のスケールがしぼんだ感じも。議員らが命と引き換えにしてでも守ろうとした秘密があれだったのも胸糞悪い。

  • Audibleリリースきたー!
    2作目に続き3作目も長編。かつ、しっかりミステリー。社会問題、政治批判をふんだんに盛り込んだ中山七里節が炸裂している。楽しい。
    アメリカの人種問題にまで深く切り込んでいくメス捌きは、もはや法医学を飛び出している。

    エッフェル塔ポーズで一躍残念な人になってしまった松川参議院議員のニュースも、いまや風化気味。ただ、より大きな献金パーティー問題に隠れたせいで金権体質への逆風そのものは台風並みな昨今。
    そんな中でも、同じ議員が当選する。当選させるやつがバカとはまさに中山全開。有権者としては耳が痛い。

    お金を運んでくる人間が要職に上がるのはどんな世界も同じ。なんだろうけど、こと政治の話は自分も関わっているということをつい忘れがちになる。
    議員は税金で遊興し、法医学や貧困層まで回らない現実。
    どうにかすべき私にの手には、、諦めしかない。

    諦めていない知識人の本を読むしかない。
    成田祐輔さんとか。
    いや、中山七里から離れられない。

  • ❇︎
    法医学シリーズ第三弾

    瞬く間に急変して死に至る肝臓がん。
    不可解な病死に法医学教室が総出で対峙する。

    米の毒
    蟲の毒
    職務に潜む毒
    異国の地の毒
    人の毒


    姿の見えない敵が起こすパンデミックの恐怖。

    感染者の拡大がメインテーマかと思いきや、
    話は国内にとどまらず海外にも波及して
    とても根深く大きかった。

  • ヒポクラテスシリーズ、3冊目。
    1番面白かった!日本国内に留まらず、舞台はアメリカへ。最後の最後までドキドキした。

    今回は光崎先生よりもキャシー先生が大活躍、とても素敵だった。日本に生まれ育つと当たり前なことも、実はとても恵まれた環境であることがよくわかる。が、今は格差が広がりつつあるわけで…書中の言葉を借りれば、自由を謳う程に自由ではないということなのかなと感じた。

  • 今回は長編のような感じで大きな流れで描かれているからか、とても面白かった。

    感想を書くとネタバレしそうですが、
    手塚治虫さんのマンガを思い出したり
    帚木蓬生さんのアパルトヘイトの作品を思い出したり
    最近の議員さんのニュースを思い出したり。
    あ、これもネタバレになるのかな?

    光崎の登場は少なめでしたが(私は真琴に感情移入しにくいので)、今回はキャシーが活躍するというのも良かったです。満足の一冊でした。

  • 感染理由の恐ろしさ、悲しさ、怒り
    後半アメリカで展開してキャシーの生い立ちにも
    ふれられていて読み応えあり。

  • 浦和医大法医学教室の光崎教授と助教の栂野真琴が主人公の法医学ミステリーの第3弾。
    解剖医が裁判官で、肉体を死に至らしめた死因が被告人、その罪を明らかにせよと訴えているのが遺体。
    法廷に擬えて、法医学教室の面々が死因がMRIにも映らないという謎の病気の解明に挑む。
    感染症の疑いもあり、これ以上の犠牲者を出さないために、死者にしか興味がないという光崎教授も、なりふり構わず行動を起こす。
    さらに、真琴と准教授のキャシーは、源を突き止めるべくニューヨークへ飛ぶ。
    日米を跨ぐ話となり、大きなどんでん返しを期待したがそれほどでもなく、少し残念か。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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