草笛物語 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 217
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396346645

作品紹介・あらすじ

を遺した戸田秋谷の死から十六年。羽根藩シリーズ、第五弾!
蒼天に、志燃ゆ。泣き虫と揶揄される少年は、友と出会い、天命を知る。
「若い世代に命が続くことをうたい上げた物語」文芸ジャーナリスト 内藤麻里子

羽根藩江戸屋敷に暮らす少年赤座颯太は、両親が他界して帰国、伯父水上岳堂の親友で薬草園番人の、檀野庄三郎に託される。国許では、藩の家督を巡り、世子鍋千代を推す中老戸田順右衛門と、御一門衆の三浦左近を推す一派が対立。やがて藩主吉通となった鍋千代が国入りし、颯太は陰謀渦巻く城に出仕するが……。『蜩ノ記』の十六年後を描く羽根藩シリーズ第五弾!

感想・レビュー・書評

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  • 『蜩ノ記』の16年後の羽根藩が舞台。
    戸田秋谷の息子順右衛門は藩の中老となっている。娘薫は、秋谷の監視役でありながら彼の覚悟に接し、最期を見守ることになった庄三郎と平穏な日々を送っている。
    しかし、新藩主となった吉通を巡って、藩の実験を奪わんとする一門衆の暗躍が胎動し、それに抗する戦いが開始される。
    ある人物に、「戸田秋谷という御仁は生きていたときだけでなく、死んでからも何事かひとに語りかけてくるひとのような気がする」と言わしめる。
    その言葉のように、順右衛門たちの行動は秋谷の教えが指針となり、見事な逆転劇を果たす。
    今作の主人公的役割を担うのは、13歳の赤座颯太。それに彼と同じ年頃の少年たち。それゆえ、小説も清々しい物語になっている。

  • 蜩ノ記の続編
    蜩ノ記の16年後を描く羽根藩の物語

    戸田秋谷の息子順右衛門は藩の要職についています。
    そこに、新藩主となった吉通、しかし、それを良しとしない御一門衆の三浦左近達は、お家騒動の陰謀を目論みます。
    吉通の幼馴染である主人公の颯太と、その陰謀に立ち向かっていきます。
    しかし、颯太って頼りない(笑)
    いつもの勧善懲悪なストーリ展開なわけですが、そこに至るまでのそれぞれの想いが凛として清々しい

    登場人物の中で一之進が印象的!
    敵方とおもいきや、最後の最後でよい味出しました。

    戸田秋谷が残したもの
    薫の言葉
    「父が自らの死によってひとびとの過ちや罪業を背負ったのは、ひとを生かす道だったからではないかと思います。この世のひとは皆、おのれの罪業に苦悶しております。そんなひとびとの中のひとりとして、罪を背負う生き方もあったのではないでしょうか」

    ひとを生かす道

    いいですね。
    蜩ノ記を読みなおしたくなりました。
    とってもお勧め

  • 前作までの、静かな大人の物語から、青春真っ只中。にぎやかなシリーズの終わりであった。これも良し。

  • 羽根藩シリーズ残念ながら最終作。
    「過ちて改むるに憚ることなかれ」と言う若き藩主の言葉、平凡ながら頷く。

  •  羽根藩ものシリーズの最終編。いやまだ続くはずだったが著者の急逝で最後になってしまった。しかしこれを最後に書いてくれてよかった。ここで終わってもまあいいか、という気になる。他の羽根藩シリーズが番外挿話だとすれば、これは出世作である傑作「蜩ノ記」の正統な続編だ。あれから16年、あのときの戸田郁太郎が戸田順右衛門となって藩の要職で辣腕を振るっている。そこへ新藩主として国入りした若殿吉通と小姓に召し出されたその幼馴染の颯太。このちょっと実直ではあるが頼りない颯太を中心として、故戸田秋谷をめぐる人々が、お家騒動の陰謀に立ち向かう姿を描く。「蜩ノ記」の格調高い清冽さには及ばず、物語としては通俗的に流れるきらいはあるものの、ここにあるのはやはり凛としてまっすぐに立つ人間の強さと美しさだ。汚辱の現世にありながら振り仰ぐ羽根の澄み渡った青い空。かく生きねばならぬと背中を押される気がする。

  • じっくり読もうとしたけど、気が付けば春風が頁を捲るがごとく読み進む。

  • とても良かった。

    若い世代の人たちに繋がる
    秋谷の思いに感動。

    後半は
    目が離せなくて
    一気読みしてしまった。

    羽根藩シリーズは
    これが最終話。

    さみしい気持ちもわいてくる
    もっと読みたかったな

  • とても面白かった。この前日譚である蜩の記をまた読みたくなった。爽やかに少年が成長する話は時代小説では珍しいのではないか。それでいて、全く違和感なく読めて楽しめた。オススメ。

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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