双風神 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396345464

感想・レビュー・書評

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  • 星十郎ーっうおおおっう!!

    というわけで今回は新庄藩定火消の風読み加持星十郎がメインの回です
    もちろん星十郎も大好きでぼろ鳶シリーズの多彩な登場人物の中でもかなり上位です
    昔から軍師タイプって好きなんですよね
    水滸伝で言ったら呉用とか公孫勝とかね
    公孫勝なんて妖術使いますからね
    あ、公孫勝の話は今いいですか?
    でも星十郎の風読み(風向きを予想して火消しに役立てる)も何も知らない江戸の町人が見たら妖術みたいに思うでしょうし
    今回大坂の町でおこる「緋鼬」を起こす火付けもそれを防ぐ方法も妖術みたいなもんです
    星十郎に「緋鼬」を防ぐヒントを与える六角獄舎の囚人野狂惟兼も妖術使いみたいな雰囲気だし(むしろハンニバル?)

    そんな自分好みの舞台設定にいつもの涙あり笑いありほのかな恋もありーので面白くないわけがない!
    とくに火消しの中の火消し松永源吾の魂の言葉に大坂の火消し達が男を見せるクライマックス
    星十郎の祖父とも言える山路連貝軒との涙涙の結末!
    もう!んんんーもうっ!なんでこんなに面白いのよもうっ!

    まだまだ怪しい企みも潜んでいそうで伏線貼りまくりの今作は次作以降の期待値も瀑上がりの傑作でした!
    この面白さは読めばわかる!んもうっ!

    • みんみんさん
      メロリンおはー!
      山路の最期に叫んだのね!
      鬼平父、山路…父泣き(T-T)
      後三冊…ついに八合目まで来ましたよ!

      ここから父泣き連発乞うご...
      メロリンおはー!
      山路の最期に叫んだのね!
      鬼平父、山路…父泣き(T-T)
      後三冊…ついに八合目まで来ましたよ!

      ここから父泣き連発乞うご期待笑笑

      もうTBSドラマのキャスティングは決まっていると思います( ̄+ー ̄)

      野狂惟兼は田中泯で決まりやね!
      2022/07/15
    • ひまわりめろんさん
      みんみん
      ちわー

      田中泯いいねー

      ほんとTBSは何してるんだろ
      早くスケジュールを抑えるべきだわ
      てかどこでもいいから映像化して欲しいな...
      みんみん
      ちわー

      田中泯いいねー

      ほんとTBSは何してるんだろ
      早くスケジュールを抑えるべきだわ
      てかどこでもいいから映像化して欲しいなー
      江戸の町どんどん燃しちゃうからお金かかりそうだし無理かー
      2022/07/15
  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第九作。

    今回は京の「蟒蛇」野条弾馬とタッグを組み、京ではなくて大坂で大暴れの巻。

    何故大坂なのかというと、大坂では『緋鼬(あかいたち)』と呼ばれる炎の旋風が巻き起こる大火事が続いていたのだ。しかもこの『緋鼬』は人為的に起こされていた。
    何ヵ所もで同時に火付けを起こし、それらの一ヶ所を消した途端に空気の流れで『緋鼬』が起こる仕組みだ。

    つまり下手人はある程度の人員がいて、しかも相当の風読みがいる。
    そして『緋鼬』を起こさないためには同時に起きた火事を同じ速さで消していくしかないのだが、それは不可能に近い。

    松永源吾と野条弾馬はどうやって『緋鼬』を止めるのか。そして『緋鼬』を起こしたのは誰なのか。
    …実は下手人は序盤で見当が付いている。それは〈ぼろ鳶〉最強の風読み、加持星十郎の宿敵、土御門一派だ。
    何故土御門がこんな事件を起こすのか分からないまま、そして『緋鼬』を止める術が分からないまま源吾と弾馬は大坂の町を駆け回り、星十郎は『緋鼬』を止める術のヒントを請いにある人物の元へ。

    江戸と大坂の火消しの違いが源吾と弾馬を焦らせる。何しろ大坂には町火消ししかいない上、彼らは自分の管轄しか守らない。協力体制がないのだ。半鐘の鳴らし方も違う。
    何もかもが違う中で、大坂にも話の分かる火消しはいて、彼らを通じて少しずつ火消したちが一丸になっていくシーンはこのシリーズらしくて嬉しい。

    そしてついに最後の『緋鼬』との戦いは痛快。同時に火を消せないなら…という逆転の発想が面白い。
    しかしそれも大坂の火消したちが一丸にならなければ出来ないこと。

    肝心の土御門一派との戦いの方は、うーん、やっぱり助かって欲しい人は助からないんだなぁ。
    うやむやな感じも残るが、これは次作以降へ持ち越しなのだろうか。
    そして土御門一派の後ろにいると思われたあの人の動きが意外で怖い。

    一方で弾馬が何故「蟒蛇」になったのかについては源吾同様、切ない事情があった。火消したちには大なり小なり抱えていることだろうし、だからこそ火消しを止めることはない。
    大坂の火消したちも個性があり、それぞれ抱える事情もあって、男臭い物語だった。
    でも最後はやはり源吾の妻・深雪が締めるのだけど。

  • 「羽州ぼろ鳶組」の9冊目。
    今回の舞台は大坂。毎日仕事に通っている界隈も含めて物語が描かれるのは楽しいね。

    滅多に起こることがない炎の旋風“緋鼬”が大坂の町を蹂躙する中、京都から淀藩火消・野条弾馬が呼び寄せられ、“緋鼬”を見た弾馬は風を読み切ったその仕業にこれを抑えるには有能な風読みが必要と考え、頼まれた源吾が星十郎らを伴って大坂へ向かうという出だし。
    序盤は、暦を巡る星十郎と土御門の因縁や弾馬が“蟒蛇”と呼ばれるようになる経緯が語られ、ゆるりゆるりと話が進む。

    源吾らが大坂に着き、実際に“緋鼬”の猛威に晒されては、その狂暴さになす術がなく、面々は大きな挫折を味わうことに…。
    が、元幕府天文方・山路連貝軒に後押しされた星十郎が吹っ切れてからはいつも通りの一気呵成。
    反目しあう大坂火消を一計案じて一堂に集め、それらに向かって鋭く叫んで見得を切る源吾。妻と息子の顔を思い浮かべながら身を捨てて“緋鼬”を止める覚悟に、今回も涙なしでは読めないぜ。
    加えて、火消として“緋鼬”退治に一役買う山路連貝軒、京と大坂を往復し手に入れた「魃」で火を消して回る武蔵、駿馬を駆ってあっという間に武蔵を運ぶ弾馬の配下の花村祐、ひとつにまとまった大坂火消もそれぞれに個性豊かで見せ場たっぷり。
    首尾よく“緋鼬”を抑えた後、下手人に襲われた山路を助けようと竹光で立ち向かう星十郎にもまた泣ける。酒の力を借りずに火に立ち向かった弾馬も紗代とうまくいったら良いな。

    一橋の動きが不可解と思われたが、終わってしまえば一橋に土御門も加わった三つ巴だったことが知れ、次巻以降どんな話になるのだと思わされる。
    そうした不穏さの中だからこそ、終章、束の間の穏やかな日の夫婦の会話に癒された。

  • シリーズ第9弾。
    舞台を大坂に移し焔(ほのお)の竜巻・緋鼬に挑む物語。
    一度旋風が起こると誰も止めることが出来ない、という火消泣かせの現象・緋鼬。
    そんな緋鼬を、下手人が風を読みきって人為的に起こしている、ということで駆り出されたのが日ノ本一の風読み、と名高いぼろ鳶組の星十郎。
    いつも冷静沈着な星十郎が頭脳を駆使して緋鼬の仕組みを解明し下手人に立ち向かう。
    そのために第4弾で相対した野狂惟兼と再会し、緋鼬の止め方を教わるシーンがとても印象深かった。
    風を読み風を自在に操る…そんな神のような技をやり遂げようとする星十郎に今回は魅せられた。

    源吾と弾馬との同士の絆も良かった。
    一筋縄にはいかない、互助精神ゼロの大坂の火消達をまとめる源吾は日ノ本一の"頭"だと思った。
    そして星十郎の指示により、皆で協力して緋鼬を封じ込めるシーンは圧巻だった。
    「私怨に囚われては、毎日が曇天に見えるものよ」
    山路が星十郎に遺した言葉がいつまでも心を離れない。

    それにしても一橋が必死で探している「橘屋の日記」が気になる。
    今後の展開の鍵となるのか。

    残念だったのは武蔵と水穂の再会が呆気なかったこと。
    もっと二人のシーンが見たかった。
    いつか武蔵メインの物語が読みたい。

    そして「解説」にもあった『羽州ぼろ鳶組料理帖ー深雪の四季』は番外編として是非読みたい。

  • 今回の舞台は大坂
    同時に起きた何ヶ所かの火事が炎の旋風を巻き起こし、焔の竜巻となる緋鼬(あかいたち)が、大阪の町を混乱と恐怖に陥れていた

    それは偶然に起こるものではなく、確かな風読みでないと起こせないという。誰かの陰謀か

    その難題を解決するため、京都から淀藩火消頭の野条弾馬、江戸から松永源吾、加持星十郎、魁武蔵が呼ばれる

    これまでぼろ鳶組の知恵袋として、どんな難題にも確かな答えを出してきた星十郎であったが、今回ばかりは方策が見つからない 
    苦悩する星十郎の姿が痛々しい

    六角獄舎の野狂惟兼に授かった緋鼬の止め方は、てんでバラバラの大坂の五つの町火消の団結無くしては成立しない

    偽りの動く?火事であれよあれよという間に五組の火消を一堂に集め、源吾が言葉巧みに曲者揃いの火消のプライドを擽り、競争心を煽り、一つに束ねその気にさせていく場面は傑作である

    「われぇ、何しとんじゃ!」
    「いてまうぞ!」
    「馬鹿にしてんのか!」
    「馬鹿にしてんのよ!」
    「てめえら大坂の町が無茶苦茶にされて悔しくねえのか
     それなのに勝手ばかり言っているお前らを馬鹿にして
     るって言ったんだ!」
    「武士に頼らなくちゃならねえ江戸火消より、大坂火消 
     が優れているってことを見せてみろや!」

    さすが松永源吾である。見事というほかない

    いや、でもこの柄の悪い言葉の応酬、今村さん、ちょっと遊んでますよね

    そして、さらに五つの町火消の力を結集した緋鼬の止め方は、圧巻だった

    消すどころか、5ヶ所同時に起こった火事の横で、焚き火を起こし風の流れを変えるという作戦
    日の本一の風読み二人が居るからこその作戦だった

    いつも場を和ませてくれる新之助の出番はなかったし、大好きな深雪も最後に少し登場しただけだったが、それに代わる大スペクタルストーリー、文句なしの五つ星だった




  • 応援要請を受けて源吾たちは再び関西へ。
    今度は京都じゃなくて大阪が舞台。
    ここでも癖の強い火消したちがおり、江戸とは違ったルールの元で消火活動を行っている。

    火事で起こる緋鼬と言う恐ろしい現象に立ち向かうために東奔西走するが、なかなか足並み揃わず…
    だけど、やっぱり熱い男・源吾がやってくれた!
    源吾の言葉にはグッとくる。

    ここでのメインとなるのは星十郎だけど、彼にもまた大きな試練が…
    思わず泣いた展開。
    あの人の想いがちゃんと星十郎に伝わっているのが喜ばしい。

  • ぼろ鳶シリーズ第九弾!
    舞台は大阪。ぼろ鳶の風読み・星十郎の活躍に焦点を当てたストーリー。
    火事現場にとんでもない現象が次々と!?

    新庄藩・源吾と京の淀藩・弾馬の活躍と、どこか似ている二人の威勢のいい吠えっぷりにスカッとします!
    煽り文句に町火消しの「やったろやんけ!」に、心がはやる。

    江戸とは違い、過去の確執から他の町火消しとは隔たりのある大阪の火消したち。
    口が悪く喧嘩早そうではあるけど、そんな彼らが一致団結したら何と頼もしい!!
    きっかけを作った源吾の振る舞いにしびれた。
    格好良すぎるでしょ!

    これまでにない火消しの描写や展開もおもろかった。
    星十郎は、本当によく頑張った!

  •  大坂で猛威を振るう大火を撃退するため、江戸の火消し松永源吾は、風読みの名人を引き連れて大坂へ向かうが…。

     今回の舞台は、大坂ということで、レギュラー陣の出番はないものの、その分、大坂の個性的な火消し組たちが大活躍し、十分楽しむことができました。

     大阪ならではの難題にあきらめることなく、突き進んでいく松永源吾の覚悟が、一癖も二癖もある火消したちが巻き込まれていく展開に自分のいつの間にか、引き込まれてしまいました。

     また、火付けの裏でうごめく、土御門や一橋の思惑も気になる所で、ますます目が離せない展開でした。

     とにかく、魅力的な登場人物たちが個性を発揮して物語を創っていく作品に改めて魅力を感じました。 

  • 毎度安定した面白さでした

  • 今回は大坂。
    懐かしい野条弾馬と、初お目見えの大坂の火消したち。大坂には武家火消しがいない、半鐘が1つしかないなど、江戸とは状況がかなり異なる。
    タイトルの双風神、1方は加持星十郎、もう1方は天文方の重鎮でこれまでにも出てきたことのあるあの人。
    伝説の人物が主役達と共闘する状況って、どうしてこうワクワクするんだろう。

    今回の火事は実に科学的に厳しい放火。火事で竜巻のような火柱が巻き上がる現象は、明暦の大火などでも表れ、被害を大きくすると知られている。
    これを計算して放火してくる敵。ゾッとする。
    こんなものにどう対処したらいいのか。

    当初はそれぞれの矜持などによってバラバラだった大坂の火消し達が、源吾や弾馬などの異分子の影響もあって、協力し始める。
    仲間になっていく過程は感動。

    そのほかにも大きく泣ける場面もあり、謎解きや人の陰謀、火との戦い、どこをとってもお腹いっぱいに満足できる一編だった。
    いつも面白くてすぐ読み切ってしまうから困る!

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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