ホケツ! (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 497
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344542

感想・レビュー・書評

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  • やっぱすごく良かった。
    そんな語彙力の無い感想を言ってしまうくらい
    すごく良いストーリーだった。

    著者にしか書けない、「ひと」に通づる
    心の描写が本当に素晴らしい。

    解説の人も言ってたけど、
    私ももっと早くこの本に出会いたかったと
    読んでる最中に思ってここに書こうと思ってた。
    なのに、してやられた感じ笑

    あの頃の自分に、もっと全力でチャレンジを
    しろと言いたい。

  • 大地は伯母と2人暮らし。
    みつば高校の三年生で、サッカー部では補欠。
    大地の母は、大地が中一の時にがんで亡くなっていて、母の姉である絹子伯母さんが大地を引き取って育ててくれている。

    学校と家を往復するだけの日々。
    伯母さんはキャリアウーマンのしっかり者で、いつだって大地の味方だし、決して強豪チームではないけれど、監督をはじめ、サッカー部の部員たちと女子マネージャーとのふれあいも、読んでいてとても好感が持てます。

    物語が淡々と進んでいくのだけれど、不思議と続きが気になります。
    高校三年生という貴重な時間の中で、部活も進路も淡い恋心も、大地の心の揺れが痛いほどわかります。
    主人公の描き方がさりげなくて受け入れやすく、小野寺作品にはこういうところに魅力があるのだと思います。

    人として大切なことは何なのかをそっと教えてくれるような、とても温かみのある物語でした。

  • 小野寺さんは、3冊目読み。
    サッカー好き&中村憲剛が推してたからコチラ購入!
    中高ホケツの主人公、叔母さんと住んでいる。
    部活以外にも家族や人間関係にも勿論触れられていて、私ならどうだろか?と気持ちに。
    小野寺さんは、人の気持ちを描くのが絶妙!だと思う。

    『会いたいか、会いたくないのか。本当の気持ちなんてわからない。叔母さんがいいと思うようにしたい。嫌な思いをさせないようにしたい。強いて言うなら僕の本当の気持ちはそれだ』
    そのことで、お前には自分てもんがないのか?と訊かれるなら、こう答えてもいい。それが自分なんですよ、と。

    ↑これめちゃくちゃ共感。私も日頃同じ気持ちになる事たくさんある!仕事でもそう。(会議とかも笑笑)絶対どちらかが良いと拘りがあれば答えてるし…みたいな。

    主人公の影なる立ち振る舞いが素敵だった!
    デルピエロゾーンから決めるシュートかっこいい!笑
    高校時代に戻りたくなるー!!!時は経つのは早いなあ、、、


    コチラを読んだ方にしかわからないが、
    五十嵐4:20 爆笑 ウケる!

  • ☆4

    何も知らずに読み始めたのですが、「みつば南団地」に住む宮島大地くんって、「みつばの郵便屋さん」にも登場したあの大地くんですよね!?
    あの頃から「大地くんは良い子だなぁ」と思っていたのですが、本作ではそんな大地くんを主人公にした作品とのことで、大地くんのことを詳しく知ることが出来て良かったです❁⃘*.゚

    家族、仲間、将来…迷い悩みながら自分だけのポジションを探し出す素敵な物語でした。

  • 母を亡くし、伯母と暮らす男子高校生の大地。サッカー部のレギュラーになれない秒な立場と、伯母と暮らす微妙な家庭環境を、男子高校生の揺れる心境を通して描く。小野寺史宜ならではの、不器用だけど真っ直ぐに生きる主人公がここにもいた。悩みながらも、おぼろげながらも自分の道を決めていく姿が清々しい。最後のフリーキックを蹴るシーンには涙が滲んだ。小野寺史宜の作品に外れなしだ。

  • 読了。部活で万年レギュラーになれないことや、叔母さんとの生活、恋のキューピッド止まり等、自分の中にしっくり居場所がない。だけどそれは自分だけじゃないとわかった時、少しずつ前に進んでいける。ハラハラドキドキはないけど、読了感がいい。

  • 青春っていいなーと。ウルっときちゃいました。

  • 文庫ではなく、単行本で読んだのだけれど、うまく検索ができず
    とりあえず、このままで。

    この人の小説は、本当に好き。
    自分が嫌で嫌でたまらなくなったとき、
    それでも、誠実でありたい気持ちを持ち続けることを続けていこうと
    思わせてくれるから。
    既視感のあるキャラクター名が出るけれど、
    どのタイトルで出会ったのか、確かめようがないのが、今の不満。
    作者や本が悪いわけではなく、図書館から借りて読んでいるせい。
    あ~、だ~っと本を並べて、気になったら即読み返すことが出来ればよいのに・・・

  • 素晴らしい青春小説に出会ってしまった!

    どこにでもありそうな公立高校のサッカー部、そこの万年ホケツでベンチウォーマーである宮島大地君が主人公。団地におばと二人で暮らす大地君の描写は、最初欲が少ないけど情熱も少ない、色んな事に醒めてしまった少年なのかなと思わせる。

    だが、読み進めるうちに、彼は決して醒めた少年ではないことが分かってくる。醒めて見える原因は、彼の境遇からくる気遣いであり、その境遇の中で培ったものが、彼を優しく強くしなやかにさせていく。
    とにかくいい子なんだよ、大地君。お前は絶対幸せになれ、なってほしいと思わされてしまう。

    自分がこんな善き人間でないことが分かっているだけに、善なる行動を自然に条件反射的にできてしまう、彼を尊敬する。

    伯母さんや顧問、サッカー部の友人たち、恋心を描くマネージャー…彼らとの絡みがすべて暖かくて味わい深く、どのエピソードも読むごとに心にホワッと来る。中盤から後半のエピソードオンパレードがまた素晴らしい。

    サッカーには全く疎い俺だが、サッカーの知識はほぼなくても大丈夫。どんな部活をしている人でも、いや社会人であれ、隠居生活者であれ、老若男女を問わず是非読んで、心ほんわかして欲しい1冊。

  • 小野寺君の本は登場人物が優しい。べたべた優しいのではなく、ふとした人間の善の部分を取り出すのが上手いという感じです。
    悪い人だったとしてもとっさに席譲ったり、落とし物を拾ったり、人命救助したりするじゃないですか。そういう人間の根幹部分の善を表現していると思います。
    万年補欠の大地もまた、身のこだわりの無さが包容力に変換されて、株を上げるのに一役買っています。何も誰かの為にと躍起になっているわけではないけれど、結果的に人の為に動いてしまっている。そういう人っていますね。
    気を遣うのがデフォルトになっている人間というのは、気を使わない事がストレスになったりするので、一概に傍若無人にしたからストレスフリーになるのかというと、そこはやはり違うんですよね。
    そんなナチュラルにいいひと道を邁進する大地にはその自覚がありません。周りが勝手に人格者扱いしているだけです。
    でも読んでいるとやはり大地いいやつ。こだわり無いから自分から歩み寄っていけるんだろうけれど、大事なところはのんびりでもしっかり考えてる。
    僕はひたすら影が薄い人間だったので、同級生は誰も自分の事を覚えていない自信があるけれど、彼は皆の記憶にしっかり残るんだろうな。ある意味うらやましい。

    スポーツものなのだけれど、ぐいぐいスポーツ一直線でもないのがいいな。強くなくても同じ方向を向いた仲間がいればおのずと熱血になるよね。若いってそういう事だったんだな。今になってふと思う。

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著者プロフィール

一九六八年千葉県生まれ。二〇〇八年『ROCKER』で第三回ポプラ社小説大賞優秀賞を受賞し同作で単行本デビュー。著書に「みつばの郵便屋さん」シリーズ、『ひと』『ミニシアターの六人』『レジデンス』『タクジョ!』『銀座に住むのはまだ早い』『君に光射す』などがある。

「2023年 『片見里荒川コネクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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