虹猫喫茶店 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344191

感想・レビュー・書評

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  • 猫ファーストな喫茶店オーナーと猫と人びとのお話。猫好きさんに読んで欲しいのはもちろん、これから猫と暮らしたいと考えている人には是非読んで欲しい。

    猫ファーストなサヨリさん、地域猫活動家のおばさま、誰が正しいのかというより社会として愛玩動物とどう向き合うのかが問われている気がした。
    人間の子供にさえ差し伸べる手が足りない中で、動物たちに差し伸べられる手はもっと限られている。
    日本の動物たちが幸せに暮らせますように…

  • 「猫カフェ」ではなく、あくまでも一時的に猫を保護して里親を探している「喫茶 虹猫」。

    猫至上主義のオーナーのサヨリさん。美少年の常連ヒカルくん。地域猫活動家のおばさま。多頭飼いで問題ありのお婆さん。クセが強く暑苦しい動物病院院長…と、かなり個性豊かな面々による物語。
    人間と猫が共存していくうえで浮き彫りとなる猫問題諸々についても、作中触れながら楽しませてくれました。
    猫好きにはたまらない一冊だと思います。

  • うちも保護猫を飼い猫にしているので、
    感情移入しながら読んでしまいました。
    でもそれを抜きにしてもとってもいいお話だった。

    いろんな猫好きが出てきて、
    獣医さんも保護猫団体も
    多頭飼育崩壊のひともでてきて、
    きちんと人間のエゴとか
    ペットのことが描かれているところがよかったです。
    いろんなひとに読んでもらって、知ってもらいたい。

    自分の進路に悩んでるうじうじしてる系の主人公は
    正直好きじゃないんだけど、
    悩みながらも成長していく姿と、
    素直なところが好感度が高くて、
    最終的な読後感がとても良かったです。

    サヨリさんのつくるナポリタンが食べたいー!
    サヨリさんとみんなの成長を
    まだまだ読みたい。続編を熱く希望!!


    「まんぷく」の短編集から
    気になった作家さんだったので読んでみました。
    好きだわーーー。もっと読みたい!!

  • 330pすべて猫、というくらい猫ねこなお話。

    本当は医学部に行きたかったが叶わず、父親と仲違いの果てしぶしぶ獣医学部に進学した主人公。
    学校にも居場所を見出せない彼が、猫の世話をするだけとの文句につられアルバイトをはじめる...というお話。
    猫との毎日を通して人とのつながり、主人公の成長とそれをとりまく人々の変化が描かれた、温かいお話でした。

  • 人懐っこい犬とはちがい、自由気まま。
    そこがまた猫らしく、時に見せるやさしさにはほっこり。
    店名の由来はロマンチックだけれど、不妊手術の是非など、わりとシビアな問題が盛り込まれている。
    猫バカな店主を筆頭に、クセのある人たちばかりだけれど、だんだんとなじんできて、読後感はよかった。
    不本意な進学で、ぼっちだった青年の成長記。

  • 本当は、人間が自分たちは地球で一番偉いと思って、管理人気取りで他の生き物たちの居場所をどうこうしようとしていることが一番問題なんだろうけど…
    そんな大風呂敷を広げたところで全く現実的ではない。
    人は、身近で手の届くことから関わっていくことしかできないのだ。

    医学部志望のはずが、一浪してやっと一つだけ受かった獣医大に入った玉置翔(たまきかける)は、動物に対する周りとの温度差について行けない。
    空いた時間で「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」というバイトに応募するが…

    個人的な感想だけれど、犬好きの人たちに比べて、猫好きは引きこもりでコミュ障的な人が多いように感じる。
    そんな人たちが人とのかかわりを少し広げて行けたり、猫と人の関係、人に管理されるしかないペットの、命と幸せについて考えたりする物語だ。
    そして、自分の進むべき道に迷っている若者が成長するという王道でもある。
    理想と現実の違い、頭でっかちで行動が伴わない学生、思い込みが激しすぎるボランティアなど、ちょっとした困りごともきちんと描かれている。

    …こう書くと堅苦しいようだけれど、個性的な猫たちと、個性的な人間たちがたて糸と横糸になって織りなす、楽しくて温かい気持ちになれる物語。
    翔の雇い主であり、“猫のいる喫茶店”『虹猫』の女主人・鈴影サヨリに寄り添う・黒猫のタイ、謎の美青年・ヒカルにしか懐かない白猫のアイ、臆病で極度の引きこもり、居るのに気付かれなかったサビ猫サビ子…
    翔が世話を任された、荒れ放題の猫屋敷、東丸おばあちゃんのところの約40匹の猫たち、サヨリにぞっこん(死語)で、暑苦しくてかっこいい動物病院の院長・相田先生、翔の憧れ、同じ大学の一年生・桜子ちゃん、地域猫の保護活動に力を入れるオバサン・伊澤さんなども、それぞれ個性的。
    個人的には、すぐに貰われて行ってしまった、貫禄があるデブ猫・豚丼が気になる存在でる。
    そして、読み終わった日、ナポリタンを作りました!

  • 思ったより人間寄りの内容だった。
    猫の可愛らしさであったり、喫茶店の食べ物の描写を描いた本かと思ったら、そういうものは全く出てこないわけではないけど、少し違った。

    読み始めはあまり猫が出てこなかったので興味が湧かず、読み進めるのが辛かったけれど、途中から話が動き出して読み切ることができた。

    著者の短編は他の本で読んだことがあって、その時は丁寧な生活の描写にじんわりほっこりしたので、今回もそれを期待したけれど、ここでも期待通りにはならなかった。

    自分にとっては「なんとか読み切った…」という一冊だった。

  • ぼっちの大学生が偶然に雇われたバイト先で人生経験を積む、というありきたりなプロットでしかないが、作者の狙いは現代のペット(猫)事情を具に書き込むことにある。

  • 6月の合同サイン会でのサイン本。

    旧帝大医学部合格を目指していたものの果たせず,獣医学部に進学した玉置翔はコミュ障気味で,大学でも一人も友だちができず暇を持て余していた。そこで暇を利用してバイトでもしようと学生課に張り出されていたバイト募集に応募する。向かった先は虹猫喫茶店。店内を猫が自由に闊歩しているがオーナーの鈴影サヨリは猫カフェではなく猫がいる喫茶店なのだと主張する。そして指示された仕事は町内で問題となっている猫屋敷の40匹近い猫の世話。猫屋敷には認知症らしい婆さんが一人暮らしだという。この老女を含め様々な理由で虹猫喫茶店に集う人々との交流を通してそれぞれがそれぞれの刺激を受けて変化していく様子を描いている。
    サイン会時点では坂井希久子さんを全く知らなかったため,サインをしてもらう本に何を選ぶか迷った。タイトルに「喫茶店」と入るところが,私の好きなタイプの作品を予感させ,しかも動物が絡んでいるらしいところが決め手だったが,結果的に良い選択だったと言える。本当に色んなタイプの人が出てきて,とんでもない言動をしたりするのだけれど,結局本当に悪い人は出てこない,という所が良い。猫を飼ったことはないが,犬に比べて比較的気楽に飼っている人が多そうな猫飼育にも色々難しい問題があるのだなぁ。猫の魅力というのもおぼろげに伝わってくる。

  • 猫好きと名乗るほどでもないけど、主人公と同じで読み終わりにはなんだか愛しく思えるようになってきた。変わっていくのはいつだって人間で猫は変わらない。主人公が医学部落ちて獣医学部になって、結果的によかったなあ。素敵な居場所もできて、安心した。主人公が何事にも真面目に取り組むからこそ、信頼関係ができたんやな〜。猫の問題も学べた。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂井希久子の作品

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