スーツケースの半分は (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 4795
感想 : 415
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396344177

作品紹介・あらすじ

あなたの旅に、幸多かれ
青いスーツケースが運ぶ"新しい私”との出会い。
心にふわっと風が吹く、温もりと幸せをつなぐ物語。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、スーツケースについたキズが気になりますか?

    一年のうちに、そう何度も使う機会のないスーツケース。 家の中では嵩張るだけで普段は邪魔者になりがちなスーツケース。あなたは、そんなスーツケースを買った時のことを覚えているでしょうか。大きさ、素材、そして色、とそれぞれの好みに合わせて選んだスーツケース。キズ一つないそんなスーツケースを見て、大切にしよう!、誰もがそう思う瞬間があったはずです。しかし、スーツケースというものは、旅の途上で幾度も所有者の手を離れて他人の手にその運命を委ねる時間が存在します。Fragileと目立つタグが付けられていようと、自分の手を離れれば残念ながら次に手にする時の姿が手を放した時と同じであるとは限りません。思わぬ場所に、思わぬ大きなキズがつけられてしまっているのを見つけて、ショックに沈んだ方も多いと思います。そう、旅の途上でどんなに大切に扱ってもスーツケースはいつかキズつくものです。『どこにも持って行かなければ、このスーツケースはきれいなままでいられる』。確かにそうかもしれません。でも、一方で『それじゃスーツケースの意味がない』のも事実だと思います。キズついて、ボロボロになって、それでも世界を旅するスーツケース。あなたは、そんなキズついたスーツケースに何を思うでしょうか?キズつくくらいに世界を旅したスーツケースを見て何を感じるでしょうか?

    さて、ここに『幸福を運んでくれる』というスーツケースを描いた物語があります。世界を旅してキズついた青いスーツケース。あなたは、そんなスーツケースを見て何を思うでしょうか?

    『電車のドアが開いた。すでに人が壁のように立ちふさがっている』という満員電車に乗り込んだのは主人公の山口真美。『これさえなければ、今の五千倍は気分よく、一日をスタートさせられるだろう』と思う真美は、『ふいに、目の前から人の背中が消えて、呼吸が楽になった』のを感じます。『足下にスーツケースが』あるのに気づく真美。『ただでさえ満員の電車にスーツケースを持って乗り込むなんて、非常識』と考える真美は一方で『いいなあ…』と思います。『海外旅行に行ったことがない』真美。『英語はできないし、海外のことはなにひとつわからない』、『販売という仕事柄、カレンダー通りに休みは取れず、友達と予定も合わせられない』という真美。『新婚旅行でニューヨーク行きたかった』と過去を振り返ります。『夫の武文』も一度は同意したものの『向こうで自由に過ごせるのは、正味二日』、『もっと長い休みが取れたときに』と結局諦めて『竹富島に行った』その旅行。楽しかったものの、海外には行けないままの真美。『子供でもできてしまえば』もう行けなくなると思う真美は『旅に出よう。目の前の彼女のようにスーツケースを持って』と心を決めます。その夜『やっぱりニューヨークに行きたいな』と武文にその気持ちを伝えます。しかし『あからさまに面倒くさそうな顔をした』武文は『定年になってから行けばいいんじゃないか。たった三十年だろ』とあっという間に却下された真美の希望。そんな真美は『ひさしぶりに土曜日に休みがもらえ』たこともあって、大学時代の友人に連絡をとります。『中野花恵がフリーマーケットで店を出』す場に誘われた真美。そして、舘原ゆり香、澤悠子の四人が再開しました。海外旅行好きで一人でどこにでも出かける彼女たち。そんな彼女たちに旅行の断念のことを話すと案の定『ひとりで行けばいいのに』と言われた真美。『ちょっと、会場を見て回ってくる』と『多くの服や鞄や靴』が並ぶ会場を見て回る真美。そして『中ぐらいの大きさのスーツケース』を一つだけ置いた女性の前で足を止めた真美。『色が目の覚めるような青だった。ちょうど、今日の空と同じような色合いの鮮やかな青』というそのスーツケース。『吸い寄せられるように、前に立ってしまう』真美。そんな真美と青いスーツケースとの出会いが、真美の人生を変えていくことになる〈ウサギ、旅に出る〉というこの短編。『色が目の覚めるような青』というまさにその気持ちに真美の心が昇華してゆくのを見る、この作品の冒頭に相応わしい好編だと思いました。

    九つの短編から構成されるこの作品。最初の短編〈ウサギ、旅に出る〉において、主人公の山口真美がフリーマーケットで運命の出会いを果たす『色が目の覚めるような青』という革のスーツケース。そんなスーツケースが、色んな形で登場しながら物語を編み込むように展開していく連作短編の形式をとるこの作品。そんな最初の短編の主人公・真美は『海外旅行に行ったことがない。パスポートさえ持っていない』という身ながら、『行きたくないわけではなく、ずっと行きたいと思っている』と気持ちが行動に現れていかない悶々とした日々を送っていました。真美にとっての『海外旅行』に象徴されるこの気持ちは、往々にして誰もが何かしら持つものだと思います。初めてのこと、慣れないことに最初の一歩を踏み出すことは、人にとってハードルが高いものです。その心持ちを近藤さんはこんな風に表現します。『やらないことはやることよりも、ずっとずっと簡単だ。衝動ははやり風邪みたいなものだから、やり過ごしてしまえば、そのうちどうでもよくなってしまう』。まさしく見事なまでに言い得ているこの言葉。人間誰だってやり過ごせることであるなら、やり過ごしたいと考えるのは当然です。そして、どうでもよくなってしまうのなら、それも一つの生き方の選択肢とも言えると思います。しかし、必ずしもそうでない場合もあります。この作品の主人公・真美がそうでした。『やりたいことをだれかの決断にゆだねたまま、ずっと宙ぶらりんのままにするのはいやだ』というその秘めた感情がいつまでも渦を巻き続ける真美。そんな時、人には何かしらきっかけが必要なのだと思います。数多くの小説を読んできて、同じように何かしらのきっかけを、ある小説では料理が、ある小説では本が、そしてある小説では人がその起点となって主人公の人生を動かしていくのを目にしてきました。この作品では、そのきっかけをこの青いスーツケース、そして旅そのものに見い出していきます。『だから、真美は決めた』という瞬間の到来。しかし、一方できっかけはどこまでいってもきっかけに過ぎません。自分の人生はどこまでいっても自分が切り開かなければいけないもの、自分の人生の主役は自分自身だからです。そんな、主人公たちの人生の転機に現れた青いスーツケース。旅には欠かせない、そんなスーツケースに光を当てたこの作品。いつも脇役のそんなスーツケースがとても愛おしく感じられました。

    そんなスーツケースが九人の手の元に色んな形で渡っていくこの作品。連作短編として、最初の短編〈ウサギ、旅に出る〉の主人公・真美の大学時代の友人四人に順番に視点が移っていくであろうことは予想の範囲内です。『三人は海外旅行が好きで、ひとりでしょっちゅう出かけている』という表現から、真美とは違って活発で、前向きな姿勢が目に浮かびます。しかし、実際に視点が移ってみると、その内面は様々な悩みの中で生きている一人の女性の姿でした。『旅の話はしたくない。恥ずかしいからだ』と自分自身の生き方に自信が持てないまま香港を旅する花恵。『好きなように生きているのだから、不幸せなはずはない』と思う一方で将来に不安を抱きながらアブダビを旅する ゆり香。そして、『この街が受け入れてくれるのは、自信を持った人だけだ』と、不安定なライターの立場でパリのパン屋を取材する悠子。真美からすると、一人でどこにでも旅できる強い存在であったはずの彼女たち。しかし、そんな彼女たちもそれぞれに自身の生き方に自信が持てないまま、”やり過ごす”人生を送っていました。そんな彼女たちも、それぞれが主人公となる各短編の旅の中でそれぞれに何かしらのきっかけを掴んでいきます。それは、真美の最初の一歩にも影響されたものでした。そんなきっかけを真美に与えてくれた青いスーツケース。それを彼女たちは『幸運を呼ぶスーツケース』と呼び、そこに何かを期待して共に旅をします。そして、そんな物語は、やがて、読者が予想しなかった、それでいて、なるほど!そうきたか!という人物たちへと視点が移っていきます。それらの人物たちも、やはりそれぞれに悩みを抱えているのは同じです。悩みのない人間などこの世にいないと思いますし、悩むのが人間である、そんな風にも思います。そんな悩み多き人生について、近藤さんはこんな風に人生を語ります。『まるで人生は掌みたいだ』というその表現。『なにかをつかみ取るためには手の中のものを捨てなければならない』というその例え。そして、ふと気づきます。『自分はなにも捨てたくないから変わらないままでいるのだろうか』という気づきの瞬間。人は色々なことに思い悩みます。そんな時、ついつい自分と他人とを比較する、他人の生き方を比較する、そういったことを起点に思い悩む感情というものがあると思います。しかし、そんな『みんなが変わっていく』という他人の人生の中にも『別の道を選んだり、なにかを手放したり、あきらめたりしている』と、それぞれの思い悩みの中で、それぞれに試行錯誤をして人生を前に進めていることがわかります。そう、人と比較しても意味がない。私たちは、それぞれ自分の人生を生きている。他人のものではない、自分が主役であり続ける自分の人生。そうであるからこそ、『だれかの決断にゆだねたまま』の人生ではなく自分が納得できる、自分らしい人生を生きたい。『飾りのようなパーティバッグではなく、酷使されるスーツケースのような人生の方がよっぽど自分らしい』というそんな人生を生きたい。そんな彼女たちがそれぞれに輝きを増せば増すほどに、長旅でキズつき、ボロボロになっていく青いスーツケース。そんなキズは、彼女たちが必死で掴みとった人生の勲章に他ならないのかもしれません。

    真美がフリーマーケットで手にした青いスーツケースが人から人へ、そして色んな国々へと主人公たちと共に旅する様を見るこの作品。モノというものは、どんなに大切にしていても、使えば使うほどに傷ついて、どんどんボロボロになっていくものです。『どこにも持って行かなければ、このスーツケースはきれいなままでいられる』、『でも、それじゃスーツケースの意味がない』。これはまさしくそのとおりだと思います。どんどん傷ついて、様々な国の様々な空港でシールが貼られてボロボロになっていくスーツケース。しかし、それは世界を旅したスーツケースである証とも言えます。そして、私たち人間も様々な悩みの中で『心も身体も小さな傷ばかりが増えていく』という人生を送っています。傷ついても、ボロボロになっても生きていく、前を向いて歩いていく、それが人間として生まれた私たちが生きるということなのだと思います。

    『たとえぼろぼろになったとしても、スーツケースはパーティバッグよりもいろんな風景を見ることができるだろう』というスーツケースに私たちの人生を重ね合わせるこの作品。清々しさを感じる読後の感情の中に、じんわりと湧き上がる何かをもらったように感じた、そんな素晴らしい作品でした。

  • 子供がインフルエンザになってしまった為、仕事を長期お休みさせてもらっています

    読書し放題!!(職場の皆さんごめんなさい)
    子供の熱は1日で下がり、とんでもなく元気な為そんなに手もかからずおこもり読書させてもらってます

    この本もずっと積読していた本
    私も臆病もので、飛行機が苦手。ずっと旅は行かなくていい
    と思っていたけど、年々考え方が変わってきた

    真美の行動力すごい!
    あと、ゆり香の彼氏最悪!!

    おこもりしているはずなのに、パリの気分まで味わえる素敵な本でした!!

  • 一つの青いスーツケースが紡ぎ出す、9つの連作短編。
    このスーツケースを持って旅に出る人、手放す人etc、登場人物たちの話から、人それぞれの人生があるのだなぁと思う。
    旅から“人生”という大きなことを考えたことはないけれど、私も何かを感じて何かを得たり捨てたりしているのだろうか。
    後半の展開では、意外な人の登場に静かな感動が押し寄せた。

    私は文庫本には、布のブックカバーをかけている。愛用しているのは“青”のブックカバー。
    この本にぴったりであったと、読後気づいた。

    • こっとんさん
      了解ですφ(..)メモメモ
      って、逃げるのかー(」゚Д゚)」
      了解ですφ(..)メモメモ
      って、逃げるのかー(」゚Д゚)」
      2023/12/17
    • 1Q84O1さん
      逃げるんでーす!ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      耳の動かし方ならお教えしますよw
      逃げるんでーす!ε≡≡ヘ( ´Д`)ノ
      耳の動かし方ならお教えしますよw
      2023/12/17
    • こっとんさん
      じゃあ、今度、そっちを教えてもらうことにしまーす(´▽`*)
      じゃあ、今度、そっちを教えてもらうことにしまーす(´▽`*)
      2023/12/17
  • 近藤さんの作品を読むのは2冊目。
    結論、想像していたよりも面白かった!
    まず、表紙が可愛いところが購入きっかけ。
    帯には「女子に大ヒット がんばる自分にごほうび、一緒に旅に出ませんか!」と。それはいいのだが、

    エキナカ書店大賞受賞第一位
    ↑ えーっ、この賞は何!?本屋大賞とは違うんですよね!?笑 初めて見たような。とりあえず表紙が可愛くて購入・:*+.\(( °ω° ))/.:+

    9話構成、4人組の女子友達と、その家族や、旅先の現地の人目線でそれぞれ語られております。
    みんな各々心の中に秘めた葛藤や悩みや将来への想いなどあり、普段見えてる人の言動とはやっぱり違うところもあるんだろうなあと感じた。
    お金や時間への価値観や自分への自負も、バラバラで他人からどうとか気にするよりも、自分軸で幸せかどうか?を決める的な前向きな感じで次の章に移っていく事が多い。
    中には、なんだコイツーみたいな男子が出てきたり。

    第9話に出てくる兄の話がなければ★5
    この人いきなりなして出てきたの?笑
    この章だけ微妙。。

    海外旅行の話もでてくるけど、それより温泉行きたくなりましたね。畳の上で日光浴びながらゴロゴロゆっくり昼寝したいー。温泉って、謎になんであんなにご飯たくさん食べれるんだろう。。って話ずれましたー。

    積読本が減らない、まあこれも幸せかな( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

    • 1Q84O1さん
      なんなんさん、こんにちは~♪
      私もこの作品読みましたよ!
      近藤さんの作品の中でお気に入りの一つです^_^
      そして、エキナカ書店大賞(・・?
      ...
      なんなんさん、こんにちは~♪
      私もこの作品読みましたよ!
      近藤さんの作品の中でお気に入りの一つです^_^
      そして、エキナカ書店大賞(・・?
      私も初めて聞きました…w
      いろいろな賞がありますねw
      2023/04/29
    • なんなんさん
      1Q84O1さん、こんにちは★
      一緒に旅行しながら悩みに共感したり、えー?そんな事思うんだー?とか、色んな事考えながら楽しく読めました!!
      ...
      1Q84O1さん、こんにちは★
      一緒に旅行しながら悩みに共感したり、えー?そんな事思うんだー?とか、色んな事考えながら楽しく読めました!!

      エキナカ書店大賞調べたら本当にありましたっ!笑
      この本は2019年の大賞みたいです_φ(・_・

      ※※※※※
      「エキナカ書店大賞」は、JR東日本の駅ナカ書店「ブックエキスプレス」の書店員が、自分で読んで「面白い」、「お客さまにも薦めたい」と思った本を持ち寄り、選考した本を「エキナカ書店大賞」として表彰する文学賞です。
      第10回となる今年は、JR西日本の駅ナカ書店も加わり、東西JRの駅ナカ書店合計32店舗の書店員が本気でおすすめする文庫6作品を厳選。
      この中から、2月5日から2月28日までの期間最も多く販売された作品を「エキナカ書店大賞」として表彰するものです。
      2023/04/29
    • 1Q84O1さん
      へぇ〜、「エキナカ書店大賞」なるほど^_^
      文庫を厳選っていうところも、電車の中で読みやすいように駅ナカならではなんですかね…?
      単行本だと...
      へぇ〜、「エキナカ書店大賞」なるほど^_^
      文庫を厳選っていうところも、電車の中で読みやすいように駅ナカならではなんですかね…?
      単行本だとちょっと持ち運びが大変ですねw
      2023/04/29
  •  近藤史恵さんのこの作品、結構沢山の読書家さんが読まれていてしかも高評価だったりして、ずっと気になってましたが、やっと読むことができました。そして皆さんが、高評価なのも納得です!ひとつのスーツケースをめぐって様々な人たちの過去、現在、今が展開していきます。

     大学時代の女友達4人のうちの1人がフリマで手に入れた青いスーツケース…奥手な彼女が海外への一人旅を決行しハプニングもあったけれど納得のいく旅ができたことから、「幸せをよぶスーツケース」として友達の旅においても活用されます。様々な国をめぐり、取り違えもあったりして傷だらけになったスーツケース…。そのルーツもあきらかになります。

     個人的に好きなのは3話の「星は笑う」かな…。ゆり香とその彼余田で中東アラブのアブアビを旅するストーリー。この余田がイヤ~なヤツなんだけれど…それ以上にゆり香がカッコいい!!最終話での主人公の兄はダメダメなヤツすぎてムカムカしちゃいますね…。

     うまく言えないけれど、この「青いスーツケース」は持たれるべき人のもとにリレーされたのかなって…。不思議な縁みたいなものを感じます。私は小心者でビビりなんで、海外よりは国内の旅行がいいな…もう~美味しいお料理と、美味しいお酒を堪能し、その後の後片付けの心配もなくのんびり過ごせるような1人旅してみたいっです。あ、でももし、この「青いスーツケース」が巡りめぐって私のところに届いたなら、海外への一人旅もできそうな気がします(まぁ…そんなことは絶対にないから、夢ということで(汗))。

    • なおなおさん
      1Qさん、やめて〜〜(*`皿´*)ノ

      ……( ˘͈ ρ ˘͈ *)コホン
      かなさん、もう一つお歳暮をお持ちしました。
      どうぞ(´。•∀•。...
      1Qさん、やめて〜〜(*`皿´*)ノ

      ……( ˘͈ ρ ˘͈ *)コホン
      かなさん、もう一つお歳暮をお持ちしました。
      どうぞ(´。•∀•。)っ⌒♡。.

      顔文字は私が作っているのではなく、変換してくれるアプリを使っております。
      「グサッ」と入力すると、あのようなモノが出てくるのです。
      私のせいじゃないです( ↂ⃝⃓⃙⃚⃘_ↂ⃝⃓⃙⃚⃘)

      メモ機能には、図書館名と書架番号を入れております。記念&再読する時に備えて。
      2023/12/16
    • かなさん
      1Q84O1さん、こんばんは!
      大丈夫ですよぉ…やさしい、なおなおさんが
      誰かれかまわず、射抜くなんて、
      そんなことないですよぉ(笑)...
      1Q84O1さん、こんばんは!
      大丈夫ですよぉ…やさしい、なおなおさんが
      誰かれかまわず、射抜くなんて、
      そんなことないですよぉ(笑)
      だって、ほら~また、お歳暮持ってきてくれたし(^O^)/
      2023/12/17
    • かなさん
      なおなおさん、こんばんは!
      お歳暮、再びいただきま~す(∩´∀`)∩

      なおなおさんの絵文字、いつもいつも上手って思ってて!
      変換ア...
      なおなおさん、こんばんは!
      お歳暮、再びいただきま~す(∩´∀`)∩

      なおなおさんの絵文字、いつもいつも上手って思ってて!
      変換アプリがあるのですねぇ…!!
      面白いなぁ…これからも楽しませてくださいネ♡
      メモ機能に、図書館名と書架番号ですか??
      それもまたすごくいいつい使い方ですね(*'▽')
      2023/12/17
  • タイトルに惹かれて図書館で借りてみました。もう何年も海外旅行に行けていない反動がこういうところで現れる(笑)
    初読みの作家さんでした。
    その表紙の可愛さから、私の読みたい本リストに「タルト・タタンの夢」がずっと入ったままなのですが、その作家さんだったとはなんとなくうれしい驚きでした。「タルト・タタンの夢」も早く読みたい。

    本書はきれいなブルーのスーツケースが軸となって、つながりのある短編が9作収録されている。

    1.スーツケースを衝動買いした真美。(旅先:ニューヨーク)
    2.友人の英恵。(旅先:香港)
    3.同じく友人のゆり香。(旅先:アブダビ)
    4.またまた同じく友人の悠子。(旅先:パリ)

    この4人は大学時代の友人同士、結婚している子もいれば、派遣社員として働いている子、フリーの仕事をしている子などそれぞれ。そして悩みもそれぞれ。あまり「女性だから」とか言いたくないけれど、言ってしまおう。妙齢の女性なら一度は悩むことがこの4人の誰かの悩みに見つかるのではないか。他人から見たら、それこそ色々と大変な思いをしている人から見れば、大したことないけれど、心の底でうじうじと留まっているような女性ならではの悩みに共感できた。

    5.(確か)英恵のいとこで、パリで悠子とちょっとしたつながりができた栞(パリ在住)
    6.獣医の優美(この話ではどこにも行かない。次の話でドイツへ)
    7.優美の娘、春菜(ドイツに留学中)

    栞と春菜の、一見他人から見たら「海外に住んでいる、留学している」という境遇から羨望のまなざしで見られそうな状況を、それぞれが悶々と悩んでいる様子がすごくリアリティがあってよかった。海外に住んだことも、留学したこともないけれど、「あぁ、なんかわかる。私もそんなふうに悩みそうだわ」と共感してしまった。やっぱり自分が属するところとか、はっきりと描けない将来像とかって人間を悩ませますね、結局。

    8.前出の4人の女友達のうち3人での国内旅行

    なんとここでスーツケースを作った職人さんに出会う!!

    そして、

    9.スーツケースの最初の持ち主で優美と春菜の親類にあたる加奈子

    加奈子の話はこれまでと一線を引いて全く別物の感じがした。不思議な魅力を持ちながら、なんだかとっつきにくい人に思える加奈子も、自分の弟の不義理が原因で別れた優美と春菜を、親戚としては縁が切れた後も見守っていた様子を前の話でわかっているので、加奈子の存在そのものが温かかった。

    4話まででこの軸となっているスーツケースが「幸運を呼ぶスーツケース」と呼ばれ、友人間で貸し借りされ、本作をつなぐ大事なものだとわかるが、元の持ち主に返ったときには「おぉ」と心が跳ね、さらに先が気になりだした。そして最後の短編でこのスーツケースがどこからどうやってみんなの元にやってくることになるのか、スッキリとつながる。

    短編がつながる様子が最近よく読む青山美智子さんに似ていた。どれも最後は良い方向に進む短編だが、途中少しびっくりというか少し重めの出来事も挟まっていたりして単調でなくてよかったのかもしれない。どの話もどの主人公も「特に好き」とはならなかったけれど、読了後は穏やかであたたかい気持ちになれます。

  • 2023.9.8 読了 ☆8.2/10.0


    "まるで人生は掌みたいだ。なにかをつかみ取るためには手の中のものを捨てなければならない。ふと思った。自分は、何も捨てたくないから変わらないままでいるのだろうか。" p.260


    たくさんの荷物を両手いっぱいに抱え込んでいたら、そして背中にたくさん背負っていたら、それ以上持ちきれないし、それ以上高く跳べない。

    それと同じように、人生においても身軽でいないと、いざという時に動けない

    もっとシンプルでいいのよ、と教えてもらった気がした。

  • 4人の30歳の同級生女友達とその周辺の人々の旅に関する連作短編集。鮮やかな空色のスーツケースが次々と次の人の手に移っていく。10代後半から30歳までの若い女性(最後の話だけはちょっと違うが)の人生における苦い思いやささやかな喜びを描いている。描いているというと少し違和感があるかな。それぞれの短編ごとの主人公の思いや他との関りが描写というより説明されているのだ。一気に読んでしまったので読み易かったんだろうが、なんか作者のシナリオのままに読まされたような感じがする。人生ってこんなものなんですよと言われて、はいそうですかというところか。あんまりこちらの想像する余地がなかった。

  • 大学の同級生だった29歳の女子4人がそれぞれ旅にでる。真美は生まれて初めてNYへ、花恵は香港へ、ゆり香はアブダビへ、悠子はパリへ。幸運の青いスーツケースを持って。バリに住む栞、ドイツへ交換留学する春菜とその母・優美、そしてスーツケースの持ち主だった春菜の伯母・加奈子も登場。女性たちの旅、仕事、恋愛、苦悩を連作短編の形で描いた作品。

  • 1時間で読了。
    好きな話♪
    どんなスーツケースなんだろう、実際に見てみたい!
    その人にとっての幸運を呼ぶ、とても前向きな話で気持ちが明るくなった!
    しかし、最後の話はちょっとモヤモヤかな。
    あのお兄ちゃん悪い。
    この作者さんは好みで、集めています♪
    次は何読もうかな〜

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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