九紋龍 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 82
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  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343750

感想・レビュー・書評

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  • いやー面白い
    今回もすんばらしいキャラクターが登場しつつ
    長期シリーズに向けたいつでも回収できそうな伏線はりまくりの第三巻でした

    それにしても今村翔吾さんはよく分かってる
    そうなんですよ主人公の源吾の活躍以上に妻である深雪さんの活躍を求めているんですよ!読者は!少なくとも自分は!!
    そんな希望にしっかりと答えてのエンディング
    素晴らしい!

    そして相変わらずのキャラ立ちの凄い面々
    これはもうこのキャラ設定をもとに脚本家さんたちが集まってTBSの月曜夜8時から43部に渡って放送するしかないでしょうよ!
    衆議院予算委員会とかで話し合ってもらえないだろうか?
    あーでもあれか民間企業だもんな〜TBS、国会が番組編成に口出せないよな〜残念(クリアすべきはそこじゃない)

    あ!43シリーズもやったら江戸の町が燃え尽きるなこりゃ(心配すべきもそこじゃない)

  • 「灰汁の強い連中ばかり。考えもてんでばらばら、ほんの些細なことで喧嘩ばかりさ。でもよ、炎との喧嘩だけはしれっと力を合わせちまう」

    人気シリーズ第3弾。
    特に指示を出さずとも火事場に駆けつければ、自然と役割が分担されるチームワークの良さ。
    各々の個性もいい具合に際立ってきて、読んでいて惚れ惚れする。

    今回は残虐な火付け盗賊団・千羽一家を相手に一丸となって立ち向かう物語。
    最強の町火消・九紋龍との絡みにハラハラしたりほろりとなったり。
    互いの実力を認め合った、男同士の真剣なまでの激しい衝突にアツくなった。
    我らが勘定小町・深雪も相変わらずのキレ具合で、ますます面白い。
    愚直な男達の中で、一人冷静かつ現実的な深雪が出てくるとほっとする。
    今回はラストの「待つ人がいるからこそ、決して諦めずに炎に立ち向かえる。そして誰かの待つ人を守れるのだ」にキュンとなった。
    常に死を覚悟しなければならない火消という職業も、家で変わらずに自分を待ち、信じてくれる人がいるからこそ頑張れる。
    優しい気持ちで本を閉じることができた。
    第4弾もとても楽しみだ。

  • 〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第三作。

    今回、松永源吾率いる〈ぼろ鳶組〉が闘うのは、火事を起こし、町中が逃げ惑うその隙に富商を襲い一家皆殺しにして大金を奪う盗賊『千羽一家』。
    それだけでも大変なのに、病に倒れた新庄藩家老・六右衛門の代わりにやって来た、藩主の親戚・戸沢正親は火消の削減を迫られ、さらに町火消〈に組〉頭『九紋龍』こと辰一が火事現場に乱入し混乱させる。

    新しく登場した戸沢正親と辰一、どちらも初対面の印象は最悪。だけど実は…というキャラ。個人的にはこういうキャラクターにはグッと来る。
    二人とも抱えているものが重くて…でもだからこそ支える人がいてくれることのありがたさは感じられるはず。

    それにしても新庄藩は本当に貧乏なんだと実感。
    それを何とかしようと六右衛門が画策していたところの病。
    六右衛門は復活出来るのか、そして<ぼろ鳶組>は存続出来るのか。

    シリアスに傾き過ぎそうなところを、新之助や彦弥が上手く和ませてくれる。
    そして源吾の妻・深雪のSっぷりも相変わらず。でも引くべきときは引くし、支えるべきときは後ろで支えてくれ、最後に意外な活躍を見せてくれる。

    鬼平に代わって火付盗賊改方に就任した島田は小者感たっぷりのキャラだが、その分笑いも誘う。新之助に上手いこと弄られているのが楽しい。

    肝心の『千羽一家』との直接対決は先送り。辰一との絡みはまだあるのか。

  • 【羽州ぼろ鳶組シリーズ 3】
    江戸の町の一人に成れるこのシリーズ♡

    火付けをし、そこに大勢が気を取られている隙に、大店の一家を皆殺しにする盗賊一団『千羽一家』が今巻の敵である。
    上方で大暴れをした後、江戸に舞い戻って来たらしい一団に立ち向かう火消し達。

    新庄藩火消しぼろ鳶組と、に組の頭:九紋龍の辰一、藩主の代役:戸沢正親も大いに関わってくる。
    敵か?味方か? 
    辰一VS寅次郎は、プロレスラーVS力士の様(笑) 勘定小町の深雪の算勘の力もピッカピカ!

  • 『羽州ぼろ鳶組』シリーズその3。

    新たな仲間も加わり、ようやく体制が整ってきた羽州ぼろ鳶組。
    しかし、新たに赴任してきた藩主代理の戸沢正親から、俸給の削減、さらには方角火消しを辞退すると言い渡されてしまう。
    一方、ある日の火事場で、江戸最強の火消と言われながら訳あって江戸を離れていた“に組”の頭・九龍紋と衝突する。彼らは火事場に居合わせた野次馬を片端から乱暴に捕縛し、止めに入ったぼろ鳶組の面々も一方的に叩きのめされる。

    そんな折、火付けで人目を逸らした上で商人宅に押し入り、家人を皆殺しにするという残虐非道な強盗・千羽一家が江戸へ戻ってきた。
    九紋龍の行動は、千羽一家を捕らえるためと察した源吾たちは…


    いやはや、またまた熱い!熱すぎる!!
    源吾たちと対立するかに見えた男たちも皆、実は心に熱い思いを抱く男たち。
    今作は千羽一家との対決がメインだが、終章の“勘定小町、参る”がまた痛快。

  • シリーズ第三弾。ほんとに安定して面白い。
    今作も強烈な個性を持つ新キャラクターが登場する。
    最強の町火消し九紋龍、大文字屋の下村彦右衛門、御連枝様の戸沢正親。今後も盛り上げてくれそうな魅力溢れるキャラクターである。
    そして、サイドストーリー的にラストで書かれている勘定小町こと深雪さんの才女ぶりがなんとも素敵な話で物語を締めくくってくれます。

  • 新庄藩の国家老北条六右衛門が流行病に倒れ、その代わりとして送り込まれてきた御連枝戸沢正親は、何者なのか?
    そもそも親族は政に関与してはならないはず

    拝謁の場で、いきなり財政立て直しのため、方角火消しのお役目の返上を幕府に申し出ると言う

    これも田沼意次の失脚を狙う一橋家の策略かと読者をヤキモキさせておきながら・・・
    最後には、大どんでん返しの感動が!

    大富商を狙ったつけ火の上、一家皆殺しの強盗千羽一家が江戸を恐怖に陥れる

    さらに、町火消に組の頭、九紋龍こと辰一の不可思議な行動と悲しい生い立ち

    松永源吾の元、一段と結束力を強めたぼろ鳶組がそれらにどう立ち向かっていくのか

    千羽一家の動きを封じ込めるために、知恵と力を結集し、日頃は喧嘩ばかりの各火消が「一人の犠牲者も出さない」を合言葉に素晴らしい活躍を見せる

    そして、大仕事を為し終えた火消が、町人の喝采を浴びながら半纏を裏返し意気揚々と引き上げる姿は、惚れ惚れする

    半纏を裏返して引き上げるということは、一人の死人も出さなかったという彼らのアピールなのだ

    そして、厳しく激しく恐ろしい火消の場面の後は、お約束の勘定小町深雪の登場でほっこり笑わせてくれる

    今回は、松永家の家計のやりくりどころか、商人を呼びつけての新庄藩の特産品の公開買い付けの名代に抜擢された

    女人の分際で初めから高を括る商人を前に丁々発止の深雪
    そして、ここに御連枝戸沢正親の登場は、涙、涙の感動を呼ぶ
    戸沢正親の名君ぶりは、見事に読者の予想を裏切ってくれた
    いやはや、完全にやられました

  • 今回も熱い!
    ぼろ鳶組のメンバーはもちろん、に組の頭を筆頭に人情溢れるキャラクターが人を救うために奮闘する。
    もちろん活躍するのは火消しだけじゃない。
    みんながみんな、本当にかっこいい!
    それぞれの見せ場がとても上手に描かれていて、キャラクターの個性が生き生きしてる。
    まだまだ続きが楽しみ!

  • いやいや熱かった!
    敵は極悪非道の千羽一家。

    江戸家老・六右衛門が病に倒れ、国元新庄からやって来た御連枝様・正親…これが素晴らしい!
    もう松田翔平で脳内ドラマ再生(°▽°)

    今回は九紋龍・辰一のドラマに泣けます(´Д` )
    男達の熱い闘いに、江戸の町とわたしの胸も燃え盛る!
    そして深雪!毎回最終話は深雪!
    もうこれが最高!深雪のスピンオフ出して頂きたい!
    勘定小町で一冊\(//∇//)\

    熱くなりすぎて息切れしてしまった…

  • 「羽州ぼろ鳶組」の3冊目。

    今度は、火事を起こしその隙に皆殺しの押し込みを働く盗賊・千羽一家の狼藉から幕が開くお話。
    その盗賊が江戸に入ったと思しき火付けを止めるべく奔走する<ぼろ鳶>だが、病に倒れた家老に代って江戸に入った藩主の親戚・戸沢正親に火消の削減を宣言されるわ、現場ではに組の頭・九紋龍の辰一の大立ち回りに大混乱と、内憂外患の危機的な状況に…。
    物語が進めば、最初は嫌な男と思われた正親の思惑や辰一の心情が次第に知れていくが、それにしても、どうして今回出てくる男たちはどいつもこいつも格好いいんだ。
    新庄の民を思い火消見廻役に盾突く正親や背骨が軋んでも膝を折らなかった辰一はもとより、今回も盗賊を殺さずに斬り捨てていく新之助や己の過去をぶちまけて過ちを償う卯之助に加えて、素知らぬ顔で辰一を切り放つ牢屋敷の石出や羽州の良品を相場の倍で引き取る彦右衛門といったチョイ役まで、凛とした男たちの姿に惚れ惚れする。
    勿論、源吾も『江戸っ子は五月の鯉の吹き流しってなもんさ』と、人を恃まぬ辰一の言い残した言葉を全うする男振り。

    と言いながら、最後の最後でみんな持っていく勘定小町・深雪さん、恐れ入りました。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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