乱と変の日本史 (祥伝社新書)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396115654

作品紹介・あらすじ

乱と変の日本史

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    序    乱と変から何がわかるか
    第1章  平将門の乱
    第2章  保元の乱、平治の乱
    第3章  治承・寿永の乱
    第4章  承久の乱
    第5章  足利尊氏の反乱
    第6章  観応の擾乱
    第7章  明徳の乱
    第8章  応仁の乱
    第9章  本能寺の変
    第10章  島原の乱
    結    日本史における「勝者」の条件

    <内容>
    本郷教授の中世の戦乱の概説。ただし、従来の説とは違うものも多々。本郷氏の文章は明確に結論を示すので、わかりやすい。筋も通っているので、先生方の教養としても可。応仁の乱の説明は従来説とは違うが、室町時代を俯瞰した説として面白い。

  • 外敵からの侵入が少なく(黒船や敗戦など除く)、多神教(宗教的には何でもあり)であるが故に常に場当たり的で、それこそ場の空気を読みつつ、穏やかにゆっくりと、だけど一部の権力による力技にほとんど歪められることなく、確実にトレンドに沿う形で変化してきた日本社会。勝者と敗者を分ける分岐点は、このトレンドに沿ってるかどうかによる。

    乱や変には「天下分け目」となる争いもあるが、時代からの要請というトレンドが見えるまでしっかり目を凝らしながらポジション取りをしていきたいところだ。

  • フランスの哲学者コジューヴは「人間の歴史を学びたいなら日本の歴史を学べ」と言ったそうで、「我々は最高のテキストを持っている」という信念?から、いくつかの乱と変について、背景・構図・経過・結果を論じたもの。
    「我々は最高のテキストを持っている」と言われるとそうなのかもしれないような気もしてくるし、その理由や視点にも妙に説得力や面白さが感じられるのが著者の不思議な魅力ではある。ただし、著者の「科学としての歴史学」という考えには少々疑問もあるので、その辺は割り引いて読む方がよいのかと。

  • 本能寺の変の黒幕が誰か、はどーでもいいことなんですね。
    誰が黒幕でも歴史は変わらなかったから、という歴史に納得!
    学者さんとしてはそれで良いと思います。
    が、単なる歴史ファンとしては誰が黒幕なのかいろいろと妄想することが楽しみです。

  • 著者は東京大学史料編纂所教授、専門は中世政治史。〇〇の乱とか〇〇の変とかいう事件が日本史には多く出てくるが、乱と変の違いは何なのか。その結果政治体制がどのような影響を受け、どう変わったのか?などを掘り下げていく。著者がいうところによれば、中世の国家体制には2つの考え方がある。一つは「権門体制論」といい、王である天皇を貴族、武士、僧侶が支える体制。公家、武家、寺家にはそれぞれの内部にある権門勢家、つまり権勢のある門閥や家柄を中心にまとまり、世襲原理で連なっていく。もう一つは「東国国家論」といい、京都の天皇を中心とした政権(朝廷)に対し、鎌倉にも将軍を中心とした政権(幕府)が並び立ち、つまり2つの国家があった、という考え方である。中世研究者のおよそ85%が東国国家論ではなく権門体制論を支持している。著者は東国国家論支持者である。詳細→
    https://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou28105.html

  • 中学、高校を通して乱や変については学んだけれど、正直どんなものだったのか分からない…そんな状態でも楽しく、分かりやすく読める文章が魅力です。


    最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00545356

  • 時間切れ

  • 2019/10/11
    磯田さんの本も面白かったけど本郷さんの本も読んでみるとなかなかに面白かったです。
    日本の歴史で起きた戦乱についてまとめて、どういう経緯で戦いが起こったのか、戦いが起こった背景はなんなのか、その流れから考えられることは何かという柱で色々な乱や戦いのことを考察した内容で、歴史の流れをもう一度確認することができたし、新たな視点で戦乱を考えることができたなと思います。
    今まで習ってきたものだと、どうしても勝者が歴史の表舞台に出てきているイメージを持ちがちですが、そういう小さな視点ではないのだなと実感ました。
    大きな流れで戦乱を考えたときに、その戦乱が起きた意味を考えることで、その後の戦乱との比較を行って共通点を考えたり、当時の時代背景として人々がどんなの世の中を選択する道を選んだのかというところにまで行き着くことができるということを教えられたような気がします。一回だけでなくて、何回でも繰り返し読んで自分なりに噛み砕いていきたいと思います。

  • 中世から近世への話は、とても面白かった。
    幕末が、西南戦争になる。戊辰戦争は、論じない。そのあたりがちょっと荒っぽい気がする。

  • 久しぶりに、とっても面白い本と出合いました。歴史では、印象深い場面だけがクローズアップされますが、その印象深い場面までの経緯を分かりやすく詳細に知ることができました。

    P25 乱と変は、勢力Aと勢力Bが拮抗した時に起こる。
    BがAに比べて取るに足らない弱小勢力である場合には、
    単にBが滅びるだけで「乱」「変」という言い方はしない。

    AとBが同じ土俵で戦うことになると、
    その戦いの背景にある人々の見方や考え方、
    生き方などを知る手掛かりになる。

    AとBは、その間に深刻な対立があるからこそ戦う。

    Aという選択肢を取った人たちが、Aグループを
    Bという選択肢を取った人たちが、Bグループを
    形成して戦い、勝った方が選択肢に従ってその後の社会を形成する。

    P184 応仁の乱は、室町幕府の長きにわたる
     政治抗争の結末に他ならない。

    足利将軍家の権威、権力が失墜したから応仁の乱がおこった。
    「宿命的なもの」であった。

    P235 宗教が機能しない日本の土壌は江戸時代に、ほぼ基本ができた。

    P246 勝者と敗者を分けるもの

    この国における勝者の条件とは、時代・社会の要請に忠実に従った者。

    P250 日本は

    ・特徴として外敵が少ない。
    ・多神教であり、時代の変化が穏やか。
    ・天皇・朝廷が世襲で変わらない為、中国の王朝のような大変動は起きにくい。

    結果、日本はゆっくりと進み、蓄積が生かされていく社会。
    今の時代はどのような時代か、歴史の大きな流れをつかむために
    歴史を学ぶ意味がある。

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著者プロフィール

1960年、東京都生まれ。1983年、東京大学文学部卒業。1988年、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。同年、東京大学史料編纂所に入所、『大日本史料』第5編の編纂にあたる。東京大学大学院情報学環准教授を経て、東京大学史料編纂所教授。専門は中世政治史。著書に『東大教授がおしえる やばい日本史』『新・中世王権論』『壬申の乱と関ヶ原の戦い』『上皇の日本史』『承久の乱』『世襲の日本史』『権力の日本史』『空白の日本史』など。

「2020年 『日本史でたどるニッポン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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