不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか(祥伝社新書) (祥伝社新書 467)

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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396114671

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから、男性の不自由さが論点になっているのかと思えば、
    性別にかかわらず、それぞれの人が抱える、生きる中での呪縛と向き合う一冊。
    それは親から来るものなのか、社会から来るものなのか。
    自分が思う当たり前を疑い、思い切って捨ててみる。
    多様性が叫ばれるご時世で、お互い尊重し合うことって、そういうところからなんだと思う。

  • 小島慶子さんは、TBSのアナらしからぬ、ぶっちゃけキャラだった頃は好きだった。と思いきや、今も当時とあんまり変わってないのかな。

  • 田中俊之さんは都立武蔵高校そして武蔵大学を卒業され、武蔵大学大学院で博士取得、現在武蔵大学で助教授をされています。
    専門は男性学、武蔵って名前は宮本武蔵や戦艦武蔵など、いかにも強いかっこいいイメージ。
    しかし彼の著書は『男がつらいよ』『男が働かない、いいじゃないか!』
    そしてこの『不自由な男たち』で小島慶子さんと対談しています。

    小島慶子さんといえば元女子アナで、現在もいろいろなTV番組で活躍中。
    女子アナの結婚相手といえば、芸能界やスポーツ界で活躍している男性、
    医者や弁護士、そしてとても稼いでいる男性。
    そんな中、慶子さんの夫は数年前に会社を辞め、今は無職なんです。
    小島家は慶子さんの収入で暮らしているのです!

    彼女はそんな夫をどう思っているのか?
    何かまだ、結論が出ていないような様子が垣間見えます。

    「不安な夫を見たときに、私が不安になってしまって『不安だとか言うなお前!』って怒っちゃってる。せっかく彼の不安によって新しいつながり方ができるチャンスを逃がしている気がします。」

    「夫の場合はおばあちゃんやママが与えてくれたヒーローの台本を手放した途端に、すがるべき言葉を失くしたんです。だから彼はこれからやるんだと思います。自分の中から、自分を読む言葉、世界を読む言葉を見つけ出す作業を、です。何しろずっとママのヒーローで生きてきたから、そうでない自分に慣れるのは、非常に困難でしょう。息子たちはこうしてはならないと思います。」

    「ちなみに夫は、ママのヒーローでいなければという呪縛は強烈でしたが、家事労働に関するジェンダーバイアスは最初からまったくありませんでした。」

    「今は、年収肩書きがなくても、夫はやっぱりすごいなあと思う。新しい環境で家事育児に奔走する彼を、とても頼もしく思っています。」

    「そういえば夫が『やりたいことをやりたい』と言うので、『やりたいことがあるなら、やれば』と返したんです。すると彼は『やりたいことはないんだけど、やりたいことをやりたい!と思いたい。だからやりたいことが欲しい』と言うのです。つまり彼は、『やりたいことができない、ってことをやりたい』のです。やりたいことに恋い焦がれている不自由さを、味わいたいんですね。そして、『やりたいことをやる』という状況に自分を置けば、自分の空虚感が埋まるのではないか、と漠然と思っている。この呪いはどこからやってきたのだろう」

    「何もやらなくて安定しているのならそれでいいのに、『やりたいことをやろうと焦がれる俺』でいたいわけです。不自由であることで安定したいんですね」

    「甘やかされて育って、『勉強もちゃんとしないでまったく』と腹が立つのですが、自己肯定感がとても強い。すると屈折して自己否定してばかりの私より、私にさんざん言われても平気でいる夫のほうが、生き物として強いのではないか?とも思えたりして」

    「(前略)急に稼ぎ手が私一人になって不安でしかたがない。私は不安を怒りに変えてしまうんですね。夫に対して『だいたいあなたが仕事を辞めたから、私がこんな不安な思いをするんじゃないの』とか『いままで共働きで、私が奥さんらしいことをしてこなかったことへの復讐なんでしょう』とか言いががりをつけてしまう。そうしたら、ある日夫に言われたんです。
    『慶子は僕が思っていないことを、思っているに違いないと決めつけて、それを前提にして文句を言ってくるから会話にならない。思ってもいないことを、思っていると決めつけるのはやめてくれないか。どうも慶子の言動を見ていると、違う人への怒りを感じる。いったい誰に向かって言っているんだ。それは俺じゃないよ』と。」

    私の憶測では、慶子さんが仕事ができて稼げるかただから、夫は安心して無職になったのでは。
    彼女に甘えている。
    彼女は男の子を3人育てている。

    でも彼のおかげで慶子さんは作家として大活躍し、
    しかも哲学者になれるのではないでしょうか?


    ガンバレ慶子さん。
    あなたは同じ悩みをもつたくさんの女性の星になると思います。

  • 田中先生の新作を見つけて、つい手にとってしまった。

    男性とはこうあるべき、女性とはこうあるべきという価値観は、個人のものかと思えばそんなことはないのだなと。私はわたしだから、だけでは済まないのだなぁと思いました。

    自分の立場と重ね合わせ、夫婦間のお話の部分をより一層目を見開いて読んだのだけど、特に小島さんの旦那様が言ったという「君は誰と戦ってるんだ」のエピソードがぐさりときた。私が泣き叫んで起こっていとき「そんなことは言ってない、思ってないよ」と悲しそうに言っていた旦那さん。そうだなぁ、わたしはきっと私が作った「女性像/妻像」とのギャップへの苛立ちを、旦那さんにぶつけていたんだなと。至極反省。

    男性も、女性も、性の呪縛から解き放されることはないし、その必要はないのかもしれないけれど、価値観の多様化が必要なんだ。その意味を考えさせられた。

    一言で言うと、「根深い」。

  • 今読んでもあんまり意味ないかな。
    コロナ前の本だからかな。

  • いささか冗長。後半、対談の悪い部分が出た感じ

  • ねばならないからの解放

  • お二人の対談で今の男社会をなで斬りし、新たな男性の生き方の展望を描く。「でも」「しかし」と逆説で切り返されることがまずない非常に穏やかな対談集で、読んでいる私もうなずけることばっかり。そこがこの本の弱点といえば弱点かもしれない。
    男の生きづらさは、どこから来るのか――それは男たちが自分たちを縛っているからでしょう。男たちは女たちも縛っていたんだけど、女たちは自分たちで縄を破り自由をつかみつつある。男たちもそうすればいいのに既得権益にしがみつく男たちがいるから不自由なんだよね、きっと。そもそも男として新たな生き方を探るより人としての生き方を探ればいいんだと思う。
    一方で、いまどきの男たち、夫たちに求められていることが不自由さを破る要素のようにいろいろ挙がっているけど、そこまで求められるのが今の男たちの不自由さでは、とも思う。新旧の「男とは」にはさまれて不遇をかこっている感じ。
    ……なんていってると、結局男に甘い社会になってしまいそうだから、しばらくはもがくべき。……と思いながら、大いにもがくべき輩が知らぬ存ぜぬでいられるのが癪にさわる今日このごろ。

  • 老若男女今までの価値観から解き放ち、多様な価値観、生き甲斐を見つけないとやはりどん詰まりが見えてしまう。

  • 男性学の田中俊之氏とフリーアナウンサーで一家の大黒柱である小島慶子の対談集。

    現代の男性についてそれぞれの立場から語っており、非常に興味深かった。

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著者プロフィール

エッセイスト、東京大学大学院情報学環客員研究員。学習院大学法学部政治学科卒業後、95〜10年TBS勤務。99年第36回ギャラクシーDJパーソナリティ賞受賞。独立後は各メディア出演、講演、執筆活動を幅広く行う。ジェンダーや発達障害に関する著述や講演をはじめ、DE&Iをテーマにした発信を積極的に行なっている。2014年より家族はオーストラリア、自身は日本で暮らす。連載、著書多数。近著に対談集『おっさん社会が生きづらい』(PHP新書)。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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