暮らしの中の二十四節気 丁寧に生きてみる

著者 :
  • 春陽堂書店
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本棚登録 : 29
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394550013

作品紹介・あらすじ

【人気俳人・待望の新刊】
「世界オンライン句会」を主宰する人気俳人であり、テレビ朝日「あなたの駅前物語」でナレータ-をつとめる黛まどかさんの最新刊。節気や節句を詠んだ俳句を鑑賞しながら、先人への思いを綴る著者渾身のエッセイです。

月刊俳句誌「春野」に2年間にわたって連載をした「節気に暮らす」24章と、2020年2月に創刊の『Web新小説』(春陽堂書店)連載の「俳句で味わう、日本の暮らし」19章をまとめ書籍化しました。

【二十四節気、雑節、五節句、伝統行事の解説を網羅。200句以上の俳句を引用】
本書では、二十四節気、雑節、五節句、主な伝統行事について、それぞれのなりたちや関連行事などを丁寧に解説。それらにまつわる俳句を引用しながら、日本人がいかに自然を細やかに観察し、日常の中に取り入れ、丁寧に暮らしてきたかを描いています。また、200句以上の俳句を引用。俳句鑑賞の手引き書としてもお勧めできます。

【目の前のことに忙殺されがちな現代人を「句読点」のごとくに立ち止まらせる一冊】
「どんな年も先祖たちは旧暦や節気を頼りに漁や農作をし、厄を祓い、無病息災と豊漁・豊作を神仏や祖霊に祈り、生き抜いてきた。だから、一度節気を意識すると、浜風も野山や田畑を渡ってくる風も、ただの風ではなくなる。風の訪れはこの地で生き抜いてきた祖霊の訪れであり、神々の訪れでもある。」 —本書「おわりに」より-

43章におよぶエッセイは、今を生きる私たちと祖霊を引き合わせる役割を果たし、目の前のことに忙殺されがちな現代人を「句読点」のごとくに立ち止まらせ、本来の自然観や信仰心といったルーツを思い出させてくれるに違いありません。

感想・レビュー・書評

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  • 背ラベル:911.3-マ

  • 17文字は高尚すぎて、やはり肌に馴染みませんな。

    新暦で生活しながらも、どこか旧暦の歴史の名残が身体にあるのではと期待しながら、この本を手にしたのですが見事に打ち崩されました。

    「二十四節気」「雑節」「五節気」それ自体が馴染みのないことばで、そこからの俳句はさらに難解でおました。

    それゆえに、何となく気に入ったのは残念ながら数首どまりでおます。

    【立春】
    春立つと古き言葉の韻(ひびき)よし  後藤夜半
    【雨水】
    梅一輪一輪ほどの暖かさ  服部嵐雪 
    夕空に晴れ間の見えし雨水かな   今井杏太郎
    【小暑】(しょうしょ)
    小暑かな佃煮選ぶ佃島   田中風見子
    塩壺の白きを磨く小暑かな   山西雅子
    【大暑】(たいしょ)
    兎も片耳垂るる大暑かな   芥川龍之介
    【処暑】(しょしょ)
    処暑なりと熱き番茶を貰ひけり  草間時彦
    【立冬】
    今朝冬の路地に出てゐる竹箒   奥名春江
    【小雪】(しょうせつ)
    小雪の箸ひとひらの千枚漬   長谷川かな女
    【大寒】
    大寒の一歩も引かぬ山と山   大野鵠士
    《節分》
    豆を打つ声のうちなる笑かな   室井其角
    《彼岸》
    毎年よ彼岸の入に寒いのは   正岡子規
    《入梅》
    あをあをと墓草濡るる梅雨入りかな   飯田蛇筍
    さみだれをあつめて早し最上川   芭蕉
    《土用》
    土用鰻店ぢゆう水を流しをり   阿波野青畝
    『人日』(じんじつ)
    あをあをと春七草の売れのこり   高野素十
    『七夕』
    七夕や髪濡れしまま人に逢ふ   橋本多佳子

    注・・【】・二十四節気、《》・雑節、『』・五節気・・です。

  • 立春、雨水、啓蟄、春分、清明……

    日本人の暮らしに息づく二十四節気や雑節、五節句、伝統行事を取り上げ、それにまつわる俳句を鑑賞しながら“祖霊への思いを綴る珠玉エッセイ”(帯の紹介文)

    〈節気や節句、伝統行事などの真義を見つめ直し、日々の暮らしの中で意識し実践することで、先祖たちの生きざまに思いを馳せ、自然との深いつながりに気づき、私たちの日常がより豊かになるものと信じている。〉──「節気に暮らす」より

    「二十四節気」24編は著者の父が主宰する月刊俳句誌「春野」の2年にわたる連載から
    「雑節」8編、「五節句」5編、「その他の伝統行事」6編は『Web新小説』(春陽堂書店)の連載から

    副題は「丁寧に生きてみる」

      大寒の一戸もかくれなき故郷  飯田龍太
      大寒の一歩も引かぬ山と山   大野鵠士

    〈一口に「大寒」と言っても、本州を縦断する山脈を挟んで太平洋側と日本海側ではおよそ様相が異なる。[中略]前出の二句はいずれも太平洋側気候のきりりと晴れた風景を想起させるが、日本海側になると一転鈍色の空と雪景色が広がる。〉──「大寒」より

      雪原に春待つ布を晒し居り   宮田朗風

    「大寒」を詠んだ句にあらわれるこんな違いに気づかされ、ふと立ち止まってみたくなる

    節気と俳句が目の前のことに忙殺される現代人の「句読点」(「あとがき」)になることを願って、2021年10月刊

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著者プロフィール

俳人。神奈川県生まれ。1994年、「B面の夏」50句で第40回角川俳句賞奨励賞。2002年、句集『京都の恋』で第2回山本健吉文学賞。2010年4月より1年間文化庁「文化交流使」として欧州で活動。スペインサンティアゴ巡礼道、韓国プサン~ソウル、四国遍路など踏破。2021年より京都×俳句プロジェクト「世界オンライン句会」を主宰。著書に、句集『B面の夏』『忘れ貝』『てっぺんの星』、紀行集『奇跡の四国遍路』、随筆『暮らしの中の二十四節気』など多数。

「2022年 『句集 北落師門』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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