川のむこうの図書館

著者 :
  • さ・え・ら書房
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本棚登録 : 117
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (167ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378015545

作品紹介・あらすじ

「図書館は好きじゃないんだ」小学校六年生の竜司は、図書館に苦い思い出がある。土器のかけらをきっかけに、竜司は、美紀、悠人と遺跡の調べ学習に取りくむことに。図書館へ通ううち、いつしか、竜司の中で何かが変わっていく…「坂の上の図書館」に続く、もうひとつの物語。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の小学生が、「図書館で本をどう借りていいかわからないし、面倒だった」というのがショックだった。
    ショックな自分にショックだった。
    作ってもらったカードを持って、好きに本を借りるのが当たり前だった私の子供時代が「当たり前」なわけではないのだ。
    色んなことでわかっているはずなのに、まだまだ思い込んでしまっているんだなぁ…。
    あらすじを読んだ時に想像したよりもしんどいものが背景にある話だったが、古民家管理人さんと司書さんの関わり方が良かった。
    読書は、大人に振り回されない手段を子供が身につけることにもなるのだ。
    できることなら、そんな必要なく、ただ本との触れ合いを楽しんで欲しいのだけど…。

  • 前に読んだ『坂の上の図書館』で出ていた小学5年生の男の子が主人公です。
    最後らへんの言葉が印象的でした。「図書館は、宝の山のようなものだからな」とあるお爺さんが言うです。その言葉がすごく印象的で、心に残りました。図書館嫌いで馴染めなかった彼が、どう変わっていくのかが見どころだと思います。

  • 坂の上の図書館で途中で転校した竜司の物語。学校の自由研究発表を美紀や悠人と調べることで、少し幼稚な母親との関係も含めて、成長していく姿がとてもいい。きっとこれから、母親を支える素敵な青年になるんだろうなぁと思った。新しい事を知ることは、人を強くするなぁ。

  •  気分屋の母親の引っ越し癖に振り回されている竜司。新たな転校先の学校では、6年生が卒業に先立って自由研究をすることになっている。班決めで余ってしまった竜司、悠人、美紀の3人は、市内の遺跡をテーマに調べ学習を開始する。それには図書館が不可欠なのだが、ある出来事のせいで図書館にトラウマのある竜司は気が重く……。


     図書館本。
     なんと、主人公は前作「坂の上の図書館」に登場した彼かね! いや~意外なお人が。
     前作との絡みはちょっとだけ語られるが、読んでいなくても特に不都合はない。

     なぜかまた前作に引き続き、母子家庭の子が主人公。図書館との繋がりを深めて行く話なので、普段図書館を利用しないような子=学習が遅れがちで富裕層ではない家庭の子、という感じなのだろうが、2作続けて同じような立場の主人公だと、正直「またか」と思ってしまう。

     主人公の人間関係が薄めなので、複数の登場人物が同じような比率で絡んで来るため、自由研究という軸があるにも関わらず、これといった焦点が無いように感じてしまう。
     テーマとしては面白いのに、もうちょっと何か! 何かが足りない。
     もう少しページ数を増やし、人物造形などしっかり書き込んだら、もっと良くなりそうなんだけど。

  • 「坂の上の図書館」で、図書館の雑誌を勝手に持ち出した竜司が主人公。
    雑誌を図書館に返した直後転校し、川のある町で暮らしている。
    竜司の家もお母さんが一人で竜司を育てているが、昼間も、そして夜も働いているお母さんは疲れている。
    竜司の誕生日にも気づかないくらい。

    辛いこともあるのだろう。
    何かあるとすぐに引っ越すことにするおかあさんと一緒にいるため、竜司は人と付き合うのが苦手だ。
    「どうせ今だけのつきあいなんだし」
    ひとりでいることは寂しくはない。
    でも、退屈なんだ。

    竜司は放課後を、家の近くの大きな公園にある古民家でボランティアガイドをしているおじいさんと親しくなる。

    まず、親ではない大人が側に居てくれることはとても大事。
    おじいさんは自分の昔話をしたり、手伝いをさせたりして、竜司の居場所を作る。

    学校でも、美紀と悠人と一緒に卒業前自由研究を一緒にすることによって、変わって行く。
    帰国子女の美紀、運動音痴の悠人も仲のいい友達がいないため、余った3人で班を作ることになったのだけど、美紀から怒られるように自分の意見を求められ続けているうちに、自分の発見を離して褒められたり、みんなで一つのことをすることに喜びを覚えたり。

    そんな時にお母さんがまた引越しをするという。
    竜司は初めて反抗する。
    「どこへ行ったって同じだよ。それに僕にはここでやりたいことがあるんだ」
    多分はじめて、お母さんは竜司を振り回していただけの自分に気づいたのだと思う。

    図書館で料理の本を借りては、たまにお母さんの代わりに食事の支度をしたりと、竜司が変わることによってお母さんもこれから変わって行くのだろう。
    図書館司書のお姉さんも、古民家のおじいさんも竜司を暖かい目で見守ってくれている。
    いつまでこの街にいられるのかは分からないが、竜司はもう孤独ではない。

  • 前作で気になった竜司くんのその後がわかって嬉しい。
    親の引越しなんて、子供がどんなに嫌がっても、どうにもならないことばかりだろうが、どうにかなって良かった。

  • 「坂の上の図書館」に出てきた竜司くん、引っ越した先で良い仲間に出会う。
    母親の都合に振り回されながらも成長していく。
    そこにやっぱり図書館の存在が。
    図書館と共に成長していく子ども達がたくさんいてくれると嬉しい。

  • 「坂の上の図書館」の続き。
    前編でも気になっていた竜司の物語り。
    彼も母子家庭で転居を繰り返している。
    後半の母への抵抗がグッときた。

  • 母と二人ぐらしの竜司は転校した小学校で悠人、美紀といっしょに卒業記念の自由研究をすることになる

    3人はテーマに決めた遺跡調べのために図書館に行こうとするが、竜司はとある理由で図書館に行くのが気が重い

    それでも3人で調べ学習を進めるうちに竜司の気持ちが変わってきて...

    前作『坂の上の図書館』に登場した少年を主人公にした子どもと本と図書館のものがたり

  • たくさんの子どもが、自分で図書館を利用できるような環境ができるといいなぁと思う。
    地域の図書館も
    母と乳幼児、母と小学生、年配の方。
    場所や雰囲気で小中学生が学校図書館と同じように、またはそれ以上に入れるとよい。

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著者プロフィール

池田ゆみる
神奈川県生まれ。デビュー作『坂の上の図書館』(さ・え・ら書房)が、埼玉県推薦図書、ならびに茨城県優良図書などに選ばれる。他の作品に『川のむこうの図書館』(さ・え・ら書房)など。JBBY会員。日本児童文学者協会会員。児童文学同人誌「ももたろう」同人。

「2020年 『きみが、この本、読んだなら ざわめく教室 編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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