- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344986268
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「うつ」を悪とし、抑え込もうとする西洋医学的な常識に疑問を呈し、「病とは何らかのメッセージを自分自身に伝えるべく内側から発されるサインである」という視点から「うつ」を捉え直す一冊である。同時に、「うつ」の背景にある現代社会の歪みを指摘し、「自分らしい在り方」「幸せな生き方」への示唆を与えている。
(きっかけ)
Reapraという会社のCEOが「自我喪失」について語ったインタビュー記事の中で、推薦していたので手に取った。
(感想)
本書を読む以前は「うつ=異常な状態」という認識があり、自分の実存的存在に悩み軽い鬱状態になったときも、その意識から自己否定、自己嫌悪に陥っていた。しかし、うつが引き起こされる背景を心理面、社会面から深く考察された本書を読み、社会的に植え付けられた「有意義に時間を使うべき」という自分の価値観に気づけ、その意識が180度変った。「頭」による自己コントロールの独裁に注意を払いながら、「心」が発する「〜したい」の声に耳を傾けて生きていこうと希望が湧いた。
(概要)
本書ではうつを「頭」の独裁に対して、「心=身体」がストライキを起こしている状態であると定義している。
筆者は、現代人が日常的に「頭」の自己コントロールのもとで、「心=身体」の発する「〜したい」や「〜したくない」といった声を抑え込み無視してしまっていることが多いと指摘する。それが蓄積されある閾値に達した時、「うつ」状態になるという。
そして「うつ」を通して、自分の生き方や自分を縛っている「〜すべき」という価値観に向き合うことで、真に自分らしいあり方や幸せな生き方を獲得できる「reborn」するのである。 -
「うつ」の本質・根本と向き合う本。感覚的であったり、なかなか表現し難い部分を、非常にわかりやすい例えで表現しており、樺沢紫苑先生等、他の精神科医の先生が仰るような主張とも方向性は同じなのも安心した。
【以下、重要部分のメモ】
・「頭」が「心=身体」に強権的に命令するような、意志力があり、我慢強い人間がうつになるリスクが高い。「頭」の支配からの脱却が重要。
・「病は、何らかのメッセージを自分自身に伝えるべく内側から沸き起こってくる」、「病は、その中核的な症状によって、自分自身をより自然で望ましい状態に導こうとしている。」という見方。
・「うつ」からの脱出は、repair(修理)ではなく、reborn(生まれ直した)やnewborn(新生)といった深い次元での変化が不可欠。
・クスリは「頼る」のではなく「活用する」。
・脳内物質のアンバランスが「うつ」ではあるが、それは「中間現象」である。薬物治療でアンバランスを整えることは、「うつ」への対症療法ではあるが、「うつ」を引き起こした何らかの根源に対する根治療法ではない。その次元へのアプローチは、精神療法である。
・重荷に耐える精神である〈駱駝〉→怒り、苛立ち、攻撃性の〈獅子〉→物事をあるがままに捉えることができる〈小児〉の「三様の変化」(ニーチェの『ツァラストラはかく語りき』より)は、人間の変化成熟のプロセスを理解するうえで非常に有用な記述。そして、臨床場面でのクライアント(患者)の変化に合致する。
・漱石が『私の個人主義ほか』に記したように、主体性や主張がなく「他人本位」の傾向であることは、現代においても「うつ」を引き起こしている大きな原因の一つである。外から鵜呑みで受け入れた知識や価値観で生きるのではなく、丁寧に吟味し咀嚼し「わが血や肉」を自分の中に養成し、それに基づいて生きる「自己本位」に覚醒することで主体的な生を回復し、「うつ」状態から脱していくことができる。 -
うつになったら絶対読むべし
-
自分の持つ能力資源とエネルギーを、自分で納得できる幸福な生活を実現するためのエネルギーに転換することである。
「ベストなんて望まない。グッドで十分、ベターなら最高」
意志とは感情によって措定された方向に自らを導く精神的な力である -
頭と心と身体の関係がわかりやすい。意義と意味の違いも納得。わたしは多少無理してでも頭の無理な命令に心と身体が従っているときがいちばん生きる意義を感じる。まずは意義を求めないことから始めたい。
-
タイトル通りの内容。うつになったばかりの人が読むのに良いかと。
-
“有意義”に生きることが賞賛され強いられる現代社会において、“意味”を感じることの重要さを知った。
うつ病だけでなく、パニック障害や不眠症などそれぞれの精神疾患における考察がなされており、また各症状に潜む問題の本質は一体なんであるかに対しての持論が説得力をもって語られている。
それは、薬で症状を抑え込むといった、ある種のその場しのぎ的な解決法とは違った奥行きのあるアプローチが故にリスクもあるが一読の価値はある。 -
うつがよくわかる。復活まで時間を要する、再発する人としない人。差はなんだ。
-
効用ね。こんなに前向きにとらえているのも珍しい。たしかになるべくしてなるんだし、無理にならんようにするもの効用が失われるよなと。