自分の頭で考える日本の論点 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344986053

作品紹介・あらすじ

玉石混淆の情報があふれ、専門家の間でも意見が分かれる問題ばかりの現代社会。これらを自分で判断し、悔いのない選択ができるようになるには、どうしたらいいのか。「経済成長は必要か」「民主主義は優れた制度か」「安楽死を認めるべきか」等々。ベンチャー企業の創業者であり大学学長、そして無類の読書家である著者が、私たちが直面する重要な論点を紹介しながら、自分はどう判断するかの思考プロセスを解説。先の見えない時代を生きるのに役立つ知識が身につき、本物の思考力も鍛えられる、一石二鳥の書。

感想・レビュー・書評

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  • ライフネット生命創業者で立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏がいまの日本や世界が直面している問題のなかから、人々の間で意見が分かれている「論点」を22個選び、問題の背景やどのような意見があるかなど、基礎知識的なことを解説した本です。
    正直、私には、難しく感じる論点もありました。

    感想としては、出口氏は「日本の新型コロナウイルス対応は適切だったか」で、日本政府は合格点であると述べられていますが、この本の出版されたのは11月25日で、書かれたのは、更にそれ以前なので、現在のような大きな第三波のきている状況の前のことです。
    海外の国々と比べれば、まだいいのかも知れませんが、今の政府のやっていることは私にはとても合格点とは思えません。よく言ってボーダーライン、この先の対応次第では私が言うのもなんですが、不合格になりうる逼迫した状況ではないかと思います。
    この本を読んだ1番の目的は私はコロナについて知りたかったので、そこは残念に思いました。

    他の論点については勉強になることがたくさんありました。
    中でも、自分に関係のある論点で「安楽死を認めるべきか」については考えさせられました。
    例として挙げられているのは、家族の知らぬところで父親が人工呼吸器をつけられ、自分たちの意志で外せず昏睡状態のまま家族は莫大なる医療費捻出のために、家を売りに出し、一家全員が路頭に迷うことになりそうなケース。APC(アドバンス・ケア・プランニング)の作成によって自分はどのような終末医療を受けたいのか明らかにすることは必要なことであると思いました。まさかのケースですが、当事者になれば自分がどちらの立場でも大変なことになると思いました。ただAPCの作成と口に出すのは簡単ですが、実際に手続きをとって作成するには重い腰をあげる勇気がが必要だし、そこに至るまでが大変だと思いました。

    あと、自分にダイレクトに関係あるのは「ネット言論は規制すべきか」。SNS上での誹謗中傷やプライバシーが近年大きな社会問題になっているそうで、この本ではプロレスラーの木村花さんが亡くなった問題を取り上げられていますが、実は私はTV番組はニュース以外最近ほとんどみないので、木村花さんがどういう方でどういったことで亡くなられたのかは全く知りませんでした。
    ただ、私は最近始めたFacebookで、つい、今の菅政権の批判(コロナ対策)を何度か本名で書いたのはまずいことだったのかと考えさせられました。
    菅首相も、TVでは規制が引かれているらしいのですが、毎日ネットであれだけ批判をされたら凡人だったら体調を崩したりするかもしれないと思いました。でも、一般人はネットで声を上げなければ数年に一度しかない選挙で、間接的にしか声をあげてはいけないものなのかと思いました。「国民の三分の二以上がオリンピックの今季の開催を望んでいませんよ」と、首相の会見で記者の方がやっと言ってくださいましたが菅さんは「国民の考えも感染者が減ってくれば変わるしょう」と軽く流して言ってのけたのには私は全く驚きました。
    一般人の声はいくら多くてもどこにも届かないのかと思いました。

    他の論点も興味深いものが多かったです。
    論点1日本の新型コロナ対応は適切だったか
    論点2新型コロナ禍でグローバリズムは衰退するのか
    論点3日本人は働き方を変えるべきか
    論点4気候危機(地球温暖化)は本当に進んでいるのか
    論点5憲法9条は改正すべきか
    論点6安楽死を認めるべきか
    論点7日本の社会のLGBTQへの対応は十分か
    論点8ネット言論は規制すべきか
    論点9少子化は問題か
    論点10日本は移民・難民をもっと受け入れるべきか
    論点11日本はこのままアメリカの「核の傘」の下にいていいのか
    論点12人間の仕事はAIに奪われるのか
    論点13生活保護とベーシックインカム、貧困対策はどちらがいいのか
    論点14がんは早期発見・治療すべきか、放置がいいのか
    論点15経済成長は必要なのか
    論点16自由貿易はよくないのか
    論点17投資はしたほうがいいか、貯蓄でいいか
    論点18日本の大学教育は世界で通用しないのか
    論点19公的年金保険は破綻するのか
    論点20財政赤字は解消すべきか
    論点21民主主義は優れた制度か
    論点22海外留学はしたほうがいいのか

    • まことさん
      ハイジさん。こんばんは!

      レビューお読みくださりありがとうございます。
      このレビューは誰からもいいね!頂けないかもしれないかもと覚悟...
      ハイジさん。こんばんは!

      レビューお読みくださりありがとうございます。
      このレビューは誰からもいいね!頂けないかもしれないかもと覚悟していました。
      だって、一番、今、言ってはいけないことを書いているのですから、誰も同類だと思われたくないでしょうから…。
      コメント頂き少し楽になりました。
      ありがとうございます!
      たまたま、同じ時期に同じ本を読んだということで、お迷惑おかけしたかもしれません。
      私も、これからもハイジさんのレビューは読みごたえがあるので楽しみにしています!
      本当にありがとうございました。
      2021/01/22
    • kuma0504さん
      おはようございます。
      まことさんとハイジさんのレビューが同じ本とは思えないほど違うのがとても面白いと思いました。
      だから、多様な意見が飛び交...
      おはようございます。
      まことさんとハイジさんのレビューが同じ本とは思えないほど違うのがとても面白いと思いました。
      だから、多様な意見が飛び交うブクログは面白いんだと思います。
      まことさんがFacebookで本名で政府批判を書いたことで慄くことは全くありません!(キッパリ)
      そんなことで怖く思うぐらいならば、私なんかとっくの昔に投獄されています(笑)。
      もし、私がある日から政府をベタ褒めする様になったならば、「あっ、なんかあったな」と「慄き」始めてください(笑)。
      2021/01/25
    • まことさん
      kuma0504さん。おはようございます。

      レビューお読みいただきありがとうございます。
      今、菅内閣の支持率はかなり下がっているとは...
      kuma0504さん。おはようございます。

      レビューお読みいただきありがとうございます。
      今、菅内閣の支持率はかなり下がっているとはいえ、公共の場で、こういう意見を言っても、賛成してくれる方は少ないだろうと思っていました。
      いいね!してくださった方は、内容を深く考えたわけではなく、私が、いつもいいね!している、ただのお返しがきているだけであろうと考えていました。
      kuma0504さんからは、このような励ましのコメントを頂き、大変心強く思えました。
      ありがとうございます(__)
      私は、最近、書きたいことが政治批判ばかりになってしまうのでFacebookも更新をあまりしないようにして、どうでもいい記事を載せていましたが、書いてもいいのかなと思いました。
      2021/01/25

  • ざっと目次をみただけで購入決定!
    まさに旬な議題ばかりだ
    コロナ、日本人の働き方、グローバリズム、地球温暖化、憲法9条、少子化問題、AI、移民問題、貧困、自由貿易、民主主義など
    非情に興味深い
    これらのテーマについて、人様ときちんと議論できますか?
    私はできない…
    何かにつけ、どんな意見に対しても、確かにこういう点は賛成だし、こういう点は宜しくない…
    とまるで八方美人のような意見しかもてない上、一個人がそんなこと考えたって大した力にもならないし、影響力だってしれている
    だから考えたって仕方ないのでは…と心のどこかで思っていた気がする
    でもそういうのはよくない!いけない!
    特にコロナ禍多くの意見が飛び交うようになり、一体何がベターなのか
    他人事ではないし、人に任せてはいけない
    あらゆる場面で、判断を迫られることが多くあった(これからもあるだろう)
    一社会人として、一人類として自分の意見を持たなくては
    すこしずつでも訓練しながら自分の頭で考え自分の意見を持てるように、そして発信できるようにしていきたい
    まずは第一歩を読みやすい出口氏の本で

    出口氏が物事を考えるときに大切にしていることは以下
    ■「タテ・ヨコ・算数」の3つ
    ①タテ…歴史を知る
    ②ヨコ…世界を知る
    ③算数…数字・ファクト(事実)・ロジック(論理)で裏付ける
    これらにより、メディアやSNSを追いかけるだけではわからないことが見えてくる
    そして日頃からそのような訓練を積み重ねることが、想定外のことが起きたときに生き残る力につながるとのご意見

    本書の構成は以下となる
    ・論点(テーマ)
    ・基礎知識(ポイントや詳細内容)
    ・考え・意見(出口氏の)

    基礎知識だけ読んでも為になる
    まとめてあるので情報収集という点から非常にお得だ(但しこの情報の出し方も要注意だ!全てを鵜呑みにしないことである)

    各テーマの内、いくつかをピックアップ

    ■日本社会のLGBTQへの対応は十分か
    LGBTQとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー…とここまではわかるのだが、Qというのは何だろうか?初めて聞いた
    Qとは、クエスチョニングまたはクィアの頭文字で、性的指向や性自認がない人やわからない人、一つに決めたくない人らを指すらしい
    確かに全ての人を何かの枠にはめるのは、不適切である
    また日本においてLGBTQの当事者でカミングアウトしていない人は78.8%もいらっしゃるとのこと

    ここで出口氏は夫婦別姓問題も取り上げる
    いずれも基本的人権の問題とおっしゃる

    LGBTQが幅広く認められることを願う
    先ほどの調査でわかるように80%近い方が、カミングアウトできていない社会ってどうよ…
    ただ少しずつではあるが、日本でも若い世代を中心に受け入れられる社会ができつつあるように感じる
    中国のゲイの出会い系アプリも日本に入ってきたようだし…(ただ一方でゲイの方に比べレズビアンの方の世界が閉鎖されているように感じる)

    夫婦別姓問題
    個人的にはこれは男女差別を感じる
    苗字が変わると、いちいち面倒くさい
    役所に行って、金融機関を回って、免許証も変更して…あらゆるも手続きが必要だ
    これらは全て女性側の負担になる
    さらに苗字が変わったなんて9割近くが結婚か離婚じゃないか
    女性のプライバシーはカミングアウトされて良いわけ?と腹立たしい
    日本特有の戸籍の問題があるにせよ、大切な事を履き違えない世の中になって欲しいものだ

    これらの問題について、日本はダイバーシティ(多様性)認めたがらない、不寛容社会だと感じる
    日本人は人と違うことをとても嫌う
    義務教育から社会生活に関し、何かにつけて、「同じ」であることを強要されるため、人と違う考え、意見、行動をとるだけで差別さえ受けることがある
    これは常々良くも悪くも日本特有の気質と感じているのだが…
    基本的人権の問題である以前にもう少し思いやりがあるだけでわかるような問題だと思うのだが

    ■ネット言論は規制すべきか
    ヘイトスピーチの規制、You TubeやTwitterなどのSNSの削除は「表現の自由」の侵害になるのか、
    他にもSNSの誹謗中傷、「表現の自由」と「名誉棄損」、あいちトリエンナーレなどお馴染みのテーマが挙げられている

    出口氏と同意見で他人の人権を侵害するような言動は認められないと思う
    特に許されないのが「匿名」であることを逆手に、ただ誹謗中傷する悪質なものは最も許しがたい
    というわけで、こちらのブクログもある意味匿名での投稿と近しい部分があるので、あまり強い意見(特に反論)は言いづらいところがある
    だが一方で、個人的に民間企業の判断でSNSの削除はいかがなものなのか…と思っている
    思想の異なる発言を削除するなど(まぁ、こう書けば何の話かわかってしまいそうだが…)
    これではまるで社会主義国家みたいじゃないか
    また矛盾するものの、匿名だからこそ人の本音が聞ける部分もあり、なかなか難しい問題だ

    というわけで、表現の自由と基本的人権を損害しないそのボーダーラインを決める難しさを非常に感じる
    パワハラやセクハラと同様に、個々によっても感じ方が違うはずだ
    そして反対意見などの反論というのは必ず相手の立場と思いを尊重して行うべきであるし、匿名ではなく(もちろんケースバイケースだが)また、発言に必ず責任を持つべきだと感じた

    ■日本人は働き方を変えるべきか
    コロナ禍でテレワークが推進され、時間で縛ることの無意味さを痛感した人が多いはずだ
    無駄な会議や何となくの残業、ストレスマックスの通勤…
    実際テレワークをしても業務は回っているではないか!
    未だに出勤しないと仕事をしていないとみなす上司がいることに呆れ果てる
    サボる人間は会社にいたところでサボっているのだ
    束縛したところで愛情が増えない男女の関係と同じである
    無駄で無意味な拘束時間を減らしてほしい
    まずはそれを実行し、業績が落ちたら見直せばいいではないか
    拘束時間と通勤時間が減るだけでメリハリがつき、仕事の集中力は上がる
    これに伴い給与体系も変えるべきだろう
    残業代で稼ぐ時代は終わったのだ
    体系を変えないとブラック企業は減らず、日本企業のクオリティが下がる一方だと思うのだが…
    日本人は利潤を求めることよりもう少し幸福の追求をすべきではないかなぁ
    なんのための人生だろう…
    社会全体が変わるべきだ
    (途中までは、「意見というよりお前の愚痴じゃないか!」と突っ込まれたらぐうの音も出ません…はい、すみません)

    ■少子化問題と移民・難民の受け入れ
    ここは重複しそうなのでまとめる
    少子化問題の改善点はそもそもの男女差別が根源にあると思う
    女性の地位を上げ、男性に育児休暇を与え、幼少児をもつ家庭に対する国の保護を手厚くする
    そして最後はもう移民などの受け入れをせざるを得ないところまできているのでは…

    ■経済成長は必要か
    ここで一ヵ所だけこの本の出典データに対する意見を…
    このテーマにおいて、世界の企業における時価総額ランキングの表が2つある
    出典元は週刊ダイヤモンドと180.co.jp
    ちなみに時価総額は各企業の「発行済株式数」×「株価の時価」であり、企業価値を評価する際の指標となる
    比較する年は1989年及び2020年である
    1989年のトップ3はNTT、日本興業銀行、住友銀行
    2020年のトップ3はアップル、サウジアラムコ、マイクロソフト
    ちなみに2020年の日本企業のトップはトヨタだが、なんと48位にまで下がる
    ここではいかに日本企業の世界競争力が落ちたかということを伝えている
    しかしながら1989年の日本経済になにが起こってきたか…
    そう、バブル期の真っ只中である
    この年を比較対象に引っ張り上げるって、いかがなものでしょうか
    バブル期の日本企業を基軸にしていいのでしょうか
    その辺りの理由をぜひ出口氏に突っ込みたいところだ


    自分の意見や考えを…
    という目的意識で読みはじめたのだが、気づけば知らないことばかり
    時代背景や、世界情勢、法律、政治、行政などなど
    キリがない
    早々の結論として、なぜ自分の意見や考えが持てないか、それは完全なる知識不足だと

    またマスコミに煽られ、ネットには玉石混淆の情報たち…情報過多の時代に、いかに正しい情報を選別し拾い上げることができるか
    とても難しい
    この辺りは今後の課題

    最後に、出口氏のメッセージで心に響いたものとして、
    〜国家とは何か、選挙とは何か、など現実社会についての正確な知識を市民ひとりひとりが基礎知識としてもちあわせなくては平和で民主的な社会を維持していくことはできない
    ましてや「正解のない社会問題」について考えることもできない〜

    今からながらに自分の生きているこの日本の現実社会の不勉強ぶりを反省
    偉そうな文句を言う前に、基礎知識を持つ努力をしたい
    一人一人がこうなるともっとより良い社会になるんだろうなぁ
    その一員でありたい

    • ハイジさん
      まことさん
      楽しみにしております(^ ^)
      まことさん
      楽しみにしております(^ ^)
      2021/01/21
    • nejidonさん
      ハイジさん、こんばんは(^^♪
      コメントしようと思っていたのに昨夜は眠ってしまいました(*'▽')
      何とまぁ面白そうな本でしょうね。
      ...
      ハイジさん、こんばんは(^^♪
      コメントしようと思っていたのに昨夜は眠ってしまいました(*'▽')
      何とまぁ面白そうな本でしょうね。
      ひとつの課題だけで一冊の本が書けそうなのに、まとめて出す意味があったということでしょうか。
      それぞれの問題の根っこは繋がっているとか?
      私は出口さんの考えに全面的に賛成ではありません。
      あ、そうですか、と言う程度ですが、読んで考える価値はありそうですね。

      ところで「物語創生」を登録して下さり、ありがとうございます!
      とても読みやすく面白いので、ぜひともお勧めです。
      レビューを読んだ方が登録して、読んで、そのレビューに「いいね」がいっぱい付くと、我が子が立派に成長したのを見るような喜びがありますね(笑)
      お子さんがいらしたら、この辺りの気持ちはよーく分かっていただけるかと。
      ではでは、長くなって失礼しました♪
      2021/01/22
    • ハイジさん
      nejidonさん

      こんばんは☆
      コメントありがとうございます!

      そうですね
      これらの論点は考えさせられることが沢山ありました
      たまにこ...
      nejidonさん

      こんばんは☆
      コメントありがとうございます!

      そうですね
      これらの論点は考えさせられることが沢山ありました
      たまにこういう本を読んでしっかり自分で物事を考えないと、勝手に世の中が知らないうちに進んでしまうので^^;
      私も出口氏の意見は全面的には賛成できません(笑)
      他にもあまり大っぴらに言えない思うところも多々あります
      読みやすいのでつい頼りにしてしまいますが…
      それはそうと、nejidonさんのこういうご自身をしっかり持っていらっしゃる姿勢はとても好きです!

      「物語創生」気になります
      だってまだ1月だというのに、「今年一番面白い」と、もう決めたくらい面白い…
      っておっしゃられ、クスクス笑ってしまいました!
      物語、文化、歴史、宗教、政治思想、経済…
      あらゆることが繋がっていそうでとても興味深いです!
      各国のアイデンティティを知ることができそうですし、深読みしなくても純粋に楽しめそうです
      これまたいつになるかわかりませんが、必ず読みますよ〜‼︎
      いつもありがとうございます(^ ^)
      2021/01/22
  • 本書が売れていることが意味するのは、著者の意図通りに読まれていない割合がかなり高い、ということではないかという気がする。
    いま論点とされている様々な事柄について、当然本書の中で著者自身の考えも表されているのだけれど、それをそのまま受け入れて、あたかも自分の意見であるかのように整理してしまう。そんな読まれ方をされている危惧。
    そもそも、インターネットなどない時代は、こうした論点について自分自身で考えるには、著者があちこちで力説している(そして本書でも度々出てくる)とおり、「人・本・旅」を通して身につけたもの(=教養)を総動員してきたはず。ところが、インターネットが登場して以降は「人・本・旅」という時間と労力がある程度必要なものをすっ飛ばして、手っ取り早く「検索」してしまう。この「検索」体質になってしまうと、本書の読み方が変わってくる。時間をかけて自分で考える前に、著者の考えを鵜呑みにする。これは著者の意図とは大きくズレる、もっと言うと、反する。
    危惧を覚えつつ、自戒をこめて。

  • 2018年幻冬舎で開催した「出口塾・自分の頭で考える日本の論点」という連続講座での講義をもとに加筆したもの。

    いまの日本や世界が直面している問題のなかから、
    人びとの間で意見が分かれている「論点」を22個選び、
    問題の背景やどのような意見があるかなど、
    基礎知識的なことを解説したうえで、
    出口さん自身がどう考えるのかという
    ジャッジを述べています。

    情報が氾濫して混乱していたので、出口さんに
    このようにまとめていただき、とてもよくわかりました。

    身近で一番関心あるのは「自由貿易はよくないのか」。
    これは「安楽死」と「がん」の論点とも
    自分には関わっています。
    できるだけ健康でいたい自分にとって、
    野菜を作ってくださる農家の皆さんは
    神様も同然です。

    日本が自由貿易を進めて農業を見捨ててしまったら
    日本の食料自給率は大幅ダウンしてしまうのではないか?
    体に良い「野菜」を食べることができなくなったら
    「安楽死」「がん」の問題も今よりさらに深刻になるのではないか?

    しかし、出口さんの意見を伺い、希望がもてました。
    出口さんはよく楽観主義者といわれるそうです。
    だって歴史上、悲観論は全敗しているのですから。

    どうぞ、安心してこの本をお読みください。

  • 日本情勢のうち主要な22の論点について基礎知識を提示した上で筆者の思考プロセスを読み解いていく。

    1冊でこれだけの論点に触れているものがあるのだろうか…とにかくすごい知識量と考察量。
    ひとつひとつの題が興味深く、元の基礎知識が浅くてもかなり平易に補完できる所もこの本の素晴らしい点。

    頑張って読めても3論点くらいで疲弊してしまうぐらいに毎回考えさせられる。けれどいつもニュースなどで聞き流しているような常識や時事問題に対して「疑ってみる」「自分の頭で考えてみる」ことをちゃんと深くしてこなかった自分にはかなり貴重な経験。

    この本で、日本の実態が広く浅く理解できたので、次は別の視点で論じるような本にもあたり、解の選択肢を拡げていきたい。


    この本を読む前は、
    【「頭が悪い=想像力がないこと」
    クイズや算数のようにひとつの問いに対して答えがひとつに決まっていることは社会に出ればそう多くない。答えがひとつしかないという固定観念を緩め、ひとつの問いに対して複数の選択肢を想像できる人間こそ真に頭のいい人】
    だと私は思っていた。
    だけど、
    【まずは基礎知識として一問一答のような教育が必要。基礎知識があってこそ正解のない問題に想像力を掻き立たせることができる。
    まずは生きていくために必要な基礎知識として身につけることが教育の果たすべき役割。】
    との出口さんの見解を読んで、日本の教育に対する見方が変わった。

  • タイトルの通り、自分の頭でしっかりと考えるべき様々なテーマが解説されており、とても参考になりました。勉強というとハードルが高いですが、老若男女問わず、いきいきと自分らしく生活する上で外せないテーマばかりです。

  • 現代日本が抱えている問題がすべて網羅されていると言ってもいい。
    ベストセラーとなっている所以でもある。
    論点22を列挙し、「基礎知識」で分析解説し、「自分の頭で考える」で著者の考えを論じている。
    新型コロナ対応(著述が第3波の前なので、現状にそぐわない点があるが)から始まり、日本人の働き方、地球温暖化、憲法9条、安楽死、経済成長、年金、財政赤字、民主主義等々。
    何れも喫緊に避けて通れない問題であり、知的刺激にも満ち、読者も自ずから考えを求められてしまう。
    各論点ごとに、それぞれの問題に興味があればと、関連書など書籍名を紹介されており、読書欲を掻き立てる。
    「付録」として、「自分の頭で考えるための10のヒント」が記されている。
    そのなかで特に重要なのは
    ①タテ・ヨコで考える
       タテ=時間軸(歴史軸)、ヨコ=空間軸(世界
       軸)で立体的に考えること
    ②算数、すなわち数字・ファクト・ロジックで考えるこ
       と としている。
                 

  • とても良い本でした!22の論点とそれに基づく著者の考え方が記された本。

    最後の付録、「自分の頭で考えるための10のヒント」は何度も読み返したい。「意見と人格」「作品と人格」は区別して考えないといけない、という点はとても共感。

    LGBTQと留学に関する論点は、自分も当事者ということもあって、なるほどと思いながら読み進めた。特にLGBTQについては、基本的人権の尊重という観点から、丁寧にそして深く考えられての発言で、著者の考え方がよく分かる内容だった。

    縦(歴史)、横(世の中の動向)、数字の観点から考える。数字、ファクト、ロジックで考える。この2つはこれからの生活の中で意識していきたい。

    追記
    著者の意見を全て鵜呑みにするのではなく、その意見から自分で咀嚼し腹落ちさせ、自分なりの考えを持つことがもっと重要だと感じた。そのためにも、この本で書かれている考え方のヒントをもとに自分の意見を持つようにしたい。そういった考えのヒントをもらえたこの本は一読の価値あり!

  • 日本の課題を考える本だが、この本において課題は題材に過ぎない。

    課題を解決するための命題が与えられるわけだが、そもそも命題そのものを疑い、データを集め、データが出る意味を深掘りし、類似事例と比較し、ロジックを立ていく、という思考過程が楽しい。

    頭を使うということはこういうことか、と納得せざるを得ない。

    --------------
    「自分の頭で考える」とは…
    ・問いを疑う。
    ・常識を疑う。
    ・前提を疑う。
    ・事実に基づいて考える。
    ・相手の立場で考える。
    ・ポジショントークになっていないか疑う。
    ・深掘りしてみる。
    ・いままでの類似事例を探してみる(縦軸で考える)
    ・自分の周りで類似事例を探してみる(横軸で考える)
    ・隠れているメリット/デメリットを見つける。

  •  この本は現代的な23の論点を分かりやすく、その論点の分析だけではなく、どうやって考えれば良いのかまで解説しています。さすがに出口治明氏の持論である算数(数字、ファクト、ロジック)で考えるという観点からの「自分の頭で考える」というコーナーを書く論点ごとに書いています。
     しかも全ての論点にわたってコロナ後のデータやファクトが登場しますので、本当に新しいのが素晴らしい。価値ある一冊オススメです。

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著者プロフィール

出口 治明(でぐち・はるあき):立命館アジア太平洋大学(APU)学長。ライフネット生命創業者。1948年、三重県生まれ。京都大学法学部卒。日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て2006年に退職。同年、ネットライフ企画(株)を設立し、代表取締役社長に就任。2008年4月、生命保険業免許取得に伴いライフネット生命株式会社に変更。2012年上場。2018年より現職。著書に『全世界史(上・下)』(新潮文庫)、『0から学ぶ「日本史」講義』シリーズ(文春文庫)、『歴史を活かす力』『日本の伸びしろ』(文春新書)、『哲学と宗教全史』(ダイヤモンド社)、『一気読み世界史』(日経BP)、『ぼくは古典を読み続ける』(光文社)等多数。

「2023年 『人類5000年史Ⅴ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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