貧乏国ニッポン ますます転落する国でどう生きるか (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344985919

作品紹介・あらすじ

新型コロナウイルスの感染拡大で危機に直面する日本経済。政府の経済対策は諸外国と比べて貧弱で、日本の国力の低下ぶりを露呈した。実は、欧米だけでなくアジア諸国と比較しても、日本は賃金も物価も低水準。訪日外国人が増えたのも安いもの目当て、日本が貧しくて「安い国」になっていたからだ。さらに近年は、企業の競争力ほか多方面で国際的な地位も低下していた。新型コロナショックの追い打ちで、いまや先進国としての地位も危うい日本。国は、個人は、何をすべきか? データで示す衝撃の現実と生き残りのための提言。

感想・レビュー・書評

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  • 日本はいつの間にかすごい貧乏な国になっていた!
    「一体いつから貧乏なの?」
    「アジアの中では金持ち部類なんじゃない?」
    「アメリカの貧富の差に比べたらマシじゃない?」
    「日本の技術は世界一でしょ~」
    なんて、のんきなことを言っている日本人よ~
    この本を読んだら
    「うわ~!!」って思うのではないかしら?

    バブル景気とかあって金持ちになった気持ちが続いているのかもしれないけど…実はそれって「まぼろし~」だったらしい…

    衝撃を受けたのは…
    アメリカで年収1400万円以下は低所得なんだそう
    貧しいとされる基準が日本と全然違うのね…
    アメリカってやっぱり経済の基礎体力がすごいわ…

    今や日本はアジアの中でもかなりの貧乏国になっているそう。

    と、まあ…数字でバン!と出されると
    リアルにヤバさを感じます。
    てな感じで読めば読むほど暗くなる内容で…

    古き良き昭和な会社のシステムが全く通用しない世界になっているのにそれに気がついていない社長がいる会社はダメになる~のだそう。

    じゃあ解決策は?それ教えて!
    ってなるんだけど…
    具体的な策がこの本に書かれているわけではないです。

    世界を見据えた経済のありかたを各自で考えること…
    自分でちゃんと考えることができる人が増えることが大切なんだろうな…

    さしあたって…私にできること…
    うむむ…
    思いつかん…

  • 大いなる警告の書。

    日本がいかに「安い国」になっていて、それにより社会、教育、年金、物価の低迷、貧困化が進行しているかをOECDのデータ等から説明し、その原因と対処法を解説している。

    中でも日本はもはやモノ作りで稼ぐ国ではなくなっているので、国内消費と投資で経済を再興させるべき、企業の稼ぐ力を復活させるため、サラリーマン社長は一掃せよ、等々の主張には深く納得した。

    本書を読むと日本の未来は真っ暗で希望が無いように感じられ、暗澹たる気持ちになるが、データを基に論理的に説明されると納得せざるを得ない。
    まずは認識をあらため、現状を認めるところから始めるしかないと深く認識した次第。でも、心のどこかでは本書の主張が実は間違いでした、というシナリオもちょっぴり期待している。

    全日本人必読の書。

  • 最近の経済関連本はざっくり

    1 何もかも政府が悪い
    2 とにかく日本は本当はすごい
    3 構造改革論
    4マクロ経済政策論
    5 終末論+自己防衛術

    のどれかに類型化されるイメージ。
    1と2は論外として、3は人口減少や規制改革、4はマネー過剰や財政破綻、ひいては年金問題、そして5は、もうだめだからせめて個人で株を買おう、外貨を買おう、投資をしよう、ひと捻り系では移住しようなど。

    本書は、3と4の歴史を概観しつつ5を見据えているということで、網羅的整理としてはかなり有益な本。

    ポイントは、
    A 日本は世界的に見ても給料が安く、だからモノの値段が安くても大して豊かでなく、資本ストックもみすぼらしい。
    B バブル後、規制改革もマクロ経済政策も全て取り組んだが万策尽きている。
    C 、、、というより、購買力平価で見る限りそもそも日本は昔から貧乏だった。経済大国は錯覚。

    の3点。個人的には腑に落ちる。

    経済に自信があった頃も、フランスの首相には日本の家屋はウサギ小屋とバカにされていたし、観光地は乱開発と立て看板でせっかくの風土はぶち壊し。
    どこに行くにも混んでいて、子育てにお金は使えない。

    私も含めた日本に強い愛着と帰属意識のある中堅層も、さすがにここがすごいよ日本人みたいな番組はもう恥ずかしくて観られないし、実際コロナ後はそうした番組が絶滅した印象。

    どうしてここまで貧乏なのかといえば要するに非効率だから、というのは多くのマーケット関係者が言い続けていることであり、菅首相になってからはD.アトキンソン氏らが論陣を張っているが、非効率の改善イコール一部の人の既得権益あるいはぬるま湯の打破だから抵抗は強い。抵抗する人は必ず「弱者を守れ」、というし、日本でその言いがかりに反論するのは極めてコストがかかる。

    個人的にはここまで理屈が通じない理由は、確率統計を学校で学ばないから(平均とか分布とかではなく、私の場合はこうだったとかこういう例もある、とかいった個別事例が全体のインパクトよりも重視される)からと思っているが、本書はデータも難しい統計はなく
    せいぜい平均しか使っていないので直観的。

    さて、著者の加谷珪一氏は、他の本で個人の資産形成術みたいなものもかなり書いている人で、基本的にはノーロード長期投資というスタンダード派という理解。

    ただ本書では、「終わりに」部分でやや唐突に個人の資産の話が出てくるのでそれまでの各章との繋がりはいまいちな印象。

    世の中こうなっているよ、の部分は本書で、そして、だからこう自分を守ろうの部分は他書で補うのが良いかと思う。

  • えっ!日本ではすでに現在の経済学で想定されるすべての経済対策を実施したのにあまり効果がなかっただと?!ということを知れる一冊
    日本が魅力ある国に見えなくなってきていることが様々なデータから語られます。そのため、「日本てまだまだ経済大国!」という価値観の方か読んだら暗い気持ちになるかもしれません。
    ではどうすれば?というのが少し書いてありますがヒラ社員の一個人では実現が難しいため、多くの方がこの本に共感して社会のマインドが変わっていけばなぁと願わずにはいられませんでした。
    ●複雑な気持ちになりました
    よく選挙で「景気をよくするために~」ということが語られますが、過去20年の日本政府が実施した景気政策があまり効果がなく、そもそも政府が経済に及ぼせる役割が実はあまりないことを理解した上で話しているのかなと思いました。わたしもこの本を読むまではその事実を知らず政治家も国民も経済について「無知」なんだなと思わざるを得ませんでした。
    ●政府がいう割には景気がいいのが実感できない理由
    為替のカラクリがあったとは!数字がそうなのだから実は他の人は景気がいいのかな・・と誤解していました。
    ●日本の外に目を向けたい
    日本は四季があるし、言葉が通じるし、ご飯がおいしいし・・まあ贅沢はできないけどこのまま仕事がんばろと思いがちです。が、本書を読むと日本の外では短い時間で高収入を得られたり経済成長している現実があることを感じました。国外で働いて老後は国内でというスタイルも案外現実的な考え方なのかもしれないと思わされました。次の30年に向けて世界経済には注目していきたいです。

  • 読んだのは、たしか去年の11月くらい。
    思っていたより、つまんなかったw

    ……と、2年以上前に出た本を、そう言ってしまうのは、たぶんフェアじゃない(^^ゞ
    ていうか、読み出して、つまんなかったこともありw、かなり斜め読みしちゃったこともあってw
    その点でも、「つまんなかった」は言いすぎなのかもしれない。

    とはいえさー。
    今も本屋で売られている商品の内容が、2年や3年でつまんなくなっちゃうっていうのもなぁー(^^ゞ
    ま、最近の新書なんて、そんなもんだよ。すでに自分が知っていることをそこで再確認して、「やっぱり俺/わたしって賢いよね」とニンマリ自己満足に浸る。
    それが最近の新書の商品特性。時事ネタがテーマになっているやつは特にそうw、と言っちゃうなら、それはそうなんだろうけどさ(^^ゞ

    そんなわけで、自分も自己満足に浸りたかったのか?(爆)
    タイトル脇の見出し? サブタイトル?の“ますます転落していく国で云々”というのは、自分もかねがね感じていた(^^;
    ていうかー。
    この本を読む人は、それを感じているからこそ、この本を手に取るんだと思うのよ。
    だとすると、第1章:日本はこんなに安い国になっている、第2章:安さだけではない日本の転落って、わざわざ載せる必要あるの?(^_^;

    ま、タイトルは「貧乏国ニッポン」なわけで。
    それは前フリとしてないと!っていうのはあるんだろうけどねw
    でもさー。なら、1章と2章はまとめちゃっうか。
    もしくは、第3章:なぜこんなに安くなってしまったのか、を先にバーンと出して。
    1章と2章に書かれていることはその補足としてちょこっと載せる、みたいな形の方がよかったんじゃないのかなー。
    というのは、1章と2章に書かれていることって、いかにも最近の新書的っていうかさw
    本を買わすために、刺激して関心を引いているだけって気がしちゃってさー(^_^;

    いや。書かれてあることはホントもホント。冗談抜きで、今の日本の状況はこのままだと本当にヤバイよってことが書いてあるんだと思う。
    でもさ。著者がその例としてあげらていることって、(少なくとも)自分はイマイチ実感的じゃないっていうか、恣意的っていうか。
    例えば、「年収1400万円は低所得」とか言われても、今の日本人の平均年間所得って、確かその半分にも遠く及ばないわけじゃない?
    そうなると、違いすぎちゃって。
    もはや、「はぁー。アメリカ人って、お金持ちだなぁ〜(笑)」くらいにしか感じられないし。
    ディズニーランドは日常的に行く所じゃないし(ま、日常的に行く人もいるらしいけどw)。
    あと、「もはや自動車は富裕層の持ち物」とか書かれても、地方に行けば、みんな普通に乗ってるもんなぁー(^^ゞ
    ていうか、自動車。近所の40歳くらいのプータローは2台持ってるよ(爆)


    そういえば、去年? 一昨年?
    WBSだかモーサテだか忘れちゃったんだけど、アメリカ(ニューヨークだったか?)のランチの値段がいかに高いかってことを紹介していたことがあって。
    今、向こうではランチで1500円以上は当たり前。2500円くらいっていうのもザラ、みたいな話を見ていた時、「昼飯にそんなに金かけるって、バッカじゃねーの、アメリカ人!?」と、一瞬思いかけて(^^ゞ
    でも、自分のランチの基準である500円〜600円くらいというその金額が、自分が社会人になったウン十年前の金額から全く変わっていないってことに気づいて。
    「あぁ…。そりゃ確かに停滞(ていうか衰退?)するわ、日本経済…」と愕然としちゃったことがあるんだけど(・_・;)
    ぶっちゃけ、この本で挙げられている例は、現在の瞬間風速的なことばかりで。
    (日本人の)バブル崩壊以降の時間を踏まえた上で、それを実感させてくれる例が書かれていないのよ(^^ゞ
    そのくせ、香港のホテルのビールの値段はどーちゃらこーちゃらみたいなことは書いてあるからさ。
    その香港のホテルって、ペニンシュラ? シャングリラ? そんなところ、一般庶民は泊まんねーよw やっぱ、日経BP社みたいなとこに勤めて、その後野村證券の投資運用会社みたいなとこに転職。今は独立してコンサルタント業しているみたいな人はお金持ってるんだろうなぁー、みたいな穿った見方を、ついしちゃうんだと思う(爆)

    ついでに言えば、著者は高級ホテルに関心があるのか、“外国人の金持ちは、超高級ホテルがないから日本に旅行に来ない”みたいなことも書いているから、そういう面でも、(経団連の提灯記事ばかりの)日経臭wを感じちゃうんだと思う(^^ゞ

    ま、旅行の目的が、いいホテルや旅館に泊まることの人は確かにいる。
    旅行の期待や満足度を、泊まる所の良し悪しで測る人なら、もっと多いだろう。
    でも、泊まる所なんて、安全で清潔ならどこでもいいと思って旅行を楽しんでいる人も沢山いると思うけどなw
    ついでに言っとくと、政府のコロナ下における旅行支援策は、そういう旅行をする人や宿に対しての支援になっていない。
    これまでの時代ならともかく。選挙で勝つための政治ばかりやってると、これからの有権者に見限られるよ(--〆)


    そんな、この本だったが。
    第3章の冒頭、“では、なぜ日本はここまで安い国になってしまったのでしょうか。(中略)日本企業の競争力が下がり、経済成長が出来ていないことが最大の原因です”を読んだ時、それ! それだよ!と。
    この本を読んでいて、初めて著者にシンパシーを感じた(^^)/

    2000年代の初めの、例の戦後最長の経済成長だけど、でも、実感なき経済成長と言われた「いざなみ景気」の頃。
    その時の経団連会長は、「(今は好景気だけど)給料は上げない。雇用も増やさない。なぜなら、今は新興国の追い上げが厳しいから設備投資をする方が先だからだ」みたいなことを言っていた。
    でも、その後、“新興国の追い上げが厳しいから設備投資をしていたはずだった”家電メーカーを初めとする日本の一般消費財メーカーは、新興国のメーカーにボロ負けしちゃったと。
    サンヨー電気はなくなっちゃったし、シャープも鴻海に買われちゃった。
    なのに、経団連会長の言うことは、その後も「今は円高だから給料は上げられない」。
    円高が収まると、今度は「日本は労働生産性が低いから給料は上げられない」等々(←じゃぁどうなったら、給料上げて、雇用を増やせるんだよ!って話だ)。

    要は、著者もこの本で書いているが、何年か社長を務めるサラリーマン社長が、自分が社長のときにリスクを取って失敗したら汚点を残しちゃうから、新たな事業を初めたり、将来のビジョンを示したりしない。
    さらに、(一般消費財メーカーに限って言えば)売れない商品を作ったら、自分の汚点になるから、どの商品も似たような面白くもなんともないモノばかり。
    そういえば、アマゾンとか見てるとつくづく思うんだけど、今の日本のメーカーが作るモノって、その商品を見て、「これが欲しい!」とは全然思えない。そんな商品ばかりなんだよね。
    ぶっちゃけ、今の日本の企業が作った商品って、どれもダサいっていうかさ(爆)

    ていうかさ。
    今の日本の末端消費財メーカーで、いまだにブランド力を保持している会社って、どれほどある?
    街や近所を歩いていると、前と比べて外車に乗っている人がすごく多くなったけど、みんな、日本の自動車メーカーがつくった商品に魅力を感じていないってことなんじゃないの?
    でも、そりゃそうだろう思うよ。
    だって、どのメーカーも、どのクラスも、日本車はどれもおんなじ格好してるんだもん。
    ま、自動車というのは高い買い物なわけで。
    誰だって、性能の悪いものを買って失敗はしたくない。
    また、ディーラーとの長年の付き合いとかっていうのもあるから、日本車を選ぶ日本人は多いんだろうけどさ。。

    そんな風に、今のところは、日本人にとって「メイド・イン・ジャパン」は、商品購入の上での安心となっているけど。
    でも、このままいったら、10年か20年もしたら、日本人のマインドですら、「メイド・イン・ジャパン=ダサいから買いたくない」になっている可能性は十分あると思う。
    だって、今でも、スマートフォンと言ったら、アップルかサムスンなわけでしょ?
    掃除機だって、パナソニックでも、東芝でもなく、もはやダイソンなんじゃない?

    でも、の家電メーカーが世界を席巻していた頃、ダイソンもアップルもサムスンなんて会社はなかった。
    いや、あったのかもしれないけ(アップルはあったかw)ど、少なくとも日本のメーカーの敵ではなかったわけだ。
    だけど、今はそれらに日本の家電メーカーはボロ負けだ。
    なぜかといったら、それは著者がこの本で書いているように、日本企業の競争力が下がったからだろう。

    なぜ、競争力が下がったのかといえば、たぶん、やっぱり著者が書いているように、日本の会社の社長の多くがサラリーマン社長で。
    自分の業績(成績?)に汚点がつくのを恐れるあまり、将来を見越したリスクを取らない。ついでに言えば、将来のビジョンを示せない。だから、日本の会社の社員は、時代遅れになってしまった仕事に従事したり等、労働生産性の低い仕事をせざるを得ない。
    要は、①経営者が経営者としての仕事を全然していない(もちろん例外も沢山いると思うが)。
    ②だから、今の日本企業に競争力はなく、よって、日本の経済力は下がる一方。
    ③よって、90年代後半以降、日本人の給料はずっと横ばい。
    ④給料が低いから、自然と(というか必然的に)安いものばかり買う。
    ⑤企業は商品が売れないと困る(なによりサラリーマン社長が困るw)から、価格設定を低くする。
    ⑥それが30年近く続いて、いつしか日本人の誰もに「その商品は○○円。それ以上高ければ買わない」という固定観念が出来上がる。
    ⑦商品価格を上げられないから、企業は品質向上やあらたな商品開発・研究開発、さらにはそれにともなう賃金や雇用にお金をまわせない。
    ⑧ふと、気づいたら、日本と海外ではモノやサービスの価格がとんでもなく開いていて。そこでつくられている商品も、それをつくるシステムも海外の企業と比べて時代遅れなものになっていた。
    そういうことだよね?(^_^;

    ていうかさ。
    この著者も含めて、今の日本人はバブル批判が大好きだけどさw
    でも、あのバブルって、戦争が終わって何もない時代の人が、自らが少しでも豊かな生活を送ることを夢見て、死にもの狂いで働いたからこその好景気なんじゃないの?
    今はバブル批判してさえいれば、みんなの共通の了解として多くから賛同を得て“映え”ていれるからさ。
    あれはアメリカが対共産国対策として日本を豊かにするよう誘導したんであって。あの戦後復興は、決して日本人が起こした奇跡じゃないみたいに言われることが多いけどさ。
    ま、確かにそういう面はあったのは事実なんだろうし。
    また、著者が書いているように、“1980年代の日本について(中略)他の先進国の豊かさに近づきつつあったものの、まだ完全には追いついてない時代だった”というのも間違いなく事実だと思う。

    でも、戦後の日本の豊かな暮らしっていうのは、日本の一般庶民が初めて獲得した豊かな暮らしだったというのは、今、なぜか誰も語ろうとしない事実だし。
    また、バブル崩壊後の日本人の暮らしが、「不景気だ」、「生きづらい」とか言いつつも、バブルの頃より豊かなのも確かだ。
    それを忘れて、戦後の復興や高度経済成長、さらにバブルがあっての今の豊かな暮らしを享受している現在の日本人が過去を批判ばかりしているのは卑怯だし。
    何より、バブルの頃と比べて不景気だからしょうがない、80年代と比べて生きづらいからしょうがないと、無責任な評論家やマスコミ、ネット記事に思いやられることを理由に、今の日本人が幸せになる可能性を狭めているだけ…、なんじゃない?w

    著者が書いているように、今の日本の企業競争力が衰えているのは確かだ。
    それは、それこそ、かつてウォークマンやCD、DVD等々、その時代のスタンダードとなるモノやシステムを創り出せていた日本企業に今はそんな力が全くないのを見ても明らかだろう。
    自動車産業は、今でこそ世界でそれなりのシェアを持っているが、たぶん(間違いなく?)それらも2000年代初めの家電メーカーの轍を踏むことになると思う。
    極端な話、日産あたりの方がルノーとくっついている分、日本の会社として残って。むしろ、トヨタやホンダあたりのほうが、サンヨー電気やシャープのように新興国メーカーに買われちゃう可能性が高いと自分は思う。

    そんなこと書いたら、その根拠となるデータを示せ、みたいなこと言う人、ごまんといるんだろうけどさ(^_^;
    今の日本人の一番ダメなのはソコだと思うw
    なんにでも正解があると思い込んでいて、正解を求めてばかりでリスクを冒せない。
    だから、今は何かというと、データ、データ、エビデンス(爆)
    それって、この本の著者が書いている「サラリーマン社長」と同じじゃん(^^ゞ
    (いや。サラリーマン社長にだって、優秀で将来を見据えている人は沢山いる。それは間違いない)

    しかし、国の基幹産業たる自動車メーカーがボロ負けなんて事態になったら、日本経済はひっくり返るだろう。
    そうなったら、アメリカはそんな国と同盟組んでいても何のメリットもないから、同盟を破棄して見捨てるはずだ。
    アメリカに見捨てられたら、日本は中国とロシア、あるいは北朝鮮や韓国の草刈場になって。ウクライナやジョージアのように、領土をどんどん奪われてしまうだろう(^_^;
    もしくは、経済力がなくなったとはいえ不沈空母として十分有用とアメリカは軍事基地化するのか?
    そうなった時、そこに住む日本人にはどの程度、まともな雇用先があるのだろう?
    著者は、この本の中で、“日本人が海外に出稼ぎに行く日も近い”みたいなことを書いていて。そこでは、“高い賃金を求めてアジアで働くことを検討している日本人が増えている”みたいなことを書いているが、自分はそれは甘すぎる観測(というよりウケ狙い?w)であるように思う。
    確かに、この2022年の今なら、それは(それも、一部スキルとやる気のある人には)あるのかもしれない。
    でも、20年先、あるいは10年先、海外の出稼ぎというのは、そんなホワイトカラーの仕事を求めてではなくて。文字通りの出稼ぎ、つまり、今、日本で飲食店やコンビニ、肉体労働、あるいは風俗店で働いている外国の方たちのような出稼ぎになるように思う。

    だってさ。海外の企業だって、なるべくなら自分の国の人を雇用したいと思う方が普通だろうし。
    なにより、かつての経済大国ジャパンの人なんて使いにくい。なら、これから発展する国の人の方がいいって考える方が普通の感覚のような気がするけどなw
    著者は、今はタイ辺りで日本人観光客のために日本人を雇いたいと思っている、みたいなこと書いてるけどさ。
    10年先、あるいは20年先、日本人って、海外旅行に行けるほどお金持ってるの?(^_^;
    だってさ。日本って、どんどん人口が少なくなっているんだよ。
    人口が少なくなっているということは、働く先が今ほどには必要なくなるということだよね。
    人口が少なくなっているということは、まず、サービス業が成り立たなくなる。
    海外相手素材産業・装置産業は多少希望ありそうだけど、でも、一般消費財をつくる企業は(少なくとも今のままでは)海外の企業に勝てないだろう。
    金融やIT企業にいたっては、今も海外の企業に勝てていない。
    もちろん、世間に知られていないだけで、実はその分野で世界シェア何十%持っているなんて会社、日本には今でもそれなりにある。
    でも、いくら人口が減っても、それらの企業で日本人全部の雇用がまかなえるとは思えない。

    一方、国内に目を向ければ、今だって、郵便局や銀行の統廃合はあるし。スーパーがつぶれて、買い物難民って言葉をよく聞く。
    もちろん、コンパクトシティ化みたいな方策はあるんだろうし。
    また、人口減と働き口減がうまく釣り合うなんてことも、もしかしたらあるのか?^^;
    でも、どちらにしても人口が少くなった分、経済は縮小する。
    経済が縮小すれば、災害があっても行政の対処は今ほど出来なくなるだろうし。
    人口が少くなくなるのは国土の端々から進むだろうから、たぶん、そこに中国やロシア、あるいは北朝鮮や韓国によって侵食されていくだろう。
    いや、もしかしたらASEAN諸国だってあり得るのかもしれない。

    そう考えると、なら、人を増やせばいいんじゃない?ってことになる。
    でも、祖父祖母、親、自分、子、孫…等々の子供の数を見ればわかるように、時代が進むほど子供の数は少くなっていく。
    今の中国を見たってそれは同じ状況なんだから、つまり、人口減というのは経済の成熟による国民の価値観の変化によって起こる必然なんだと思う。
    つまり、国がいくら対策しようと、昔みたいに子供が増えるわけではない(いや。対策はいいことだと思うし。絶対必要なことだ)。
    てことは、人を増やすためには移民しかないってことだ。
    移民というと、途端に拒否反応を示す人が多いから、選挙で勝つことが至上命題の今の政治家は絶対やろうとしない。
    つまり、そこ、なんじゃない?
    今の日本、今の日本人にとってタブーなこと、それこを実行することこそが日本を再び豊かにすることになると自分はそう思う。

    20年くらい前、「インフルエンザで会社休みます」と言ったら、「風邪くらいで会社休むな!」と怒鳴られる会社、普通にあった。
    でも、今、まともな会社でそんなところはない。
    バブルの頃、Tシャツで仕事に来ていいなんて会社はまともな会社とは思われなかった。
    でも、今は普通にある(恒久的にそうであるかは大いに疑問だけどw)
    バブルの頃、学生が住むアパートはエアコンどころか、扇風機すらないのが普通だった。
    でも、今、それらは普通にある。
    不景気、生き辛いと猫も杓子も言っている今の日本だけど、よくよく考えてみれば、私たちの暮らしはこんなにも豊かだし。昔より生き辛くない(^^ゞ
    ていうかさ。
    チケット収入やインバウンド収入ゼロでもオリンピック開催できる国、世界にどれだけある?
    それをやり遂げた自らの国を、ちょっとは誇りに思ってさ。
    もっと、自らの国に、そして自らに自信を持とうよ(^^)/
    戦後、やっとつかんだニッポンの一般庶民の豊かな暮らしをここで終わらせていいわけがない。
    「日本経済があの頃(バブルの頃)のようになるなんて、もうない」なんて、誰かが無責任に言ったことを賢しげに口真似してないで。
    豊かな暮らしをおくりたいなら、個々が一生懸命考えて。そして、それをやってみることだ。
    著者も書いている。
    “何かひとつの方策で全てが解決するといった魔法のような回答を求めること自体が、一種の「甘え」であり、こうした日本人の甘えた感覚こそが日本経済を低迷させる原因になっている”と。
    それは、言い変えれば、今の日本人は、個々の人が考えたこと、思ったことを何のしがらみもなくやってみることが出来る!ってことだ。
    バブルの頃の経済繁栄をもたらした、戦後の復興を成し遂げて、今の日本人の豊かな暮らしの礎を築いた世代はもうほとんどいない。
    今残っているのは、バブル崩壊以降、失敗し続けている人たちばかりだ(^^ゞ
    そんな人たちに、エラそうなことを言う資格はないのは言わずもがな。
    今の日本人(今を生きている全ての日本人)はさ。自らの幸せのために、自ら考えたいろんなことを自ら実行して、全然OK! 今って、そのくらい恵まれた時代なんだぜ(爆)

  •  日本以外の国の給料は上がっているのに、日本人の給与は30年間も上がっていないので、日本の相対的貧困率はトップクラスになっている。多くの若者は、生活ギリギリの低賃金で預金する余裕なんてない。日本の年金も先進諸国では最低の水準なのに、負担は増加するばかりで、給付は引き下げに。
     ところが日本人だけは自分たちを未だに豊かだと思って、日本はすばらしい国、世界で一番の経済とか思っている人が多い。世界で一番の債権国だ、貿易黒字国だって思っているけど、日本が世界に誇る製品は、急激に減っていていつの間にか貿易赤字の月が多くなっているのが現実である。
     この本は、私たち日本人が直視しなければならないことをわかりやすく書いています。

  • ●コロナの給付金、米国は年収825万を基準に交付した。米国では、年収1000万の世帯は高所得とみなされていないから。
    ●なぜ日本は諸外国から見て安い国になってしまったのだろう?
    ●競争力ランキングは、1989年首位から30位まで下落。賃金、ライフワークバランス、子供の教育環境が最下位。
    ●日本の実質賃金は30年横ばい。欧米諸国は役1.5倍に。
    ●爆買い中国人は中間層。所得がそれほど高いわけでもないのに、猛烈に消費できるのは、自身の年収が毎年アップしており、将来に対する期待値が高いから。
    ●消費税増税が経済成長を阻害するというのは、正しい認識では無い。
    ●日本経済が低迷から脱却できない最大の理由は、日本企業のビジネスモデルが薄利多売をベースにした昭和型の形態から脱却できておらず、競争力が低いままで推移している事ですから、これは経済政策だけでどうにかなるものではありません。
    ●一般的には、短期的なモノの値段は需給で決まり、長期的には供給貨幣の量で決まる。
    ●日本が慢性的なデフレ体質なのは近年のみ。今の経済状況のままインフレが進むと、スタグフレーションも。
    ●政府債務の大きさの問題は、破綻ではなく、金利上昇時の悪影響が大きい事。
    ●経済が強ければ円高など関係ない。為替が安くなったからと言って、商品が売れるようになったわけでは無いようだ。かつての競争力が戻ってこない。

  • 暗澹たる気分になるけど、これが現代日本を取り巻く不都合な真実なんだろうなぁ。世界のどこでも働ける人材になる、かぁ…。

  • 結局この手の話だいたい同じ流れ。

  • この本は日本人にとって過激な内容が次から次への紹介されていく。途中で「著者は日本に対して文句を行っているのかな?」と思うくらいだ。しかし、読み勧めていくと「日本人はゆでガエル状態になっているので、もっと世界に目を向け、現実を見て対応して行こうではないか!」と訴えているように思えてくる。

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著者プロフィール

経済評論家。仙台市生まれ。1993年東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在、「ニューズウィーク(日本版本誌)」「現代ビジネス」など多くの媒体で連載を持つほか、テレビやラジオで解説者やコメンテーターを務める。著書に『新富裕層の研究』(祥伝社新書)、『戦争の値段』(祥伝社黄金文庫)、『貧乏国ニッポン』(幻冬舎新書)、『縮小ニッポンの再興戦略』(マガジンハウス新書)など多数。

「2022年 『スタグフレーションーー生活を直撃する経済危機』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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