だから古典は面白い (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344985872

作品紹介・あらすじ

「最近、本の質が落ちた」と感じる人が多いと聞く。無類の読書家であり経済学者の著者は、そんな人にこそ「古典を強くすすめる」という。「古典に新しい情報はない」と思うのは早計だ。組織のメカニズムを知りたければトルストイの『戦争と平和』、人を説得する術を知りたければシェイクスピアの『マクベス』。人が作った組織や人間の心理は昔から基本的に変わっておらず、トルストイやシェイクスピアといった洞察力を持った作家が書いたものは、現代人に多くのことを示唆するのだ。著者が推薦する本を読めば、そのめくるめく世界観に心浮き立つだけでなく、仕事で役立つ知識も身につくこと、請け合い!

感想・レビュー・書評

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  • 読みたい本のうちの1冊だが、著者の野口悠紀雄さんと言えば、やはり、『超整理法』が一番知られているような気がする。

  • 古典入門。私見が面白い。ロシア文学読まないと
    、長いけど

  • 著名な経済学者が自分の好きな古典について独断と偏見と良識に基づいて語る本。

    トルストイの「戦争と平和」、「アンナカレーニナ」はちゃんと読んだつもりだが、驚く程あらすじを憶えてなかった。著者派瑞山性格に覚えているもんだ。

    19世紀の小説は古典だが、1960年代の音楽は古いだけで古典とは言えない、という主張には全くもって賛同できず、リアルタイムで経験したものは古典とは思いにくい、ということだろう。

  • 本好きの一人として、古典は功利主義的、効率的で価値があるので読むべきという目的にはあまり賛同できない。淘汰の末に時代を経て残るものの価値については分かる。しかし、古典が現代でも読まれ続けるのは、考えようによっては偶発的な事象。教材として取り上げられたり、引用する新刊が多く、社会の共通言語と成り得たからだろう。公的にリンクが貼り付けられ過ぎて、リンク切れには出来なかった。一面では、ただの現象論とも言える。

    古典の代表作は、聖書だという。キリストは譬え話を多用。人々は理解力が低いから、と。しかし譬え話は詐術。AだからBという論理形成においてAを誰もが納得するような譬え話でロジックを組むと、人はAを理解する弾みでBの理解を誘導され易くなる。例えば、ラクダが針穴を通れないように、金持ちは天国に行けないという説教だが、これなんか、全く何故金持ちが天国に行けないかなど説明していないのだ。古典と新書の関係もこれに通ずる。理解力の低い人々、いや、現代に合わせた理解の助長が必要な人々(私を含めて大半の人達)は、古典ではなく、譬え話としての新刊が必要だ。

    古典の価値は様々だろうが、そもそも読み難い。読み難いから、文脈をあれこれ思考する。この対話作業が読書の充実感を齎し、対話の中で現在の自らに類推させて当て嵌める所作を経ることで、オリジナルの納得感に浸れるのだろう。勿論、真理を追求するに古典の方が一義的価値が高い事は否定しない。しかし、世の古典には現象論的に残存したものが多い事やその読み方は効率的とは異なるだろうと私的な感想を残しておく。

  •   テレビで観た勝手な推測だが、野口悠紀雄氏は対面会話ではあまり面白い方の様には思えない。上から目線的な所を感じてしまうし、かみ砕いて手取り足取り手引きしてくれる感じを受けない。

      ところが、著作(但し経済書を除く)においては、元々備わっている文章力にその性向が加わると非常に面白いものとなる。風貌と異なり、案外と感受性の強い面や涙もろい所も文章から読み取れる(というか、ハッキリ書いてある)。

      今回はロシアものなどの長編小説や、私が避けてきているSF小説も出てくる。これからの読書計画に高い壁が出来てしまった。

      彼の読書好きは学生時代からの様だが、彼の興味に火をつけた日比谷高校そしてその先生の授業を羨ましく思う。今でもその様な伝統は続いているのだろうか?

  • 古典文学に興味があり、Amazonにて、たまたま見つけて中古本を購入

    P130 舞踏会も、吹雪の中で停車した鉄道の駅で起こったことも、われわれが現実の世界で経験することは、決してできないものです。しかし、本を開けば、それらは、あたかも現実の出来事であるように、私の前に展開するのです。→疑似体験に過ぎないが、想像もありVRとは、違った世界

    P196 ゴールドラッシュで成功したのは、「金を発掘した人」ではなく、「金の発掘者を発掘した人」→シャベルと斧と金桶で商売した人、デニムパンツを売った人(リーバイス)、金融 郵便のサービスを始めた人が財をなした。目に見える利益に群がるのではなく、一歩引いた視点から物事を考える

    P205 アンドロメダ病原体(マイケル・クライトン出世作)偽物の参考文献が引用されていたり 最後まで目読者を離さない魅力あり

    P211 宇宙のランデヴー(アーサー・C・クラーク)SF 完成度高い 2017年オウムアムア実際に出現 2018年ソーラーセイル(太陽からの光で宇宙船を推進する帆)の可能性 70年後に第2のラーマが小説で出現している

  • 読書家であり経済学者の著者は、「古典を強くすすめる」といいます。
    組織のメカニズムを知りたければトルストイの『戦争と平和』、人を説得する術を知りたければシェイクスピアの『マクベス』。
    深い洞察力を持った文学者が書いたものは、現代人に多くのことを示唆してくれます。
    外国文学が主に紹介されています。
    紹介されている本を、改めて読んでみたいと思いました。

    歳をとれば誰でもmaturedになれるわけではないのですが、年齢が必要条件であることは間違いありません。
    したがって、私は「アンチエイジング」という概念に反対です。
    「アンチ」というからには、「エイジングとは抗すべきもの、望ましからぬもの」という前提があるからです。
    しかし、右に述べたように、そうではないのです。歳をとれば肉体的能力は低下しますが、知的な能力は高まります。問題は、高まった能力を使い切るだけの時間的余裕がなくなることなのです。
    ですから、地団太を踏むのです。やりたいことが増えるのに、使える時間は減ってゆく。余計なことをやってはいられません。 ー 88ページ

  • 790

    私は大学で教える仕事を長年続けました。大学教授に特権というものはありませんが、 大学図書館の書庫に入れることは、間違いなく例外的な特権だったと思います。 そこは、普通は誰もおらず、静まり返っていて、見渡すかぎり棚に並んだ本だけが見え る空間です。 私にとって書庫は、最も心が落ち着く、世界で最高の場所です。ここで本に囲まれてい ると、とても安心した気持ちになります。

    気が滅入るとき、不安に駆られるとき、あるい は傷ついたときに、ここに逃げ込んで好きな本と 対話すれば、安心できるでしょう。

    私が持っている『戦争と平和』の上下2冊の本は、金持ちの人が持っている高価な宝石 や多額の金融資産より、遥かに価値が高いものです。

    これから分かるのは、沢山の情報を持っているからといって、事態の本質を正確に評価 できるとはかぎらないことです。 重要なのは、大量の情報ではなく、背後にある運動法則を正しく把握できるかどうかなのです。

    トルストイが書いたのは戦場の状況ですが、企業の現場も同じです。状況変化のスピー ドが激しい戦場では、情報が不十分な中での意思決定が求められます。この状況は、現代 企業の現場と本質的に同じものです。 経営書を100冊読むよりは、『戦争と平和』を読むほうが、経営には遥かに有益でしよう。

    道を歩いていると、携帯電話を持って取引の話をしながら足早に歩み去っていく人がい ます。この人はおそらく『アンナ・カレーニナ』を読んだことはないでしょう。これから 読もうとも思わないでしょう。その人に比べて、私のほうが豊かな人生を経験したと、私 は考えているのです。

    もっとも、こうした人たちの行動にまったく意味がないとも言えません。それは選別過 程を手助けしているからです。この人たちが積極的に選択をしなくとも、(人工知
    能)が彼らの行動をモニターし、分析しています。 選別の過程がないと淘汰のメカニズムは働かないのこの人たちは、結果的には社会の進歩に寄与していることになります。 その意味で、「ご苦労さま」と感謝しなければならないでしょう。 これはもちろん皮肉ですが、真面目な話として言えば、考えを変えて、古典に目を向け てほしいと思います。 古典に接するのは望めば簡単にできることなので、そうしたチャンスを知らないで過ご してしまうのは、あまりにもったいないことです。

    古典を読むほうがよいというのは、決して高尚な精神論ではなく、単純な計算からの、 極めて功利的な損得論なのです。

  • 冒頭、本に囲まれているときが一番幸せという話が出てくる。これを目にしたのでこの本を手に取ったみたいなもんで、本当にその気持ちはよくわかる。
    どんな本屋でもいいわけではないけど、なんか幸せなんだよな。でも時々、あれもこれも、まだ読んでないなとか、読まなきゃなとか強迫観念に囚われてしまうようなときがある。
    だからかな、最近は、何度も何度も読み返せるようなそういう本を早く見つけたいと思うようになったことも、この本を手にした原因かもしれない。
    そういう意味では、ちょっと残念だったけれど、マクベスとかアンナカレーニナとか、これらは読んでみようと思う。
    最後にまるで、この本にはこういう“教養”がたくさん詰まってるんだぜと言わんばかりな索引がある。これはこれで面白いなと思った。

  • 古典読まなきゃ。
    トルストイ戦争と平和 アンナカレーニナ 
    ドストエフスキー 罪と罰 カラマーゾフの兄弟
     トーマス・マン 魔の山 ヴェニスに死す  
    ヘッセ  車輪の下 ロマンローラン ジャンクリフトフ ベートーベンの生涯 ユーゴー レ・ミゼラブル
    島崎藤村 夜明け前 志賀直哉 暗夜行路 谷崎潤一郎 

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著者プロフィール

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。Twitterアカウント:@yukionoguchi10

「2023年 『「超」整理手帳 スケジュール・シート スタンダード2024』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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