- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344982826
感想・レビュー・書評
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父を亡くし、老人ホームに入居した母は軽度認知症で、記憶がなくなる感覚に怯えながらいつも私に「早く死にたい」と訴えます。正に死にたくても死ねない「長命地獄社会」というのが身近過ぎて、冒頭から引き込まれました。
元気で長生きしてほしいと思うけど、その時が来たら延命治療はせずに穏やかに死を迎えたいと、母のみならず自分自身の時もそうしたいと心底思いました。
そして80歳でガンで逝った父の時のことを思い返して、とにかく良い病院を、良い治療をと促した自分を悔やみました。
何も不調はなかったのに検診でガンが見つかり、手術を繰り返したこと、本当に可哀想でした。
父の死にふれ、なにしろガンが怖くなり、
本の中の笑い話のように「ガンにさえならなければ死んでもいい」みたいな健康オタクになりつつありました。
でもガンになる最大のリスクは『加齢』でこれは予防しようがないし、ガンも無駄な治療さえしなければ痛みもなく穏やかに死ねると知れて、その恐怖心は半減し、抵抗感がなくなりました。
「がんにならない唯一の方法は、なる前に死ぬこと」この言葉最高です。
人はガンで死ぬか寿命で死ぬか、どちらにせよ死亡率100%なんだから、そこにばかり気を取られず、死ぬまでの時を謳歌しようという意識に変わりました。
毎年きっちり受けている人間ドッグもガンが見つかる前に辞めようかな。
そんなに長生きしたくもないし、もしガンで死ぬなら、最期まで知りたくない。「知らずにいる権利」を行使したいです。
とにかくこの本は、今まさに高齢医療の現場にいる医師の話なだけにリアリティがあって、とても参考になり、読んで良かった一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
死ぬまでの生き方を考えること、なるほどその通り。
第四章のなぜ死ぬのはがんに限るのか、がスッと体の中に、考え方として入り込んだ。この章だけでも再読する。21/8/30コロナ禍、母の症状を知った夏。 -
要するに高齢になったら治療はするなということをずっと話している対談。Bが治療拒否していて大丈夫かと思っていたが、まぁいいのかな。でもBはまだ61だから、二人が言っている高齢者ではないか…
それにしてもこの人たちが言うほど延命治療を求める人が多いのかなという印象を持った。8年前の本だからか。母などはずっと前から絶対に延命治療はしてくれるなと言い続けている。「よぉくわかった」と言っているのは愛情の薄い家庭だからか。
人間ドックもしなくていいと言っていた。問題なしと言われても、考えてみればPCR検査と同じで、明日のことはわからない。わざと少し悪めの数値にするなんてことがあるなら、行かなくてもいいのかな。
あとで気づいたが、対談している一人はあの『無痛』を書いた久坂部羊だった。現役の医師なんだ。 -
特養老人ホームの診療所長として何百人もの「自然死」を看取った経験から、『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(2012)を出版した中村氏と、医師で作家という二足のわらじを履き、『日本人の死に時 ~ そんなに長生きしたいですか』(2007)などの著書で知られる久坂部氏のお2人による「理想の死に方」。雑誌やテレビなどあちこちのメディアで健康や長生きが美徳とされ、「健康のためなら死んでも良い」のように変な風潮が蔓延する昨今において、死を迎える本人にとって最も幸せな「逝き方」とは何かを議論する。人間の死亡率は100%であるのは疑う余地のない事実。ならば人生の終わりをどのように迎えるのか、迎えさせてあげるべきなのかについて「看取りの達人」が指南する。
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30冊目。「大往生したけりゃ医療とかかわるな」を読まれた久坂部先生が対談を申し込まれたそうで、ユーモアもたっぷりだった。
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長生きは素晴らしいこと、というマスコミの報道に疑問を呈する内容。不健康な状態で長生きすることにいいことはないらしい。
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「老化」は治療出来ないが多くの人が回復を願うが故に精神的に苦しんだり治療に苦しんだりする。日本の医療問題は多々あれど、最も重要なのは自分自身の確固たる関わり方を決めて且つそれを身近な人と共有しておくことなのだなと。
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【文章】
とても読み易い
【ハマり】
★★★★・
【共感度】
★★★★★
・延命治療を行うのがよい事なのかは、患者本人次第
・安楽死が法的に認められる社会になるべき
・長く生きる事のみが尊いわけではないはず
【気付き】
★★★・・ -
2017 11/20