地球の中心で何が起こっているのか地殻変動のダイナミズムと謎 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982277

作品紹介・あらすじ

東日本大震災で、日本列島は一瞬にして5メートルも東へ移動した。なぜ大地は動き、火山は噴火するのか。そのエネルギーの根源は地球の中心部にある。地下6400キロにある「核」は、6000℃もの高温だが、地表の気温は平均15℃しかない。地球は、このすさまじい温度差を解消しようとして、表層部と核の間の「マントル」内でたえず物質をグルグル回し、マグマを作って、熱を地表に運んでいる。その結果、大陸を支えるプレートが動き、その継ぎ目(沈み込み帯)で地震が起きるのだ。世界が認める地質学の第一人者が解き明かす、地球科学の最前線。

感想・レビュー・書評

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  • ドラマ日本沈没を見てはたして現実にあり得るのか検索。見つけたサイトの著者に興味を持ち本書を読んでみた。とてもおもしろい

  • 興味深いタイトルの本だが、私には難しかった。

  • 地殻とマントルとコアがあって、というレベルの知識だけを持った状態で読み始めたが、近年の研究について素人でも分かりやすく書いてあって勉強になった。

  • 地学、特にプレート理論の入門書。

  • 一文ごとに次々と主語が変わりゆく風が吹いた桶屋文体に理解が追いつけず
    前知識がある方には楽に読み込めるのでしょうが、私は他の本で学ぼうと思います

  • プレートテクトニクスでは分からないどうやって大陸と海洋が別れたかなど仮説かもしれないが凄く納得できる。
    地球の構造が中心から核、マントル、地殻がありマントルの対流で近くが動いて大陸移動したと言うのが一般的なプレートテクトニクスの理解だろう。ではそれぞれの構造は?と言うと核がほぼ鉄(とニッケル)でできていると言うのはまだ知ってる人が多いかもしれない。

    マントルの組成は二酸化ケイ素と酸化マグネシウムが主でなんと月の石の酸素同位体測定の結果と全く一致する。原始の地球に原始の惑星「テイア」が激突し、その破片が重力の作用でできたのが月だと言う説が有力らしい。次に地殻だが大陸と海洋では組成が異なる。構成物質は二酸化ケイ素とアルミ、鉄、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウムの酸化物であり種類はマントルと一致するのだが、二酸化ケイ素の割合がマントル、海洋地殻、大陸地殻と次第に減る。大陸は二酸化ケイ素が60%ほどの安山岩質で海洋は50%ほどの玄武岩質なのだ。

    安山岩質は軽い、そして玄武岩質は冷えるとマントルより重い。海嶺ではマントルが地中からわき上がってきて冷えて海洋地殻を生み出す。では大陸地殻はどこで生まれるかと言うと海溝だ。海洋地殻が沈み込む時温度が上がり、一部が融けマグマになる。この時できたマグマが冷えて固まると安山岩質の大陸地殻ができる。日本もそうだが環太平洋の火山帯は大陸を作る工場のようなものなのだ。中国などは大陸棚は自然の延長で大陸国家に属すると言うが、大陸ができるのが海溝の沈み込みなら自然の延長で島嶼国家に属するとも言えるわけだ。

    火山帯はだいたい2列に並んでいる。日本海溝に対し平行に那須火山帯がありその後ろに平行して鳥海火山帯がある。海洋プレートの潜り込む角度によってマグマが発生する深さが決まっており、プレート深さ110kmと170kmでマグマができる。この時に関係してくるのが海=水の存在だ。沈み込む海洋地殻の含水鉱物は深さ100kmまでに水を吐き出し、沈み込む海洋地殻の上にある大陸側のマントルが水を受け取る。地殻に引きずり込まれ下降したマントだが岩質によって深さ110kmと170kmでまた水を吐き出す。水が上昇すると圧力が低い浅い所では融点降下の原理で個体のマントルが融けマグマが生まれる。この時一部が融けたマントルは粘度が低く軽いため固まりになって上昇する。地殻に引きずられて沈み込むマントルがあれば、それを穴埋めするために上昇する熱いマントルもある。この熱と上昇するマグマが出会って出来たのがマグマだまりと言われるものと考えていいだろうこれが火山のしくみだ。

    他にも大陸の生成やダイヤモンドがどうやって地上に運ばれたか(一説では音速で地中を移動すると言う)など雑学も満載。JAMSTECはこの仮説を実証しようと深海掘削船ちきゅうで海底のマントル掘削を計画している。

  • 非常に興味深く時間をかけて読んだ。知らないことばかりで面白かった。グラフ出てくるとくらっとしちゃうしところどころ難しかったけど、説明のためには出さざるを得ず、出した以上は一生懸命噛み砕いて書いてくれる巽先生の地球に対するオタク的愛を感じてなんか微笑ましかった。読んで本当に良かったと思えた本。

  • 著者は地球科学研究のスティーブ・ジョブスだ。

  • 結構専門的な内容なので,一般の方には少し難しいかもしれない.

    現在何が分かっていないのか,何が分かるとどんなことが見えてくるのか,といった部分が書かれているところが面白いし,臨場感がある.

  • 私は理学系の研究者の方との交流がないので,どんな研究をされているのかよく分かりません.まずはこうした書籍を通して色々と勉強させていただきます.

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著者プロフィール

1954年、大阪府に生まれる。日本の火山学の第一人者。理学博士。専門はマグマ学。1978年、京都大学理学部を卒業。1983年、東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了。京都大学総合人間学部教授、同大学大学院理学研究科教授、東京大学海洋研究所教授、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)地球内部ダイナミクス・プログラムディレクター、神戸大学大学院理学研究科教授を経て、2016年、同大学海洋底探査センター教授となる。2003年に日本地質学会賞、11年に日本火山学会賞、12年に米国地球物理学連合(AGU)N.Lボーエン賞を受賞。著書には『地球の中心で何が起こっているか』『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』(以上、幻冬舎新書)、『地震と噴火は必ず起こる』(新潮選書)、『なぜ地球だけに陸と海があるのか』『和食はなぜおいしい』(以上、岩波書店)などがある。

「2019年 『火山大国日本 この国は生き残れるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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